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三章 最後の一人 日本からの転移者アキラ
そんなあなたにだから俺は
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「う~~~ん、そうかあ……って事は、やっぱり幸人の『スキルコピー』で俺のスキルの『ウィンドブレイク』ってやつを進化させて倒すしかないのか。で、スキルをコピーする為には、俺が幸人とやらなきゃいけない、と。本当、とんでもないエロスキルだなあ」
腕を組んで、顔をしかめて唸る麗央さん。肩を越えるほど長くなった髪の毛はシルバーアッシュじゃなくなってしまったけど、黒髪も似合うな、と思いながら俺は、変わらない端正な顔を見ていた。
あの後、麗央さんが動揺しながら他に方法はないのか聞くので、俺は何度か魔王に挑戦した時の事を詳しく話して、今のところ他の方法はなさそうだと告げた結果、今のように悩ましい顔になってしまった。
「ああ~そっかぁ、それであの時、あの二人が俺のこと微妙な顔して見てたんだなあ。そりゃ、自分の恋人が他の奴とやるなんて、嫌に決まってるよな」
麗央さんはそう言って、天を仰ぐ。
「あの……俺も色々考えたんですけど……」
おずおずと口を開く。
「まず、普通にすることは考えずに、麗央さんには目を瞑って貰ってて、誰か好みの子でも思い浮かべて貰ってる間に俺が、その、自分で挿れて済ませるとか、あ、もちろん萎えないように俺は一切声出さないようにしますから。あとは麗央さんにどこかで出して貰ったのをですね、俺が貰って自分でどうにかするとか、そういうのはどうでしょうか?」
我ながらとんでもない事ばかり言ってるな、と思いながら、ちらりと麗央さんの様子を確認すると、目を見開いてこっちを見ていた。
ど、どういう感情なんだろう。
と思ったら、急に真面目な顔をして俺の肩をがしりと掴んでくる。
「幸人、そういうのはダメだって!」
「え?あ、まあ、そうですよね。いくら目を瞑ってても俺相手に無理ですよね、すみません……変な事ばっか言っちゃって」
慌ててそう言うと、麗央さんは首をぶんぶん横に振った。
「いや、違うって!そういうんじゃなくてさ、お前をそんな道具みたいに使うのはダメだってことだよ。お前、色々酷い目に遭ってたみたいだし、そういうやつを俺は、道具みたいには扱えないよ」
「麗央さん……」
「だからさ」
麗央さんはそこで言葉を切ると、少し目を泳がせながら言った。
「その、するなら、義務でこなすとか嫌々やるんじゃなくて、ちゃんとこう、気持ちを大事にしながらしたいと思うんだ。スキルの為だからって、俺がお前にまた新しい傷を作るようなことは、したくないんだよ」
俺は目を丸くする。
「え?いや、でも……麗央さんのその気持ちは嬉しいですけど、実際、俺に勃つんですか?麗央さん、ゲイでもバイでもなかったですよね?」
「ああ、そこはな。大丈夫だと思う。俺、実は男と経験あるし。まあ、あれは酒の勢いと好奇心でやっちゃったんだけどな、意外と出来るなーって思ったし、ぶっちゃけ良かったんだよなあ。幸人は男臭いタイプじゃなくて綺麗系で色っぽいし、余裕だと思う」
うん、大丈夫、と頷く麗央さんに、俺は呆気に取られてしまった。
「いや、でもあんなに動揺して悩んでたじゃないですか」
そう言うと、麗央さんは、海に入っているヒューゴと砂浜に座っているロシュに目をやった。
「うん、それはさ。いくら魔王を倒すためでも、やっぱり人の恋人にそういうことするのはな、って。あの人たちに悪いなと思ったんだよ。それに、お前にも。だってお前とあの二人は愛し合ってるわけだろ?俺は、確かにお前に勃つだろうし、出来ると思うし、お前を大事に思ってないわけじゃない。だけど俺の気持ちとあの人たちの気持ちは違うだろう。俺のは友情っていうかさ、親愛で。そういうので、お前としちゃっていいのかな、って悩んだんだよな」
本当、色んな事を気遣う人だな。俺は麗央さんらしい言葉に内心そう思ったし、そこまで俺や、ヒューゴやロシュの事まで考えてくれていて、嬉しかった。
麗央さんが俺に対して勃つっていうんなら、俺の方も覚悟を決める。
「麗央さん」
顔を上げて、口を開いた。
「それだけ俺の事を心配したり、気遣ってくれてる麗央さんとなら、俺も出来ます。義務とか、嫌々じゃありません。あの頃から俺を気遣って関わってくれた麗央さんに、俺は心から感謝してるし、あの頃本当は麗央さんにだけは心を開いてたんです。だから俺の心も体も麗央さんには預ける事が出来るんです。ヒューゴやロシュも、分かってくれてます。だからお願いします、スキルが限界突破するまで、俺とセックスして下さい」
真っ直ぐ、麗央さんの目を見つめる。
麗央さんは気圧されたように目を瞠って俺を見つめ返していたけど、真面目な顔で頷いた。
「分かったよ。お前の気持ちも覚悟も全部、受け取ったから。俺も、俺の気持ち全部でお前のこと抱く。大事にする。お前に嫌な思いなんかさせないって約束する」
真っ直ぐな瞳に、本気だって分かる言葉。
ああ、こういう人だから、俺は麗央さんを信頼できるんだ。
胸が暖かくなるのを感じた。
「それにお前に協力して貰わなきゃ、俺だって日本に帰れないんだから、俺の方こそ、お願いします、だよ」
麗央さんが、ふっと笑う。
「じゃ、じゃあ……今からしますか?」
躊躇いながらもそう言うと、麗央さんは目を丸くした後、笑った。
「おいおい、幸人はムードないなあ。その辺はちょっと俺に任せてくれよな。とりあえず今はなし!夜、お前の宿に迎えに行くから待っててくれよ。あ、あと、あの二人にも話、してくるな」
麗央さんはそう言うと、砂浜から立ち上がって、浜辺のヒューゴやロシュの方へ歩いて行った。何を言うんだろう?それに夜、迎えに来るって?何をするつもりなんだ?
俺は戸惑って麗央さんの後姿を見ていた。
腕を組んで、顔をしかめて唸る麗央さん。肩を越えるほど長くなった髪の毛はシルバーアッシュじゃなくなってしまったけど、黒髪も似合うな、と思いながら俺は、変わらない端正な顔を見ていた。
あの後、麗央さんが動揺しながら他に方法はないのか聞くので、俺は何度か魔王に挑戦した時の事を詳しく話して、今のところ他の方法はなさそうだと告げた結果、今のように悩ましい顔になってしまった。
「ああ~そっかぁ、それであの時、あの二人が俺のこと微妙な顔して見てたんだなあ。そりゃ、自分の恋人が他の奴とやるなんて、嫌に決まってるよな」
麗央さんはそう言って、天を仰ぐ。
「あの……俺も色々考えたんですけど……」
おずおずと口を開く。
「まず、普通にすることは考えずに、麗央さんには目を瞑って貰ってて、誰か好みの子でも思い浮かべて貰ってる間に俺が、その、自分で挿れて済ませるとか、あ、もちろん萎えないように俺は一切声出さないようにしますから。あとは麗央さんにどこかで出して貰ったのをですね、俺が貰って自分でどうにかするとか、そういうのはどうでしょうか?」
我ながらとんでもない事ばかり言ってるな、と思いながら、ちらりと麗央さんの様子を確認すると、目を見開いてこっちを見ていた。
ど、どういう感情なんだろう。
と思ったら、急に真面目な顔をして俺の肩をがしりと掴んでくる。
「幸人、そういうのはダメだって!」
「え?あ、まあ、そうですよね。いくら目を瞑ってても俺相手に無理ですよね、すみません……変な事ばっか言っちゃって」
慌ててそう言うと、麗央さんは首をぶんぶん横に振った。
「いや、違うって!そういうんじゃなくてさ、お前をそんな道具みたいに使うのはダメだってことだよ。お前、色々酷い目に遭ってたみたいだし、そういうやつを俺は、道具みたいには扱えないよ」
「麗央さん……」
「だからさ」
麗央さんはそこで言葉を切ると、少し目を泳がせながら言った。
「その、するなら、義務でこなすとか嫌々やるんじゃなくて、ちゃんとこう、気持ちを大事にしながらしたいと思うんだ。スキルの為だからって、俺がお前にまた新しい傷を作るようなことは、したくないんだよ」
俺は目を丸くする。
「え?いや、でも……麗央さんのその気持ちは嬉しいですけど、実際、俺に勃つんですか?麗央さん、ゲイでもバイでもなかったですよね?」
「ああ、そこはな。大丈夫だと思う。俺、実は男と経験あるし。まあ、あれは酒の勢いと好奇心でやっちゃったんだけどな、意外と出来るなーって思ったし、ぶっちゃけ良かったんだよなあ。幸人は男臭いタイプじゃなくて綺麗系で色っぽいし、余裕だと思う」
うん、大丈夫、と頷く麗央さんに、俺は呆気に取られてしまった。
「いや、でもあんなに動揺して悩んでたじゃないですか」
そう言うと、麗央さんは、海に入っているヒューゴと砂浜に座っているロシュに目をやった。
「うん、それはさ。いくら魔王を倒すためでも、やっぱり人の恋人にそういうことするのはな、って。あの人たちに悪いなと思ったんだよ。それに、お前にも。だってお前とあの二人は愛し合ってるわけだろ?俺は、確かにお前に勃つだろうし、出来ると思うし、お前を大事に思ってないわけじゃない。だけど俺の気持ちとあの人たちの気持ちは違うだろう。俺のは友情っていうかさ、親愛で。そういうので、お前としちゃっていいのかな、って悩んだんだよな」
本当、色んな事を気遣う人だな。俺は麗央さんらしい言葉に内心そう思ったし、そこまで俺や、ヒューゴやロシュの事まで考えてくれていて、嬉しかった。
麗央さんが俺に対して勃つっていうんなら、俺の方も覚悟を決める。
「麗央さん」
顔を上げて、口を開いた。
「それだけ俺の事を心配したり、気遣ってくれてる麗央さんとなら、俺も出来ます。義務とか、嫌々じゃありません。あの頃から俺を気遣って関わってくれた麗央さんに、俺は心から感謝してるし、あの頃本当は麗央さんにだけは心を開いてたんです。だから俺の心も体も麗央さんには預ける事が出来るんです。ヒューゴやロシュも、分かってくれてます。だからお願いします、スキルが限界突破するまで、俺とセックスして下さい」
真っ直ぐ、麗央さんの目を見つめる。
麗央さんは気圧されたように目を瞠って俺を見つめ返していたけど、真面目な顔で頷いた。
「分かったよ。お前の気持ちも覚悟も全部、受け取ったから。俺も、俺の気持ち全部でお前のこと抱く。大事にする。お前に嫌な思いなんかさせないって約束する」
真っ直ぐな瞳に、本気だって分かる言葉。
ああ、こういう人だから、俺は麗央さんを信頼できるんだ。
胸が暖かくなるのを感じた。
「それにお前に協力して貰わなきゃ、俺だって日本に帰れないんだから、俺の方こそ、お願いします、だよ」
麗央さんが、ふっと笑う。
「じゃ、じゃあ……今からしますか?」
躊躇いながらもそう言うと、麗央さんは目を丸くした後、笑った。
「おいおい、幸人はムードないなあ。その辺はちょっと俺に任せてくれよな。とりあえず今はなし!夜、お前の宿に迎えに行くから待っててくれよ。あ、あと、あの二人にも話、してくるな」
麗央さんはそう言うと、砂浜から立ち上がって、浜辺のヒューゴやロシュの方へ歩いて行った。何を言うんだろう?それに夜、迎えに来るって?何をするつもりなんだ?
俺は戸惑って麗央さんの後姿を見ていた。
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