19 / 28
第2章
第19話 異世界のお城と姫と夏フェスと
しおりを挟む
エリス王女は、俺の差しだしたペットボトルのスポーツドリンクを手に取る。
「カイさん、これは?」
「これは、エリクサーです!」
俺の言葉に部屋中にどよめきが起こる。
「何を言っている?エリクサーは空想上のものだ!」
ヴェゼルにも多少は薬の知識があるのだろう。やつの大声が響く。
だが空想上と言われようとも、鑑定の結果はエリクサー。これは実際に存在しているのだ。
王家侍医ミハエルさんも初めて見るらしく、驚きながらスポーツドリンクを見つめている。
「カイ殿……、それは誠ですか?私も伝承では聞いた事がありますが、現実には存在しない架空の薬だと思っていました。その入れ物も面妖な……。これは一体どこで手に入れたものなのですか?」
「えっと、俺の国からたまたま1本だけ持ってきてたんです……」
「カイ殿はグリセリア国民ではなかったのですか!1本だけ……、これだけしかお持ちでないのですね?」
あっ、なんかいろいろとボロが出そう。言葉には気を付けないと。
「そうです。それ1本しかありません」
「確かエリクサーとは、錬金術で作り出せるという伝説の秘薬。もしそれが本当にエリクサーならば、服用することで如何なる病も治すことができると聞いた事があります。ですが……」
何か問題があるのだろうか?
ミハエルはエリス王女からペットボトルを取り上げると言った。
「こちらで調査してからでないと、王女様には飲ませることはできません。もしかしたら毒が入っているかもわかりませんから。カイ殿はこちらでしばらくお待ち願えますか?」
アロエだって、全員で鑑定してから試食もし、確認してから王女に服用してたんだ。
俺がエリクサーだと言っても、ミハエルさんたち侍医がしっかり鑑定して大丈夫だと保証してからでないと王女に飲ませることなどできるはずがない。
俺は少し焦りすぎていたと反省した。
「分かりました」
「そうだ!毒だ!毒に決まっている!この男は王女を毒殺しようとどこかから送られてきた刺客に違いない!エリクサーなどという戯言を誰が信じるものか!」
騒がしいヴェゼルは無視だ。
「カイ殿。言っておきますが、万が一これが王女の健康に害するものだと分かった場合は、ただではすみませんぞ」
ミハエルさんは俺にそう脅すが、俺が同じ立場ならそう言うだろうと思うと怒りは湧かない。
俺は真っすぐミハエルさんの目を見て答えた。
「はい。確認よろしくお願いします!」
俺が異世界から来ているという事情を知っているファランさんもクロエも何も言わない。俺のことを信じてくれているからだろう。何も言わず俺に大丈夫だと頷くと、ミハエルさんと一緒に別室へと向かった。ヴェゼルもなぜか一同に付いて出て行く。
部屋には、俺とロデリック王太子、エリス王女と王女のメイドの四人が取り残された。
「すまないカイ。お前を信じていないわけではないのだが」
「いえ、突然すいませんでした。しっかりと鑑定してもらえば信じてもらえるはずです。エリス様の病気もきっと治るはずです!」
俺を気にかけてくれるロデリック王太子に、根拠はないけど俺は断言した。
いや根拠ならある。ミハエルさんが、もしエリクサーならどんな病気も治せると言ったからだ。鑑定の結果、スポーツドリンクがエリクサーであることは間違いない。だとしたら王女の病気は必ず治せる。俺のいた世界では治せないような重病でも、不思議な力に満ちたこの世界なら、奇跡が起こるはずだ。
「ありがとうございます……」
か弱い声でエリス王女もお礼を言ってくれた。
病気が治ればこの声ももっと元気になるだろうし、そのやつれた笑顔にも健康的な美しさが戻るだろう。
「でもエリス様。ミハエルさんも言っていたんですが、薬だけではなくエリス様自身の治ろうと思う気持ちも大切です!元気になってどんなことがしたいとか、目標を立てるのもいいと思います。未来に夢を持ってくださいね」
「目標……ですか」
「そうです。些細なことでもいいんです。どんな事をしたいだとか、どんなものを食べたいだとか。エリス様の好きな事を想像するんです」
俺の言葉にロデリック王太子も共感してくれた。
「おお!そうだな。エリス、元気になったら何か食べたい物はあるか?なんでも用意するぞ!」
「う~ん、今食欲がないので何とも……」
「そうか。そういえばお前は観劇が好きだったな。オペラでも見に行くか?それともクラシックコンサートにするか?」
「音楽は久しぶりに聴いてみたいです」
「そうか!では動けるようになったらすぐに手配するぞ!」
エリス王女の言葉に、ロデリック王太子はとても嬉しそうな顔をする。
「エリス様も音楽が好きなんですか?」
「まあ、カイさんも?」
「ええ、俺はちょっと騒がしい音楽が好きなんですけどね」
「騒がしい?クラシック音楽とは違うのですか?」
「僕の好きな音楽は、クラシックとは楽器の編成が違っていて……、大衆音楽っつうんですかね?音楽ジャンルの事は不勉強なんですが」
「大衆音楽というと、街中で吟遊詩人が広場や酒場などで歌っているようなやつですか?」
「そっちの方が近いかもしれません。でも大衆相手にコンサートホールで演奏されることもあって、俺が特に好きなのは、ドラム、ベース、ギターと歌い手で編成されていて、ロックと言われてます」
「まあ。大衆向けコンサートホールがあるだなんて、カイさんの国では音楽が盛んなのですね!素敵!」
音楽の話になったら、王女がめちゃくちゃ食いついてきた。王太子も腕を組んで興味深そうに聞いているもんだから、つい俺のいつもの癖が出てしまい、語り始めてしまった。
「コンサートホールでもそうなのですが、俺は野外で行われる大規模なコンサートが大好きなんです!特に夏に行われるものを夏フェスと呼ばれていて、俺は毎年行ってるんです。大きな会場が何か所かあり、どこの演奏を見ても自由です。各会場に交替でいろんな音楽家のグループが出演しているので、一日中どこかから音楽が聞こえてきます。お祭りみたいなもので、各地の美味しいものの屋台が出ていたり音楽以外にもいろいろと楽しめるんですけどね。でもやっぱり何万人もの観客が集まって、全員で一つの音楽に熱狂するのが最高です!」
あ、ヤバい。喋りすぎちゃったかな?と思って二人の顔を見る。
ロデリック王太子は相変わらず興味深そうな顔をしていた。
そして王女に至っては、とても目をキラキラとさせていた。
「それは素敵ですね!私も行ってみたいです。私が元気になったら、ぜひこの国でも夏フェスとやらを開催してみたいです!」
「うむ。それも良いな」
恐らくこの国にはアンプとかエレキとかないだろうけど、そんな規模が大きいライブとかできるのか?
オーケストラは同じ楽器を同時にたくさん演奏することで音を倍増させていると聞いた事があるけど、楽器いくつ用意すればいいんだ?
などと俺が、この世界での大規模な野外コンサートの実現は難しそうだなあと考えている間、エリス王女はとても楽しそうに空想をしているようだった。
まあ、実現できなくても、今は王女が夢を持つのは良い事か。
それから間もなくして、ミハエルさんたちが戻って来た。
お盆の上に、スポーツドリンクのペットボトルと、それを飲むためのガラスのコップを用意して。
「……ん?」
俺は違和感に気付き、思わず声が漏れる。
それは、なぜかペットボトルの中身が半分以下に減っていたからだ。
「カイさん、これは?」
「これは、エリクサーです!」
俺の言葉に部屋中にどよめきが起こる。
「何を言っている?エリクサーは空想上のものだ!」
ヴェゼルにも多少は薬の知識があるのだろう。やつの大声が響く。
だが空想上と言われようとも、鑑定の結果はエリクサー。これは実際に存在しているのだ。
王家侍医ミハエルさんも初めて見るらしく、驚きながらスポーツドリンクを見つめている。
「カイ殿……、それは誠ですか?私も伝承では聞いた事がありますが、現実には存在しない架空の薬だと思っていました。その入れ物も面妖な……。これは一体どこで手に入れたものなのですか?」
「えっと、俺の国からたまたま1本だけ持ってきてたんです……」
「カイ殿はグリセリア国民ではなかったのですか!1本だけ……、これだけしかお持ちでないのですね?」
あっ、なんかいろいろとボロが出そう。言葉には気を付けないと。
「そうです。それ1本しかありません」
「確かエリクサーとは、錬金術で作り出せるという伝説の秘薬。もしそれが本当にエリクサーならば、服用することで如何なる病も治すことができると聞いた事があります。ですが……」
何か問題があるのだろうか?
ミハエルはエリス王女からペットボトルを取り上げると言った。
「こちらで調査してからでないと、王女様には飲ませることはできません。もしかしたら毒が入っているかもわかりませんから。カイ殿はこちらでしばらくお待ち願えますか?」
アロエだって、全員で鑑定してから試食もし、確認してから王女に服用してたんだ。
俺がエリクサーだと言っても、ミハエルさんたち侍医がしっかり鑑定して大丈夫だと保証してからでないと王女に飲ませることなどできるはずがない。
俺は少し焦りすぎていたと反省した。
「分かりました」
「そうだ!毒だ!毒に決まっている!この男は王女を毒殺しようとどこかから送られてきた刺客に違いない!エリクサーなどという戯言を誰が信じるものか!」
騒がしいヴェゼルは無視だ。
「カイ殿。言っておきますが、万が一これが王女の健康に害するものだと分かった場合は、ただではすみませんぞ」
ミハエルさんは俺にそう脅すが、俺が同じ立場ならそう言うだろうと思うと怒りは湧かない。
俺は真っすぐミハエルさんの目を見て答えた。
「はい。確認よろしくお願いします!」
俺が異世界から来ているという事情を知っているファランさんもクロエも何も言わない。俺のことを信じてくれているからだろう。何も言わず俺に大丈夫だと頷くと、ミハエルさんと一緒に別室へと向かった。ヴェゼルもなぜか一同に付いて出て行く。
部屋には、俺とロデリック王太子、エリス王女と王女のメイドの四人が取り残された。
「すまないカイ。お前を信じていないわけではないのだが」
「いえ、突然すいませんでした。しっかりと鑑定してもらえば信じてもらえるはずです。エリス様の病気もきっと治るはずです!」
俺を気にかけてくれるロデリック王太子に、根拠はないけど俺は断言した。
いや根拠ならある。ミハエルさんが、もしエリクサーならどんな病気も治せると言ったからだ。鑑定の結果、スポーツドリンクがエリクサーであることは間違いない。だとしたら王女の病気は必ず治せる。俺のいた世界では治せないような重病でも、不思議な力に満ちたこの世界なら、奇跡が起こるはずだ。
「ありがとうございます……」
か弱い声でエリス王女もお礼を言ってくれた。
病気が治ればこの声ももっと元気になるだろうし、そのやつれた笑顔にも健康的な美しさが戻るだろう。
「でもエリス様。ミハエルさんも言っていたんですが、薬だけではなくエリス様自身の治ろうと思う気持ちも大切です!元気になってどんなことがしたいとか、目標を立てるのもいいと思います。未来に夢を持ってくださいね」
「目標……ですか」
「そうです。些細なことでもいいんです。どんな事をしたいだとか、どんなものを食べたいだとか。エリス様の好きな事を想像するんです」
俺の言葉にロデリック王太子も共感してくれた。
「おお!そうだな。エリス、元気になったら何か食べたい物はあるか?なんでも用意するぞ!」
「う~ん、今食欲がないので何とも……」
「そうか。そういえばお前は観劇が好きだったな。オペラでも見に行くか?それともクラシックコンサートにするか?」
「音楽は久しぶりに聴いてみたいです」
「そうか!では動けるようになったらすぐに手配するぞ!」
エリス王女の言葉に、ロデリック王太子はとても嬉しそうな顔をする。
「エリス様も音楽が好きなんですか?」
「まあ、カイさんも?」
「ええ、俺はちょっと騒がしい音楽が好きなんですけどね」
「騒がしい?クラシック音楽とは違うのですか?」
「僕の好きな音楽は、クラシックとは楽器の編成が違っていて……、大衆音楽っつうんですかね?音楽ジャンルの事は不勉強なんですが」
「大衆音楽というと、街中で吟遊詩人が広場や酒場などで歌っているようなやつですか?」
「そっちの方が近いかもしれません。でも大衆相手にコンサートホールで演奏されることもあって、俺が特に好きなのは、ドラム、ベース、ギターと歌い手で編成されていて、ロックと言われてます」
「まあ。大衆向けコンサートホールがあるだなんて、カイさんの国では音楽が盛んなのですね!素敵!」
音楽の話になったら、王女がめちゃくちゃ食いついてきた。王太子も腕を組んで興味深そうに聞いているもんだから、つい俺のいつもの癖が出てしまい、語り始めてしまった。
「コンサートホールでもそうなのですが、俺は野外で行われる大規模なコンサートが大好きなんです!特に夏に行われるものを夏フェスと呼ばれていて、俺は毎年行ってるんです。大きな会場が何か所かあり、どこの演奏を見ても自由です。各会場に交替でいろんな音楽家のグループが出演しているので、一日中どこかから音楽が聞こえてきます。お祭りみたいなもので、各地の美味しいものの屋台が出ていたり音楽以外にもいろいろと楽しめるんですけどね。でもやっぱり何万人もの観客が集まって、全員で一つの音楽に熱狂するのが最高です!」
あ、ヤバい。喋りすぎちゃったかな?と思って二人の顔を見る。
ロデリック王太子は相変わらず興味深そうな顔をしていた。
そして王女に至っては、とても目をキラキラとさせていた。
「それは素敵ですね!私も行ってみたいです。私が元気になったら、ぜひこの国でも夏フェスとやらを開催してみたいです!」
「うむ。それも良いな」
恐らくこの国にはアンプとかエレキとかないだろうけど、そんな規模が大きいライブとかできるのか?
オーケストラは同じ楽器を同時にたくさん演奏することで音を倍増させていると聞いた事があるけど、楽器いくつ用意すればいいんだ?
などと俺が、この世界での大規模な野外コンサートの実現は難しそうだなあと考えている間、エリス王女はとても楽しそうに空想をしているようだった。
まあ、実現できなくても、今は王女が夢を持つのは良い事か。
それから間もなくして、ミハエルさんたちが戻って来た。
お盆の上に、スポーツドリンクのペットボトルと、それを飲むためのガラスのコップを用意して。
「……ん?」
俺は違和感に気付き、思わず声が漏れる。
それは、なぜかペットボトルの中身が半分以下に減っていたからだ。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
異世界は黒猫と共に
小笠原慎二
ファンタジー
我が家のニャイドル黒猫のクロと、異世界に迷い込んだ八重子。
「チート能力もらってないんだけど」と呟く彼女の腕には、その存在が既にチートになっている黒猫のクロが。クロに助けられながらなんとか異世界を生き抜いていく。
ペガサス、グリフォン、妖精が従魔になり、紆余曲折を経て、ドラゴンまでも従魔に。途中で獣人少女奴隷も仲間になったりして、本人はのほほんとしながら異世界生活を満喫する。
自称猫の奴隷作者が贈る、猫ラブ異世界物語。
猫好きは必見、猫はちょっとという人も、読み終わったら猫好きになれる(と思う)お話。
小さな希望を紡ぐ姫と鋼鉄の王虎を駆る勇者 ~ティーガー戦車異世界戦記~【挿絵あり】
ニセ梶原康弘
ファンタジー
――この力を、弱き者を救う為に捧げたい
異世界リアルリバーへ現れたチート勇者達の暴虐によって魔族は迫害され、今まさに滅びようとしていた。そんな彼等を救ったのは、ひとりの少年と重戦車「キングタイガー」だった。
少年を仲間に迎え入れた魔物達は王姫アリスティアに導かれ新天地を求め西へと旅立つが、魔族を追うチート勇者達は執拗に一行をつけ狙う。そして、それらを冷ややかに見つめる謎の魔少女……
幾度も迫る危機、流される血と涙。明かされる異世界の真実……果たして最後の楽園は見つかるのか?異世界チートの暴虐を蹴散らす怒りの砲声と共に少年は叫ぶ、「戦車前へ!」
これは異世界で悪を捨てた魔族が求めた希望と救済と、そして小さな愛の物語
国を建て直す前に自分を建て直したいんだが! ~何かが足りない異世界転生~
猫村慎之介
ファンタジー
オンラインゲームをプレイしながら寝落ちした佐藤綾人は
気が付くと全く知らない場所で
同じオンラインゲームプレイヤーであり親友である柳原雅也と共に目覚めた。
そこは剣と魔法が支配する幻想世界。
見た事もない生物や、文化が根付く国。
しかもオンラインゲームのスキルが何故か使用でき
身体能力は異常なまでに強化され
物理法則を無視した伝説級の武器や防具、道具が現れる。
だがそんな事は割とどうでも良かった。
何より異変が起きていたのは、自分自身。
二人は使っていたキャラクターのアバターデータまで引き継いでいたのだ。
一人は幼精。
一人は猫女。
何も分からないまま異世界に飛ばされ
性転換どころか種族まで転換されてしまった二人は
勢いで滅亡寸前の帝国の立て直しを依頼される。
引き受けたものの、帝国は予想以上に滅亡しそうだった。
「これ詰んでるかなぁ」
「詰んでるっしょ」
強力な力を得た代償に
大事なモノを失ってしまった転生者が織りなす
何かとままならないまま
チートで無茶苦茶する異世界転生ファンタジー開幕。
迷宮探索者の憂鬱
焔咲 仄火
ファンタジー
迷宮探索者ロキは、時々変な夢を見ることがあった。
それはこの世界とは別の世界で、とても苦しんでいる夢だ。
それがロキの前世の出来事だったと気づいた時、現在の置かれている状況も前世とあまり変わりのないものだと気づく。
これは迷宮探索者ロキが、現状のブラックな環境から脱出し、ホワイトな迷宮探索者生活を目指す話です。
※ダンジョンものを書きたいと思って書き始めました。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
半神の守護者
ぴっさま
ファンタジー
ロッドは何の力も無い少年だったが、異世界の創造神の血縁者だった。
超能力を手に入れたロッドは前世のペット、忠実な従者をお供に世界の守護者として邪神に立ち向かう。
〜概要〜
臨時パーティーにオークの群れの中に取り残されたロッドは、不思議な生き物に助けられこの世界の神と出会う。
実は神の遠い血縁者でこの世界の守護を頼まれたロッドは承諾し、通常では得られない超能力を得る。
そして魂の絆で結ばれたユニークモンスターのペット、従者のホムンクルスの少女を供にした旅が始まる。
■注記
本作品のメインはファンタジー世界においての超能力の行使になります。
他サイトにも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる