かぼちゃのお姫様

グラタン

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かぼちゃのお姫様

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とあるちいさなほしに、かぼちゃおうこくというくにがありました。
そのくにには、たくさんのかぼちゃたちがすんでいました。
おおきなかぼちゃや、ちいさなかぼちゃ。
みどりのかぼちゃや、オレンジのかぼちゃ。
とにかくたくさんのかぼちゃがいるのです。
そんなかぼちゃのくにには、ひとりのおひめさまがいます。
そのおひめさまのなまえは、パンプリーナ。
パンプリーナは、とってもやさしいおひめさまでした。
まいにちおはなにみずをやり、ことりたちとおはなしをし、くにのかぼちゃたちのふまんや、イライラをきいてあげるのです。
なかでもパンプリーナがいちばんたいへんなのは、くにのかぼちゃたちのふまんをきくこと。
なんたって、いちにちになんびゃくにんというかぼちゃのかずがくるのですから。
いくらかいけつしても、またふまんがうまれる。
そんなまいにちにうんざりしていました。
「きょうもまたいちにちがはじまるわね。おはなのみずやりや、ことりたちとおはなしをするのはたのしいけれど…。またくにのかたたちのおはなしをきくのはたいへんだわ…。」

いやいややっているパンプリーナですが、そのじかんがきてしまえば、なんびゃくにんというかぼちゃのおはなしをすべてきいてしまいます。
まよなかになっても…。

「パンプリーナさま!このまえ、うちのはたけがさるたちによってあらされたんですよ!
なんかげつもがんばってそだててきたのに…。ぜんぶだいなしなんです!」

「パンプリーナさま!まえにかいものでかったチーズをたべたら、おなかをこわしてしまったんですよ!きっとくさっていたんです!そんなものうらせるんじゃないとしかっておいてはくれませんか!」

なかには、パンプリーナのちからではかいけつできないおねがいもありました。

「パンプリーナさま!わたしのたいせつにかっていたねずみのちゅーすけをいきかえらせてください!まいにちかなしくて、かなしくて……。」

「パンプリーナさま…きいてくださいよ…。もうさいきん、じかんがなさすぎてこまってるんです…。
すこし、このほしのうごきをゆっくりにはできませんかねぇ…。」

「はぁ、そんなのむりにきまってるわ…。わたしがかいけつできるものならいいけど…。どうしたらみんなわかってくれるかしら…。」
いくらやさしいパンプリーナでも、ほしをうごかすなんてことはできませんでした。
それに、ちゅーすけをいきかえらせることも…。
「もっとおひめさまらしいくらしがしたいわ…。でも、たいせつなくにのかぼちゃさんたちのおねがいですもの。やれるまでやってみようかしら…。」
まいにちできるはずのないおねがいごとをきかされるパンプリーナをみて、しつじのおばあさんは、まいにちイライラしていました。
「まったく、パンプリーナさまったら、かなえられるはずのないねがいをかなえさせられて…。ことわられればいいのに…。」
「まぁ、かなうはずのないねがいなんてこのよにはそんざいしないのよ、ばぁや。かなえられるまでやってみる、それがわたしのしめいなの。」
「ですが、パンプリーナさま。ほしのうごきをゆっくりにするなど、どうやってやるのです?」
「そ、それは……」
パンプリーナはかんがえこんでしまいました。
「な、なんとかやってみるわ!ぜったい…ぜったいかなえてみせるんだから!」
「はぁ…まったく、パンプリーナさまは…。」
ばぁやはこのままではいけないとおもい、つぎのひにパンプリーナをしかることにしました。

コンコンコン!
「パンプリーナさま!はいりますよ?」
「あら?どうしたのばぁや?」
「パンプリーナさま!このままではいけません!あなたはかぼちゃたちにやさしすぎます!もっとおこったり、ことわったりしてもいいのですよ!」
「で、でも…かぼちゃたちをかなしませたくないわ。」
「あなたは、とてもやさしいかぼちゃです。でも、やさしさというのは、おこらなかったり、ことわらなかったりするのがやさしいとはすこしちがうのですよ。おこるとき、ことわるときにはおこってこそ、ことわってこそ、やさしいといえるのです!」
「ばぁや…。」
パンプリーナはこころにかけていたかぎがはずれるようなおとがしました。
「そうね…。もっと、くにのひとをしあわせにするには、ことわるということもたいせつなのね。」
「そのとおりです、パンプリーナさま。」

そして、つぎのひから、パンプリーナはことわることはしっかりことわることにしました。

「パンプリーナさま!おねがいします!ぼくのせを、もっとたかくしてください!おねがいします!」
「あら…。ざんねんだけど、そのおねがいはかなえることはできないわ…。でもきっと、たくさんねて、たくさんうんどうして、たくさんたべていればおおきくなれるはずよ。」
「わぁ……!ありがとうございます!パンプリーナさま!」

パンプリーナは、すこしずつことわれるようになってきました。
そして、かなえられることはしっかりかなえ、かぼちゃおうこくはとてもりっぱなくにへとせいちょうしました。

「ありがとう、ばぁや。これもすべてあなたのおかげよ。」
「いえいえ、パンプリーナさま。わたしはただ、たいせつなことをあなたにおしえただけですよ。」
「これからもふたりで、いいえ。みんなで、このくにをりっぱにさせていきましょうね。」
「えぇ、パンプリーナさま。」

やがて、かぼちゃおうこくはみるみるおおきくなり、パンプリーナはすてきなおうじさまとけっこんしましたとさ。
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