4 / 13
キス☆ソフトな性描写あり
しおりを挟む
「もう寝たかしら…?」
暗くした寝室は、しんとしていて、掛布の盛り上がりに動きはない。
先にユーゴに身支度をさせ、眠気を誘う香を焚いた寝室に押し込めた上に、自分はいつも以上に時間を掛けて身支度を済ませたのだ。
もう眠っている筈。いや眠っていて欲しい。
それにしても、ユーゴと来たらいつの間にああいう強引なやり方を覚えたのだろう。
私も普通の男女の色恋について、多少は知っている。
誰にも心惹かれなかったとは言っていたが、ユーゴも年頃だし、王都で色んな経験をして手練手管を学んだのかもしれない。
そう思うと、何だか少しモヤモヤした。
とにかく、寝てしまおう。
ゆっくり掛布をめくって、そっと身体を滑らせる。
うう、狭い。
狭いから、触れ合ったところからユーゴの身体の熱が直接伝わって来て、何か緊張する。こっちに背を向けているのが幸いだった。
少し様子を伺っていたけれど、完全に眠っているようで規則正しい寝息が聞こえて、ホッとした。
久しぶりに人の体温を感じながら眠るのは、不思議な気持ちだ。
あんなに小さかったのに、大きくなって…それに、王都の学校に追いやってからは一方的に拒絶してしまったのに、また私に好意的に接してくれたのは、本当は少し嬉しかった。
だが、私はこの国にとって異分子だ。
国からの依頼に協力する代わりに自由を認めさせているものの、畏怖され忌避される存在であり、そんな私と共に生きるというのは重荷を背負いこむようなものだ。
血縁で縛られている訳でもなく、たまたま拾って気まぐれに育てただけの子供に、そんな重荷を押し付けるつもりはない。
恩など、これまで一緒にいてくれた事でとっくに返してもらっている。
ユーゴはユーゴ自身の幸せだけを考えてくれればいい…
小さくて可愛かった頃の事を思い出している内にだんだん眠くなって、ウトウトし始めた時だった。
ぎしっ
ベッドが軋んでユーゴが寝返りを打ったかと思うと、後ろから私をぎゅうっと抱き締めて来たではないか。
ぎょっとして後ろを振り返ると、ユーゴは目を瞑ったままだ。
寝ぼけているのか、フリをしているのかよく分からない。
振り払うのは過剰反応しているようで躊躇われて、息を詰めてじっとしていたら、お腹に回されていた腕が徐々に上に上がって来た。
「ちょ、ちょっと…何してるの?は、離しなさい」
腕を振りほどこうとしたが、びくともしない。
とうとう、大きくはないけれど一応ある胸にまで手が回されて、焦って身動ぎしたら、ユーゴは「うーん…シャル~離れたくないよ~…」なんて言いながらますます全身を密着させて来る。
熱くて大きな男の体に、こんな風に包まれるのは初めてだ。
相手がユーゴだと分かっているのに、心臓が早鐘のように鳴った。
「こ、こら!本当は寝ぼけたフリしてるんでしょ!いい加減離れなさっ…」
慌てて振りほどこうとしたが、夜着の隙間から入って来たユーゴの手が素肌に触れて、ビクッと体が跳ねる。
「…んッ!」
思わず妙な声が出てしまって口を押えると、明確な意思を持って、ユーゴの手がお腹や、胸の辺りを這い回った。
これは確信犯だ。絶対に起きている。
「なっ、何する気なの!?そんな所触らないで…あっ、んんっ」
勝手に変な声が出て身体がビクビクしてしまう。
不味い。
大きくて熱い手で直に肌を触られるのが、こんなにぞくぞくするものだと思わなかった。
「ごめんシャルナ…やっぱり俺、我慢出来ない。大好きなシャルナとこんな近くにいたら、触りたいし一つになりたくてたまらないよ…すごく可愛い、愛してる」
急に耳元で囁かれ、心臓が飛び上がる。
「っ馬鹿!やっぱり、寝ぼけたフリしてたんじゃない、もう駄目っ、触らないで」
「ごめん無理」
「んっ」
いつの間にか私に覆い被さるような態勢になっていたユーゴの唇が、私の唇に触れる。
小さな頃にしていた親愛のキスとは全然違った。貪るように情熱的に何度も唇を食まれ、息が苦しくて少し口を開けた隙に、熱い舌が入って来る。
「ん、んんっ!?」
「好き…シャルナ」
何なのだ、これは。
ユーゴの舌がまるで別の生き物みたいに、慄いて引っ込もうとする私の舌を捕らえ、ぬるぬると絡みつく。
酸欠と初めての感覚に頭がぼうっとして来た。
だけど、下腹部に何か熱くて固いものを押し当てられ、ユーゴの手が私の裸の胸をゆっくり揉みしだこうとした時、我に返った私は慌てて『眠り』の魔法を行使した。
「!?」
子供の頃から一緒に暮らし、私の作ったものを食べ、私の魔力を常に浴びていたユーゴの魔力耐性は高い。
咄嗟にユーゴは抵抗して離れようとしたが、そうはさせない。私はユーゴの首に手を回して逃げられないようにしてやった。
「…!シャル…」
効果はてきめんで、驚いたユーゴの抵抗力が一瞬途切れた隙に魔法は浸透して、ユーゴの力は抜けて行った。
「お、重い…」
ずしりと圧し掛かる大きな体から、やっとの思いで抜け出す。
糸の切れた人形みたいにぐったりと眠るユーゴに目をやって、私は息をついた。
「もう…本当に、いつの間にそんなにいやらしくなっちゃったのよ…!」
私をまさぐる熱い手と、激しいキスの感触が生々しく甦って、胸のドキドキが収まらない。
今ので子が出来てしまったらどうしよう。
ユーゴを傷付けず巧く躱す方法など、見当も付かない。
こんな事なら、もっと恋だの愛だのの経験を積んでおくべきだったのか。
頭を抱えた私は、とりあえず問題を先送りにして眠る事にした。
☆☆☆
ふ、と意識が浮上すると、誰かが私の髪に触れていた。愛おしそうな優しい触れ方に、気持ちいいようなむず痒いようなふわふわした心地でいると、温かくて柔らかいものが頬に触れる。
ハッとして目を開けると、ユーゴが私の頬にキスしていた。
「おはよう、シャルナ。今日も可愛いね。この黒い髪も赤い瞳も本当に綺麗だよ」
うっとりと微笑んでぎゅっと私を抱き締めるユーゴを、慌てて押し返す。
「だ、だめ!そんな事したら『出来ちゃう』でしょ、私は魔導の探求が生きがいなの、結婚とか子供を生むとか、そういう事するつもりなんて、ないんだから!」
必死に言い募る私を、ユーゴはきょとんとした顔で見つめている。
「え?何が出来るの?」
まさか、知らないのだろうか。
「な、何って、子供に決まってるでしょ。その、年頃の男女が同衾して、キスして、色々触れ合ったら…子供が出来るらしいじゃない。何がどうなってそうなるのか、私も詳しくは知らないけど」
気恥ずかしいけど頑張ってそう言ったのに、ユーゴは一拍置いて爆笑した。
「あっはははは!!シャルナってば、可愛すぎるよ!!そんな事で子供が出来ると思ってたの!?やっぱり、相変わらず魔法以外の事には興味ないんだなあ」
「違うの?」
驚いて聞き返すと、ユーゴは悪戯っぽく笑った。
「俺が実践で教えてあげる」
キスして来ようとするユーゴを、ムッとして止める。
何なのだ。その上から目線の余裕は。
「要らないわ。結婚も子供を生む事もしないって言ってるでしょ。それより、昨夜のは何なの!?あんな事するならもう一緒には寝ないわよ」
ぴしゃりと言ってやったら、ユーゴは傷付いた目で私を見つめた。
「ええ~…そんなあ酷いよ。『眠り』の魔法で強制的に眠らせるし…あれは親子のスキンシップだよ。久しぶりにシャルに甘えたかっただけなのに」
「いくら私でもあれが、そういうのとは違うって事くらい分かるわよ!いい?もう今度から一緒のベッドで寝るのは無し。じゃなきゃ、家には入れないわよ」
そう言うと、ユーゴは「分かったよ…」と渋々頷き、ベッドから起き上がった。
「あーあ…ずっと一緒に居たいけど、俺も急いで騎士団に帰らなきゃ」
手早く騎士服に着替えながら「ああ、でも」と、私を振り返る。
「これでシャルナが正真正銘、他の誰ともそういう事してない、って分かったね。ああ、良かった。シャルナが誰かのものになってないって、すごく嬉しいよ」
にこにこと訳の分からない事を言う。
「じゃあね、シャルナ。また会いに来るよ」
ちゅ、と髪にキスして手を振り、馬に乗って走り去るユーゴを見送って、私は溜め息を付いた。
これからもああいう攻防が続くのかと思うと、気が重い。
「どうにか諦めてくれないかしら…」
だがこれと言ったいい考えも浮かばず、とりあえず私は朝食を摂ろうと家に戻った。
暗くした寝室は、しんとしていて、掛布の盛り上がりに動きはない。
先にユーゴに身支度をさせ、眠気を誘う香を焚いた寝室に押し込めた上に、自分はいつも以上に時間を掛けて身支度を済ませたのだ。
もう眠っている筈。いや眠っていて欲しい。
それにしても、ユーゴと来たらいつの間にああいう強引なやり方を覚えたのだろう。
私も普通の男女の色恋について、多少は知っている。
誰にも心惹かれなかったとは言っていたが、ユーゴも年頃だし、王都で色んな経験をして手練手管を学んだのかもしれない。
そう思うと、何だか少しモヤモヤした。
とにかく、寝てしまおう。
ゆっくり掛布をめくって、そっと身体を滑らせる。
うう、狭い。
狭いから、触れ合ったところからユーゴの身体の熱が直接伝わって来て、何か緊張する。こっちに背を向けているのが幸いだった。
少し様子を伺っていたけれど、完全に眠っているようで規則正しい寝息が聞こえて、ホッとした。
久しぶりに人の体温を感じながら眠るのは、不思議な気持ちだ。
あんなに小さかったのに、大きくなって…それに、王都の学校に追いやってからは一方的に拒絶してしまったのに、また私に好意的に接してくれたのは、本当は少し嬉しかった。
だが、私はこの国にとって異分子だ。
国からの依頼に協力する代わりに自由を認めさせているものの、畏怖され忌避される存在であり、そんな私と共に生きるというのは重荷を背負いこむようなものだ。
血縁で縛られている訳でもなく、たまたま拾って気まぐれに育てただけの子供に、そんな重荷を押し付けるつもりはない。
恩など、これまで一緒にいてくれた事でとっくに返してもらっている。
ユーゴはユーゴ自身の幸せだけを考えてくれればいい…
小さくて可愛かった頃の事を思い出している内にだんだん眠くなって、ウトウトし始めた時だった。
ぎしっ
ベッドが軋んでユーゴが寝返りを打ったかと思うと、後ろから私をぎゅうっと抱き締めて来たではないか。
ぎょっとして後ろを振り返ると、ユーゴは目を瞑ったままだ。
寝ぼけているのか、フリをしているのかよく分からない。
振り払うのは過剰反応しているようで躊躇われて、息を詰めてじっとしていたら、お腹に回されていた腕が徐々に上に上がって来た。
「ちょ、ちょっと…何してるの?は、離しなさい」
腕を振りほどこうとしたが、びくともしない。
とうとう、大きくはないけれど一応ある胸にまで手が回されて、焦って身動ぎしたら、ユーゴは「うーん…シャル~離れたくないよ~…」なんて言いながらますます全身を密着させて来る。
熱くて大きな男の体に、こんな風に包まれるのは初めてだ。
相手がユーゴだと分かっているのに、心臓が早鐘のように鳴った。
「こ、こら!本当は寝ぼけたフリしてるんでしょ!いい加減離れなさっ…」
慌てて振りほどこうとしたが、夜着の隙間から入って来たユーゴの手が素肌に触れて、ビクッと体が跳ねる。
「…んッ!」
思わず妙な声が出てしまって口を押えると、明確な意思を持って、ユーゴの手がお腹や、胸の辺りを這い回った。
これは確信犯だ。絶対に起きている。
「なっ、何する気なの!?そんな所触らないで…あっ、んんっ」
勝手に変な声が出て身体がビクビクしてしまう。
不味い。
大きくて熱い手で直に肌を触られるのが、こんなにぞくぞくするものだと思わなかった。
「ごめんシャルナ…やっぱり俺、我慢出来ない。大好きなシャルナとこんな近くにいたら、触りたいし一つになりたくてたまらないよ…すごく可愛い、愛してる」
急に耳元で囁かれ、心臓が飛び上がる。
「っ馬鹿!やっぱり、寝ぼけたフリしてたんじゃない、もう駄目っ、触らないで」
「ごめん無理」
「んっ」
いつの間にか私に覆い被さるような態勢になっていたユーゴの唇が、私の唇に触れる。
小さな頃にしていた親愛のキスとは全然違った。貪るように情熱的に何度も唇を食まれ、息が苦しくて少し口を開けた隙に、熱い舌が入って来る。
「ん、んんっ!?」
「好き…シャルナ」
何なのだ、これは。
ユーゴの舌がまるで別の生き物みたいに、慄いて引っ込もうとする私の舌を捕らえ、ぬるぬると絡みつく。
酸欠と初めての感覚に頭がぼうっとして来た。
だけど、下腹部に何か熱くて固いものを押し当てられ、ユーゴの手が私の裸の胸をゆっくり揉みしだこうとした時、我に返った私は慌てて『眠り』の魔法を行使した。
「!?」
子供の頃から一緒に暮らし、私の作ったものを食べ、私の魔力を常に浴びていたユーゴの魔力耐性は高い。
咄嗟にユーゴは抵抗して離れようとしたが、そうはさせない。私はユーゴの首に手を回して逃げられないようにしてやった。
「…!シャル…」
効果はてきめんで、驚いたユーゴの抵抗力が一瞬途切れた隙に魔法は浸透して、ユーゴの力は抜けて行った。
「お、重い…」
ずしりと圧し掛かる大きな体から、やっとの思いで抜け出す。
糸の切れた人形みたいにぐったりと眠るユーゴに目をやって、私は息をついた。
「もう…本当に、いつの間にそんなにいやらしくなっちゃったのよ…!」
私をまさぐる熱い手と、激しいキスの感触が生々しく甦って、胸のドキドキが収まらない。
今ので子が出来てしまったらどうしよう。
ユーゴを傷付けず巧く躱す方法など、見当も付かない。
こんな事なら、もっと恋だの愛だのの経験を積んでおくべきだったのか。
頭を抱えた私は、とりあえず問題を先送りにして眠る事にした。
☆☆☆
ふ、と意識が浮上すると、誰かが私の髪に触れていた。愛おしそうな優しい触れ方に、気持ちいいようなむず痒いようなふわふわした心地でいると、温かくて柔らかいものが頬に触れる。
ハッとして目を開けると、ユーゴが私の頬にキスしていた。
「おはよう、シャルナ。今日も可愛いね。この黒い髪も赤い瞳も本当に綺麗だよ」
うっとりと微笑んでぎゅっと私を抱き締めるユーゴを、慌てて押し返す。
「だ、だめ!そんな事したら『出来ちゃう』でしょ、私は魔導の探求が生きがいなの、結婚とか子供を生むとか、そういう事するつもりなんて、ないんだから!」
必死に言い募る私を、ユーゴはきょとんとした顔で見つめている。
「え?何が出来るの?」
まさか、知らないのだろうか。
「な、何って、子供に決まってるでしょ。その、年頃の男女が同衾して、キスして、色々触れ合ったら…子供が出来るらしいじゃない。何がどうなってそうなるのか、私も詳しくは知らないけど」
気恥ずかしいけど頑張ってそう言ったのに、ユーゴは一拍置いて爆笑した。
「あっはははは!!シャルナってば、可愛すぎるよ!!そんな事で子供が出来ると思ってたの!?やっぱり、相変わらず魔法以外の事には興味ないんだなあ」
「違うの?」
驚いて聞き返すと、ユーゴは悪戯っぽく笑った。
「俺が実践で教えてあげる」
キスして来ようとするユーゴを、ムッとして止める。
何なのだ。その上から目線の余裕は。
「要らないわ。結婚も子供を生む事もしないって言ってるでしょ。それより、昨夜のは何なの!?あんな事するならもう一緒には寝ないわよ」
ぴしゃりと言ってやったら、ユーゴは傷付いた目で私を見つめた。
「ええ~…そんなあ酷いよ。『眠り』の魔法で強制的に眠らせるし…あれは親子のスキンシップだよ。久しぶりにシャルに甘えたかっただけなのに」
「いくら私でもあれが、そういうのとは違うって事くらい分かるわよ!いい?もう今度から一緒のベッドで寝るのは無し。じゃなきゃ、家には入れないわよ」
そう言うと、ユーゴは「分かったよ…」と渋々頷き、ベッドから起き上がった。
「あーあ…ずっと一緒に居たいけど、俺も急いで騎士団に帰らなきゃ」
手早く騎士服に着替えながら「ああ、でも」と、私を振り返る。
「これでシャルナが正真正銘、他の誰ともそういう事してない、って分かったね。ああ、良かった。シャルナが誰かのものになってないって、すごく嬉しいよ」
にこにこと訳の分からない事を言う。
「じゃあね、シャルナ。また会いに来るよ」
ちゅ、と髪にキスして手を振り、馬に乗って走り去るユーゴを見送って、私は溜め息を付いた。
これからもああいう攻防が続くのかと思うと、気が重い。
「どうにか諦めてくれないかしら…」
だがこれと言ったいい考えも浮かばず、とりあえず私は朝食を摂ろうと家に戻った。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる