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「ハッピバースデイ!もっち~!」
パンパンパンッと鳴るクラッカーの音が、放課後の教室に響き渡る。目の前には、先月仲良くなったばかりの友だちが、笑顔でこっちを見ていた。
「ふぇ……?」
何が起こったのか分からなくて、隣にいる山田君を見上げた。そんな俺に、山田君はニカッと笑う。
「今日、望月の誕生日じゃん?みんなでお祝いしようってなってさ!サプライズ!」
(誕生日……)
今日は十月三〇日。俺の生まれた日。
急に山田君に校内をお散歩しようって言われた時は何事かと思ったけど、まさかこんな嬉しいことが待っていたとは。
「……っ」
(どうしよ……)
不意打ちすぎて涙が出そうで。俺は俯いてしまう。
「あっは。泣かくなって。まだまだこれからっしょ」
そんな俺の手を引き寄せてくれたのは、内山君。つーぶろっくって言う髪型をしていて、みんなの中で背が一番大きい。山田君に次ぐムードメーカーさん。
「ケーキもあるんだよぉ。もっちー甘いの好きでしょ」
頭を撫でてくれるのは、一番小さい……俺よりは大きいけど。可愛い系の男の子、愛知君。みんなが言うには、はらぐろ、らしいけど、俺にはよく分からない。だって、いつもお肌のお手入れの仕方とか教えてくれて、とっても優しいから。
「ほらほら、座りたまえー、もっちー」
そして俺の肩を押すのは、すでに知っている通り、よく少女漫画の知識を教えてくれる、松野君。俺はされるがまま、ロウソクが乗っている小さめのホールケーキの前に、腰を下ろした。
「先生来る前に、消して消して!」
「う、うんっ」
山田君の言葉にドキドキしながら、火に「ふー」と息を吹きかける。それと同時にみんながパチパチと拍手をしてくれるのが、なんだか照れくさい。
(こんなの初めて……)
友だちに学校で誕生日を祝ってもらえるなんて初めてで、嬉しくて。
「えへへ……みんな、ありがとう。嬉しい……」
はにかむと、山田君と愛知君にギュッと抱きしめられた。
「ハッピバースデイ!もっち~!」
パンパンパンッと鳴るクラッカーの音が、放課後の教室に響き渡る。目の前には、先月仲良くなったばかりの友だちが、笑顔でこっちを見ていた。
「ふぇ……?」
何が起こったのか分からなくて、隣にいる山田君を見上げた。そんな俺に、山田君はニカッと笑う。
「今日、望月の誕生日じゃん?みんなでお祝いしようってなってさ!サプライズ!」
(誕生日……)
今日は十月三〇日。俺の生まれた日。
急に山田君に校内をお散歩しようって言われた時は何事かと思ったけど、まさかこんな嬉しいことが待っていたとは。
「……っ」
(どうしよ……)
不意打ちすぎて涙が出そうで。俺は俯いてしまう。
「あっは。泣かくなって。まだまだこれからっしょ」
そんな俺の手を引き寄せてくれたのは、内山君。つーぶろっくって言う髪型をしていて、みんなの中で背が一番大きい。山田君に次ぐムードメーカーさん。
「ケーキもあるんだよぉ。もっちー甘いの好きでしょ」
頭を撫でてくれるのは、一番小さい……俺よりは大きいけど。可愛い系の男の子、愛知君。みんなが言うには、はらぐろ、らしいけど、俺にはよく分からない。だって、いつもお肌のお手入れの仕方とか教えてくれて、とっても優しいから。
「ほらほら、座りたまえー、もっちー」
そして俺の肩を押すのは、すでに知っている通り、よく少女漫画の知識を教えてくれる、松野君。俺はされるがまま、ロウソクが乗っている小さめのホールケーキの前に、腰を下ろした。
「先生来る前に、消して消して!」
「う、うんっ」
山田君の言葉にドキドキしながら、火に「ふー」と息を吹きかける。それと同時にみんながパチパチと拍手をしてくれるのが、なんだか照れくさい。
(こんなの初めて……)
友だちに学校で誕生日を祝ってもらえるなんて初めてで、嬉しくて。
「えへへ……みんな、ありがとう。嬉しい……」
はにかむと、山田君と愛知君にギュッと抱きしめられた。
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