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おまけ Very sweet Valentine's Day ☆ちょっとエロ
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☆完結まで読んで下さった方におまけ話を書きました!
ちょうどバレンタインなので、間に合わせようと昨日の夜と今朝で急いで書いたものです。
楽しんで貰えたら嬉しいです。
*******
「おーい、璃央くーん。こっちこっち」
「おす、沖田。真柴も」
構内のカフェテリアのテーブルで俺に手を振る沖田と真柴に、俺も軽く手を上げて前の椅子に座った。
世良の高校時代からのダチ、沖田と真柴とは、夏に世良に紹介して貰ってから、ちょくちょく飯に行ったりしている。まあ、世良も一緒にだけどな。
俺と世良が付き合ってるってこと知ってるこいつらの前だと、世良のやつ、大っぴらに俺を甘やかしてくんだよな。
例えばさ、ドリンクバー俺の分まで取って来てくれたりとか、ドア開けて待っててくれたりだとか、エスコートってやつ?
それに気付いた二人はいつも俺らを生暖かい目で見てんだけどさ、正直こっ恥ずかしい。
だけど、ちょっとだけ嬉しくもあるから、やめろよ!って強く言えないのが悩みだったりする。
まあ、他が幸せ過ぎて、悩みなんて言えねーくらいの、小さいことだけどな。
「渡して欲しいものってなに?世良の誕生日ってもうすぐだっけ?」
俺は早速そう聞いた。今朝沖田からメッセージアプリで『璃央くんから世良に渡して欲しいものがある』なんて言われたのだ。
ちなみに『サプライズしたいから世良には内緒で来て』って言われてるから、世良には用事があるって言って撒いて来た。
ちょっとうなだれてて、可哀想だったけどな。
「世良の誕生日はまだだけどさ、ほら、明日バレンタインじゃん。俺と真柴から世良にプレゼントしたくてさ」
沖田はそう言って、ニヤニヤしながらバッグから小さい紙箱を出して来た。包装紙が巻かれていて、いかにもプレゼントって感じだ。
「うん。けどダチから貰ったって別に嬉しくないだろ。だからさ、璃央クンからプレゼントってことで渡してくんない?」
真柴もニヤニヤ笑いながらそう言う。
「えっ、お前ら、ダチ同士でバレンタインとかするタイプ?」
びっくりして二人を見ると、二人は笑いながら首を振った。
「いやいや、こんなんやったことねーよ。けどさ、やっと世良にめでたく正式な彼氏が出来たわけじゃん。だからさ、ハッピーなバレンタインを過ごして欲しいな、っていう俺らの心遣いだよ」
「そうそう」
「なんか胡散くせー笑顔だなあ」
沖田と真柴のニヤついた顔に、なんか裏ありそーと思いながら紙箱を受け取った俺は、
「何が入ってんだ?」と箱を振ってみた。
ゴトゴトと音がして、何か固いものが中に入ってるみたいだったけど、何かは見当も付かなかった。
「それ、ちゃんと明日渡してよ。そんで、二人きりになってから箱開けてな」
沖田が相変わらずニヤ付きながらそう言って、隣で真柴は笑いを堪えきれなくて、ぷるぷる震えていた。
・・・これ、間違いなく、なんかネタプレゼントだろ。開けてびっくり系のやつとかか?
ま、どっちみち明日は、というか明日も、バイト終わったら世良んちに行くだろうから、いいけどな。
「ふーん。まあ楽しそうだから、いっか。明日世良に渡しとくな」
そう言うと、沖田が
「あ、くれぐれも璃央くんからのプレゼントってことにしといて!」
と念押しして来て、俺は「分かった分かった」って言いながら箱をカバンにしまい込んだ。
「どうだったかあとで教えてくれよ」
真柴も含み笑いをしながら言う。
「ん。分かったよ。あ、そうだ。サプライズの瞬間、メッセージアプリでリアルタイム配信でもするか?面白そーじゃん」
ノッてくれるかと思ってそう言ったら、二人は意外にも急に真面目な顔になって黙った。
「・・・いや、配信はやめとこ?」
という沖田に、真柴も
「うんうん。配信は、な・・・ちょっとな、さすがに生々しいというか、止めるタイミング間違えると大事故に繋がるというか・・・とにかく、配信はいいよ!あとで話だけ聞かせてくれれば!つっても、事細かに教えてくんなくていいからな!?」
妙に焦った様子の二人に不思議に思いながらも、まあいいか、と俺は「分かった、じゃあな」とだけ言って、その場を去った。
よく分かんねーけど、面白そうだ。
バレンタインだからって、浮かれてチョコ贈り合ったりするつもりはなかったけど、俺も明日が楽しみになって来た。
♢♢♢
ジェットバスを堪能した俺は、タオルで髪を拭きながらリビングに戻って来た。
「あ~さっぱりした~。やっぱお前んちの風呂最高だよな~」
「水飲むか?」
「いーよ。勝手に飲むから」
ソファから腰を浮かしかけた世良を止めて、俺はキッチンの浄水器から水を出して飲んだ。
うーん。やっぱり高級マンションだけあって、浄水器の性能もいいのか、うちのアパートで飲む水よりうまい。
うちだって一応浄水器、ついてんだけどな。まぁ、世良んちの浄水器と、うちの数千円のカートリッジ式の浄水器じゃ雲泥の差か。
「アイス食っていい?」
「いいよ」
そう言われると分かってるから、俺はすでに冷凍庫を開けてソーダ味の棒アイスを取り出していた。
付き合う事になった夏以来、殆ど毎日世良の家に入り浸っているから、まるで自分の家みたいになりつつある。
「世良は?」
「俺はいいよ。甘いの好きじゃねぇし」
ソファに寝そべりながら世良が言う。
「そうだよな」
言いながら世良の隣に座ってアイスをかじる。んー。冬でも風呂上がりの暑い時に食うアイスはうまい。
しばらく無言でアイスを食ってたら、世良がむくりと起き上がって来た。
「やっぱ一口ちょうだい」
「ん」
1/4くらいになったアイスを差し出すと、世良は大きく口を開けて残り全部食べてしまった。
「ちょ、お前一口デカすぎだろ!」
思わず抗議したら世良はニヤっと笑って俺にキスして、アイスの塊を俺の口の中に返して来た。
「んんっ!」
冷たっ!
けど、反射的に飲み込んでしまう。
なんつー返し方すんだよ!
「んっ、ん・・・」
アイスがなくなったのに、世良はまだ唇を離さないで、舌を絡めて来た。
冷たくて別のものみたいだ。けど絡めているうちにどんどん熱くなって来て、俺の股間のものまで熱くなって来る。
それに気付いた世良が、そこを撫でながら笑う。
「璃央、気持ち良くなっちゃった?」
「ん、もう、お前もだろ・・・」
「うん、璃央、したい・・・」
「いいよ・・・」
ああもう、こんな感じで世良と一緒にいる時はすぐにそういう流れになってしまう。
だけど、それが全然嫌じゃないんだよな・・・結局俺も世良に溺れちゃってんだよ。
「あ、ゴムの買い置きなかったかも」
俺に覆い被さって手早く服を脱がしていた世良が、思い出したように言った。
そりゃ、あんなにほぼ毎日ヤッてたらすぐ無くなるよ。
「俺、持ってるよ」
一応、何があってもいいようにいっつもデイバッグに入れてんだよな。まあ今じゃトイレでいきなりヤることなんてないんだけど・・・一応な。
俺は世良から離れると、床に置いていたデイバッグの口を開けた。すると昨日受け取った包装紙に包まれた箱が目に飛び込んで来て、そうだった、と取り出した。
今日渡してくれって言ってたよな。もう23時過ぎだし、ちょっとタイミングがアレだけど渡すか。
「えーとさ、世良。今日バレンタインだろ。これ、俺からプレゼント」
そう言って箱を世良に渡したら、世良は「えっ・・・マジで?うそ、嬉しいんだけど」と言いながらホントに嬉しそうに受け取った。
う・・・そんな喜ぶんなら、俺もちゃんと何か用意しとけば良かったな。
ちょっと申し訳ない気持ちになってたら、「開けていい?」と聞かれて「うん」と頷く。
ペリペリと包装紙を剝いで箱を開けた世良は、目をしばたかせた。
「え?何これ」
そう言って取り出したのは、チョコの絵が描かれたドレッシングの容器みたいなものと、チョコの箱みたいな物だった。
・・・なんだこれ?
びっくり系のサプライズだと思ってたけど、普通にチョコだった?
けど容器と箱の説明を読んでいた世良の口元が、だんだん緩んで来て、いきなり俺をその場に押し倒した。
「璃央、エッチだな。これで俺に全身舐めさせようと思ったの?」
「え?どういうこと?」
訳が分からずそう言うと、世良はニヤニヤ笑いながらドレッシングの容器の蓋を開けて、中身を手に垂らした。
そしてそれを俺の胸に塗り付けて来る。途端、チョコレートの匂いが立ち昇って来た。
「チョコ味のローションにチョコ味のゴムとか、ノリノリじゃん。いいよ、俺甘いの好きじゃねぇけど、璃央の味と混ざったチョコなら食えるから」
脳裏に沖田と真柴が爆笑している姿が浮かんだ。なんだよ、あいつら、そういうことかよ!だから俺からって言えっつったんだな。
くっそ、恥ずい!
これじゃホントに俺がノリノリで、世良に全身舐めさせたがってるみたいじゃねーか!
「いや、違うから世良。これ、俺が考えたんじゃなくてさ・・・あっ」
慌てて弁解しかけたら、世良が乳首をくりくりしながら、片方を舌で転がして来て、思わず声が甘くなってしまった。
「んー甘いな。けど、うまいよ」
「あっ、や、ん」
ちゅうちゅう吸われて、きゅっと摘ままれて、股間のものまでジンジンして来る。
世良がローションをまた手に垂らすと、今度はその手で俺のを扱いてきた。
「ぅあっ、せ、世良ぁ」
ぬるぬるしてめちゃくちゃ気持ちいい。
「気持ちいい?」
「ん、んっ、気持ちいーよぉ」
「はは、かわい」
世良はそう言うと顔を近付けて俺のを咥えて来た。
「あ、ああっ」
世良の口の中、熱くて、舌がやらしく絡んで来て、やべぇ、気持ち良過ぎる。
「だめ、出るっからぁ」
堪えきれずにそう言うと、世良はやっと口を離した。
「はぁ・・・可愛いな璃央・・・なあ、俺のもしてくれる?」
目の前に熱くて固くなったのを突き出されて、俺はとろんとしながら頷いた。
「ん・・・」
裏筋に舌を這わせると、世良のがぴくんとする。
見上げると、俺のことを熱っぽい目で見つめる世良と目が合った。
「は・・・気持ちいいよ、璃央」
うっとりしている世良の顔を見ている内に、何となく今日はサービスしてやりたくなって、俺はさっきのローションを世良のに垂らすと、それを舐めとるように舌を動かした。
ん、確かに甘いな。味はそんな美味いわけじゃねーけど、シチュエーションがエロくて興奮する。
「あ・・・そんな、チロチロ舐めて、じれったいって・・・頼むからもっと強く吸って」
その声に煽られるように、奥まで咥えてやった。
「くぅ、璃央・・・」
デカくて全部は入りきらないから、根元を扱きながら口を動かすと、世良のがびくびくして、イキそうなんだって分かった。
「あ、もう出るからっ」
やんわりと俺の頭を外そうとする世良に抵抗して、俺はそのまま世良の腰に腕を回して抱き締めるようにして口を離さなかった。
「くっ、あ、ああっ璃央っ!」
喉の奥に熱いものが飛んで来て、チョコ味のローションと入り混じったそれは、甘いようなしょっぱいような複雑な味になってたけど、世良のだと思うと愛おしい気持ちになって飲み込んだ。
「ごめん、璃央・・・口ん中に出しちゃって・・・えっ、飲んだの?」
はぁはぁ言いながらびっくりしている世良に、
「ん・・・自分のは嫌だけどお前のだし」
そう言うと、
「ああもう、可愛い璃央、好き」
感激した世良に抱き締められて、押し倒された。
「じゃあ今度はこっちで気持ち良くしてやるから」
「あっ」
そのあとはチョコの匂いを纏わりつかせて、二人でいつも以上にぐっちゃぐちゃになった。
イベントとかどうでもいいなんて思ってたけど、みんなが盛り上がるのがちょっと分かったかもしれない。
「はぁはぁ・・・璃央、めちゃくちゃ良かったよ・・・愛してる」
どろどろのまま俺に覆い被さってる世良に言われて、余韻で溶けてた俺も世良の首に腕を回して応えた。
「うん、俺も愛してる、世良・・・」
終わってこうやって抱き締めあってる時間が好きだ。
陸人先輩とのこういう時間は俺はいつも不完全燃焼で、早く離してくんねーかな、なんて思ってたけど、世良はいつも俺のこといっぱい気持ち良くしてくれるから、いつまでだってこうやってくっついてたい。
もちろんそれだけじゃなくて、こいつの体温も、俺のこと愛おしくてたまんねーって見つめる目も、甘くて優しい態度も、好きだよって言ってくれる声も・・・恥ずいけどまあ、要するに全部、好きなんだよ。
「幸せ・・・」
思わずそう呟いたら、世良も「俺も幸せ」って呟いた。
だけどローションでべたべたの体が冷えて来て寒くなったから、そのあとは二人で一緒に風呂に入ってそこでまた始まっちゃって、自分でも呆れるけどほんと、俺ら、相性最高かもしんない。
♢♢♢
翌日、構内の食堂で世良と一緒に昼飯食ってると、沖田と真柴がニヤつきながら寄って来た。
ちなみにアレが二人からのプレゼントだってことは、昨日世良に言ってある。
世良は苦笑してた。
「何だよ、璃央がこんなの選んでくれたのかと思ってすげぇ興奮したのにさ。ま、最高に気持ち良かったし別にいいけど、今度はお前からこういうことして欲しいな」
なんて言われて、俺は恥ずかしくて「ぜってーやらねーよ」って答えたけど。
「璃央くーん、どうだった?アレ」
笑いながらそんなことを言う沖田に、俺は呆れた目を向けた。
「ったく、お前らな・・・」
「いやいやマジな話、あれ、通販で買ったんだけどさ、味とか分かんねーからどうだったかなって気になっててさ。美味かった?」
沖田の言葉に世良が答える。
「まあ匂いはチョコだけど、味はチョコっていうか単に甘いなんかのシロップって感じで、ローション自体は美味くはねぇな。ずっと舐めてたら甘さで舌が痺れたわ」
「あれ?璃央クンがお前に奉仕したのかと思ったけど、逆なの?」
無邪気に言う真柴に、俺はぶわっと変な汗がにじんで来た。
「そんなの、お互いにやったっつぅの。なぁ、璃央?」
「ちょ、ちょ・・・お前、やめろよダチの前で、そんな・・・」
ニヤリと笑いながら俺の肩を抱く世良に、俺は真っ赤になって狼狽えた。
「あ、あー、もうこの辺でやめとくかな。これ以上聞くと禁断の扉が開いちゃいそうだし!」
「そ、そうだな!じゃ、俺らはこの辺で!邪魔して悪かったな!」
そんな俺らの様子を見ていた沖田と真柴は、慌てたように言って、あっという間に去って行った。
なんだったんだよ、もう。
っつーか、恥ずかしいよ!
「お前な、ダチの前であんなこと言うなって!俺、羞恥で軽く死ねるんだけど!?」
そう言って世良を押し返したら、世良は笑いながら謝った。
「ごめんな。けど、お前と恋人同士だってことが嬉し過ぎてさ。つい、言っちゃうんだよな」
「それは・・・分かるけどさ、ああいうことは俺らだけの秘密っていうか、内緒にしといてくれよ・・・俺、すぐ顔に出ちゃうしさ」
そう呟く俺をじっと見つめていた世良は、上擦った声で言った。
「・・・そうだな。璃央のそんな顔、誰にも見せたくねぇし。そんな顔もあんな顔も見るのは俺だけでいいな」
「何だそれ。どんな顔だよ」
そう聞いたら世良は俺の耳元に唇を寄せて言った。
「めっちゃくちゃエロい顔。すっげぇそそる」
「おっ、お前、や、やめろよ、そんなこと言うの!」
ますます真っ赤になった俺を見て、世良は笑った。
あーあもう。俺、こいつといるとドキドキしっぱなしで心臓がもたねーよ。けど、まあそれでもいいや。
どんなにドキドキしても大丈夫なように、マラソンでもして心臓鍛えるかな。
俺はそんな馬鹿なことを考えながら世良の顔を見つめて、甘く痺れる心地良さを味わった。
(終わり)
********
おまけまで読んで下さった方々、ブクマで応援して下さった方、ありがとうございました!すごく嬉しかったです(*´꒳`*)『いけない僕をイかせてちょうだい』はこれで終わりになります。また同キャラ、少し先の時系列、別タイトルで出すかもなので、その時はよろしくお願いします(*´꒳`*)
ちょうどバレンタインなので、間に合わせようと昨日の夜と今朝で急いで書いたものです。
楽しんで貰えたら嬉しいです。
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「おーい、璃央くーん。こっちこっち」
「おす、沖田。真柴も」
構内のカフェテリアのテーブルで俺に手を振る沖田と真柴に、俺も軽く手を上げて前の椅子に座った。
世良の高校時代からのダチ、沖田と真柴とは、夏に世良に紹介して貰ってから、ちょくちょく飯に行ったりしている。まあ、世良も一緒にだけどな。
俺と世良が付き合ってるってこと知ってるこいつらの前だと、世良のやつ、大っぴらに俺を甘やかしてくんだよな。
例えばさ、ドリンクバー俺の分まで取って来てくれたりとか、ドア開けて待っててくれたりだとか、エスコートってやつ?
それに気付いた二人はいつも俺らを生暖かい目で見てんだけどさ、正直こっ恥ずかしい。
だけど、ちょっとだけ嬉しくもあるから、やめろよ!って強く言えないのが悩みだったりする。
まあ、他が幸せ過ぎて、悩みなんて言えねーくらいの、小さいことだけどな。
「渡して欲しいものってなに?世良の誕生日ってもうすぐだっけ?」
俺は早速そう聞いた。今朝沖田からメッセージアプリで『璃央くんから世良に渡して欲しいものがある』なんて言われたのだ。
ちなみに『サプライズしたいから世良には内緒で来て』って言われてるから、世良には用事があるって言って撒いて来た。
ちょっとうなだれてて、可哀想だったけどな。
「世良の誕生日はまだだけどさ、ほら、明日バレンタインじゃん。俺と真柴から世良にプレゼントしたくてさ」
沖田はそう言って、ニヤニヤしながらバッグから小さい紙箱を出して来た。包装紙が巻かれていて、いかにもプレゼントって感じだ。
「うん。けどダチから貰ったって別に嬉しくないだろ。だからさ、璃央クンからプレゼントってことで渡してくんない?」
真柴もニヤニヤ笑いながらそう言う。
「えっ、お前ら、ダチ同士でバレンタインとかするタイプ?」
びっくりして二人を見ると、二人は笑いながら首を振った。
「いやいや、こんなんやったことねーよ。けどさ、やっと世良にめでたく正式な彼氏が出来たわけじゃん。だからさ、ハッピーなバレンタインを過ごして欲しいな、っていう俺らの心遣いだよ」
「そうそう」
「なんか胡散くせー笑顔だなあ」
沖田と真柴のニヤついた顔に、なんか裏ありそーと思いながら紙箱を受け取った俺は、
「何が入ってんだ?」と箱を振ってみた。
ゴトゴトと音がして、何か固いものが中に入ってるみたいだったけど、何かは見当も付かなかった。
「それ、ちゃんと明日渡してよ。そんで、二人きりになってから箱開けてな」
沖田が相変わらずニヤ付きながらそう言って、隣で真柴は笑いを堪えきれなくて、ぷるぷる震えていた。
・・・これ、間違いなく、なんかネタプレゼントだろ。開けてびっくり系のやつとかか?
ま、どっちみち明日は、というか明日も、バイト終わったら世良んちに行くだろうから、いいけどな。
「ふーん。まあ楽しそうだから、いっか。明日世良に渡しとくな」
そう言うと、沖田が
「あ、くれぐれも璃央くんからのプレゼントってことにしといて!」
と念押しして来て、俺は「分かった分かった」って言いながら箱をカバンにしまい込んだ。
「どうだったかあとで教えてくれよ」
真柴も含み笑いをしながら言う。
「ん。分かったよ。あ、そうだ。サプライズの瞬間、メッセージアプリでリアルタイム配信でもするか?面白そーじゃん」
ノッてくれるかと思ってそう言ったら、二人は意外にも急に真面目な顔になって黙った。
「・・・いや、配信はやめとこ?」
という沖田に、真柴も
「うんうん。配信は、な・・・ちょっとな、さすがに生々しいというか、止めるタイミング間違えると大事故に繋がるというか・・・とにかく、配信はいいよ!あとで話だけ聞かせてくれれば!つっても、事細かに教えてくんなくていいからな!?」
妙に焦った様子の二人に不思議に思いながらも、まあいいか、と俺は「分かった、じゃあな」とだけ言って、その場を去った。
よく分かんねーけど、面白そうだ。
バレンタインだからって、浮かれてチョコ贈り合ったりするつもりはなかったけど、俺も明日が楽しみになって来た。
♢♢♢
ジェットバスを堪能した俺は、タオルで髪を拭きながらリビングに戻って来た。
「あ~さっぱりした~。やっぱお前んちの風呂最高だよな~」
「水飲むか?」
「いーよ。勝手に飲むから」
ソファから腰を浮かしかけた世良を止めて、俺はキッチンの浄水器から水を出して飲んだ。
うーん。やっぱり高級マンションだけあって、浄水器の性能もいいのか、うちのアパートで飲む水よりうまい。
うちだって一応浄水器、ついてんだけどな。まぁ、世良んちの浄水器と、うちの数千円のカートリッジ式の浄水器じゃ雲泥の差か。
「アイス食っていい?」
「いいよ」
そう言われると分かってるから、俺はすでに冷凍庫を開けてソーダ味の棒アイスを取り出していた。
付き合う事になった夏以来、殆ど毎日世良の家に入り浸っているから、まるで自分の家みたいになりつつある。
「世良は?」
「俺はいいよ。甘いの好きじゃねぇし」
ソファに寝そべりながら世良が言う。
「そうだよな」
言いながら世良の隣に座ってアイスをかじる。んー。冬でも風呂上がりの暑い時に食うアイスはうまい。
しばらく無言でアイスを食ってたら、世良がむくりと起き上がって来た。
「やっぱ一口ちょうだい」
「ん」
1/4くらいになったアイスを差し出すと、世良は大きく口を開けて残り全部食べてしまった。
「ちょ、お前一口デカすぎだろ!」
思わず抗議したら世良はニヤっと笑って俺にキスして、アイスの塊を俺の口の中に返して来た。
「んんっ!」
冷たっ!
けど、反射的に飲み込んでしまう。
なんつー返し方すんだよ!
「んっ、ん・・・」
アイスがなくなったのに、世良はまだ唇を離さないで、舌を絡めて来た。
冷たくて別のものみたいだ。けど絡めているうちにどんどん熱くなって来て、俺の股間のものまで熱くなって来る。
それに気付いた世良が、そこを撫でながら笑う。
「璃央、気持ち良くなっちゃった?」
「ん、もう、お前もだろ・・・」
「うん、璃央、したい・・・」
「いいよ・・・」
ああもう、こんな感じで世良と一緒にいる時はすぐにそういう流れになってしまう。
だけど、それが全然嫌じゃないんだよな・・・結局俺も世良に溺れちゃってんだよ。
「あ、ゴムの買い置きなかったかも」
俺に覆い被さって手早く服を脱がしていた世良が、思い出したように言った。
そりゃ、あんなにほぼ毎日ヤッてたらすぐ無くなるよ。
「俺、持ってるよ」
一応、何があってもいいようにいっつもデイバッグに入れてんだよな。まあ今じゃトイレでいきなりヤることなんてないんだけど・・・一応な。
俺は世良から離れると、床に置いていたデイバッグの口を開けた。すると昨日受け取った包装紙に包まれた箱が目に飛び込んで来て、そうだった、と取り出した。
今日渡してくれって言ってたよな。もう23時過ぎだし、ちょっとタイミングがアレだけど渡すか。
「えーとさ、世良。今日バレンタインだろ。これ、俺からプレゼント」
そう言って箱を世良に渡したら、世良は「えっ・・・マジで?うそ、嬉しいんだけど」と言いながらホントに嬉しそうに受け取った。
う・・・そんな喜ぶんなら、俺もちゃんと何か用意しとけば良かったな。
ちょっと申し訳ない気持ちになってたら、「開けていい?」と聞かれて「うん」と頷く。
ペリペリと包装紙を剝いで箱を開けた世良は、目をしばたかせた。
「え?何これ」
そう言って取り出したのは、チョコの絵が描かれたドレッシングの容器みたいなものと、チョコの箱みたいな物だった。
・・・なんだこれ?
びっくり系のサプライズだと思ってたけど、普通にチョコだった?
けど容器と箱の説明を読んでいた世良の口元が、だんだん緩んで来て、いきなり俺をその場に押し倒した。
「璃央、エッチだな。これで俺に全身舐めさせようと思ったの?」
「え?どういうこと?」
訳が分からずそう言うと、世良はニヤニヤ笑いながらドレッシングの容器の蓋を開けて、中身を手に垂らした。
そしてそれを俺の胸に塗り付けて来る。途端、チョコレートの匂いが立ち昇って来た。
「チョコ味のローションにチョコ味のゴムとか、ノリノリじゃん。いいよ、俺甘いの好きじゃねぇけど、璃央の味と混ざったチョコなら食えるから」
脳裏に沖田と真柴が爆笑している姿が浮かんだ。なんだよ、あいつら、そういうことかよ!だから俺からって言えっつったんだな。
くっそ、恥ずい!
これじゃホントに俺がノリノリで、世良に全身舐めさせたがってるみたいじゃねーか!
「いや、違うから世良。これ、俺が考えたんじゃなくてさ・・・あっ」
慌てて弁解しかけたら、世良が乳首をくりくりしながら、片方を舌で転がして来て、思わず声が甘くなってしまった。
「んー甘いな。けど、うまいよ」
「あっ、や、ん」
ちゅうちゅう吸われて、きゅっと摘ままれて、股間のものまでジンジンして来る。
世良がローションをまた手に垂らすと、今度はその手で俺のを扱いてきた。
「ぅあっ、せ、世良ぁ」
ぬるぬるしてめちゃくちゃ気持ちいい。
「気持ちいい?」
「ん、んっ、気持ちいーよぉ」
「はは、かわい」
世良はそう言うと顔を近付けて俺のを咥えて来た。
「あ、ああっ」
世良の口の中、熱くて、舌がやらしく絡んで来て、やべぇ、気持ち良過ぎる。
「だめ、出るっからぁ」
堪えきれずにそう言うと、世良はやっと口を離した。
「はぁ・・・可愛いな璃央・・・なあ、俺のもしてくれる?」
目の前に熱くて固くなったのを突き出されて、俺はとろんとしながら頷いた。
「ん・・・」
裏筋に舌を這わせると、世良のがぴくんとする。
見上げると、俺のことを熱っぽい目で見つめる世良と目が合った。
「は・・・気持ちいいよ、璃央」
うっとりしている世良の顔を見ている内に、何となく今日はサービスしてやりたくなって、俺はさっきのローションを世良のに垂らすと、それを舐めとるように舌を動かした。
ん、確かに甘いな。味はそんな美味いわけじゃねーけど、シチュエーションがエロくて興奮する。
「あ・・・そんな、チロチロ舐めて、じれったいって・・・頼むからもっと強く吸って」
その声に煽られるように、奥まで咥えてやった。
「くぅ、璃央・・・」
デカくて全部は入りきらないから、根元を扱きながら口を動かすと、世良のがびくびくして、イキそうなんだって分かった。
「あ、もう出るからっ」
やんわりと俺の頭を外そうとする世良に抵抗して、俺はそのまま世良の腰に腕を回して抱き締めるようにして口を離さなかった。
「くっ、あ、ああっ璃央っ!」
喉の奥に熱いものが飛んで来て、チョコ味のローションと入り混じったそれは、甘いようなしょっぱいような複雑な味になってたけど、世良のだと思うと愛おしい気持ちになって飲み込んだ。
「ごめん、璃央・・・口ん中に出しちゃって・・・えっ、飲んだの?」
はぁはぁ言いながらびっくりしている世良に、
「ん・・・自分のは嫌だけどお前のだし」
そう言うと、
「ああもう、可愛い璃央、好き」
感激した世良に抱き締められて、押し倒された。
「じゃあ今度はこっちで気持ち良くしてやるから」
「あっ」
そのあとはチョコの匂いを纏わりつかせて、二人でいつも以上にぐっちゃぐちゃになった。
イベントとかどうでもいいなんて思ってたけど、みんなが盛り上がるのがちょっと分かったかもしれない。
「はぁはぁ・・・璃央、めちゃくちゃ良かったよ・・・愛してる」
どろどろのまま俺に覆い被さってる世良に言われて、余韻で溶けてた俺も世良の首に腕を回して応えた。
「うん、俺も愛してる、世良・・・」
終わってこうやって抱き締めあってる時間が好きだ。
陸人先輩とのこういう時間は俺はいつも不完全燃焼で、早く離してくんねーかな、なんて思ってたけど、世良はいつも俺のこといっぱい気持ち良くしてくれるから、いつまでだってこうやってくっついてたい。
もちろんそれだけじゃなくて、こいつの体温も、俺のこと愛おしくてたまんねーって見つめる目も、甘くて優しい態度も、好きだよって言ってくれる声も・・・恥ずいけどまあ、要するに全部、好きなんだよ。
「幸せ・・・」
思わずそう呟いたら、世良も「俺も幸せ」って呟いた。
だけどローションでべたべたの体が冷えて来て寒くなったから、そのあとは二人で一緒に風呂に入ってそこでまた始まっちゃって、自分でも呆れるけどほんと、俺ら、相性最高かもしんない。
♢♢♢
翌日、構内の食堂で世良と一緒に昼飯食ってると、沖田と真柴がニヤつきながら寄って来た。
ちなみにアレが二人からのプレゼントだってことは、昨日世良に言ってある。
世良は苦笑してた。
「何だよ、璃央がこんなの選んでくれたのかと思ってすげぇ興奮したのにさ。ま、最高に気持ち良かったし別にいいけど、今度はお前からこういうことして欲しいな」
なんて言われて、俺は恥ずかしくて「ぜってーやらねーよ」って答えたけど。
「璃央くーん、どうだった?アレ」
笑いながらそんなことを言う沖田に、俺は呆れた目を向けた。
「ったく、お前らな・・・」
「いやいやマジな話、あれ、通販で買ったんだけどさ、味とか分かんねーからどうだったかなって気になっててさ。美味かった?」
沖田の言葉に世良が答える。
「まあ匂いはチョコだけど、味はチョコっていうか単に甘いなんかのシロップって感じで、ローション自体は美味くはねぇな。ずっと舐めてたら甘さで舌が痺れたわ」
「あれ?璃央クンがお前に奉仕したのかと思ったけど、逆なの?」
無邪気に言う真柴に、俺はぶわっと変な汗がにじんで来た。
「そんなの、お互いにやったっつぅの。なぁ、璃央?」
「ちょ、ちょ・・・お前、やめろよダチの前で、そんな・・・」
ニヤリと笑いながら俺の肩を抱く世良に、俺は真っ赤になって狼狽えた。
「あ、あー、もうこの辺でやめとくかな。これ以上聞くと禁断の扉が開いちゃいそうだし!」
「そ、そうだな!じゃ、俺らはこの辺で!邪魔して悪かったな!」
そんな俺らの様子を見ていた沖田と真柴は、慌てたように言って、あっという間に去って行った。
なんだったんだよ、もう。
っつーか、恥ずかしいよ!
「お前な、ダチの前であんなこと言うなって!俺、羞恥で軽く死ねるんだけど!?」
そう言って世良を押し返したら、世良は笑いながら謝った。
「ごめんな。けど、お前と恋人同士だってことが嬉し過ぎてさ。つい、言っちゃうんだよな」
「それは・・・分かるけどさ、ああいうことは俺らだけの秘密っていうか、内緒にしといてくれよ・・・俺、すぐ顔に出ちゃうしさ」
そう呟く俺をじっと見つめていた世良は、上擦った声で言った。
「・・・そうだな。璃央のそんな顔、誰にも見せたくねぇし。そんな顔もあんな顔も見るのは俺だけでいいな」
「何だそれ。どんな顔だよ」
そう聞いたら世良は俺の耳元に唇を寄せて言った。
「めっちゃくちゃエロい顔。すっげぇそそる」
「おっ、お前、や、やめろよ、そんなこと言うの!」
ますます真っ赤になった俺を見て、世良は笑った。
あーあもう。俺、こいつといるとドキドキしっぱなしで心臓がもたねーよ。けど、まあそれでもいいや。
どんなにドキドキしても大丈夫なように、マラソンでもして心臓鍛えるかな。
俺はそんな馬鹿なことを考えながら世良の顔を見つめて、甘く痺れる心地良さを味わった。
(終わり)
********
おまけまで読んで下さった方々、ブクマで応援して下さった方、ありがとうございました!すごく嬉しかったです(*´꒳`*)『いけない僕をイかせてちょうだい』はこれで終わりになります。また同キャラ、少し先の時系列、別タイトルで出すかもなので、その時はよろしくお願いします(*´꒳`*)
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