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第37章 はぐれ新陰流
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元禄十二年(一六九九年)四月上旬、浜屋敷の庭園を散り桜が覆う。潮入の池も水面が桃色に染まり、風流この上ない。そんなある日、狩野吉之助と島田竜之進は、用人・間部詮房から呼び出された。
「甲府の藩庁から報告が届きました。受け入れ準備が整ったと」
「では、我らも甲府へ?」
「はい。御成書院へ参りましょう。殿の御前にて皆様と協議いたします」
甲府二十五万石の主、正三位権中納言・松平綱豊が近習二人を従え、上段之間に現れた。正室・近衛熙子が一緒でない。熙子は政に対して強い関心を持っている。綱豊も彼女の見識に頼ること厚い。それを思うと意外である。
すると、綱豊が少し視線を泳がせながら、躊躇いがちに言った。
「実はな、お照が、その、身籠った」
間部すら初耳だったようだ。一同驚愕して一瞬間が開いたが、すぐに揃って平伏。この場の家臣代表は江戸家老・安藤美作である。
「大慶至極。これにてお家の繁栄疑いなし。御前様のご安全、並びに和子様のご無事の誕生を衷心より祈念いたします」
「うむ。まだ男子と決まったわけではないが、まあ、めでたい。ただ、三十路過ぎての懐妊だからな。万全を期すため、お照はしばらく奥から出られぬ。さよう心得よ」
思えば、新年の祝賀行事以降、熙子の姿を見ていない。花見の宴も網豊が風邪気味ということで取り止めになっていたが、そういうことだったのか。
「それで、詮房。甲府の城代は何と?」
「は? はい。あ、いえ、その・・・」
間部はまだ立て直せていないようだ。この男のここまでの慌てぶりは珍しい。
「詮房、落ち着け。子が出来たのは予であって、そなたではないぞ」と、網豊が微笑みながら言った。
場面転じて、駒込の川越藩下屋敷である。
「よいか。今回、こちらの狙いは二つ。まずは、隠し金山の探索。金山の有無を確かめることも大事だが、甲府藩が公儀に隠れて金山開発を進めていたという証拠を探し、証人を確保せよ。これは、典膳を頭とする一番隊にやってもらう」
そう言ったのはこちらも江戸家老・穴山重蔵。応じて新見典膳が大きく頷く。
「次に、甲府中納言の片腕・間部詮房を討ち取ること。報告によれば、甲府藩も我らの動きを察知し、間部を長とする一隊を甲斐に派遣するそうだ。その道中を狙う。柳生殿、いや、青柳殿か。貴公は二番隊に加わり、間部の首を取ってくれ」
「承知しました」と答えたのは、典膳の横に座る二十代半ばの素直そうな青年だ。
「あの用心深い男が、江戸を出てのこのこ甲府まで。絶好の機会よ。間部さえ討ってしまえば、甲府中納言など、手足をもがれた亀同然。後はどうとでもなる。くれぐれも頼むぞ」
穴山は、ほとんど同じ立場にあるからこそ、間部という男の能力を正確に評価していた。甲府の藩庁には十五万石の領地を管理する膨大な量の書類がある。しかし、間部なら、その中からほんの数冊消えただけで内通者の存在に気付くはず。さらに、典膳を隠し金山の関係者(竜之進のこと)と接触させれば・・・。
今のところ、事態は穴山の思惑通りに進んでいると言っていい。
「ところで、青柳殿。典膳から報告を受けているが、恩賞として、旗本への取り立てを望んでいるということだが、間違いないか」
「はい。間違いありません」
「そうか。殿のお力をもってすれば出来ぬことではないが、公儀の勘定方は昨今極めて渋い。旗本の新規取り立てとなると、百石、二百石がせいぜいとなる。貴公は、妾腹とは言え、柳生宗家のお血筋。当家に剣術師範として仕えてくれるなら、五百石、いや、千石でも出すが、どうかな?」
「お心遣いかたじけない。されど、たとえ微禄と雖も、自ら一家を立てたいと考えております。可能であれば、旗本でお願いします」
大名の家臣は、如何に高禄でも陪臣である。それに対して幕臣(旗本・御家人)は将軍の直臣であり、中でもお目見え(将軍に拝謁する)資格のある旗本は、格としては大名に等しい。家禄の大小に関わらず、殿様と呼ばれる身分なのだ。
「承知した。二番隊の指揮は、当家の徒目付・貢川保道を当てるつもりだ。協力してやってくれ」
「かしこまりました」
「出立は四、五日先となろう。それまでは屋敷内でゆっくりしてくれ、と言っても、これではな。まあ、我慢してくれ」
穴山の執務室は主殿の西端に位置し、本来は静かな場所なのだが、今は一日中騒音に包まれている。屋敷中がそうであった。なぜなら、権勢の絶頂にある柳沢出羽守が莫大な金銀を投じ、この地で大土木工事を進めていたからである。
山手線駒込駅の南口から徒歩約五分のところに東京都が管理する日本庭園がある。六義園、江戸期を代表するその名庭が、日々その形を成しつつあった。
「よいのか。千石くれるって言ってたぞ」
「ああ、いいんだ。侍奉公するなら、上は少ない方がいい。本当なら侍自体、やめてしまいたいぐらいだ。しかし、他に出来ることもないからな」
典膳と厳四郎が開けた場所に出ると、前方から明るい声がした。
「厳四郎様ぁ、こっちこっち。見て下さいよ。あれ、ほら。わざわざ土を盛って山を造ってるんですよ。馬鹿じゃないですかね、こ奴ら」
「こら、お嵐。言葉に気を付けろ」
「ははは、嵐子殿は相変わらずだな。ところで、長屋の部屋は分かったかな?」
「はい」
「典膳殿。その部屋だが、屏風か衝立か、あったら貸してくれ」
「あたしは構いませんけど」
「俺が構うんだよ」
「何だ、お主ら、進展なしなのか。よかろう、運ばせる。後ほど、厳四郎殿が加わる二番隊の者たちにも引き合わせよう。一番隊も二番隊も六名ずつだが、二番隊は嵐子殿を含めると七名になるな」
「あたしはあくまで厳四郎様の家来だから、員数外で結構ですよ」
「分かった。そのこと、貢川殿にも言っておこう」
新見典膳、青柳厳四郎、水分嵐子の三人は、典膳が甲斐を出奔し、京都に向かう途中に立ち寄った柳生の里で交流を持った。
青柳厳四郎は、本名を柳生厳四郎という。当年二十五。幕府の大目付を務めた柳生藩先代藩主の四男である。しかし、もはや老齢の域にあった父親が領地に戻った際に下働きの女に産ませた子で、柳生の里でひっそり育てられた。
柳生家は将軍家剣術指南役も兼ね、江戸定府である。従って、藩主は数年に一度しか領地に戻らない。厳四郎は結局、父親の顔を一度も見ることはなかった。江戸にいる兄たちとも会ったことはない。
厳四郎には剣の才能があった。飛び抜けていた。太平の世と雖も、柳生は剣の家である。家中での声望は腕による。しかし、厳四郎の場合に限っては、腕を上げれば上げる程、兄たちから疎まれ、無視されるという悪循環に陥っていた。
そんな中で典膳と出会った。典膳の自習自得の野性味あふれる剣に対して、厳四郎の剣は正当な新陰流である。水と油だ。互いに新鮮で、得るところも多かった。また、心中に大きな鬱屈を抱えていることも自然と通じ合い、歳はひと回りも違う二人だが、短い期間で友と呼べる関係になった。
一方、厳四郎の自称家来・水分嵐子は、厳四郎より三つ下の二十二歳。武士とも言えない足軽の子で、両親を早く亡くし、柳生の里の共同体の中で孤児同然に育った。
柳生藩では、幕府の大目付を務める藩主の耳目として、藩士を諸国に派遣している。嵐子はその快足を活かし、柳生の里の陣屋(藩庁)と諸国に派遣された藩士とを繋ぐ伝令を務めていた。
そして嵐子は、出会って以来、厳四郎の真っ直ぐな性格を好いている。また、厳四郎に対する不当な扱いに強い義憤を抱き、どうにも世話を焼かずにはいられない。ひと月ほど前、厳四郎から、典膳の誘いを受けて里を出る決意をしたと聞かされるや、さっと挙手し、同行を宣言した。
小柄で、萌黄色の伊賀袴に根結いの垂髪(江戸時代版のポニーテール)という格好は、ぱっと見、少年のようだ。笑うと両頬にえくぼ。くりっとした大きな目も可愛らしい。
しかし、嵐子の特殊な剣技は、相対する者にとって天災としか言えない恐るべきものであった。間もなく、甲州街道に血の雨が降ることになる。
「甲府の藩庁から報告が届きました。受け入れ準備が整ったと」
「では、我らも甲府へ?」
「はい。御成書院へ参りましょう。殿の御前にて皆様と協議いたします」
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すると、綱豊が少し視線を泳がせながら、躊躇いがちに言った。
「実はな、お照が、その、身籠った」
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思えば、新年の祝賀行事以降、熙子の姿を見ていない。花見の宴も網豊が風邪気味ということで取り止めになっていたが、そういうことだったのか。
「それで、詮房。甲府の城代は何と?」
「は? はい。あ、いえ、その・・・」
間部はまだ立て直せていないようだ。この男のここまでの慌てぶりは珍しい。
「詮房、落ち着け。子が出来たのは予であって、そなたではないぞ」と、網豊が微笑みながら言った。
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「よいか。今回、こちらの狙いは二つ。まずは、隠し金山の探索。金山の有無を確かめることも大事だが、甲府藩が公儀に隠れて金山開発を進めていたという証拠を探し、証人を確保せよ。これは、典膳を頭とする一番隊にやってもらう」
そう言ったのはこちらも江戸家老・穴山重蔵。応じて新見典膳が大きく頷く。
「次に、甲府中納言の片腕・間部詮房を討ち取ること。報告によれば、甲府藩も我らの動きを察知し、間部を長とする一隊を甲斐に派遣するそうだ。その道中を狙う。柳生殿、いや、青柳殿か。貴公は二番隊に加わり、間部の首を取ってくれ」
「承知しました」と答えたのは、典膳の横に座る二十代半ばの素直そうな青年だ。
「あの用心深い男が、江戸を出てのこのこ甲府まで。絶好の機会よ。間部さえ討ってしまえば、甲府中納言など、手足をもがれた亀同然。後はどうとでもなる。くれぐれも頼むぞ」
穴山は、ほとんど同じ立場にあるからこそ、間部という男の能力を正確に評価していた。甲府の藩庁には十五万石の領地を管理する膨大な量の書類がある。しかし、間部なら、その中からほんの数冊消えただけで内通者の存在に気付くはず。さらに、典膳を隠し金山の関係者(竜之進のこと)と接触させれば・・・。
今のところ、事態は穴山の思惑通りに進んでいると言っていい。
「ところで、青柳殿。典膳から報告を受けているが、恩賞として、旗本への取り立てを望んでいるということだが、間違いないか」
「はい。間違いありません」
「そうか。殿のお力をもってすれば出来ぬことではないが、公儀の勘定方は昨今極めて渋い。旗本の新規取り立てとなると、百石、二百石がせいぜいとなる。貴公は、妾腹とは言え、柳生宗家のお血筋。当家に剣術師範として仕えてくれるなら、五百石、いや、千石でも出すが、どうかな?」
「お心遣いかたじけない。されど、たとえ微禄と雖も、自ら一家を立てたいと考えております。可能であれば、旗本でお願いします」
大名の家臣は、如何に高禄でも陪臣である。それに対して幕臣(旗本・御家人)は将軍の直臣であり、中でもお目見え(将軍に拝謁する)資格のある旗本は、格としては大名に等しい。家禄の大小に関わらず、殿様と呼ばれる身分なのだ。
「承知した。二番隊の指揮は、当家の徒目付・貢川保道を当てるつもりだ。協力してやってくれ」
「かしこまりました」
「出立は四、五日先となろう。それまでは屋敷内でゆっくりしてくれ、と言っても、これではな。まあ、我慢してくれ」
穴山の執務室は主殿の西端に位置し、本来は静かな場所なのだが、今は一日中騒音に包まれている。屋敷中がそうであった。なぜなら、権勢の絶頂にある柳沢出羽守が莫大な金銀を投じ、この地で大土木工事を進めていたからである。
山手線駒込駅の南口から徒歩約五分のところに東京都が管理する日本庭園がある。六義園、江戸期を代表するその名庭が、日々その形を成しつつあった。
「よいのか。千石くれるって言ってたぞ」
「ああ、いいんだ。侍奉公するなら、上は少ない方がいい。本当なら侍自体、やめてしまいたいぐらいだ。しかし、他に出来ることもないからな」
典膳と厳四郎が開けた場所に出ると、前方から明るい声がした。
「厳四郎様ぁ、こっちこっち。見て下さいよ。あれ、ほら。わざわざ土を盛って山を造ってるんですよ。馬鹿じゃないですかね、こ奴ら」
「こら、お嵐。言葉に気を付けろ」
「ははは、嵐子殿は相変わらずだな。ところで、長屋の部屋は分かったかな?」
「はい」
「典膳殿。その部屋だが、屏風か衝立か、あったら貸してくれ」
「あたしは構いませんけど」
「俺が構うんだよ」
「何だ、お主ら、進展なしなのか。よかろう、運ばせる。後ほど、厳四郎殿が加わる二番隊の者たちにも引き合わせよう。一番隊も二番隊も六名ずつだが、二番隊は嵐子殿を含めると七名になるな」
「あたしはあくまで厳四郎様の家来だから、員数外で結構ですよ」
「分かった。そのこと、貢川殿にも言っておこう」
新見典膳、青柳厳四郎、水分嵐子の三人は、典膳が甲斐を出奔し、京都に向かう途中に立ち寄った柳生の里で交流を持った。
青柳厳四郎は、本名を柳生厳四郎という。当年二十五。幕府の大目付を務めた柳生藩先代藩主の四男である。しかし、もはや老齢の域にあった父親が領地に戻った際に下働きの女に産ませた子で、柳生の里でひっそり育てられた。
柳生家は将軍家剣術指南役も兼ね、江戸定府である。従って、藩主は数年に一度しか領地に戻らない。厳四郎は結局、父親の顔を一度も見ることはなかった。江戸にいる兄たちとも会ったことはない。
厳四郎には剣の才能があった。飛び抜けていた。太平の世と雖も、柳生は剣の家である。家中での声望は腕による。しかし、厳四郎の場合に限っては、腕を上げれば上げる程、兄たちから疎まれ、無視されるという悪循環に陥っていた。
そんな中で典膳と出会った。典膳の自習自得の野性味あふれる剣に対して、厳四郎の剣は正当な新陰流である。水と油だ。互いに新鮮で、得るところも多かった。また、心中に大きな鬱屈を抱えていることも自然と通じ合い、歳はひと回りも違う二人だが、短い期間で友と呼べる関係になった。
一方、厳四郎の自称家来・水分嵐子は、厳四郎より三つ下の二十二歳。武士とも言えない足軽の子で、両親を早く亡くし、柳生の里の共同体の中で孤児同然に育った。
柳生藩では、幕府の大目付を務める藩主の耳目として、藩士を諸国に派遣している。嵐子はその快足を活かし、柳生の里の陣屋(藩庁)と諸国に派遣された藩士とを繋ぐ伝令を務めていた。
そして嵐子は、出会って以来、厳四郎の真っ直ぐな性格を好いている。また、厳四郎に対する不当な扱いに強い義憤を抱き、どうにも世話を焼かずにはいられない。ひと月ほど前、厳四郎から、典膳の誘いを受けて里を出る決意をしたと聞かされるや、さっと挙手し、同行を宣言した。
小柄で、萌黄色の伊賀袴に根結いの垂髪(江戸時代版のポニーテール)という格好は、ぱっと見、少年のようだ。笑うと両頬にえくぼ。くりっとした大きな目も可愛らしい。
しかし、嵐子の特殊な剣技は、相対する者にとって天災としか言えない恐るべきものであった。間もなく、甲州街道に血の雨が降ることになる。
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