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第8話・〇〇しないと出られない部屋レベル3
潮を噴かなきゃ出られない部屋(性描写有り)
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前回。星月さんとキャッキャウフフしていた影響で、カイゼルとクレイグは危うく封印の騎士の選考から外されかけた。やっぱりガチの世界平和がかかっている状況で、色恋に 現を抜かしている場合じゃないなと再確認した。
けれどユエルは、鍛錬そっちのけで恋に溺れることはしないものの
「マスター。男が皆、あんな不誠実だとは思わないでください」
星月さんの騒動が終わった後。私と2人きりになったユエルは、沈痛な面持ちで口にした。
カイゼルとクレイグは、星月さんに結婚をほのめかしていたらしい。それなのに彼らは星月さんが肩書きを失った途端、色恋よりも名誉が大事だと、あっさり捨てた。ユエルは私に求婚しているので、彼らと同一視されるのを恐れたのだろう。
「ユエルが彼らと同じだとは思わないけど」
「けど?」
「ユエルもきっと恋愛よりは、使命を取るだろうと思っている」
私の見立てに、ユエルは「それは……」と言い淀んだ。
「意地悪なことを言ってゴメンね。もちろんユエルの使命である全体の平和を優先していいんだよ」
少しでも多くの悲劇を食い止めることがユエルの望みだ。ただ世界の残酷に涙し、平和を祈るだけでなく、我が身を削ってでも努力するユエルだから私は好きになった。その強さと優しさに惹かれたのだから、その美しい志を失って欲しくない。
でもだとすると
「君の求婚を受けるとしたら、いざという時は切り捨てられる覚悟が必要だと思っただけ」
私の言葉に、ユエルは黙り込んだ。勢いで否定しないだけ、この子はやはり聡明だ。とにかく星月さんとカイゼルたちが、あんな破局を迎えたのを見たら、色んな意味でこれまでの親密すぎる付き合いを改めたくなる。
けれど例によって特殊部屋のバグは空気を読まず、私たちをまたお題部屋へと誘った。
しかも今回のお題は
『潮を噴かなきゃ出られない部屋』
壁にデカデカと書かれた文字を前に、時が止まる私の横で
「潮? クジラじゃあるまいし、人間が潮を噴くっていったい?」
何も知らないユエルは不可解そうにしていたが
「ま、マスター?」
その場に静かに崩れ落ちた私を見て、ユエルは慌てて膝をつくと
「だ、大丈夫ですか? このお題はそんなにショックなことなんですか?」
ユエルに『潮を噴く』という意味について教えると
「あっ、結局これもそういうお題なんですね……」
ユエルは少し顔を赤くしたが、冷静に状況を受け止めて
「今回はどうしますか? 星月さんのこともありますし、僕に体を触られたくないでしょうけど、自分でそこまでの刺激を与えるのは難しいんじゃ」
ユエルの言うとおり、自力で潮を噴けるほど私の変態レベルは高くない。
趣味的にも年齢的にも意外かもしれないが、実は自慰もろくにしたことが無い。無駄に潔癖な性格なので、1人で快楽に耽る自分が気持ち悪くて、なんとなく避けていた。
「君の言うとおり自力じゃ難しいけど、君の申し出を断りながら、こんな時だけ手を貸してもらうわけには……」
「そんな風に思わないでください。僕は求婚者である前にマスターの騎士なんですから、主人を助けるのは当たり前です。マスターが嫌じゃなければ、僕に手伝わせてください」
私はけっこう意地っ張りで、無理なことでも1人でできると言ってしまうタイプだ。でも不思議と、ユエルに手を差し伸べられると、いつものように抗えなくて
「……じゃあ、お願いしていい? ただ服を脱ぐのは恥ずかしいから、なるべく着たままでしてくれる?」
「は、はい」
私の要望で上はシャツを着たまま胸のところだけはだけて、下はパンツを穿いたままの最低限の露出で行うことになった。
指と唇で胸を愛撫されて、パンツに染みができた頃。今度は下着に手を差し入れられて
「んっ……」
「痛いですか?」
心配そうにこちらに目を向けるユエルから、私は手で顔を隠すようにしながら
「痛くはないんだけど……気持ち良くなっちゃうのが恥ずかしくて……」
潮を噴かせるための愛撫なのだから、気持ち良くなってむしろ正解だ。頭ではそう思っても、ユエルに感じている自分を見られることがやはり恥ずかしかった。
不慣れな快楽と抗おうとする理性によって、心を乱される私に
「フォローにならないかもしれませんが、感じているマスターはとても可愛らしいです。だから恥ずかしがらないでください」
ユエルは優しく囁いた。言葉どおりフォローしてくれているのだろうが、まるで口説かれているようで恥ずかしい。
色んな意味で悶えつつ、何回かイッたものの
「すみません。僕、下手みたいで。潮を噴くほどはいかせられませんね」
ユエルは申し訳なさそうに眉を下げた。私はユエルにしかされたことが無いので分からないが、彼が下手だったら私はこんな醜態を晒していないので
「いや、下手って言うか……。多分色んなところを同時に責めつつ、相手が絶頂しても行為を続けて追い打ちをかけるくらいじゃないと、潮を噴くまでは行かないんじゃないかな」
リアルなテクニックは分からないが、小説や漫画やゲームなど二次元の濡れ場を思い出して言うと
けれどユエルは、鍛錬そっちのけで恋に溺れることはしないものの
「マスター。男が皆、あんな不誠実だとは思わないでください」
星月さんの騒動が終わった後。私と2人きりになったユエルは、沈痛な面持ちで口にした。
カイゼルとクレイグは、星月さんに結婚をほのめかしていたらしい。それなのに彼らは星月さんが肩書きを失った途端、色恋よりも名誉が大事だと、あっさり捨てた。ユエルは私に求婚しているので、彼らと同一視されるのを恐れたのだろう。
「ユエルが彼らと同じだとは思わないけど」
「けど?」
「ユエルもきっと恋愛よりは、使命を取るだろうと思っている」
私の見立てに、ユエルは「それは……」と言い淀んだ。
「意地悪なことを言ってゴメンね。もちろんユエルの使命である全体の平和を優先していいんだよ」
少しでも多くの悲劇を食い止めることがユエルの望みだ。ただ世界の残酷に涙し、平和を祈るだけでなく、我が身を削ってでも努力するユエルだから私は好きになった。その強さと優しさに惹かれたのだから、その美しい志を失って欲しくない。
でもだとすると
「君の求婚を受けるとしたら、いざという時は切り捨てられる覚悟が必要だと思っただけ」
私の言葉に、ユエルは黙り込んだ。勢いで否定しないだけ、この子はやはり聡明だ。とにかく星月さんとカイゼルたちが、あんな破局を迎えたのを見たら、色んな意味でこれまでの親密すぎる付き合いを改めたくなる。
けれど例によって特殊部屋のバグは空気を読まず、私たちをまたお題部屋へと誘った。
しかも今回のお題は
『潮を噴かなきゃ出られない部屋』
壁にデカデカと書かれた文字を前に、時が止まる私の横で
「潮? クジラじゃあるまいし、人間が潮を噴くっていったい?」
何も知らないユエルは不可解そうにしていたが
「ま、マスター?」
その場に静かに崩れ落ちた私を見て、ユエルは慌てて膝をつくと
「だ、大丈夫ですか? このお題はそんなにショックなことなんですか?」
ユエルに『潮を噴く』という意味について教えると
「あっ、結局これもそういうお題なんですね……」
ユエルは少し顔を赤くしたが、冷静に状況を受け止めて
「今回はどうしますか? 星月さんのこともありますし、僕に体を触られたくないでしょうけど、自分でそこまでの刺激を与えるのは難しいんじゃ」
ユエルの言うとおり、自力で潮を噴けるほど私の変態レベルは高くない。
趣味的にも年齢的にも意外かもしれないが、実は自慰もろくにしたことが無い。無駄に潔癖な性格なので、1人で快楽に耽る自分が気持ち悪くて、なんとなく避けていた。
「君の言うとおり自力じゃ難しいけど、君の申し出を断りながら、こんな時だけ手を貸してもらうわけには……」
「そんな風に思わないでください。僕は求婚者である前にマスターの騎士なんですから、主人を助けるのは当たり前です。マスターが嫌じゃなければ、僕に手伝わせてください」
私はけっこう意地っ張りで、無理なことでも1人でできると言ってしまうタイプだ。でも不思議と、ユエルに手を差し伸べられると、いつものように抗えなくて
「……じゃあ、お願いしていい? ただ服を脱ぐのは恥ずかしいから、なるべく着たままでしてくれる?」
「は、はい」
私の要望で上はシャツを着たまま胸のところだけはだけて、下はパンツを穿いたままの最低限の露出で行うことになった。
指と唇で胸を愛撫されて、パンツに染みができた頃。今度は下着に手を差し入れられて
「んっ……」
「痛いですか?」
心配そうにこちらに目を向けるユエルから、私は手で顔を隠すようにしながら
「痛くはないんだけど……気持ち良くなっちゃうのが恥ずかしくて……」
潮を噴かせるための愛撫なのだから、気持ち良くなってむしろ正解だ。頭ではそう思っても、ユエルに感じている自分を見られることがやはり恥ずかしかった。
不慣れな快楽と抗おうとする理性によって、心を乱される私に
「フォローにならないかもしれませんが、感じているマスターはとても可愛らしいです。だから恥ずかしがらないでください」
ユエルは優しく囁いた。言葉どおりフォローしてくれているのだろうが、まるで口説かれているようで恥ずかしい。
色んな意味で悶えつつ、何回かイッたものの
「すみません。僕、下手みたいで。潮を噴くほどはいかせられませんね」
ユエルは申し訳なさそうに眉を下げた。私はユエルにしかされたことが無いので分からないが、彼が下手だったら私はこんな醜態を晒していないので
「いや、下手って言うか……。多分色んなところを同時に責めつつ、相手が絶頂しても行為を続けて追い打ちをかけるくらいじゃないと、潮を噴くまでは行かないんじゃないかな」
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