異世界転移したら生前の素行のせいで最悪なスキルを貰ってしまった。男に抱かれてこの地獄から抜け出します

にあ

文字の大きさ
上 下
52 / 73
三章 最後の一人 日本からの転移者アキラ

そんなあなたにだから俺は

しおりを挟む
「う~~~ん、そうかあ……って事は、やっぱり幸人の『スキルコピー』で俺のスキルの『ウィンドブレイク』ってやつを進化させて倒すしかないのか。で、スキルをコピーする為には、俺が幸人とやらなきゃいけない、と。本当、とんでもないエロスキルだなあ」

腕を組んで、顔をしかめて唸る麗央さん。肩を越えるほど長くなった髪の毛はシルバーアッシュじゃなくなってしまったけど、黒髪も似合うな、と思いながら俺は、変わらない端正な顔を見ていた。

あの後、麗央さんが動揺しながら他に方法はないのか聞くので、俺は何度か魔王に挑戦した時の事を詳しく話して、今のところ他の方法はなさそうだと告げた結果、今のように悩ましい顔になってしまった。

「ああ~そっかぁ、それであの時、あの二人が俺のこと微妙な顔して見てたんだなあ。そりゃ、自分の恋人が他の奴とやるなんて、嫌に決まってるよな」

麗央さんはそう言って、天を仰ぐ。

「あの……俺も色々考えたんですけど……」

おずおずと口を開く。

「まず、普通にすることは考えずに、麗央さんには目を瞑って貰ってて、誰か好みの子でも思い浮かべて貰ってる間に俺が、その、自分で挿れて済ませるとか、あ、もちろん萎えないように俺は一切声出さないようにしますから。あとは麗央さんにどこかで出して貰ったのをですね、俺が貰って自分でどうにかするとか、そういうのはどうでしょうか?」

我ながらとんでもない事ばかり言ってるな、と思いながら、ちらりと麗央さんの様子を確認すると、目を見開いてこっちを見ていた。
ど、どういう感情なんだろう。
と思ったら、急に真面目な顔をして俺の肩をがしりと掴んでくる。

「幸人、そういうのはダメだって!」
「え?あ、まあ、そうですよね。いくら目を瞑ってても俺相手に無理ですよね、すみません……変な事ばっか言っちゃって」

慌ててそう言うと、麗央さんは首をぶんぶん横に振った。

「いや、違うって!そういうんじゃなくてさ、お前をそんな道具みたいに使うのはダメだってことだよ。お前、色々酷い目に遭ってたみたいだし、そういうやつを俺は、道具みたいには扱えないよ」
「麗央さん……」
「だからさ」

麗央さんはそこで言葉を切ると、少し目を泳がせながら言った。

「その、するなら、義務でこなすとか嫌々やるんじゃなくて、ちゃんとこう、気持ちを大事にしながらしたいと思うんだ。スキルの為だからって、俺がお前にまた新しい傷を作るようなことは、したくないんだよ」

俺は目を丸くする。

「え?いや、でも……麗央さんのその気持ちは嬉しいですけど、実際、俺に勃つんですか?麗央さん、ゲイでもバイでもなかったですよね?」
「ああ、そこはな。大丈夫だと思う。俺、実は男と経験あるし。まあ、あれは酒の勢いと好奇心でやっちゃったんだけどな、意外と出来るなーって思ったし、ぶっちゃけ良かったんだよなあ。幸人は男臭いタイプじゃなくて綺麗系で色っぽいし、余裕だと思う」

うん、大丈夫、と頷く麗央さんに、俺は呆気に取られてしまった。

「いや、でもあんなに動揺して悩んでたじゃないですか」

そう言うと、麗央さんは、海に入っているヒューゴと砂浜に座っているロシュに目をやった。

「うん、それはさ。いくら魔王を倒すためでも、やっぱり人の恋人にそういうことするのはな、って。あの人たちに悪いなと思ったんだよ。それに、お前にも。だってお前とあの二人は愛し合ってるわけだろ?俺は、確かにお前に勃つだろうし、出来ると思うし、お前を大事に思ってないわけじゃない。だけど俺の気持ちとあの人たちの気持ちは違うだろう。俺のは友情っていうかさ、親愛で。そういうので、お前としちゃっていいのかな、って悩んだんだよな」

本当、色んな事を気遣う人だな。俺は麗央さんらしい言葉に内心そう思ったし、そこまで俺や、ヒューゴやロシュの事まで考えてくれていて、嬉しかった。
麗央さんが俺に対して勃つっていうんなら、俺の方も覚悟を決める。

「麗央さん」
顔を上げて、口を開いた。

「それだけ俺の事を心配したり、気遣ってくれてる麗央さんとなら、俺も出来ます。義務とか、嫌々じゃありません。あの頃から俺を気遣って関わってくれた麗央さんに、俺は心から感謝してるし、あの頃本当は麗央さんにだけは心を開いてたんです。だから俺の心も体も麗央さんには預ける事が出来るんです。ヒューゴやロシュも、分かってくれてます。だからお願いします、スキルが限界突破するまで、俺とセックスして下さい」

真っ直ぐ、麗央さんの目を見つめる。
麗央さんは気圧されたように目を瞠って俺を見つめ返していたけど、真面目な顔で頷いた。

「分かったよ。お前の気持ちも覚悟も全部、受け取ったから。俺も、俺の気持ち全部でお前のこと抱く。大事にする。お前に嫌な思いなんかさせないって約束する」

真っ直ぐな瞳に、本気だって分かる言葉。
ああ、こういう人だから、俺は麗央さんを信頼できるんだ。
胸が暖かくなるのを感じた。

「それにお前に協力して貰わなきゃ、俺だって日本に帰れないんだから、俺の方こそ、お願いします、だよ」

麗央さんが、ふっと笑う。

「じゃ、じゃあ……今からしますか?」

躊躇いながらもそう言うと、麗央さんは目を丸くした後、笑った。

「おいおい、幸人はムードないなあ。その辺はちょっと俺に任せてくれよな。とりあえず今はなし!夜、お前の宿に迎えに行くから待っててくれよ。あ、あと、あの二人にも話、してくるな」

麗央さんはそう言うと、砂浜から立ち上がって、浜辺のヒューゴやロシュの方へ歩いて行った。何を言うんだろう?それに夜、迎えに来るって?何をするつもりなんだ?
俺は戸惑って麗央さんの後姿を見ていた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

BLドラマの主演同士で写真を上げたら匂わせ判定されたけど、断じて俺たちは付き合ってない!

京香
BL
ダンサー×子役上がり俳優 初めてBLドラマに出演することになり張り切っている上渡梨央。ダブル主演の初演技挑戦な三吉修斗とも仲良くなりたいけど、何やら冷たい対応。 そんな中、主演同士で撮った写真や三吉の自宅でのオフショットが匂わせだとファンの間で持ち切りに。 さらに梨央が幼い頃に会った少女だという相馬も現れて──。 しゅうりおがトレンドに上がる平和な世界のハッピー現代BLです。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

処理中です...