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第9話・誓いの指輪

この日、彼女からもらった言葉を

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 その後。私たちの関係について、城の人たちにはユエルから説明してくれたようだ。城の人たちの私を見る目には「いい年して、こんな幼い少年とマジか」感が漂っていた。

 ただ最初は4人居た導き手も、今は私と由羽ちゃんの2人だ。しかも私は由羽ちゃんと違って戦えるので、導き手としてより有力だと考えられている。また本来なら最弱のユエルを5人の騎士の中で最強にした功労者なので「このショタコンが」とは言えないようだった。

 何より『誓願の指輪』で命がけの誓願をしてしまったからには、私以外の相手を娶らせればユエルは死ぬのだから、どれだけ文句があっても反対のしようがない。そんな禁じ手によって、私とユエルの仲は城の人たちに認められた。


 しかし友人である由羽ちゃんには自分で直接話そうと、ユエルに指輪をもらってからすぐ報告に行った。それは「推しと婚約しちゃった~」とノロケるためではなく

「ユエルと婚約しちゃったんだけど、やっぱり犯罪かな……」

 という懺悔として。けれど、私の告白を聞いた由羽ちゃんはパァァッと顔を輝かせて

「やったー! ユエ律成立おめでとうございまーす!」

 「くす玉を作っておくべきでした!」と大喜びで祝福してくれた。

 冗談ではなく、本当に14歳の子と恋愛関係になってしまったのに。躊躇なく祝福する彼女に、私は喜ぶよりも目を丸くして

「軽蔑しないの? 子どもと結婚するなんて聞いて」
「知らない大人と子どもが結婚すると聞いたらビックリします。でも今聞いたのは律子さんとユエル君の話ですから。2人のことはよく知っていますから、犯罪だなんて思いません。絶対に結ばれるべき2人が、ただ結ばれたんだなって思います」

 由羽ちゃんは、いつもどおりの自然体で答えた。彼女の屈託のない笑顔を見ていたら、自然と涙が込み上げて

「り、律子さん? どうしたんですか? 私、何か変なことを言いました?」

 いきなり泣き出した私を心配して、オロオロする由羽ちゃんに

「違う。ユエルと生きると決めはしたけど、本当はまだ後ろめたかったんだ。でも由羽ちゃんが絶対に結ばれるべき2人が、ただ結ばれただけだと言ってくれたから……」

 私たちの関係をよく知る由羽ちゃんが肯定してくれるなら、他の誰に否定されても自分を許せそうな気がした。

 もらい泣きしたのか、由羽ちゃんは涙目で私を抱きしめると

「身分の高い人と結婚すると、周りはゴチャゴチャ言うかもしれません。でも私が保証します。ユエル君は律子さんと結婚するのが、絶対にいちばん幸せです」

 確信を込めて口にすると、励ますように私に笑いかけながら

「だから律子さんは、自分を責めなくていいんです。大切な人を幸せにすることが、間違いのはずがありませんから」

 この日、由羽ちゃんからもらった言葉を一生覚えていよう。結婚に限らず、全員から肯定される選択は無い。だからこそ判断に迷う時は自分自身の意志と、大切な人がくれた言葉を信じようと決めた。
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