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第8話・〇〇しないと出られない部屋レベル3
5回射精しないと出られない部屋(ユエル視点・性描写有り)
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ハッキリとマスターを諦められたわけではなかったが
『君の求婚を受けるとしたら、いざという時は切り捨てられる覚悟が必要だと思っただけ』
マスターはやはり聡明で、僕が見ないようにしていた不都合に気付いた。世界でいちばんマスターが好きで、一緒に居たい。他の女性に気移りすることもマスターへの気持ちが冷めることも、絶対に無いと言い切れる。
けれど個人ならともかく使命と比較した時、僕にはたくさんの人の命より、ただ1人の女性を選ぶとは言えなかった。
でもそれは僕の個人的な正義感で、相手に我慢を強いる理由にはならない。もしたくさんの人命かマスターか2択を迫られた時、万が一でもマスターを切り捨てる可能性があるなら。絶対にいつでもあなたを選ぶと誓えないなら、僕にはマスターを愛する資格がそもそも無いように思えた。
カイゼルさんやクレイグさんと大差ない。僕も十分不誠実だ。
頭では資格が無いと思いながら、マスターを諦めることもできない優柔不断な自分を恥じた。
そんな状況なので、これ以上の過激な接触は避けたかった。マスターに触れると、僕はどうしても喜びを感じてしまう。あの人をいちばん大切にできないくせに、つい求めてしまいそうになる浅ましい自分が嫌だった。
ただレベルが上がるほど普通の敵では物足りなくなるので、強くなるにはエリアボスとの戦いは必須だ。またマスターによれば最強装備を作るための素材も、特殊部屋でしか手に入らないらしい。
なるべく、あの部屋には行かないように。行ったとしても、マスターを穢さずに済むものであるようにと、密かに願っていた。
そのおかげだろうか。1つ目の願いは叶わなかったが、2つ目の願いについては
『5回射精しないと出られない部屋』
例によって、お題部屋に飛ばされた僕たちは、新しいお題を前に無言で立ち尽くした。しかし今回は5回射精すれば出られるらしい。だとすれば、必ずしもマスターに触れる必要は無いので
「……ある意味、良かったです。これならマスターに迷惑をかけずに済むので」
まだマシなほうかと受け入れる僕に、マスターは心配そうな顔で
「でも1人で5回も出すなんてできるの?」
本当なら大丈夫だと言うべきだったが、彼女に嘘は吐けず
「したことが無いから分かりません。多分かなり待たせてしまいますが、なんとかやってみますので、マスターは別室で待っていてくださいますか? あなたに見苦しいところを見られたくはないので」
「わ、分かった」
ベッドのある部屋からマスターが出て行った後。僕は下衣を緩めて性器を取り出すと、自分を慰めはじめた。射精や自慰についての知識はあったが、実践はマスターと出会ってからだ。マスターとこの部屋に閉じ込められて、はじめて発情して精をまき散らした。
ただ僕が快楽に溺れるのは、この部屋の中だけだった。密かにマスターを想いもやもやすることはあっても、自分を慰めたことは無く、いつも『洗心』をかけて凌いでいた。自分にあの方を愛する資格は無いかもしれないと、想いが揺らいでいる今はなおさら、性欲だけ向けるのは嫌だった。
それなのに今はマスターの裸や乱れる姿を思い出しながら、浅ましく自分を慰めている。あの方を穢したくないのに、あの方以外には欲望を感じられなくて
「んっ……マスター……」
脳裏にマスターの姿を描き、名前を呼びながらすると、嫌になるほど気持ち良かった。そんな自分が汚らわしくて、心がグチャグチャになる。なんとか2回は出せたけど、今はもう苦痛のほうが大きい。
マスターを待たせまいと義務感で手を動かすが、もう勃たせることさえ難しかった。ここには時計が無いから分からないけど、よほど待たせてしまったのか
「ユエル」
「な、なんですか?」
別室で待機していたはずのマスターが遠慮がちに声をかけて来た。慌てて性器を隠す僕から、マスターは気まずそうに目を逸らしつつ
「やっぱり私も手伝おうかと」
「て、手伝うって何を?」
「そこに座って」
マスターに指示されたとおり、ベッドに座る。
『君の求婚を受けるとしたら、いざという時は切り捨てられる覚悟が必要だと思っただけ』
マスターはやはり聡明で、僕が見ないようにしていた不都合に気付いた。世界でいちばんマスターが好きで、一緒に居たい。他の女性に気移りすることもマスターへの気持ちが冷めることも、絶対に無いと言い切れる。
けれど個人ならともかく使命と比較した時、僕にはたくさんの人の命より、ただ1人の女性を選ぶとは言えなかった。
でもそれは僕の個人的な正義感で、相手に我慢を強いる理由にはならない。もしたくさんの人命かマスターか2択を迫られた時、万が一でもマスターを切り捨てる可能性があるなら。絶対にいつでもあなたを選ぶと誓えないなら、僕にはマスターを愛する資格がそもそも無いように思えた。
カイゼルさんやクレイグさんと大差ない。僕も十分不誠実だ。
頭では資格が無いと思いながら、マスターを諦めることもできない優柔不断な自分を恥じた。
そんな状況なので、これ以上の過激な接触は避けたかった。マスターに触れると、僕はどうしても喜びを感じてしまう。あの人をいちばん大切にできないくせに、つい求めてしまいそうになる浅ましい自分が嫌だった。
ただレベルが上がるほど普通の敵では物足りなくなるので、強くなるにはエリアボスとの戦いは必須だ。またマスターによれば最強装備を作るための素材も、特殊部屋でしか手に入らないらしい。
なるべく、あの部屋には行かないように。行ったとしても、マスターを穢さずに済むものであるようにと、密かに願っていた。
そのおかげだろうか。1つ目の願いは叶わなかったが、2つ目の願いについては
『5回射精しないと出られない部屋』
例によって、お題部屋に飛ばされた僕たちは、新しいお題を前に無言で立ち尽くした。しかし今回は5回射精すれば出られるらしい。だとすれば、必ずしもマスターに触れる必要は無いので
「……ある意味、良かったです。これならマスターに迷惑をかけずに済むので」
まだマシなほうかと受け入れる僕に、マスターは心配そうな顔で
「でも1人で5回も出すなんてできるの?」
本当なら大丈夫だと言うべきだったが、彼女に嘘は吐けず
「したことが無いから分かりません。多分かなり待たせてしまいますが、なんとかやってみますので、マスターは別室で待っていてくださいますか? あなたに見苦しいところを見られたくはないので」
「わ、分かった」
ベッドのある部屋からマスターが出て行った後。僕は下衣を緩めて性器を取り出すと、自分を慰めはじめた。射精や自慰についての知識はあったが、実践はマスターと出会ってからだ。マスターとこの部屋に閉じ込められて、はじめて発情して精をまき散らした。
ただ僕が快楽に溺れるのは、この部屋の中だけだった。密かにマスターを想いもやもやすることはあっても、自分を慰めたことは無く、いつも『洗心』をかけて凌いでいた。自分にあの方を愛する資格は無いかもしれないと、想いが揺らいでいる今はなおさら、性欲だけ向けるのは嫌だった。
それなのに今はマスターの裸や乱れる姿を思い出しながら、浅ましく自分を慰めている。あの方を穢したくないのに、あの方以外には欲望を感じられなくて
「んっ……マスター……」
脳裏にマスターの姿を描き、名前を呼びながらすると、嫌になるほど気持ち良かった。そんな自分が汚らわしくて、心がグチャグチャになる。なんとか2回は出せたけど、今はもう苦痛のほうが大きい。
マスターを待たせまいと義務感で手を動かすが、もう勃たせることさえ難しかった。ここには時計が無いから分からないけど、よほど待たせてしまったのか
「ユエル」
「な、なんですか?」
別室で待機していたはずのマスターが遠慮がちに声をかけて来た。慌てて性器を隠す僕から、マスターは気まずそうに目を逸らしつつ
「やっぱり私も手伝おうかと」
「て、手伝うって何を?」
「そこに座って」
マスターに指示されたとおり、ベッドに座る。
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