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海に着いてからも、俺はなかなか先生に謝罪を切り出せなかった。そんな風にいつまでもウジウジしているうちに、早々に着替えた先生は尾上さんとパラソルを立てに行ってしまい、俺は完全に謝るタイミングを逃してしまった。
(早く謝らなきゃなのに……俺の馬鹿っ……)
素直に謝れない自分に嫌悪感を抱きながら脱衣所を出る。すると、先に外で待っていた山田君が「うぎゃっ」と叫んで、バッと手で顔を覆った。
「え……」
(ど、どうしたんだろう……)
あまりの手の速度に、つい呆気にとられてしまう。バチンッと凄い音がしたし、山田君の顔が心配だ。
「……や、山田君、大丈夫?俺、なんか変だった?」
「いいいいや!?全然!ちっとも変じゃないよ!?むしろ良い!すごく良い!!」
「……?」
山田君の行動の意味が分からなくて首を傾げていると、後ろから戸塚君が顔を覗き込んできた。水着の上に前開きの半袖パーカーを着てる戸塚君。その表情は、何故かとても不機嫌そうだ。
「おい。お前、羽織るもん持ってきてねえのかよ」
「え……」
(羽織るもの……?)
周りを見渡せば、戸塚君のように上着を着ている人がちらほら。
そういえば、荷物を詰めているときに先生が、日差しが強いから持ってった方がいいよって教えてくれた。もちろん言う通りに持ってきたのだけど……。
「あ……着るの忘れてた。荷物の中だ……」
(ボーッとしてたから……)
先生のことばかり考えて、水着を着ただけで力尽きてしまった。そんな俺に戸塚君がため息をつく。
「はぁ。たっく……気をつけろよ」
「ご、ごめんなさい……」
「ちげえ。別に謝る必要はねえけど……お前の場合、ああいう奴がいるんだっつの」
戸塚君は嫌そうに眉をひそめて、山田君の方を睨む。俺も戸塚君に倣って視線を移すと、山田君は顔を覆っているものの、指の隙間からチラチラとこっちを見ていた。日差しのせいなのか、耳まで真っ赤だ。
(こっちっていうか……胸元?)
「ピンク……桃色……いや、桜色……と、とにかく、ヤバい」
「山田君?」
山田君がブツブツ何かを言っている。頑張って聞き取ってみると、どうやら果物の名前を言っているようだ。
(桃?さくら……さくらんぼ?海の家にあるのかな?)
そう考えついた俺は、山田君に一歩近づいた。
「もしかして、食べたいの?」
ただ普通に聞いただけだったんだけど、俺の質問を聞いた瞬間、山田君はボボっと茹でダコみたいになった。そして、ザザッと勢いよく後ずさり、首をブンブンと左右に振った。あまりの勢いに、首が取れてしまうんではないかと心配になる。
「そ、そそそそんなまさか!しゃぶりつきたいなんて、まさかそんな!!」
「えっ、しゃぶり……?」
「……っ!なななんでもない!!お、俺っ、泳いで頭冷やしてくる!!」
「えっ、山田君!?」
海に着いてからも、俺はなかなか先生に謝罪を切り出せなかった。そんな風にいつまでもウジウジしているうちに、早々に着替えた先生は尾上さんとパラソルを立てに行ってしまい、俺は完全に謝るタイミングを逃してしまった。
(早く謝らなきゃなのに……俺の馬鹿っ……)
素直に謝れない自分に嫌悪感を抱きながら脱衣所を出る。すると、先に外で待っていた山田君が「うぎゃっ」と叫んで、バッと手で顔を覆った。
「え……」
(ど、どうしたんだろう……)
あまりの手の速度に、つい呆気にとられてしまう。バチンッと凄い音がしたし、山田君の顔が心配だ。
「……や、山田君、大丈夫?俺、なんか変だった?」
「いいいいや!?全然!ちっとも変じゃないよ!?むしろ良い!すごく良い!!」
「……?」
山田君の行動の意味が分からなくて首を傾げていると、後ろから戸塚君が顔を覗き込んできた。水着の上に前開きの半袖パーカーを着てる戸塚君。その表情は、何故かとても不機嫌そうだ。
「おい。お前、羽織るもん持ってきてねえのかよ」
「え……」
(羽織るもの……?)
周りを見渡せば、戸塚君のように上着を着ている人がちらほら。
そういえば、荷物を詰めているときに先生が、日差しが強いから持ってった方がいいよって教えてくれた。もちろん言う通りに持ってきたのだけど……。
「あ……着るの忘れてた。荷物の中だ……」
(ボーッとしてたから……)
先生のことばかり考えて、水着を着ただけで力尽きてしまった。そんな俺に戸塚君がため息をつく。
「はぁ。たっく……気をつけろよ」
「ご、ごめんなさい……」
「ちげえ。別に謝る必要はねえけど……お前の場合、ああいう奴がいるんだっつの」
戸塚君は嫌そうに眉をひそめて、山田君の方を睨む。俺も戸塚君に倣って視線を移すと、山田君は顔を覆っているものの、指の隙間からチラチラとこっちを見ていた。日差しのせいなのか、耳まで真っ赤だ。
(こっちっていうか……胸元?)
「ピンク……桃色……いや、桜色……と、とにかく、ヤバい」
「山田君?」
山田君がブツブツ何かを言っている。頑張って聞き取ってみると、どうやら果物の名前を言っているようだ。
(桃?さくら……さくらんぼ?海の家にあるのかな?)
そう考えついた俺は、山田君に一歩近づいた。
「もしかして、食べたいの?」
ただ普通に聞いただけだったんだけど、俺の質問を聞いた瞬間、山田君はボボっと茹でダコみたいになった。そして、ザザッと勢いよく後ずさり、首をブンブンと左右に振った。あまりの勢いに、首が取れてしまうんではないかと心配になる。
「そ、そそそそんなまさか!しゃぶりつきたいなんて、まさかそんな!!」
「えっ、しゃぶり……?」
「……っ!なななんでもない!!お、俺っ、泳いで頭冷やしてくる!!」
「えっ、山田君!?」
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