コーヒー

dragon49

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コーヒー

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 コーヒーという飲み物があります。コーヒーベルトといわれる赤道近辺の暑ーい所で栽培される主にアラビカコーヒーの木から採れる実の種を焙煎し挽いて飲料にするものです。

 このコーヒー、カフェインが含まれていますので、朝の起きぬけに気付けの一杯、あるいは仕事の合間休憩時間でコーヒーブレイク、仕事終わりの自分への褒美に一杯と日本人の日常で普通に見られる光景になりました。

 いつ頃から日本に入ってきたのか定かではありませんが、既に江戸時代のインテリ大田南畝による随筆や蘭方医の著述の中で見られます。が、まだ庶民にはお茶が一般的でした。

 明治の終わり大正になりますと銀座にカフェーなる風俗店ができまして、大正デモクラシーとともに一世を風靡、女給と呼ばれる綺麗なオネーサンたちがインテリを相手に媚びを売る商売を始めます。

ー都内路地裏の喫茶店で~

 M氏は、都内の中堅サラリーマン、路地裏の喫茶店「西阿弗利加」に入り浸っては、そこのマスターと話し込んでいます。

マスター「豆はひいといたよ。銘柄は適当に見繕ってね」

M「実は、女房への久々の贈り物なんですよ。あっ、これは女房の好きなキリマンジャロ、よく分かりましたね」

ここでM氏は、思い詰めたように下を向いてテーブルを見つめた。

M「私と女房との関係はもうとっくに冷え切ってまして、もう何年も寝室は別々に・・」

マスターは、キュキュとグラスを拭く手を止めた。みなまで言うなといわんばかりに。

マスター「わかっているよ、ギリマンジャロだろ」
 
 
 
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