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強欲の指輪
VS牛泥棒
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私は今フィーロと、長閑な田舎町に来ている。
ところで宿の主人が女性だと、占いと引き替えにタダで泊めてもらえることがある。
今回は宿の女将さんと娘さんに気に入られて、夕食までご馳走になった。
久しぶりに清潔なベッドで安心して眠った翌朝。
宿屋のベッドで目を覚ました私は、今日の予定を確認しようと紫のコンパクトを開いた。
すると開口一番、フィーロがニッコリと
「おめでとう、我が君。今日はとうとう俺たちの旅の最重要目的である、悪魔の指輪の最初の1つが手に入る」
この世の全てを見通す鏡の賢者に、朝一番に予言される。
悪魔の指輪はその1つ1つが恐ろしい魔法を宿し、7つ集めればどんな願いでも叶うと言う。
それって、もっと強力なアイテムや頼もしい仲間を集めて、過酷な旅の果てに手に入るものじゃないかな?
私この世界に来てから、ほとんど占いしかしてないし、以前言っていた神の宝も1つも手に入れてない。
それなのに、もう悪魔の指環の1つとエンカウントするの?
物語の最重要アイテムがタダで手に入るはずがない。
どんな恐ろしい困難や試練が待ち受けているのだろうと、ものすごく不安になった。
けれど村のパン屋さんで、ジャムとバターたっぷりの焼き立てパンを食べた後。
フィーロが私を導いたのは、村外れの牧場だった。
「ここの牧場主は以前、大事な牛を何頭も盗まれて、よそ者を警戒している。今は昼間だからさほど怪しまれないだろうが、動物が好きだから牛を触らせてもらっていいかと一声かけて入るといい」
「えっ? この牧場に入るの?」
フィーロの指示に私は驚いた。
今日は悪魔の指輪を手に入れる日じゃなかったの?
それなのに、なんで牧場を見学するの?
私は戸惑いながらもフィーロに勧められるまま、牧場主さんに許可を取りに行った。
「牛なんてあり触れているだろうに、都会から来た人には珍しいのかね?」
牧場主のおじさんは、私の頼みに少し困惑していたけど
「前にうちの牛を誰かに盗まれたから、本当はよそ者を近付けたくないんだ。でもお嬢ちゃんは女だし、その細腕じゃ牛泥棒なんてできないだろう。見たり触ったりするだけなら構わないよ」
「あ、ありがとうございます」
牧場主さんの許可を得て、さっそく牛を触りに行った。
木製の広い柵の内側で、放牧中の牛たちがのんびり草を食んでいる。
前世の私はほとんど寝たきりだったし、たまに調子のいい日があっても免疫力が弱いので、人ごみに行くことは禁止されていた。
だから動物園や牧場もテレビで見るだけ。実際に足を運んだことは無い。
はじめて間近に見る牛は、とても大人しくて可愛くて、触ると温かった。
当初の目的も忘れて「牛大きいね。可愛いね」と目を輝かせて牛を撫でていると
「我が君。楽しんでいるところ悪いが、ちょっとそこの草むらを探してみてくれ」
フィーロの指示で、草むらをかき分ける。
すると1枚の硬貨と銀の指輪を発見した。
牧場の人の落とし物かな?
この硬貨は、この国の最低額だ。
でも少額でもお金はお金。落とし物なら届けてあげないと。
何気なく指輪と硬貨を拾った瞬間。フィーロは鏡の中でニッコリして
「おめでとう、我が君。それが7つある悪魔の指輪の1つ、強欲の指輪だ」
「えっ!?」
言われてみれば、幅広の無骨な銀のリングには、悪魔の指輪の名に相応しい恐ろしげな怪物の顔が象られている。
両目に嵌まった緑の石も、気持ち禍々しい印象だ。
「悪魔の指環なんて、すごそうなアイテムなのに、牧場で拾えるんだ?」
予想外すぎて呆気に取られる私に、フィーロは鏡の中から
「もちろん全ての悪魔の指輪がこんなに簡単に手に入るわけじゃない。強欲の指輪がここに転がるまでには、こんな経緯があったのさ」
悪魔の指輪は、指輪を嵌めた手で対象に触ることで魔法が発動する。
強欲の指輪には触れたものを、その土地の通貨に変える効果があった。
「この指輪の前の持ち主は、人目を盗んでベンチや銅像などの公共物や、他人の持ち物を勝手に通貨に変えていた。この牧場の牛被害も、その男の仕業さ」
トラックも無い世界で、牛を何頭も盗むなんて人間技じゃない。
でも強欲の指輪でお金にしてしまえば、確かに牛よりは運びやすいだろう。
「しかしこの牧場で牛を金に変えている最中。男は急に顔が痒くなった。そして自分の顔を掻いたのさ。強欲の指輪を嵌めた手でね」
フィーロは鏡の中、美しい笑顔で
「そして男は君が指輪とともに見つけた、この国で最低額の硬貨になったってわけさ」
鏡の賢者が明かした衝撃の事実に、私は「ええっ!?」と仰天した。
今、私の手にあるなんの変哲も無い銅貨が、元は人間だったなんて。
血の通った温かな肉体が、冷たい硬貨に変わってしまう。悪魔の指環の名に相応しい恐ろしい魔法だ。
「フィーロ。この人、なんとか助けられないかな?」
私の問いにフィーロは少し意外そうに
「せっかく前の所有者が物言わぬ硬貨になってくれたのに、君はわざわざ人に戻すのか? 言っておくが、最低額の通貨にされるようなヤツは、絶対にろくな人間じゃないぞ。そもそも泥棒だしな」
フィーロによれば通貨になった時の金額は『誰かがそれを買うとしたら』で決まるらしい。
最低額の通貨に変えられるのは誰も買わないもの。要するに誰にとっても不要なものだ。
「この男を元に戻しても誰も喜ばないどころかトラブルになるだけだ。それでも君は助けるのかい? せっかく手に入れた強欲の指輪を巡って、この男と揉めることになっても?」
フィーロの警告に少し怯む。
ただでさえ私には、初対面の人と話す経験が少ない。それも相手はフィーロの言うように泥棒だ。
もしかしたら暴力を振るわれる可能性もある。そうなった時、鏡の中のフィーロには頼れない。
「すごく怖いけど……やっぱりもしこの人が自分だったらって考えちゃう。お金に変えられて二度と戻れないなんて、きっとすごく辛いから。危ないかもしれないけど、助けたい」
私の選択を、フィーロは「そうか」と受け入れると
「幸い金を使う前なら魔法は取り消せる。その代わり一銭でも失ったらアウトだが、この男は君の世界に例えるなら1円の価値しか無いからな。今日まで誰にも拾われずに済んだ」
さらにフィーロは魔法の解除方法について
「強欲の指輪を嵌めた手で、その硬貨に触れながら「何々に戻れ」と命じてご覧。当たり前だが、指輪を嵌めた手で自分を触らないように注意してくれ。肉体の無い俺には、君を人に戻してやることはできないからな」
前の所有者の名前はフィーロに教えてもらった。
私は恐る恐る強欲の指輪を嵌めると、硬貨を手に「●●に戻れ」と命じた。
私の手の中で突如、硬貨が膨張する。
咄嗟に硬貨を投げると、それは30代くらいの男性になった。
地面にドサッと落ちた男性は、キョロキョロと辺りを見回して
「い、いま何が起きたんだ? あっ、あの指輪はどうした!?」
強欲の指輪が無いことに気付くと、目の前に立つ私を見て
「あっ、お前! それは俺の指輪だぞ! 返せ!」
「ま、待ってください! これはすごく危険なものなんです!」
私は男性の剣幕に怯みつつも、強欲の指輪の危険性について説明した。
男性がうっかり自分に触れてしまい、さっきまで硬貨になっていたことも。
けれど男性は、せっかく助かったのに
「ああそう。そりゃ親切に助けていただいて、ありがとよ。でもだからって、その指輪をアンタにやるって話にはならねぇ。触れれば自分まで金にしちまうなんて、知ってりゃいくらでも対処できるんだからな」
フィーロの言うとおり、泥棒さんは懲りないタイプみたいだ。
この様子だと、取り返した指輪で、また犯罪をしそう。
しかも泥棒さんは自らの失敗によって、人もお金にできると知った。
指輪を返したら、もっと恐ろしいことに使われるかもしれない。
一方、私は強欲の指輪を嵌めたままだ。
今ならこの手で触れるだけで、泥棒さんを再び硬貨に変えられる。
そうしたら新たな被害は防げるけど、やっぱり人間をお金に変えるなんてと、つい躊躇ってしまう。
「ほら! 痛い想いをしたくなかったら、さっさとその指環を返しな!」
私から無理やり指輪を奪おうと、泥棒さんが手を伸ばす。
ところで宿の主人が女性だと、占いと引き替えにタダで泊めてもらえることがある。
今回は宿の女将さんと娘さんに気に入られて、夕食までご馳走になった。
久しぶりに清潔なベッドで安心して眠った翌朝。
宿屋のベッドで目を覚ました私は、今日の予定を確認しようと紫のコンパクトを開いた。
すると開口一番、フィーロがニッコリと
「おめでとう、我が君。今日はとうとう俺たちの旅の最重要目的である、悪魔の指輪の最初の1つが手に入る」
この世の全てを見通す鏡の賢者に、朝一番に予言される。
悪魔の指輪はその1つ1つが恐ろしい魔法を宿し、7つ集めればどんな願いでも叶うと言う。
それって、もっと強力なアイテムや頼もしい仲間を集めて、過酷な旅の果てに手に入るものじゃないかな?
私この世界に来てから、ほとんど占いしかしてないし、以前言っていた神の宝も1つも手に入れてない。
それなのに、もう悪魔の指環の1つとエンカウントするの?
物語の最重要アイテムがタダで手に入るはずがない。
どんな恐ろしい困難や試練が待ち受けているのだろうと、ものすごく不安になった。
けれど村のパン屋さんで、ジャムとバターたっぷりの焼き立てパンを食べた後。
フィーロが私を導いたのは、村外れの牧場だった。
「ここの牧場主は以前、大事な牛を何頭も盗まれて、よそ者を警戒している。今は昼間だからさほど怪しまれないだろうが、動物が好きだから牛を触らせてもらっていいかと一声かけて入るといい」
「えっ? この牧場に入るの?」
フィーロの指示に私は驚いた。
今日は悪魔の指輪を手に入れる日じゃなかったの?
それなのに、なんで牧場を見学するの?
私は戸惑いながらもフィーロに勧められるまま、牧場主さんに許可を取りに行った。
「牛なんてあり触れているだろうに、都会から来た人には珍しいのかね?」
牧場主のおじさんは、私の頼みに少し困惑していたけど
「前にうちの牛を誰かに盗まれたから、本当はよそ者を近付けたくないんだ。でもお嬢ちゃんは女だし、その細腕じゃ牛泥棒なんてできないだろう。見たり触ったりするだけなら構わないよ」
「あ、ありがとうございます」
牧場主さんの許可を得て、さっそく牛を触りに行った。
木製の広い柵の内側で、放牧中の牛たちがのんびり草を食んでいる。
前世の私はほとんど寝たきりだったし、たまに調子のいい日があっても免疫力が弱いので、人ごみに行くことは禁止されていた。
だから動物園や牧場もテレビで見るだけ。実際に足を運んだことは無い。
はじめて間近に見る牛は、とても大人しくて可愛くて、触ると温かった。
当初の目的も忘れて「牛大きいね。可愛いね」と目を輝かせて牛を撫でていると
「我が君。楽しんでいるところ悪いが、ちょっとそこの草むらを探してみてくれ」
フィーロの指示で、草むらをかき分ける。
すると1枚の硬貨と銀の指輪を発見した。
牧場の人の落とし物かな?
この硬貨は、この国の最低額だ。
でも少額でもお金はお金。落とし物なら届けてあげないと。
何気なく指輪と硬貨を拾った瞬間。フィーロは鏡の中でニッコリして
「おめでとう、我が君。それが7つある悪魔の指輪の1つ、強欲の指輪だ」
「えっ!?」
言われてみれば、幅広の無骨な銀のリングには、悪魔の指輪の名に相応しい恐ろしげな怪物の顔が象られている。
両目に嵌まった緑の石も、気持ち禍々しい印象だ。
「悪魔の指環なんて、すごそうなアイテムなのに、牧場で拾えるんだ?」
予想外すぎて呆気に取られる私に、フィーロは鏡の中から
「もちろん全ての悪魔の指輪がこんなに簡単に手に入るわけじゃない。強欲の指輪がここに転がるまでには、こんな経緯があったのさ」
悪魔の指輪は、指輪を嵌めた手で対象に触ることで魔法が発動する。
強欲の指輪には触れたものを、その土地の通貨に変える効果があった。
「この指輪の前の持ち主は、人目を盗んでベンチや銅像などの公共物や、他人の持ち物を勝手に通貨に変えていた。この牧場の牛被害も、その男の仕業さ」
トラックも無い世界で、牛を何頭も盗むなんて人間技じゃない。
でも強欲の指輪でお金にしてしまえば、確かに牛よりは運びやすいだろう。
「しかしこの牧場で牛を金に変えている最中。男は急に顔が痒くなった。そして自分の顔を掻いたのさ。強欲の指輪を嵌めた手でね」
フィーロは鏡の中、美しい笑顔で
「そして男は君が指輪とともに見つけた、この国で最低額の硬貨になったってわけさ」
鏡の賢者が明かした衝撃の事実に、私は「ええっ!?」と仰天した。
今、私の手にあるなんの変哲も無い銅貨が、元は人間だったなんて。
血の通った温かな肉体が、冷たい硬貨に変わってしまう。悪魔の指環の名に相応しい恐ろしい魔法だ。
「フィーロ。この人、なんとか助けられないかな?」
私の問いにフィーロは少し意外そうに
「せっかく前の所有者が物言わぬ硬貨になってくれたのに、君はわざわざ人に戻すのか? 言っておくが、最低額の通貨にされるようなヤツは、絶対にろくな人間じゃないぞ。そもそも泥棒だしな」
フィーロによれば通貨になった時の金額は『誰かがそれを買うとしたら』で決まるらしい。
最低額の通貨に変えられるのは誰も買わないもの。要するに誰にとっても不要なものだ。
「この男を元に戻しても誰も喜ばないどころかトラブルになるだけだ。それでも君は助けるのかい? せっかく手に入れた強欲の指輪を巡って、この男と揉めることになっても?」
フィーロの警告に少し怯む。
ただでさえ私には、初対面の人と話す経験が少ない。それも相手はフィーロの言うように泥棒だ。
もしかしたら暴力を振るわれる可能性もある。そうなった時、鏡の中のフィーロには頼れない。
「すごく怖いけど……やっぱりもしこの人が自分だったらって考えちゃう。お金に変えられて二度と戻れないなんて、きっとすごく辛いから。危ないかもしれないけど、助けたい」
私の選択を、フィーロは「そうか」と受け入れると
「幸い金を使う前なら魔法は取り消せる。その代わり一銭でも失ったらアウトだが、この男は君の世界に例えるなら1円の価値しか無いからな。今日まで誰にも拾われずに済んだ」
さらにフィーロは魔法の解除方法について
「強欲の指輪を嵌めた手で、その硬貨に触れながら「何々に戻れ」と命じてご覧。当たり前だが、指輪を嵌めた手で自分を触らないように注意してくれ。肉体の無い俺には、君を人に戻してやることはできないからな」
前の所有者の名前はフィーロに教えてもらった。
私は恐る恐る強欲の指輪を嵌めると、硬貨を手に「●●に戻れ」と命じた。
私の手の中で突如、硬貨が膨張する。
咄嗟に硬貨を投げると、それは30代くらいの男性になった。
地面にドサッと落ちた男性は、キョロキョロと辺りを見回して
「い、いま何が起きたんだ? あっ、あの指輪はどうした!?」
強欲の指輪が無いことに気付くと、目の前に立つ私を見て
「あっ、お前! それは俺の指輪だぞ! 返せ!」
「ま、待ってください! これはすごく危険なものなんです!」
私は男性の剣幕に怯みつつも、強欲の指輪の危険性について説明した。
男性がうっかり自分に触れてしまい、さっきまで硬貨になっていたことも。
けれど男性は、せっかく助かったのに
「ああそう。そりゃ親切に助けていただいて、ありがとよ。でもだからって、その指輪をアンタにやるって話にはならねぇ。触れれば自分まで金にしちまうなんて、知ってりゃいくらでも対処できるんだからな」
フィーロの言うとおり、泥棒さんは懲りないタイプみたいだ。
この様子だと、取り返した指輪で、また犯罪をしそう。
しかも泥棒さんは自らの失敗によって、人もお金にできると知った。
指輪を返したら、もっと恐ろしいことに使われるかもしれない。
一方、私は強欲の指輪を嵌めたままだ。
今ならこの手で触れるだけで、泥棒さんを再び硬貨に変えられる。
そうしたら新たな被害は防げるけど、やっぱり人間をお金に変えるなんてと、つい躊躇ってしまう。
「ほら! 痛い想いをしたくなかったら、さっさとその指環を返しな!」
私から無理やり指輪を奪おうと、泥棒さんが手を伸ばす。
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