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街へ行こう
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「おい、起きろ。いつまで寝てんだ」
乱暴にがくがく揺さぶられて、私はぼんやり目を覚ました。辺りはまだ薄っすら暗い。
「うう、寒い・・・」
ひんやりした空気に毛布を引っ張り上げて丸まろうとしたら、バリッと毛布を引き剥がされた。
「ちょ・・・なにするの?」
寒くて一気に目が覚めて、目の前に仁王立ちしているカインを見上げたら、カインは無表情で「早く起きて朝の支度手伝え」と言った。
「まだ夜じゃん・・・」
目を擦りながらぶつぶつ言うと、
「もう朝だ。とっくに日の出の時間も過ぎてる」
なんて言われる。
え、ええ・・・まさかこんな朝早くから活動すんの?どこの修行僧だよ・・・
「ほら、朝飯の支度しろ。竈に火を熾せ。昨日見てたから出来るだろ」
ふらふら立ち上がると、ぐいっと腕を引かれて台所に押し込められた。
「ええ・・・起きたばっかなのにぃ」
ぶつくさ言ったけどカインにはガン無視されて、私は仕方なく『プリフィケーション』で身綺麗にすると、薪を竈の中に入れて何とか見よう見まねで火を点けた。
「あ、あったかい・・・」
日中は初夏って感じだったけど朝晩は少し冷えて、こんなペラペラのワンピースじゃ寒くて仕方ない。
他に服ないかなあ。
しばらく竈の火で温まっていたけど、カインは外に出て行ったから、私は勝手に戸棚の中を漁って、食べられそうなものを探した。
昨日のスープもちょっと残ってるし、それを温めて、棚にあった真っ黒いパンらしきものを付ければいいんじゃないかな。
パンを少しスライスして端っこをかじってみたけど、ちょっと酸っぱくてドイツの黒パンみたい。ベーコンとかチーズとか卵があればいいけど、そういうものはなさそうだった。
「あ、昨日のこの肉焼いたらいいかも」
ふと思いついて、棚にぶら下がってる腿肉をナイフで削いで、フォークに差して竈の火であぶってみた。じゅうじゅういって肉汁が垂れて来たところを齧ってみると、塩漬け肉だったみたいで少し塩辛いけど美味しい。
「いいじゃん」
気分が乗って来て、私は何枚か肉を削いで焼いて、パンの上に乗っけた。
そうこうしている内にスープもあったまったから、棚から木のお椀を取り出して入れる。
これ、あとで外の井戸で洗わなきゃだよね。
ここでずっと暮らしてたら、家事だけで一日が終わっちゃいそう。
早く日本に帰りたいなあ。
「おーい、ご飯出来たよ」
カインはやっぱり外でトレーニングをしてて、私が呼ぶと剣を下げて中に入って来た。
「まあ、美味いな」
「焼いただけ、だけどね」
カインはお腹が空いているのか、あっという間に食べ終わっていた。
「ねえ、食材とかどこで調達してるの?私、いつまでここにいるか分かんないけど、二人分だと棚の食材無くなりそうだよ」
そう言うと、カインは「じゃあ麓の町に買い出しに行くか」と言った。
「えっ、町?」
私は色めき立って立ち上がった。
町なら服とかあるかもしれない。下着も替えが欲しいし。
「私も行きたい!」
「遠いぜ?俺ならブーストして走って行くから半日で行って帰って来れるけど」
カインは呆れた顔でそう言ったけど、そのブーストっての私も出来る感じがする。
「大丈夫。あんたが使えるスキルは私も使えるんだから」
そう言うと、カインは思い出したように言った。
「ああ・・・そういえばそうか。まあ、いいだろ。迷子になるなよ。探すのが面倒だからな」
仕方なさそうに言って、カインは「じゃあ早速行くか」とタンスからリュックのような大き目のカバンを取り出した。そして、一緒に取り出した剣とベルトを私に押し付けて来る。
「一応、護身用に予備の剣を渡しとくから、失くすなよ」
「わ、分かった」
初めて触れる、マンガや小説の中でしか知らない武器。
おっかなびっくり受け取るとずしりと重くて、これで相手の命を奪えるのかと思うと、少し怖かった。
ベルトの付け方を教えて貰って、何とかワンピースの腰に付けたけど、なるべく使わずに済んで欲しい。
「よし。なら行くぞ」
何となくカインの体の周りに陽炎みたいなものが立って、スキルを使ったんだと分かった。私もブーストってのを使ってみようと思うと、意識が拡大するような感覚があって、体が羽のように軽くなった。
「凄い!」
「見失うなよ」
そう言い置いてカインが一気に走り出した。あっという間に遥か遠くを走って行くのを見て、慌てて追い掛けると、物凄いスピードで景色が後ろに流れて行ってすぐに追いついた。
これまでに感じた事がないくらい体が軽くて、いくらでも走れそうなほどで、気持ちが上がった。
「何これ、凄い凄い!オリンピックで優勝じゃん!」
「は?なんだそれ」
怪訝な顔のカインに私は笑って「なんでもなーい!」と言った。
*****
疲れることもなく走り続けて、昇りかけていた太陽がすっかり顔を出した頃、町に着いた。
いかにもRPGの町、という感じで、全部石造りでヨーロッパの小さな町みたいにカラフルな屋根の可愛い家が立ち並んでいる。そこに行き交う人も、金髪だったり、銀髪だったり、茶色や赤、私の今の体みたいな青だったりとカラフルだった。
「わあ・・・凄い、異世界だ・・・」
「食料品の店に行くぞ」
感動して目を輝かせる私と対照的に無表情のカインについて行くと、絵本にでも出て来そうな、可愛い小さなお店に着いた。パンや肉、果物の絵が描かれた看板が壁に掛けられている。
「あ!カイン!来てくれたの?」
私たちが店の中に入ると、カウンターの向こうにいた赤い髪の綺麗なお姉さんが明るい声を上げた。
「ああ。今日はいつもより多めに買っておこうと思ってな」
カインは言いながらカウンターにリュックを置いた。
私はそれを横目に店内をきょろきょろ見回した。
木箱に入った野菜や、果物、あとカウンターの後ろにはカインの家にあったみたいな、動物の腿やアバラ骨の部分だとか、けっこうグロい塊肉が吊るされてる。
ふと棚を見ると、パンがいくつか並んでいた。今朝食べた黒パンもあるけど、白いふわふわしたパンもある。これ、美味しそうじゃない?
「ねえ、このパン買わない?」
そう言って振り返ったら、こっちをじーっと見ているお姉さんと目が合った。
・・・この値踏みするような、あんまり友好的じゃない視線。
店に入った時の嬉しそうな様子といい、この人、カインとそういう関係?
「俺、それそんなに好きじゃねぇんだけど」
カインはお姉さんの視線には気付かないようで、眉を顰めてそんなことを言っている。
「え、いいじゃん。食べてみたいのよ、私が」
お姉さんから視線を外して言うと、カインは「好きにしろよ」と肩をすくめた。
「そこの枝肉をくれ。あと、ビーツの実とポモロと・・・」
カインがお姉さんに食材を色々指定してリュックに入れて貰っているところへ、
私は白パンをいくつか手に取って近付いた。
お姉さんは私を見ると、カインに向けている笑顔とは対称的に、じろっと険しい目を向けて来る。
あー、こわ。私、このお姉さんに敵視されちゃってるじゃん。
絶対、私がこいつの恋人とか、勘違いしてるよ。
もう、やめてよね。異世界に来てまで余計な敵なんて作りたくないんだからさ。
最初のヤリチン彼氏の晶のセフレに理不尽に罵倒された記憶が甦って、ブルッと体を震わせる。
「ねえカイン、そちらの方は?珍しいよね、カインが女の子連れて来るのって」
とうとう我慢出来なくなったのか、お姉さんはそんなことを聞いてきた。
「あ?ああ、こいつか・・・えーと・・・居候だ。しばらくうちに滞在する」
「え?どういうこと?」
お姉さんは怪訝な顔だ。
そりゃそうでしょ、こんな説明じゃ。でも確かにどう言ったらいいのか困る関係だ。
黙り込むカインに、私にますます険しい目を向けて来るお姉さん。
私は耐え切れずに言った。
「あの、私、別にこいつとそういう関係でも何でもないんで、本っ当に単なる赤の他人なんで気にしないで下さい!次の場所に行く前にちょっとだけ滞在してるだけで、すぐ出て行くんで。こんな無愛想で優しくないクソ男、好きとか有り得ないし、本当、お姉さんが心配するようなことは一切ありませんから!」
まあヤッてるけど。でもそれは仕方ないからであって、愛してるとか恋人とかじゃ絶対ないから!
そんな気持ちを込めて言い放ったら、お姉さんは私の気迫に押されたのか、「あ、ああ、そうなの・・・」と訳が分からないであろうまま、頷いて大人しくなった。
「お前・・・」
カインはディスられたのが面白くないみたいで、ムスッとした顔をしていたけど、ひとまずこれで私の精神は守られた。
「ありがとう、カインまた来てね」
「ああ」
店を出るとカインは私をじろりと睨んだ。
「お前、何であんなこと言ったんだよ。ったく事あるごとに悪態付きやがって」
「何よ、気に入らなかったの?だってしょうがないじゃん。あの人、あんたのこと好きなんでしょ。それにどうせ体の関係もあったんでしょ?」
そう言うと、カインはふいと横を向いた。
やっぱり図星か。
「私、あの人にめちゃくちゃ睨まれてたんだから。絶対私のことあんたの恋人とかそういう関係だと思ったのよ。ああでも言わないと私、勝手な誤解で恨まれるじゃん。そんなのやだし」
そう言うと、カインは「もういい」とさっさと歩き出した。
乱暴にがくがく揺さぶられて、私はぼんやり目を覚ました。辺りはまだ薄っすら暗い。
「うう、寒い・・・」
ひんやりした空気に毛布を引っ張り上げて丸まろうとしたら、バリッと毛布を引き剥がされた。
「ちょ・・・なにするの?」
寒くて一気に目が覚めて、目の前に仁王立ちしているカインを見上げたら、カインは無表情で「早く起きて朝の支度手伝え」と言った。
「まだ夜じゃん・・・」
目を擦りながらぶつぶつ言うと、
「もう朝だ。とっくに日の出の時間も過ぎてる」
なんて言われる。
え、ええ・・・まさかこんな朝早くから活動すんの?どこの修行僧だよ・・・
「ほら、朝飯の支度しろ。竈に火を熾せ。昨日見てたから出来るだろ」
ふらふら立ち上がると、ぐいっと腕を引かれて台所に押し込められた。
「ええ・・・起きたばっかなのにぃ」
ぶつくさ言ったけどカインにはガン無視されて、私は仕方なく『プリフィケーション』で身綺麗にすると、薪を竈の中に入れて何とか見よう見まねで火を点けた。
「あ、あったかい・・・」
日中は初夏って感じだったけど朝晩は少し冷えて、こんなペラペラのワンピースじゃ寒くて仕方ない。
他に服ないかなあ。
しばらく竈の火で温まっていたけど、カインは外に出て行ったから、私は勝手に戸棚の中を漁って、食べられそうなものを探した。
昨日のスープもちょっと残ってるし、それを温めて、棚にあった真っ黒いパンらしきものを付ければいいんじゃないかな。
パンを少しスライスして端っこをかじってみたけど、ちょっと酸っぱくてドイツの黒パンみたい。ベーコンとかチーズとか卵があればいいけど、そういうものはなさそうだった。
「あ、昨日のこの肉焼いたらいいかも」
ふと思いついて、棚にぶら下がってる腿肉をナイフで削いで、フォークに差して竈の火であぶってみた。じゅうじゅういって肉汁が垂れて来たところを齧ってみると、塩漬け肉だったみたいで少し塩辛いけど美味しい。
「いいじゃん」
気分が乗って来て、私は何枚か肉を削いで焼いて、パンの上に乗っけた。
そうこうしている内にスープもあったまったから、棚から木のお椀を取り出して入れる。
これ、あとで外の井戸で洗わなきゃだよね。
ここでずっと暮らしてたら、家事だけで一日が終わっちゃいそう。
早く日本に帰りたいなあ。
「おーい、ご飯出来たよ」
カインはやっぱり外でトレーニングをしてて、私が呼ぶと剣を下げて中に入って来た。
「まあ、美味いな」
「焼いただけ、だけどね」
カインはお腹が空いているのか、あっという間に食べ終わっていた。
「ねえ、食材とかどこで調達してるの?私、いつまでここにいるか分かんないけど、二人分だと棚の食材無くなりそうだよ」
そう言うと、カインは「じゃあ麓の町に買い出しに行くか」と言った。
「えっ、町?」
私は色めき立って立ち上がった。
町なら服とかあるかもしれない。下着も替えが欲しいし。
「私も行きたい!」
「遠いぜ?俺ならブーストして走って行くから半日で行って帰って来れるけど」
カインは呆れた顔でそう言ったけど、そのブーストっての私も出来る感じがする。
「大丈夫。あんたが使えるスキルは私も使えるんだから」
そう言うと、カインは思い出したように言った。
「ああ・・・そういえばそうか。まあ、いいだろ。迷子になるなよ。探すのが面倒だからな」
仕方なさそうに言って、カインは「じゃあ早速行くか」とタンスからリュックのような大き目のカバンを取り出した。そして、一緒に取り出した剣とベルトを私に押し付けて来る。
「一応、護身用に予備の剣を渡しとくから、失くすなよ」
「わ、分かった」
初めて触れる、マンガや小説の中でしか知らない武器。
おっかなびっくり受け取るとずしりと重くて、これで相手の命を奪えるのかと思うと、少し怖かった。
ベルトの付け方を教えて貰って、何とかワンピースの腰に付けたけど、なるべく使わずに済んで欲しい。
「よし。なら行くぞ」
何となくカインの体の周りに陽炎みたいなものが立って、スキルを使ったんだと分かった。私もブーストってのを使ってみようと思うと、意識が拡大するような感覚があって、体が羽のように軽くなった。
「凄い!」
「見失うなよ」
そう言い置いてカインが一気に走り出した。あっという間に遥か遠くを走って行くのを見て、慌てて追い掛けると、物凄いスピードで景色が後ろに流れて行ってすぐに追いついた。
これまでに感じた事がないくらい体が軽くて、いくらでも走れそうなほどで、気持ちが上がった。
「何これ、凄い凄い!オリンピックで優勝じゃん!」
「は?なんだそれ」
怪訝な顔のカインに私は笑って「なんでもなーい!」と言った。
*****
疲れることもなく走り続けて、昇りかけていた太陽がすっかり顔を出した頃、町に着いた。
いかにもRPGの町、という感じで、全部石造りでヨーロッパの小さな町みたいにカラフルな屋根の可愛い家が立ち並んでいる。そこに行き交う人も、金髪だったり、銀髪だったり、茶色や赤、私の今の体みたいな青だったりとカラフルだった。
「わあ・・・凄い、異世界だ・・・」
「食料品の店に行くぞ」
感動して目を輝かせる私と対照的に無表情のカインについて行くと、絵本にでも出て来そうな、可愛い小さなお店に着いた。パンや肉、果物の絵が描かれた看板が壁に掛けられている。
「あ!カイン!来てくれたの?」
私たちが店の中に入ると、カウンターの向こうにいた赤い髪の綺麗なお姉さんが明るい声を上げた。
「ああ。今日はいつもより多めに買っておこうと思ってな」
カインは言いながらカウンターにリュックを置いた。
私はそれを横目に店内をきょろきょろ見回した。
木箱に入った野菜や、果物、あとカウンターの後ろにはカインの家にあったみたいな、動物の腿やアバラ骨の部分だとか、けっこうグロい塊肉が吊るされてる。
ふと棚を見ると、パンがいくつか並んでいた。今朝食べた黒パンもあるけど、白いふわふわしたパンもある。これ、美味しそうじゃない?
「ねえ、このパン買わない?」
そう言って振り返ったら、こっちをじーっと見ているお姉さんと目が合った。
・・・この値踏みするような、あんまり友好的じゃない視線。
店に入った時の嬉しそうな様子といい、この人、カインとそういう関係?
「俺、それそんなに好きじゃねぇんだけど」
カインはお姉さんの視線には気付かないようで、眉を顰めてそんなことを言っている。
「え、いいじゃん。食べてみたいのよ、私が」
お姉さんから視線を外して言うと、カインは「好きにしろよ」と肩をすくめた。
「そこの枝肉をくれ。あと、ビーツの実とポモロと・・・」
カインがお姉さんに食材を色々指定してリュックに入れて貰っているところへ、
私は白パンをいくつか手に取って近付いた。
お姉さんは私を見ると、カインに向けている笑顔とは対称的に、じろっと険しい目を向けて来る。
あー、こわ。私、このお姉さんに敵視されちゃってるじゃん。
絶対、私がこいつの恋人とか、勘違いしてるよ。
もう、やめてよね。異世界に来てまで余計な敵なんて作りたくないんだからさ。
最初のヤリチン彼氏の晶のセフレに理不尽に罵倒された記憶が甦って、ブルッと体を震わせる。
「ねえカイン、そちらの方は?珍しいよね、カインが女の子連れて来るのって」
とうとう我慢出来なくなったのか、お姉さんはそんなことを聞いてきた。
「あ?ああ、こいつか・・・えーと・・・居候だ。しばらくうちに滞在する」
「え?どういうこと?」
お姉さんは怪訝な顔だ。
そりゃそうでしょ、こんな説明じゃ。でも確かにどう言ったらいいのか困る関係だ。
黙り込むカインに、私にますます険しい目を向けて来るお姉さん。
私は耐え切れずに言った。
「あの、私、別にこいつとそういう関係でも何でもないんで、本っ当に単なる赤の他人なんで気にしないで下さい!次の場所に行く前にちょっとだけ滞在してるだけで、すぐ出て行くんで。こんな無愛想で優しくないクソ男、好きとか有り得ないし、本当、お姉さんが心配するようなことは一切ありませんから!」
まあヤッてるけど。でもそれは仕方ないからであって、愛してるとか恋人とかじゃ絶対ないから!
そんな気持ちを込めて言い放ったら、お姉さんは私の気迫に押されたのか、「あ、ああ、そうなの・・・」と訳が分からないであろうまま、頷いて大人しくなった。
「お前・・・」
カインはディスられたのが面白くないみたいで、ムスッとした顔をしていたけど、ひとまずこれで私の精神は守られた。
「ありがとう、カインまた来てね」
「ああ」
店を出るとカインは私をじろりと睨んだ。
「お前、何であんなこと言ったんだよ。ったく事あるごとに悪態付きやがって」
「何よ、気に入らなかったの?だってしょうがないじゃん。あの人、あんたのこと好きなんでしょ。それにどうせ体の関係もあったんでしょ?」
そう言うと、カインはふいと横を向いた。
やっぱり図星か。
「私、あの人にめちゃくちゃ睨まれてたんだから。絶対私のことあんたの恋人とかそういう関係だと思ったのよ。ああでも言わないと私、勝手な誤解で恨まれるじゃん。そんなのやだし」
そう言うと、カインは「もういい」とさっさと歩き出した。
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