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番外編 白衣③
しおりを挟む「良いよ、心」
ベッドに座って待っていた俺は、恐る恐る後ろを振り返った。そこには、ワイシャツの上に白衣を着て、ご丁寧にコンタクトまで付けてくれた先生の姿が。
「……っ」
息がつまるほどカッコいいその姿に、言葉が出ない。
「心?やっぱり似合わない?」
苦笑する先生に、慌ててブンブンと首を振った。
「すごくっ、すごくすごくカッコいいですっ」
興奮気味に言う俺に、先生はまた苦笑を漏らして「ありがと」と言った。そして、俺の横に腰をおろし、スルリとほっぺを撫でる。
「ていうか、別に着替え見てても良かったのに。暇だったろ」
「だ、だって、なんか恥ずかしい、から……」
後ろを向いてても布ずれの音で心臓がバクバクだったから、恥ずかしいのは変わらなかったけど。それでもやっぱり、大好きな人の身体を見るのは、ものすごく緊張することだから。
「可愛いね、心は。これからもっと恥ずかしいことするのに」
「ふぇっ⁉︎」
(は、恥ずかしいこと⁉︎)
目を見開く俺に、先生はコテンと首を傾げた。
「心はしたくない?」
「いやっ、えっと、あのっ、したくないわけではないですけどっ」
「けど?」
「だけど俺っ、そんなつもりで着てもらったわけじゃ……」
俺はただ単純に、先生の白衣姿を誰よりも早く見たかっただけ。決して、えっちのお誘いをしたわけではないのだ。
「そっか」
切なそうに眉を寄せる先生。その表情にギュンッと胸が疼き、それと同時に罪悪感が生まれる。
「あ……」
(俺のばかばかっ)
そんなつもりでなかったとしても、先生とえっちが出来るのはすごく嬉しい。それなのに、どうして否定するようなことを言ったのだろう。
「あ、あの、でも俺──」
慌てて訂正しようと、先生の白衣をキュッと掴んだ瞬間。
「ひゃあ!」
グイッと両脇を持ち上げられ、俺は先生に抱っこされるような体勢になった。近距離にある端整な顔が、ニコッと微笑む。
「じゃあ、心にその気になってもらえるように頑張るかな」
「……へ?」
「だってほら、俺はもうその気だから。心が可愛すぎて」
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