狩野岑信 元禄二刀流絵巻

仁獅寺永雪

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第55章 天正十年の謀略

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 話は少し戻る。釜無川の戦いの後、狩野吉之助は、用人・間部詮房を守ってその日の内に甲府城(藩庁)に戻った。相棒の島田竜之進を含む重傷者は竜王の庄屋屋敷に残置。容態が安定した後、城内の侍長屋に移って療養に努めることになるだろう。

 吉之助も刀傷こそ負わなかったが、一夜明けると、打ち身と筋肉痛で体中がひどく痛んだ。甲府近辺には、信玄の隠し湯、と呼ばれる名湯がいくつもある。許されるなら温泉にでも浸かってゆっくりしたいところである。

「間部様、お早うございます」
「お早うございます。体の調子は如何ですか」
「いや、あちこち痛みますが、まずは大丈夫です。間部様こそ、お疲れではありませんか」
「問題ありません」

 そこに吉之助の配下・駒木勇佑が二人分の茶を運んで来た。
「お早うございます」
「お早う。駒木、お前は大丈夫か」
「はい。お陰様で、この通りピンピンしてます」
「結構。今日は、昨日の戦場に目付が赴いて検分を行うことになっている。お前、それに立ち合ってくれ。帰りに竜王の様子も見て来てくれると助かる」
「承知しました」

 駒木は若者らしい軽い足取りで去って行く。そこで、前の無表情居士と目が合った。
「いや、あれはまだ若いですから、汚れ仕事はさせたくありません」
「なるほど。狩野殿は察しがよくて助かります」

「喜んでやると思われては迷惑ですが、禍根は断たねば。藩のため、殿のため、命を落とした者がおります。彼等の死を無駄には出来ないでしょう」

 江戸に帰る前に為さねばならぬこと、それは内通者の処分である。

 士分の内通者は二名。いずれも藩庁で勤務している。罪状は書類の横流しと情報漏洩。藩主名代の権限により厳罰に処すことも可能だが、間部は彼等を閑職に異動させただけで済ませた。
 二人の内通は幕臣である親族からの指示によるもので、彼等自身に積極的な叛意は見られない。故に、しばらく監視下に置き、出来れば反間(二重スパイ)として用いたい、というのが間部の考えである。

 むしろ厄介なのは町人身分の者であった。

 この男は有力材木商の跡取り息子だが、その店は間部がかつて主君の評判を上げるために講じた策のあおりで経営破綻していた。そのため、藩への恨みは深く、川越藩の潜入部隊にも進んで協力した。隠れ家を用意し、さらに食料や武器の補給まで。その才覚と行動力は見上げたものだが・・・。

 吉之助は間部の命を受け、町奉行配下の捕り手数名を率いてこの者の捕縛に向かった。絵師の目と山役人の経験を持つ吉之助は、日頃は何事につけ克明な報告をする。しかし今回は、戻った後、手向かい致せし故、やむなく討ち果たし候、とだけ報告した。間部も何も問わなかった。

 数日後、吉之助は間部と共に江戸に向け発った。途中、塩山の甘草屋敷に寄った。闘死した足軽・赤沢伝吉の遺骨を受け取り、さらに、新見美咲に竜之進の世話を頼んでおいた。問題は、吉之助が往路で拾った少女・おりんの扱いである。

「あたいはあんたに雇われたんだ。雇い主が江戸に行くならあたいも一緒に行くよ」
「あたい、じゃありません。わたくし、でしょ。江戸に行くなら一層気を付けなければなりません」と美咲に直されるが、どこ吹く風。
「うん、分かった。楽しみだなぁ。一度ね、江戸ってところを見てみたかったんだ。将軍様がいるんだろ? 会える?」

 妻の志乃は堅物ではないが、締めるところは締める歴とした武家の女性である。この野生児と上手く行くとは思えず、吉之助は道中頭を抱えていたが、案ずるより産むが易しであった。

 江戸に到着早々、水が合わなかったのか、おりんが熱を出して寝込んだ。介抱し、介抱されている内に二人はすっかり打ち解け、今ではしばしば連れ立って築地本願寺の門前町まで若い娘用の着物や帯などを見繕いに出かけている。

 そして、元禄十二年(一六九九年)五月三十日。

 朝、青柳嵐子・厳四郎の新婚夫婦が甲州街道韮崎宿を発ったのとほぼ同じ頃、吉之助は、駒木を伴い浜屋敷を出た。向かうは神田駿河台。千石以上の旗本屋敷がひしめく高級武家町である。

 訪問先の旗本真田家は、家禄五千二百石を誇る。このクラスの高級旗本は、江戸の武家社会で最も裕福で気楽な階級と言える。大名並みの収入がありながら、大名ほど厳しい縛りはなく、課役もない。家禄だけで十分遊んで暮らせるので、役料目当ての猟官運動も必要ない。ただ、やはり血筋なのだろう。真田家の当主は代々優秀で、奉行職などを率先して務めている。

 立派な正門には大名屋敷同様の門番所がある。名を告げると、すぐに当主の部屋まで案内された。
「隠岐守様。ご登城前のお忙しいときに恐れ入ります」
「ああ、そなたが狩野殿か。間部殿からの書状で用件は承知しているが、文書類の管理は弟に任せているのでな。案内させる故、話は弟としてくれ」
「かしこまりました」

 三千坪を超える広大な屋敷の東端に大きな柿の木。その横に立派な土蔵が四つ並ぶ。一番手前の土蔵が渡り廊下で母屋と繋がっており、真田家の家臣に案内されてその入口まで来た。

「寅次郎様。お客様をお連れしました」と家臣が声を掛けると、野太い声で、「入れ」と返ってきた。

 中は別世界であった。全面、床から天井まで書棚で覆われている。ぎっしり並べられた書物に押し潰されそうな圧迫感を覚える。奥に目をやると文机があり、小さな窓を背に黙然と書見する一人の男。彼は面倒くさそうに顔を上げた。

「俺は当家の次男坊・真田寅次郎だ。しかし、本当に来たのか。兄上から話は聞いていたが、武田家の隠し金山について調べているなど、冷やかしの類と思っていたぞ」

 吉之助とほぼ同年代だろう。本の虫とは思えぬ厳つい面貌とがっちりした体格。

「お邪魔します。甲府藩士・狩野吉之助と申します。是非、貴方様のお知恵をお借りしたいのです」

 そう言うと、吉之助は手に持っていた包みを解き、例の三点を床に並べた。
一、新見典膳に惨殺された禅僧・覚隆の居室から持ち出した奇妙な富士図の掛け軸
二、その中から取り出した暗号文書
三、竜之進の父親が遺した本文解読のための換え字帳を特定する指示番号を読み解くための換え字帳の写し

 真田寅次郎は一度前のめりになってのぞき込んだが、すぐに元の姿勢に戻った。
「ほう、こんな物が残っていたとはな。しかし、これでは読めないだろう」

「左様です。最終的な換え字帳がありません。真田家が作成した文書ということだけは分かったので、ご当家にその換え字帳があるのではないかと思い、伺った次第です。よろしければ手に取ってお改め下さい」

 しかし、真田寅次郎は手を伸ばすことはなく、ニヤニヤするばかり。

「ちょっと、真面目に見て下さい。この件では犠牲者も出ているんだ」
「駒木、失礼だぞ。口を挟むな」
「しかし、狩野様。赤沢さんはこのために・・・」
「それはこちらの事情で、真田様には関係ないことだ」

 吉之助と駒木のやり取りを見て、真田寅次郎は表情を改めた。根は善人のようだ。
「いや、これは失礼した。そうですか。そんなことになっているのですか」
「詳しくは話せませんが、我らは決して酔狂で宝探しをしているわけではありません。それは、ご承知おきいただきたい」

「分かりました。いいでしょう。真相を説明しましょう」
「つまり、真田家は承知しておられるのですか」
「無論」
「金山のありかも?」
「ありか、か。はっははは、いや、これは失礼。いいですか。ないんですよ、金山など」
「どういうことでしょう?」
「言葉の通りです」
「では、これらの物は何なのですか」
「偽物。全部偽物です」

 唖然とする吉之助と駒木を尻目に、真田寅次郎は立ち上がって左側の書棚の前に向かった。見れば、書棚には分類のための表記が細かくなされている。この男、間部と気が合うに違いない。しばらくすると、彼は一冊の帳面を持って座に戻った。

「もそっと前へ。さあ、これをご覧なさい。真田は謀略で有名ですが、信玄公の薫陶よろしく、非常に几帳面な家でもありましてな。いつ誰にどのような謀略を仕掛けたか。その手法や顛末まで、事細かく記録しているのです」
「ほう」
「ほれ、ここ、ここです。天正十年(一五八二年)のところに書いてある」
「つまり・・・」

「謀略ですよ。そして、これらは皆、真田安房守様と当家初代・信尹様が協力して打った大芝居の小道具です。当家には、この記録だけしか残っていませんがね。ほら、目録ともぴったり符合する。これよると、同じ物を、予備も含めて三組作ったとある」

「何と。しかし、なぜそんな?」
「分かりませんか。天正十年、何がありましたか」
「さて? 確か、武田家が滅びたのも・・・」
「そうです。しかし、問題はその後、あったでしょ。驚天動地の大事件が」

 横の駒木が不意に大きな声を出した。
「あっ、そうか。天正十年、本能寺だ!」

「その通り。武田家滅亡後、真田家を含む北信濃の国人たちは、織田家に帰順し、織田の代官・滝川左近将監に従っていました。しかし、本能寺が起きた。甲斐・信濃はたちまち徳川と北条の草刈り場です。特に、北信濃は北条に狙われた」

「それがどうして隠し金山の話になるのでしょうか」と吉之助。

「そこが真田の知恵ですよ。甲斐は元々米の収穫も少なく、豊かな土地ではなかった。目に見える魅力と言えば金山です。しかし、勝頼公の晩年、黒川の金山など軒並み金の採掘量が減っていた。だから、北条は甲斐よりも北信濃を欲したのです」

「そうか。そこに新たな金山があると分かれば、北条の目は北信濃から甲斐に向く」
「その通り。安房守様は、甲斐をめぐって徳川と北条が対立し、潰し合いになることを狙っていたのです」

「それは二虎競食の計ではありませんか。凄いな。本当にあったんだ」と駒木。
「にこ、きょうしょく? どこかで聞いたな」
「三国志です。曹操が劉備と呂布の共倒れを狙って仕掛けた計略ですよ」

 そこで真田寅次郎が、机上の帳面をポンとひとつ叩いた。
「若いの、物知りだな。しかし、残念ながら、この謀略は不発に終わったようだ」
「なぜでしょうか」

「知っての通り、信長公を討った惟任日向守(明智光秀)は三日天下。その後の羽柴・柴田の争いも、瞬く間に趨勢が決まってしまった。そうなると、徳川も北条も、新しい西からの脅威に備えなければならない。東照大権現はさすがですよ。細かいことに拘らず、さっさと北条と手を組んでしまわれた。真田としては当てが外れたわけだ。恐らく、これら小道具を用意し、然るべきところに流し始めた辺りで事態が急変したのでしょう。謀略より、戦準備に忙しくなり・・・」

 約二時(四時間)後、吉之助は浜屋敷に戻り、御成書院において主君・松平綱豊にこれを報告した。

「つまり我らは、いや、父上も出羽守も、揃いも揃って、百年越しで真田安房守の謀略に踊らされたということか」
「はい」

 綱豊が目の前に広げられた文書類に手を伸ばす。
「しかし、これが全て偽物か」
「はっ。その他にも北条家を信用させるための偽の書状などもあったそうです」
「何と手の込んだことを」
 呆れ顔の綱豊に対して、間部が下段から神妙な顔で言った。
「それだけ必死だったのでしょう。それだけ、厳しい時代だったのです」

「そうだな。その通りだ。それで、出羽守はどうする? 知らせるのか」
「いえ、その必要はないと存じます。万一、この件で難癖を付けられた場合に備え、領内に隠し金山などないと証立てる用意だけしておけば十分かと。聞くところによりますと、公方様が熱望しておられる桂昌院様叙位の件が難航しているようで、目下、出羽守様はそちらにかかり切りとのこと。恐らく、この件はこのまま立ち消えとなりましょう」
「分かった。後は詮房に任せる」
「かしこまりました」

 そこで綱豊が改めて吉之助に顔を向けた。吉之助も何となく姿勢を正す。
「吉之助。此度の件、そなたの働きは大きい。大儀であった」
「勿体ないお言葉です。恐れながら、私はともかく、命を落とした者や傷を負った者がおります。彼等にくれぐれも厚く報いてやって下さい」
「無論だ。今、詮房が報告書をまとめている。しばし待て」
「はっ」

 吉之助が御長屋に帰ると、志乃とおりんがのん気に茶を飲んでいた。煎餅をパリパリとかじりながら。

 おりんは、最初にこの煎餅という最近江戸で流行り出した米菓を見たとき、江戸者はお米を茶菓子にしちまうのか。奢ってやがる、などと悪態をついていたが、ひと口食べるや虜になった。ほんの数日で浜屋敷周辺の煎餅屋を味見して回り、今や、あそこは醤油が塩辛い、あそこは焼き過ぎだなどと、ちょっとした煎餅評論家になっている。

「先生、お帰り」
「は? 先生?」
「聞いたよ。先生はあたしを絵画の弟子にするんだろ。何て呼んだらいいか迷ってたけど、先生は呼びやすいや。今更、狩野様ってのも他人行儀だしね」
「弟子の件、まだ決めたわけではない。それに、他人行儀でいいだろ。他人なんだから」

「またまた。ねえ、小母様」
「そうね。先生でいいんじゃないかしら」
「小母様って。志乃、いつの間にそんな・・・」
「世の中、絶えず動いてるんだよ。細かいことはいいから、先生も食べな。これ、築地の門前町で買ってきたんだ。ここのは絶品だよ」

 吉之助はひとつ息を吐いて腰を下ろすと、今までに見たことのないほど薄焼きの醤油煎餅に手を伸ばした。
「なるほど。これは美味い」
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