101 / 154
第四章 試練と成長【ダンジョン探索編】
第10話 その先に潜むもの
しおりを挟む
もう間も無く九階層への入り口というところで、エヴァのスキルに反応があり、コウヘイたちは、臨戦態勢を取っていた――――
エヴァのスキルでは正確な数は計れないため、反応の強さを確認するように僕は問う。
「規模は?」
「いや、気配だけでプレッシャーを感じないから大したことないわね……九階層が近いからミノタウロスの可能性を考えたけど、間違いなくその反応ではないわ」
エヴァの、「大したことない」という言葉を聞いた僕は、一先ず安心する。
「でも、どんどん反応が近付いてくるわね。これは……走っているのかしら?」
こちらに向かってくると言うので僕は前方を注意深く見たけど、魔導カンテラの光だけでは一〇メートル先を照らすのが精いっぱいだった。
「むむ、これは、もしや……」
「イルマ、何か聞こえるの?」
イルマのエルフ耳が小刻みに動くものだから、何か聞こえているのかもしれない。
「これは悲鳴?」
「悲鳴?」
イルマの返答を待っていたら、いつの間にか一番後ろに居るはずのエルサが近くまで来ており、そう呟いた。
「うむ、そうじゃな。いや、悲鳴というか絶叫か?」
「え! 魔獣なの?」
「いいや、これはヒューマンのものじゃろう。おそらく何かから逃げているのやもしれん」
と言うことは、それを追いかけている何者かの存在があるはず。
「エヴァ、危険察知は反応してないんだよね?」
「ええ、していないわ。気配を感じるのは、一か所だけだから一人か凄い近い距離に固まっている可能性くらいかしら」
それでも、逃げているのが人だとすると、ほおっておけない。
「それじゃあ、助けないと!」
だから、僕はそう言ってメイスを握った右の拳に力をこめる。
「いえ、大丈夫よ。もうすぐやって来るから。ほらっ」
エヴァが耳に手を当てる仕草をした矢先、奥の方から何かが聞こえてきた。
それは、秒を追うごとに大きくなり確かに聞こえるようになった。
「ギヤアアアアアアアアアアーーー!」
確かに、絶叫だった。
「これは脇に寄った方がいいのかな?」
「そうね。万が一ということもあるだろうし……でも、一人だけだと思うわ」
僕たちが道を開けるように壁際に寄ったところで、その声の主がドタバタと駆けてくる足音も聞こえるようになった。
近い!
そう思った瞬間、革鎧を装備した大柄の男が泣きわめきながら走ってくるのが、魔導カンテラによって照らされてはっきりと見えた。
大の大人にもなって、その男の顔面は、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
そして、エヴァが言ったように、その男を追いかける存在は見当たらなかった。
「ねー、何があったのぉー?」
迫る男に向かってエヴァがそう叫んだけど、聞こえないどころか僕たちの存在が見えていないとでもいうように、一切を無視してエヴァの前を通り過ぎようとした。
「人の話を聞きなさい!」
言下、エヴァがひょいっと片方の足をその男の前に出すと、いとも簡単に足をもつれさせ、ダイブするようにゴツゴツの岩の地面に顔面から着地した。
「うわー逆海老反りを生で見られるとは思わなかったよ」
追っかけてくる魔獣の姿もないことから、僕はのんきにもそんな感想を述べた。
「うう、あれは痛そうです」
ミラは、両手で顔を覆いながらその男のことを心配し、
「うわー、足を引っ掛けるなんて酷ーい」
エヴァを非難するものの笑いたいのを堪えるようにエルサは、口を押えていた。
「全くお前たちは酷いやつらじゃ……ほれ、治癒魔法を掛けてやるから起き――」
イルマだけがまともな反応を見せ、盛大にコケたその男の元へ歩み寄った。
しかし、ムクリと起き上がったその男の顔面は血だらけで酷いものだった。
その男は、イルマのことを見るなり、
「ひっ! 赤いゴブリンだあああーーー!」
と言って再び上層へ向かう道を遁走して行ったのだった。
「赤いゴブリンじゃと?」
「何だったんだあれ?」
イルマは、ポカンとした表情でそう呟いたけど、僕としてはあそこまで怯えた様子からこの先に何があるのか凄く不安になった。
「念のため注意して進もうか」
「そうね……」
本当はちゃんと話をして事情を確認したかったけど、逃げられてしまったものは仕方がない。
追いかけてもよかったけど、あそこまで怯えた様子の人を引き留めるのは、何となく申し訳ない気がして止めた。
「ほら、行くよ! いつまでそうしているの?」
赤いゴブリンと言われたのが相当ショックだったのか、イルマはわなわなと震えていた。
エルフの耳は、確かにゴブリンと同様に尖ってはいるものの、あの醜悪な顔の魔獣と勘違いされたのは同情ものだ。
でも、今は先を急いだほうが良さそうだった。
現在のダンジョン探索は、複数パーティーでないと立ち入りができない。
逃げてきたのは一人だけだった。
つまり、この先にあの男のパーティーメンバーがいる可能性が高いのである。
ちなみに、僕たちが単独パーティーでダンジョン探索できている理由は、ゴールドランクのイルマがいるお陰だったりする。
当初、ラルフさんの了承を得た上で、僕たちはルール無視の単独パーティーでダンジョン探索をしていた。
しかし、日を追うごとにありえない戦果を僕たちがあげるものだから、僕たちと組みたい冒険者たちが、僕たちが単独で潜っていることを、指摘したのだった。
因って、ゴールドランクルールは、後から追加された条件であり、完全にラルフさんが僕たちのことを贔屓してできたルールだった。
閑話休題。
「さあ、先を急ごう。誰かが僕たちの助けを待っているかもしれない!」
イルマの腕を掴んだ僕は、柄にもなく正義のヒーローが言いそうなセリフを言った。
ただ、それは笑いごとではなく、本当にその可能性が高かったため、誰も異論は無いようだった。
そして、急ぎ向かった先の九階層へと続く階段を駆け下りて進む最中、エヴァの一言で僕の予想が的中したことが判明した。
「やっぱり、誰かが戦闘中みたいね。これは……少し弱いけどミノタウロスのときに受けたプレッシャーを感じる。あとは、薄れゆく気配も……」
薄れゆく気配――冒険者の命が消えようとしているということだろうか。
エヴァの気配察知スキルは、感覚的な能力であるためそれが冒険者の気配なのか、或いは、魔獣のものかまでは判別できない。
どちらにしろ、急いだほうが良いのは確かだった。
「身体強化全開で急ごう!」
僕はそれだけ言って、薄暗い洞窟の段差を、風のように軽やかに数段飛ばしで下っていく。
九階層に到達し、奥へ奥へと進むに連れて魔獣の死骸が転がっているのが目に入った。
恐らく、この先で戦闘している冒険者たちが倒した残骸だと思われる。
そのまま駆けること十数分が経過したころ。
「みんな、戦闘準備!」
エルサやイルマにはとっくに聞こえていると思うけど、僕の耳に冒険者たちのものと思われる怒号や魔法の炸裂音が聞こえてきた。
九階層の開けた場所に出ると、そこには、カンテラの光で照らされた見覚えのある冒険者――ガーディアンズの三人――と見知らぬ冒険者三人が、ミノタウロス二頭を相手に、死闘を繰り広げていた。
そこは、一〇階層へ下る階段の手前にある広間で、十分なスペースがあり、それぞれが二〇メートルほど離れた位置で戦闘をしていた。
ファビオさんは、同じパーティーのライアンさんと二人でミノタウロス一頭を相手しており、防戦一方だった。
四人の方は、ガーディアンズのライオットさんが顔面目掛けて弓矢を射り、ミノタウロスの集中力を乱すことで、女性剣士二人が前衛でなんとかミノタウロスからの攻撃を躱し、応戦していた。
そして、魔法士のローブを羽織った少女は、魔力を補充するためかマッジクポーションを一気に飲み干し、空になった瓶を投げ捨てていた。
ダメージを与えているかといったら何とも微妙だけど、こちらの方が一応は戦闘と呼べるものだった。
だから、僕はファビオさんの方に加勢することを決めた。
「僕はファビオさんがいる方を対応する! エヴァとエルサは、向こうの方をお願い!」
「了解っ!」
「コウヘイ、気を付けて」
「うん、エルサも!」
――――コウヘイの指示を聞いたエヴァが一気に加速し、エルサがアースバンドリングの詠唱を開始した。
残るイルマとミラは、どちらへもサポートできるように距離を取りながら三人の後に続いた。
遁走していた男を目撃し、超特急で駆け付けたコウヘイたちの嫌な予感が見事的中し、彼らはファビオたち冒険者を助太刀することにした。
そのコウヘイたちの登場は、そんな冒険者たちにとって彼らの窮地を救いに来たまさに英雄のようであった。
エヴァのスキルでは正確な数は計れないため、反応の強さを確認するように僕は問う。
「規模は?」
「いや、気配だけでプレッシャーを感じないから大したことないわね……九階層が近いからミノタウロスの可能性を考えたけど、間違いなくその反応ではないわ」
エヴァの、「大したことない」という言葉を聞いた僕は、一先ず安心する。
「でも、どんどん反応が近付いてくるわね。これは……走っているのかしら?」
こちらに向かってくると言うので僕は前方を注意深く見たけど、魔導カンテラの光だけでは一〇メートル先を照らすのが精いっぱいだった。
「むむ、これは、もしや……」
「イルマ、何か聞こえるの?」
イルマのエルフ耳が小刻みに動くものだから、何か聞こえているのかもしれない。
「これは悲鳴?」
「悲鳴?」
イルマの返答を待っていたら、いつの間にか一番後ろに居るはずのエルサが近くまで来ており、そう呟いた。
「うむ、そうじゃな。いや、悲鳴というか絶叫か?」
「え! 魔獣なの?」
「いいや、これはヒューマンのものじゃろう。おそらく何かから逃げているのやもしれん」
と言うことは、それを追いかけている何者かの存在があるはず。
「エヴァ、危険察知は反応してないんだよね?」
「ええ、していないわ。気配を感じるのは、一か所だけだから一人か凄い近い距離に固まっている可能性くらいかしら」
それでも、逃げているのが人だとすると、ほおっておけない。
「それじゃあ、助けないと!」
だから、僕はそう言ってメイスを握った右の拳に力をこめる。
「いえ、大丈夫よ。もうすぐやって来るから。ほらっ」
エヴァが耳に手を当てる仕草をした矢先、奥の方から何かが聞こえてきた。
それは、秒を追うごとに大きくなり確かに聞こえるようになった。
「ギヤアアアアアアアアアアーーー!」
確かに、絶叫だった。
「これは脇に寄った方がいいのかな?」
「そうね。万が一ということもあるだろうし……でも、一人だけだと思うわ」
僕たちが道を開けるように壁際に寄ったところで、その声の主がドタバタと駆けてくる足音も聞こえるようになった。
近い!
そう思った瞬間、革鎧を装備した大柄の男が泣きわめきながら走ってくるのが、魔導カンテラによって照らされてはっきりと見えた。
大の大人にもなって、その男の顔面は、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
そして、エヴァが言ったように、その男を追いかける存在は見当たらなかった。
「ねー、何があったのぉー?」
迫る男に向かってエヴァがそう叫んだけど、聞こえないどころか僕たちの存在が見えていないとでもいうように、一切を無視してエヴァの前を通り過ぎようとした。
「人の話を聞きなさい!」
言下、エヴァがひょいっと片方の足をその男の前に出すと、いとも簡単に足をもつれさせ、ダイブするようにゴツゴツの岩の地面に顔面から着地した。
「うわー逆海老反りを生で見られるとは思わなかったよ」
追っかけてくる魔獣の姿もないことから、僕はのんきにもそんな感想を述べた。
「うう、あれは痛そうです」
ミラは、両手で顔を覆いながらその男のことを心配し、
「うわー、足を引っ掛けるなんて酷ーい」
エヴァを非難するものの笑いたいのを堪えるようにエルサは、口を押えていた。
「全くお前たちは酷いやつらじゃ……ほれ、治癒魔法を掛けてやるから起き――」
イルマだけがまともな反応を見せ、盛大にコケたその男の元へ歩み寄った。
しかし、ムクリと起き上がったその男の顔面は血だらけで酷いものだった。
その男は、イルマのことを見るなり、
「ひっ! 赤いゴブリンだあああーーー!」
と言って再び上層へ向かう道を遁走して行ったのだった。
「赤いゴブリンじゃと?」
「何だったんだあれ?」
イルマは、ポカンとした表情でそう呟いたけど、僕としてはあそこまで怯えた様子からこの先に何があるのか凄く不安になった。
「念のため注意して進もうか」
「そうね……」
本当はちゃんと話をして事情を確認したかったけど、逃げられてしまったものは仕方がない。
追いかけてもよかったけど、あそこまで怯えた様子の人を引き留めるのは、何となく申し訳ない気がして止めた。
「ほら、行くよ! いつまでそうしているの?」
赤いゴブリンと言われたのが相当ショックだったのか、イルマはわなわなと震えていた。
エルフの耳は、確かにゴブリンと同様に尖ってはいるものの、あの醜悪な顔の魔獣と勘違いされたのは同情ものだ。
でも、今は先を急いだほうが良さそうだった。
現在のダンジョン探索は、複数パーティーでないと立ち入りができない。
逃げてきたのは一人だけだった。
つまり、この先にあの男のパーティーメンバーがいる可能性が高いのである。
ちなみに、僕たちが単独パーティーでダンジョン探索できている理由は、ゴールドランクのイルマがいるお陰だったりする。
当初、ラルフさんの了承を得た上で、僕たちはルール無視の単独パーティーでダンジョン探索をしていた。
しかし、日を追うごとにありえない戦果を僕たちがあげるものだから、僕たちと組みたい冒険者たちが、僕たちが単独で潜っていることを、指摘したのだった。
因って、ゴールドランクルールは、後から追加された条件であり、完全にラルフさんが僕たちのことを贔屓してできたルールだった。
閑話休題。
「さあ、先を急ごう。誰かが僕たちの助けを待っているかもしれない!」
イルマの腕を掴んだ僕は、柄にもなく正義のヒーローが言いそうなセリフを言った。
ただ、それは笑いごとではなく、本当にその可能性が高かったため、誰も異論は無いようだった。
そして、急ぎ向かった先の九階層へと続く階段を駆け下りて進む最中、エヴァの一言で僕の予想が的中したことが判明した。
「やっぱり、誰かが戦闘中みたいね。これは……少し弱いけどミノタウロスのときに受けたプレッシャーを感じる。あとは、薄れゆく気配も……」
薄れゆく気配――冒険者の命が消えようとしているということだろうか。
エヴァの気配察知スキルは、感覚的な能力であるためそれが冒険者の気配なのか、或いは、魔獣のものかまでは判別できない。
どちらにしろ、急いだほうが良いのは確かだった。
「身体強化全開で急ごう!」
僕はそれだけ言って、薄暗い洞窟の段差を、風のように軽やかに数段飛ばしで下っていく。
九階層に到達し、奥へ奥へと進むに連れて魔獣の死骸が転がっているのが目に入った。
恐らく、この先で戦闘している冒険者たちが倒した残骸だと思われる。
そのまま駆けること十数分が経過したころ。
「みんな、戦闘準備!」
エルサやイルマにはとっくに聞こえていると思うけど、僕の耳に冒険者たちのものと思われる怒号や魔法の炸裂音が聞こえてきた。
九階層の開けた場所に出ると、そこには、カンテラの光で照らされた見覚えのある冒険者――ガーディアンズの三人――と見知らぬ冒険者三人が、ミノタウロス二頭を相手に、死闘を繰り広げていた。
そこは、一〇階層へ下る階段の手前にある広間で、十分なスペースがあり、それぞれが二〇メートルほど離れた位置で戦闘をしていた。
ファビオさんは、同じパーティーのライアンさんと二人でミノタウロス一頭を相手しており、防戦一方だった。
四人の方は、ガーディアンズのライオットさんが顔面目掛けて弓矢を射り、ミノタウロスの集中力を乱すことで、女性剣士二人が前衛でなんとかミノタウロスからの攻撃を躱し、応戦していた。
そして、魔法士のローブを羽織った少女は、魔力を補充するためかマッジクポーションを一気に飲み干し、空になった瓶を投げ捨てていた。
ダメージを与えているかといったら何とも微妙だけど、こちらの方が一応は戦闘と呼べるものだった。
だから、僕はファビオさんの方に加勢することを決めた。
「僕はファビオさんがいる方を対応する! エヴァとエルサは、向こうの方をお願い!」
「了解っ!」
「コウヘイ、気を付けて」
「うん、エルサも!」
――――コウヘイの指示を聞いたエヴァが一気に加速し、エルサがアースバンドリングの詠唱を開始した。
残るイルマとミラは、どちらへもサポートできるように距離を取りながら三人の後に続いた。
遁走していた男を目撃し、超特急で駆け付けたコウヘイたちの嫌な予感が見事的中し、彼らはファビオたち冒険者を助太刀することにした。
そのコウヘイたちの登場は、そんな冒険者たちにとって彼らの窮地を救いに来たまさに英雄のようであった。
0
お気に入りに追加
457
あなたにおすすめの小説
おばあちゃんが孫とVRmmoをしてみた
もらわれっこ
ファンタジー
孫にせがまれて親の代わりに一緒にログイン、のんびりしてます
初めてなのでのんびり書きます
1話1話短いです
お気に入り 4 百人突破!ありがとうございます
断罪の暗殺者~なんか知らんが犯罪ギルドのトップになってた~
流優
ファンタジー
どうやら俺は、異世界に転生したらしい。――ゲームで作った、犯罪ギルドのギルドマスターとして。
マズい、どうしてこうなった。自我を獲得したらしいギルドのNPC達は割と普通に犯罪者思考だし、俺も技能として『暗殺』しか出来ねぇ!
そうしてゲームで作ったキャラ――暗殺者として転生を果たしたギルドマスター『ユウ』は、物騒な性格のNPC達のトップとして裏社会に名を轟かせ、やがては世界へと影響を及ぼしてゆく――。
対象年齢は少し高めかもしれません。ご注意を。
異世界転移で無双したいっ!
朝食ダンゴ
ファンタジー
交通事故で命を落とした高校生・伊勢海人は、気が付くと一面が灰色の世界に立っていた。
目の前には絶世の美少女の女神。
異世界転生のテンプレ展開を喜ぶカイトであったが、転生時の特典・チートについて尋ねるカイトに対して、女神は「そんなものはない」と冷たく言い放つのだった。
気が付くと、人間と兵士と魔獣が入り乱れ、矢と魔法が飛び交う戦場のど真ん中にいた。
呆然と立ち尽くすカイトだったが、ひどい息苦しさを覚えてその場に倒れこんでしまう。
チート能力が無いのみならず、異世界の魔力の根源である「マナ」への耐性が全く持たないことから、空気すらカイトにとっては猛毒だったのだ。
かろうじて人間軍に助けられ、「マナ」を中和してくれる「耐魔のタリスマン」を渡されるカイトであったが、その素性の怪しさから投獄されてしまう。
当初は楽観的なカイトであったが、現実を知るにつれて徐々に絶望に染まっていくのだった。
果たしてカイトはこの世界を生き延び、そして何かを成し遂げることができるのだろうか。
異世界チート無双へのアンチテーゼ。
異世界に甘えるな。
自己を変革せよ。
チートなし。テンプレなし。
異世界転移の常識を覆す問題作。
――この世界で生きる意味を、手に入れることができるか。
※この作品は「ノベルアップ+」で先行配信しています。
※あらすじは「かぴばーれ!」さまのレビューから拝借いたしました。
魔力ゼロの出来損ない貴族、四大精霊王に溺愛される
日之影ソラ
ファンタジー
魔法使いの名門マスタローグ家の次男として生をうけたアスク。兄のように優れた才能を期待されたアスクには何もなかった。魔法使いとしての才能はおろか、誰もが持って生まれる魔力すらない。加えて感情も欠落していた彼は、両親から拒絶され別宅で一人暮らす。
そんなある日、アスクは一冊の不思議な本を見つけた。本に誘われた世界で四大精霊王と邂逅し、自らの才能と可能性を知る。そして精霊王の契約者となったアスクは感情も取り戻し、これまで自分を馬鹿にしてきた周囲を見返していく。
HOTランキング&ファンタジーランキング1位達成!!
命を救った美女令嬢の家でVRMMOをプレイする。いつか彼女と付き合いたい。
茜色 一凛
ファンタジー
広瀬 ユウキは『Lack the world 』という新作のVRMMOゲームの発売日を楽しみにしていた。
ところが、当日、仕事をクビになり、ブチ切れた親にゲームを拳骨で粉砕されてしまう。
泣きながら出掛けた道中、超絶美女令嬢『宮内 恵里香』の命を救ったことで、「VRMMO一緒にやりませんか」と、誘われた。
そして、彼女のお屋敷でVRMMOをプレイするが、ログアウトできなくなってしまったのだ。
ログアウトの方法は『10の扉』にいるボスを攻略するか、リアルで眼鏡型のハードを外してもらうこと。
二人は何故、眼鏡型のハードが外されないのか不思議に思いながらも、この世界でおバカな知恵を絞りながら扉のボスを撃破していく。
応援よろしくお願い致します。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
【第一部完結】無能呼ばわりされてパーティーを追放された俺だが、《神の力》解放により、《無敵の大魔導師》になっちゃいました。
マツヤマユタカ
ファンタジー
『アイテムコピー』という外れスキル持ちのアリオン=レイスは他には一切魔法が使えず、
14歳という年齢的にも非力であったため、冒険者パーティーには中々入れなかったが、
なんとか受け入れてくれるパーティーに巡り会うことが出来た。
だがそのパーティーリーダー、ゲイスの目的は別にあった。
それはアリオンの『アイテムコピー』の能力を悪用し、金貨や宝石をコピーさせて大もうけしようと
いうものであった。
だがアリオンはそれを頑なに拒絶する。そのため日々パーティーの仲間たちにいじめられ続けていた。
だがある時、ついに痺れを切らしたゲイスによって上級ダンジョンに取り残されるアリオン。
絶体絶命の窮地を救ってくれたのは、美しき剣聖レイナ=ベルンと静かなる賢者ネルヴァ=ロキの二人であった。
彼らはたちまちアリオンの身体から流れる強大な神の力を感じ取る。
そしてアリオンの能力を解放するのだった。
それによってアリオンは上位スキル『能力コピー』を手に入れる。
このスキルはどのような魔法や、魔物の能力でさえもコピーしてしまうというとんでもない能力であった。
アリオンは上級ダンジョンをレイナたちと共にクリアしていく過程で、様々な魔物たちの能力を手に入れていく。
そして無敵の大魔導師へと成長を遂げるのであった。
一方アリオンを追放したゲイス一味は、強大な存在となったアリオンによって痛い目に遭わされたにもかかわらず、まったく改心することなく恨みを持ったがために、どんどんと没落していくのであった……。
小説家になろう様でも《『アイテムコピー』という外れスキル持ちでパーティーを追放された俺だが《 神の力》を解放したことで上位スキル『能力コピー』となり、 どんな強大な魔法もコピーしまくり《無敵の大魔導師》になっちゃいました。》というタイトルで投稿し、
ブックマーク登録2000以上、評価ポイント平均4・5をいただいております。
是非とも一度、ご覧ください。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる