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幸せの指輪です
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それからはあっという間だった。ルムノと医者はカムイ様の殺人未遂容疑で逮捕され、ノックス家の屋敷からいなくなった。
愛人の家に暮らしていたアストラも警察に捕まって取り調べを受けている。しらばっくれているらしいが、母親ルムノの罪を知っていたことは明白だ。
ルムノはカムイ様の殺人未遂容疑だけでなく、カムイ様の父親の殺人容疑にも問われている。5年前の話だが関係者の証言から証拠は少しづつ集まっていて、いずれ罪が確定するだろう。
一時は命の危機になるほど弱っていたカムイ様だが、今ではすっかり元気になった。元々優秀であったカムイ様はノックス家の当主として立派に役割を果たしている。
そして、カムイ様は私を恋人にしたいと言ってくださった。
◇◇◇
「リュカ。これ、プレゼント。」
カムイ様が小さな箱を私に手渡した。恐る恐るその箱を開ける。
「嘘、、、。」
そこに入っていたのは売り払ったはずのルビーの指輪だった。売ってしまった指輪の存在をカムイ様には伝えていなかった。
「なぜこの指輪のことを、、、?」
ぎゅっと、小さな箱を抱きしめた。
「食費をどこから出してくれていたのかと、疑問に思っていたんだ。あちこち聞いてまわって、ようやく分かったよ。大切なものを手放してまで、僕を守ってくれたんだね。」
カムイ様は私の手に触れた。慣れないスキンシップがこそばゆくて私は俯いた。
「いいえ。いいのです。カムイ様のほうが、ずっと大切ですから、、、。」
「リュカ、、、。」
「まさか、カムイ様が指輪を取り戻してくれるなんて思いませんでした。」
嬉しさのあまり溢れる涙を、留めることはできなかった。この指輪は、お守りだった。こんな私でもいつか幸せになれると、指輪を見るときだけ、思うことができた。
「もう一つ、リュカにプレゼントがあるんだ。」
カムイ様は真っ白い小さな箱を私に手渡した。そこに入っていたのは、ダイアモンドの指輪。
「僕と結婚してくれないか?」
「もちろんです、カムイ様。ずっと大好きです。」
◇◇◇
そうして、貧乏で一人ぼっちだった私はカムイ様の妻として幸せになることができたのでした。
愛人の家に暮らしていたアストラも警察に捕まって取り調べを受けている。しらばっくれているらしいが、母親ルムノの罪を知っていたことは明白だ。
ルムノはカムイ様の殺人未遂容疑だけでなく、カムイ様の父親の殺人容疑にも問われている。5年前の話だが関係者の証言から証拠は少しづつ集まっていて、いずれ罪が確定するだろう。
一時は命の危機になるほど弱っていたカムイ様だが、今ではすっかり元気になった。元々優秀であったカムイ様はノックス家の当主として立派に役割を果たしている。
そして、カムイ様は私を恋人にしたいと言ってくださった。
◇◇◇
「リュカ。これ、プレゼント。」
カムイ様が小さな箱を私に手渡した。恐る恐るその箱を開ける。
「嘘、、、。」
そこに入っていたのは売り払ったはずのルビーの指輪だった。売ってしまった指輪の存在をカムイ様には伝えていなかった。
「なぜこの指輪のことを、、、?」
ぎゅっと、小さな箱を抱きしめた。
「食費をどこから出してくれていたのかと、疑問に思っていたんだ。あちこち聞いてまわって、ようやく分かったよ。大切なものを手放してまで、僕を守ってくれたんだね。」
カムイ様は私の手に触れた。慣れないスキンシップがこそばゆくて私は俯いた。
「いいえ。いいのです。カムイ様のほうが、ずっと大切ですから、、、。」
「リュカ、、、。」
「まさか、カムイ様が指輪を取り戻してくれるなんて思いませんでした。」
嬉しさのあまり溢れる涙を、留めることはできなかった。この指輪は、お守りだった。こんな私でもいつか幸せになれると、指輪を見るときだけ、思うことができた。
「もう一つ、リュカにプレゼントがあるんだ。」
カムイ様は真っ白い小さな箱を私に手渡した。そこに入っていたのは、ダイアモンドの指輪。
「僕と結婚してくれないか?」
「もちろんです、カムイ様。ずっと大好きです。」
◇◇◇
そうして、貧乏で一人ぼっちだった私はカムイ様の妻として幸せになることができたのでした。
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