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デート?1

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「おい、湊!早く乗れ」

いつの間にか傍に止まってた、Lの字が付いた高級車の窓が開いて、雄大が俺を呼んだ。
うわ、なんかすっげー不機嫌そうな顔してる。

「え、誰あれ、すっごいイケメン・・・もしかしてあれが湊くんにメスイキ教えた男?」

一応離れてくれたりぃなちゃんが、びっくりした顔で俺と雄大をかわるがわる見て言う。

「あ、うん、そうなんだ。ってことでさ、りぃなちゃんまた今度ね!雄大、ありがと!」

さっと助手席のドアを開けて乗り込むと、雄大は小さく舌打ちして車を走らせた。

「なあなあ見たぁ?みんなすっげーって顔して車見てたよね?俺、車興味ないから、分かんないけど高いんでしょ、これ?うわー、何このコクピットみたいな画面!?」

初めて乗った高級車にテンションが上がっちゃって、雄大が不機嫌そうな顔してたことも忘れてぺらぺら話しかけると、雄大は低い声で言った。

「お前、何?さっきの女。あいつともヤッてんの?ったく、マジで節操ねーな」
「え?何言ってんだよ、節操ねーのはお前もじゃん。つか、りぃなちゃんはすっごく仲良かった友達だよ」

そう言うと、雄大はどうでも良いみたいに「あっそ」とだけ答えた。

「まあ、俺がケツにハマってからは会わなくなってたんだけどね」
「は?なんだそりゃ。お前がケツにハマんのと、何の関係があんだよ?」

わけわかんねーって顔した雄大に、

「え、だって女の子に挿れるより、男に挿れられる方が気持ち良くなっちゃったからさ、りぃなちゃんとヤりたい気持ち消えちゃって~。さっきも誘われてちょっと考えたんだけどさぁ、やっぱ絶対途中で俺、挿れて貰わないと満足できないなぁって思ってさ!だからあのタイミングでお前来てくれたの、ちょうど良かったよ」
「やっぱヤッてたんじゃねーかよ!友達じゃねーだろそれ」

呆れた声で言われて俺もあっけにとられて雄大を見た。

「え?ヤリ友は友達だろ。お前だってヤリ友いっぱいいるじゃんか。何言ってんの?」
「は?お前の頭、どーなってんだ?俺はヤる相手の事、友達とか思った事ねーけど」
「ええ~、じゃあやっぱお前、今までヤッた相手、オナホだって思ってたんだぁ。ひど~い、さすが顔とテクと財力以外すべてがクズな男~」

ふざけてそう言ったら、雄大は真面目な顔で「顔とテクと財力あれば最高だろ。他に何がいるんだ」と言い放った。

うん、クズだ。清々しいくらいにクズだね。
いつも通りの雄大だ。

でも昨日からいつも通りじゃない雄大を見ちゃったからか、ほんの少し、俺にもいつもとは違う気持ちが芽生えてしまった。

「なあ、でもさ。俺は別格でしょ?だって俺の中、めちゃくちゃ気持ちいい、他のやつと全然違うって言ってたもんね?少なくともド〇キの1000円オナホじゃなくてさ、4万くらいのウルトラグレートスペシャル電動オナホくらいの良さはあるよね?」

なんて答えるのか気になって、ちらっと雄大の顔を盗み見ると、雄大は「あ?お前は・・・」って言いかけたまま、固まった。

・・・ん?
これ、どういう感情?
ねえ、なに?なんなの?それどういう気持ち?

「・・・・・・っぶはぁっ!!苦しいっ!ちょっと、雄大!思わずこっちも息止めちゃったじゃん、なあ、続きは?なあなあ?」

ハァハァしながら言ったら、雄大は俺の問いを完全にスルーした。

「それより、銀座行くから。食いたいもんあったら言えよ。寿司でも焼肉でも何でもいいぜ」
「えっ!奢ってくれるの!?」
「まあな。飢えた子犬ちゃんに恵んでやるよ。好きなもん頼めば」
「えーっ!!やった!ラッキー!じゃあさ、じゃあさ、俺、寿司が食いたい!回ってないやつ!」
「おっけ」

うわ、嬉しい。
まあ雄大はいつも気前だけはいいけど、それでもやっぱり高級寿司が食えるのはめちゃくちゃテンション上がって、さっきのやり取りなんかどっかにすっ飛んで行ったよね。

・・・あれ?俺、雄大にいいように誘導されちゃった?
まあ、いいや。

「なあ、この車でカーセックスしたことある?後ろ広いから余裕そうだよね。俺も今度やってみたーい」
「は?お前そんなことばっか考えてんのかよ。マジで淫乱だな。まああるし、別にやってもいいけど」
「雄大だって同じじゃーん!この絶倫セックスマシーンが!」
「は。よく言うよ。それが大好きなくせによ」
「あ、うん、絶倫最高。セックスマシーン最高です」

そんな馬鹿なやり取りをしてる内に車は銀座に着いて、雄大がコインパーキングに車を停めた。

「ほら、歩くぞ」
「うん」

二人で連れ立って銀座の街を歩き出す。こんな街、俺一人だったら絶対来ないよね。
歩いてる人もなんか、マダームみたいな人多いしさ。
若者の街って感じじゃないんだよな。

「なあ、雄大は銀座よく来るの?」

そう言えば、俺、雄大のことあんまり知らない。何気なく聞いてみたら、

「ああ、まあな。俺んちの店もあるし」
「え!?お前んち、こんなとこに店出してんの!?何の店?」

びっくりして顔を見ると、雄大は平然と目の前にあるでっかいビルを指差した。

「あのビル、うちの持ち物。その中に入ってるアパレルショップもいくつか運営してる。まあ他にもビルあるし、不動産メインだけどな」
「マジ!?すっげぇな、お前。やっぱとんでもねー金持ちじゃん。わーい、じゃあ遠慮なく奢って貰おうっと。時価って書いてあるやつ、頼んじゃうもんね」

びっくりしたけど、それなら何の気兼ねもいらないよな。そう思って喜んだら、雄大はおかしそうに吹き出した。

「ふっ・・・お前ってホント、面白いよな。大体の奴らは、これ話すとビビっちまって他人行儀になるか、妙にへり下って来るのによ」
「そうなんだ?まあ、俺くらい器がデカいやつじゃないと、雄大みたいなのは受け入れらんないんじゃない?」

ふざけて言ったのに、雄大は「そうかもな」って笑った。

え、珍し・・・




*****
ここまで読んで下さった方、ありがとうございます!
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