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Phase 1 生まれ変わってもブラック会社に勤めていた迷宮探索者の憂鬱
第47話 告白タイム
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食事のあとにカリナがロキに連れて来られたのは、静かなバーだった。
二人が通されたのは窓際の席、窓からは高台の下に広がる迷宮都市が見渡せた。
電気がない世界だが、魔道具のライトによって照らされた街中。ロキの前世と同じような夜景が広がっていた。
「すごい……なんか想像してたお店と全然違うんだけど……」
「あれ?気に入らなかった?」
「逆よ!こんなおばさん誘ってくる場所じゃないわよ!」
「いやカリナさんはおばさんじゃないし、若くてきれいだよ」
「そんなお世辞言っても何も出ないわよ!」
といいつつまんざらでもない顔をして照れるカリナ。
照れをごまかすかのように、視線をロキから手に持つグラスに移す。
グラスの中にはカラフルなグラデーションとなっているカクテルが注がれている。
カリナはカクテルを口にする。
「美味しい。こんなおしゃれなカクテルを飲むのも初めてよ。ロキ、今日は食事もこのお店にも、連れてきてくれてありがとう」
「どういたしまして」
「もう!なんでそんなに余裕なの?もしかしていろんな女の子のを連れて来てるんじゃないの?」
「いやいや、俺だってそもそもこの地区に来ること自体が初めてだよ。ギルドで聞いたんだよ。A級探索者が行くような高級なお店の事を。まあ前世なら多少はこういうお店に行った経験あるけどね」
「はいはい、前世ね。その落ち着きっぷりを見てると、本当にあなたが年上なんじゃないかって気がしてきちゃうわ」
「本当だって!」
「じゃあそういうことにしておくわ」
「絶対信じてないじゃん」
「ウフフ……」
「楽しそうだね?」
「楽しいわよ」
「……俺も正直こういうの慣れてないんだけど、カリナさん、よかったら俺とお付き合いしてほしい」
「え?!」
突然のロキの告白に、カリナの表情が変わる。
驚いているが、でも少し嬉しそうではあった。
★★★★★★★★
一方その頃、レギオンではアルマたちがロキの噂話をしていた。
「ロキさん今頃うまくいってるかな~?」
「ね~?」
「おまえらそういう話好きだな……」
楽しそうにロキの話をしていたアルマとココロの二人に、レオンが呆れていた。
「だってそういう話って楽しいじゃないですか!」
「楽しいか?まあ他人事だから楽しいってのはあるかもな」
「他人事ってひどいです!レオンさんお友達じゃないですか!それに私たちのレギオンの代表ですよー」
「それはそうだけどな」
「レオンさんはどう思います?ロキさんとカリナさん、うまくいくと思います?」
「さあな?ロキがカリナに惚れてるのは知ってたけど、カリナの気持ちは分からねえし、なんとも言えないな」
「冷たいですね。もっとロキさんを応援してあげたらどうですか?」
「俺が応援したところでどうなるものでもないだろう?まあでも確かに、我がレギオン、いや俺はあんまり関係ないけど、おまえたちパーティーにとっては重大な問題ではあるかもな」
「え?何でですか?」
レオンにそう言われて、アルマもココロも意味が分からず不思議そうな顔をしている。
「もしかしてアルマちゃんたちの方こそ他人事なんじゃないのか?考えてみろ。カリナは前夫を迷宮で亡くしてるんだぞ?もしカリナとロキが付き合うようになったとしたら、カリナはロキに迷宮探索者を辞めて一緒に店をやってくれって言うかもしれないぞ?」
「え?そしたら私たちはどうなるんですか?」
「ロキがいなくなったらどうするんだ?」
「だって、私たちだけじゃ迷宮探索はできないです」
「その前に、ロキが辞めたらこのレギオンは解散だな。俺はソロに戻るだけだけど」
「そんな……私たちは前のレギオンを辞めてるし、他に行くとこないですよ~!」
「じゃあロキがフラれるのを祈るんだな」
「それじゃロキさんが可哀想です」
「じゃあロキとカリナがくっついて、このレギオンが無くなる方がいいのか?」
「それはもっと嫌ですー!!」
「まあ、俺らの意思でどうこうなることじゃないけどな!かっかっかっ!」
★★★★★★★★
「本気なの……?」
「もちろん」
突然のロキの告白を聞き、カリナが言葉に詰まる。
ロキは返事を待って、黙ってカリナを見つめている。
二人の間に沈黙が流れ、先ほどまでの穏やかな時間がうそのように、緊張感が漂っていた。
ほんの数分だったのか、それとももっと長い時間だったのか。二人にはそれ以上に長く感じられた沈黙を破り、カリナが答えを口にした。
「そう言ってくれて嬉しいわロキ……」
カリナはロキの顔をじっと見つめる。
「完全にお酒に酔っちゃってたら、すぐにOKと言っちゃいそうね。私みたいなおばさん相手にしなくても、あなたはまだ若いし稼ぎも良いしいくらでも若い女の子と付き合えるわよ」
「それは遠回しに俺とは付き合えないって言ってるってこと?」
「そうよ。私はもう30歳よ」
「この世界は早く結婚しすぎなんだよ。俺の前世じゃ30はまだまだ若いし、年の差を気にする人だって少なかった……」
「ここはあなたの前世じゃないの……」
「いや、でも、カリナさんはおばさんじゃないって。俺は精神年齢が40だから若い子は恋愛対象にならないんだ」
「いくつくらいの子が恋愛対象なの?」
「上は40、下は30くらいかなあ?」
「あなた自分の外見気にしたことある?」
「そんなに俺ブサイク?」
「そう意味じゃないわよ!若いのよ!あなたは肌もきれいだし、まだ少年の面持ちを残しているの。そんな若い子と30過ぎの私みたいな女が付き合って御覧、みんな悪い噂ばかりするわよ!ババアが若造をだましてるって」
「そんなこと言わせない!」
「あなたがどうこういう問題じゃないのよ。世間はそうやって見るわ。男が年上の年の差婚は貴族の間とかでよく聞くけれど、女が年上の年の差恋愛なんてほとんど聞いたことないわ」
「じゃあ30から40が恋愛対象で、実年齢20歳の俺はどうしたら?」
「もう10年待てばいいんじゃない?」
「もう10年経ったら、多分恋愛対象も10歳上になる……」
「……あなた、恋愛は諦めなさい」
「いやだー!!!」
★★★★★★★★
カリナにフラれたロキが意気消沈したままレギオンに帰宅すると、ロキの帰りを待っていたアルマたちが殺到する。
どうだったか聞かれ、しぶしぶフラれたことを報告すると、みんな安堵の表情を浮かべ喜び、ロキはとても複雑な気持ちになった。
二人が通されたのは窓際の席、窓からは高台の下に広がる迷宮都市が見渡せた。
電気がない世界だが、魔道具のライトによって照らされた街中。ロキの前世と同じような夜景が広がっていた。
「すごい……なんか想像してたお店と全然違うんだけど……」
「あれ?気に入らなかった?」
「逆よ!こんなおばさん誘ってくる場所じゃないわよ!」
「いやカリナさんはおばさんじゃないし、若くてきれいだよ」
「そんなお世辞言っても何も出ないわよ!」
といいつつまんざらでもない顔をして照れるカリナ。
照れをごまかすかのように、視線をロキから手に持つグラスに移す。
グラスの中にはカラフルなグラデーションとなっているカクテルが注がれている。
カリナはカクテルを口にする。
「美味しい。こんなおしゃれなカクテルを飲むのも初めてよ。ロキ、今日は食事もこのお店にも、連れてきてくれてありがとう」
「どういたしまして」
「もう!なんでそんなに余裕なの?もしかしていろんな女の子のを連れて来てるんじゃないの?」
「いやいや、俺だってそもそもこの地区に来ること自体が初めてだよ。ギルドで聞いたんだよ。A級探索者が行くような高級なお店の事を。まあ前世なら多少はこういうお店に行った経験あるけどね」
「はいはい、前世ね。その落ち着きっぷりを見てると、本当にあなたが年上なんじゃないかって気がしてきちゃうわ」
「本当だって!」
「じゃあそういうことにしておくわ」
「絶対信じてないじゃん」
「ウフフ……」
「楽しそうだね?」
「楽しいわよ」
「……俺も正直こういうの慣れてないんだけど、カリナさん、よかったら俺とお付き合いしてほしい」
「え?!」
突然のロキの告白に、カリナの表情が変わる。
驚いているが、でも少し嬉しそうではあった。
★★★★★★★★
一方その頃、レギオンではアルマたちがロキの噂話をしていた。
「ロキさん今頃うまくいってるかな~?」
「ね~?」
「おまえらそういう話好きだな……」
楽しそうにロキの話をしていたアルマとココロの二人に、レオンが呆れていた。
「だってそういう話って楽しいじゃないですか!」
「楽しいか?まあ他人事だから楽しいってのはあるかもな」
「他人事ってひどいです!レオンさんお友達じゃないですか!それに私たちのレギオンの代表ですよー」
「それはそうだけどな」
「レオンさんはどう思います?ロキさんとカリナさん、うまくいくと思います?」
「さあな?ロキがカリナに惚れてるのは知ってたけど、カリナの気持ちは分からねえし、なんとも言えないな」
「冷たいですね。もっとロキさんを応援してあげたらどうですか?」
「俺が応援したところでどうなるものでもないだろう?まあでも確かに、我がレギオン、いや俺はあんまり関係ないけど、おまえたちパーティーにとっては重大な問題ではあるかもな」
「え?何でですか?」
レオンにそう言われて、アルマもココロも意味が分からず不思議そうな顔をしている。
「もしかしてアルマちゃんたちの方こそ他人事なんじゃないのか?考えてみろ。カリナは前夫を迷宮で亡くしてるんだぞ?もしカリナとロキが付き合うようになったとしたら、カリナはロキに迷宮探索者を辞めて一緒に店をやってくれって言うかもしれないぞ?」
「え?そしたら私たちはどうなるんですか?」
「ロキがいなくなったらどうするんだ?」
「だって、私たちだけじゃ迷宮探索はできないです」
「その前に、ロキが辞めたらこのレギオンは解散だな。俺はソロに戻るだけだけど」
「そんな……私たちは前のレギオンを辞めてるし、他に行くとこないですよ~!」
「じゃあロキがフラれるのを祈るんだな」
「それじゃロキさんが可哀想です」
「じゃあロキとカリナがくっついて、このレギオンが無くなる方がいいのか?」
「それはもっと嫌ですー!!」
「まあ、俺らの意思でどうこうなることじゃないけどな!かっかっかっ!」
★★★★★★★★
「本気なの……?」
「もちろん」
突然のロキの告白を聞き、カリナが言葉に詰まる。
ロキは返事を待って、黙ってカリナを見つめている。
二人の間に沈黙が流れ、先ほどまでの穏やかな時間がうそのように、緊張感が漂っていた。
ほんの数分だったのか、それとももっと長い時間だったのか。二人にはそれ以上に長く感じられた沈黙を破り、カリナが答えを口にした。
「そう言ってくれて嬉しいわロキ……」
カリナはロキの顔をじっと見つめる。
「完全にお酒に酔っちゃってたら、すぐにOKと言っちゃいそうね。私みたいなおばさん相手にしなくても、あなたはまだ若いし稼ぎも良いしいくらでも若い女の子と付き合えるわよ」
「それは遠回しに俺とは付き合えないって言ってるってこと?」
「そうよ。私はもう30歳よ」
「この世界は早く結婚しすぎなんだよ。俺の前世じゃ30はまだまだ若いし、年の差を気にする人だって少なかった……」
「ここはあなたの前世じゃないの……」
「いや、でも、カリナさんはおばさんじゃないって。俺は精神年齢が40だから若い子は恋愛対象にならないんだ」
「いくつくらいの子が恋愛対象なの?」
「上は40、下は30くらいかなあ?」
「あなた自分の外見気にしたことある?」
「そんなに俺ブサイク?」
「そう意味じゃないわよ!若いのよ!あなたは肌もきれいだし、まだ少年の面持ちを残しているの。そんな若い子と30過ぎの私みたいな女が付き合って御覧、みんな悪い噂ばかりするわよ!ババアが若造をだましてるって」
「そんなこと言わせない!」
「あなたがどうこういう問題じゃないのよ。世間はそうやって見るわ。男が年上の年の差婚は貴族の間とかでよく聞くけれど、女が年上の年の差恋愛なんてほとんど聞いたことないわ」
「じゃあ30から40が恋愛対象で、実年齢20歳の俺はどうしたら?」
「もう10年待てばいいんじゃない?」
「もう10年経ったら、多分恋愛対象も10歳上になる……」
「……あなた、恋愛は諦めなさい」
「いやだー!!!」
★★★★★★★★
カリナにフラれたロキが意気消沈したままレギオンに帰宅すると、ロキの帰りを待っていたアルマたちが殺到する。
どうだったか聞かれ、しぶしぶフラれたことを報告すると、みんな安堵の表情を浮かべ喜び、ロキはとても複雑な気持ちになった。
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