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急速に過保護になる子どもと完全拒絶お姉さん
突然の窮地と小さなナイト
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カイル君は私を拾って、この村に連れて来た後も何かと世話を焼きたがった。
私が家事をしていると
「俺がやるから、お姉さんは休んでいて」
私の倍速で仕事を片付けていく。私は体力が無いので、助けてくれるのはありがたいが
「居候のくせにカイルにばかり働かせている」
「そのくせニコリともしない嫌な女」
と彼の同年代の女の子たちからは嫌われているようだ。
カイル君の外見とスペックなら当然だが、彼はこの村の少女たちの王子様的存在らしい。
しかし彼女たちの王子様は、色気よりも慈悲心が強すぎるので
「俺が父さんを説得するから、やっぱりずっとうちで暮らしたら?」
はじめて「家族になったら?」と言い出してから、日に3回は街のゴミ溜めで拾った女を、本格的に保護しようとして来る。
聖職者に育てられたせいか同情心に溢れすぎているカイル君は、私が憐れな嫌われ者であるほど「俺が護ってあげなくちゃ!」と思うようだ。
彼の善意を無碍にするようで悪いが、やはり私には村の全員が顔見知りみたいな密接な人間関係は合わない。
お互いにすれ違う相手みな背景みたいな、人への興味と思いやりが希薄な大都会でこそ、私は安らかに生きていける。
全員が顔見知りのこの村で、以前のように精液を採取するのは難しい。よって魔力を使う作業はできないが、時間をかければ普通の労働で、当座の路銀くらいは稼げるはずだ。
神父様に相談して、報酬の発生する仕事を紹介してもらおう。まとまったお金ができたら、この村を去ろうと密かに考えていた。
けれど神父様に相談する前に、転機は勝手に訪れた。
「めっきり姿を見なくなったと思ったら、まさかこの村に居たとはな」
「久しぶりに相手をしてくれよ」
村人が街に品物を下ろしに行くのと逆に、街から物を売りに来る人がいる。
その商人が運悪く、街で相手をしたことのある男たちだった。ガラの悪い男たちに絡まれているところなんて見られたら、どんな噂が立つか分からない。
私はよそ者だから、この村を去ればいいだけだ。
でも身持ちの悪い女を泊めていたとなれば、男所帯の家だ。神父様は少なからず、私との関係を疑われるだろう。人間は「まさかあの人が」って社会的地位の高い人の醜聞ほど喜んで噂するから。
恩人の名誉を穢すわけにはいかないし、養父が悪く言われればカイル君も傷つく。
……それにどうせ、ここを出れば以前の生活に戻る。
だったら逆に、いま感じている拒否感が、もっと強くなる前に思い出すべきだ。こんなの大したことない。ただの補給だって感覚を。
私はいろいろ考えた末に
「……大人しく相手をしたら、村の人たちには黙っていてくれますか?」
「もちろん。俺たちだって鬼じゃねぇ。気持ちよくサービスしてくれるなら、アンタの立場が悪くなるようなことはしねぇさ」
悪人同士、話が早くて助かる。
私は人目につかないうちに、彼らと村はずれの林に移動した。集落が十分に遠ざかると、彼らは待ち切れないというように、私の服を脱がしにかかった。
私はいつもそうしているように、心をグッと硬くした。まるで死体になったように。もう死んでいるんだから何も感じないと、自らに言い聞かせて。
後は向こうが私の体を勝手に弄って突っ込んで腰を振って終わり……のはずだった。
けれど実際は
「お姉さんに何をするんだ!」
聞き慣れたボーイソプラノにハッと顔を上げる。声のほうを見ると、木々の向こうにカイル君が立っていた。
子どもに濡れ場を見られたことに、男たちも流石に慌てて
「う、うるせぇ! 子どもにゃ関係ねぇ! 向こうに行っていろ!」
気まずさを誤魔化すように怒鳴ったが、カイル君は逆にこちらに近づくと
「関係なくない! その人はうちで預かっている人だ! お姉さんから離れろ!」
大人相手に遠慮のない叱責。普段は温和なカイル君らしからぬ態度に驚く。
怒りをあらわにするカイル君に、男たちもカッとなって
「子どものくせに生意気を言うんじゃねぇ! そんなに怪我してぇのか!?」
2人組のうちの片方が、カイル君を殴ろうと進み出た。それを見た私は咄嗟に
「ま、待ってください。相手はまだ子ども……」
「うるせぇ! テメェは引っ込んでいろ!」
よほど頭に来たのか、男は乱暴に私を振りほどいた。
その衝撃で、ヒョロい私は容易く吹っ飛ばされた。
私が地面に倒れる姿を見たカイル君は
「……人に暴力を振るっちゃいけないんだよ」
一瞬、男たちへの注意かと思ったが
「でもお前たちは許さない」
カイル君の内に秘められた膨大な魔力が、金色の火花のように散る。
確かに初対面でも魔力が強そうな子だとは思った。
でも魔法を使ったならともかく、気迫だけで光として視認できるほど魔力が高まるなんて尋常じゃない。
それだけ魔力が強い子を怒らせると、どうなるかと言うと
私が家事をしていると
「俺がやるから、お姉さんは休んでいて」
私の倍速で仕事を片付けていく。私は体力が無いので、助けてくれるのはありがたいが
「居候のくせにカイルにばかり働かせている」
「そのくせニコリともしない嫌な女」
と彼の同年代の女の子たちからは嫌われているようだ。
カイル君の外見とスペックなら当然だが、彼はこの村の少女たちの王子様的存在らしい。
しかし彼女たちの王子様は、色気よりも慈悲心が強すぎるので
「俺が父さんを説得するから、やっぱりずっとうちで暮らしたら?」
はじめて「家族になったら?」と言い出してから、日に3回は街のゴミ溜めで拾った女を、本格的に保護しようとして来る。
聖職者に育てられたせいか同情心に溢れすぎているカイル君は、私が憐れな嫌われ者であるほど「俺が護ってあげなくちゃ!」と思うようだ。
彼の善意を無碍にするようで悪いが、やはり私には村の全員が顔見知りみたいな密接な人間関係は合わない。
お互いにすれ違う相手みな背景みたいな、人への興味と思いやりが希薄な大都会でこそ、私は安らかに生きていける。
全員が顔見知りのこの村で、以前のように精液を採取するのは難しい。よって魔力を使う作業はできないが、時間をかければ普通の労働で、当座の路銀くらいは稼げるはずだ。
神父様に相談して、報酬の発生する仕事を紹介してもらおう。まとまったお金ができたら、この村を去ろうと密かに考えていた。
けれど神父様に相談する前に、転機は勝手に訪れた。
「めっきり姿を見なくなったと思ったら、まさかこの村に居たとはな」
「久しぶりに相手をしてくれよ」
村人が街に品物を下ろしに行くのと逆に、街から物を売りに来る人がいる。
その商人が運悪く、街で相手をしたことのある男たちだった。ガラの悪い男たちに絡まれているところなんて見られたら、どんな噂が立つか分からない。
私はよそ者だから、この村を去ればいいだけだ。
でも身持ちの悪い女を泊めていたとなれば、男所帯の家だ。神父様は少なからず、私との関係を疑われるだろう。人間は「まさかあの人が」って社会的地位の高い人の醜聞ほど喜んで噂するから。
恩人の名誉を穢すわけにはいかないし、養父が悪く言われればカイル君も傷つく。
……それにどうせ、ここを出れば以前の生活に戻る。
だったら逆に、いま感じている拒否感が、もっと強くなる前に思い出すべきだ。こんなの大したことない。ただの補給だって感覚を。
私はいろいろ考えた末に
「……大人しく相手をしたら、村の人たちには黙っていてくれますか?」
「もちろん。俺たちだって鬼じゃねぇ。気持ちよくサービスしてくれるなら、アンタの立場が悪くなるようなことはしねぇさ」
悪人同士、話が早くて助かる。
私は人目につかないうちに、彼らと村はずれの林に移動した。集落が十分に遠ざかると、彼らは待ち切れないというように、私の服を脱がしにかかった。
私はいつもそうしているように、心をグッと硬くした。まるで死体になったように。もう死んでいるんだから何も感じないと、自らに言い聞かせて。
後は向こうが私の体を勝手に弄って突っ込んで腰を振って終わり……のはずだった。
けれど実際は
「お姉さんに何をするんだ!」
聞き慣れたボーイソプラノにハッと顔を上げる。声のほうを見ると、木々の向こうにカイル君が立っていた。
子どもに濡れ場を見られたことに、男たちも流石に慌てて
「う、うるせぇ! 子どもにゃ関係ねぇ! 向こうに行っていろ!」
気まずさを誤魔化すように怒鳴ったが、カイル君は逆にこちらに近づくと
「関係なくない! その人はうちで預かっている人だ! お姉さんから離れろ!」
大人相手に遠慮のない叱責。普段は温和なカイル君らしからぬ態度に驚く。
怒りをあらわにするカイル君に、男たちもカッとなって
「子どものくせに生意気を言うんじゃねぇ! そんなに怪我してぇのか!?」
2人組のうちの片方が、カイル君を殴ろうと進み出た。それを見た私は咄嗟に
「ま、待ってください。相手はまだ子ども……」
「うるせぇ! テメェは引っ込んでいろ!」
よほど頭に来たのか、男は乱暴に私を振りほどいた。
その衝撃で、ヒョロい私は容易く吹っ飛ばされた。
私が地面に倒れる姿を見たカイル君は
「……人に暴力を振るっちゃいけないんだよ」
一瞬、男たちへの注意かと思ったが
「でもお前たちは許さない」
カイル君の内に秘められた膨大な魔力が、金色の火花のように散る。
確かに初対面でも魔力が強そうな子だとは思った。
でも魔法を使ったならともかく、気迫だけで光として視認できるほど魔力が高まるなんて尋常じゃない。
それだけ魔力が強い子を怒らせると、どうなるかと言うと
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