先生、おねがい。

あん

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番外編 おともだち⑤

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 「セフレってそういうもんじゃん?自分の欲求を満たすために、お互いがお互いを利用する。んで、いらなくなったら、後腐れなくサヨナラできる」
 「……」
 「あはっ、別に責めてるんじゃないから、そんな顔しないでよ。イケメンが台無しだぞっ」
 「……どんな顔だよ」
 
 自分がどんな顔してるかなんて、分からない。

 「なぁ、律──」
 「俺嬉しいよ」

 再度気持ちを伝えようとしたけど、そんな俺のことなんてお構いなしに、律はベンチに深く座り直して背を預け、自分勝手にしゃべり続けた。俺の方を見もせずに、飄々と。俺に真意を見せる気はないらしい。

 「だってさ、出会った頃のとっつー見てられなかったもん。捨てられた子猫みたいに、すっごく寂しそうな顔してた」
 「律」
 「だからつい、手を出しちゃったんだけど……もうとっつーが寂しくないんなら、俺はお役御免だよねぇ」
 「……なぁ、律」
 「身体の相性良かったし、ちょーっと惜しいけど、まあ仕方ないっ」
 「律」
 「だって、とっつーには好きな子いるんだし」
 「おい」
 「俺だって他にセフレいっぱいいるし」
 「聞けって」
 「あーあ明日はどうしよっかなぁ」
 「律‼︎」

 全く聞く耳を持たない律に向かって思いっきり叫ぶと、律はピクッと震え、しゃべるのを止めた。けど、それは一瞬で、すぐにおかしそうに笑って、こっちを見る。その顔からは、やっぱり本音は見えない。

 「なぁに。サヨナラするって時に、熱烈に名前呼んじゃって」
 「誰がさよならつったよ」
 「え~?とっつーじゃん。ついさっき、セフレやめようって。もー、ちょっと前のこと忘れるなんて、とっつーはおじいちゃんですか~?」
 「だから!続きがあんだよ!」
 「はい~?これ以上なにがあるって言うのさ」

 (ああもうムカつく!)

 どうしても取り合おうとしない律に苛立ちが募る。俺は怒りにまかせ、グッと律の胸ぐらを掴み、そして一気に息を吸い込んだ。




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