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第2話・かつての友と色んな話
2人でステータス確認
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そのまま一生、由羽ちゃんを愛でてしまいそうな勢いだったが
「話は変わるけど、由羽ちゃんはこの世界に来た時のことを覚えている?」
私の質問に、由羽ちゃんは顎に手を当てて考えながら
「私は確かゲームをしようとしていましたね。もう29回もトライしているんですが、未だにトゥルーエンドを迎えられない風丸と、幸せになれる未来がどこかにはあるんじゃないかと信じて」
「相変わらず、すごいハマりようだね……」
風丸とはエロイベントは起こせるが、ヒロインとキャラが両想いになる恋愛エンドは存在しない。アルゼリオ、カイゼル、クレイグとはクリア後こちらの世界に残って結婚するエンディングがあるのに、風丸ルートでは
『忍のお愛想を真に受けるなんて、アンタは本当におめでたい女だね』
と、いきなりこれまでの恋愛関係を否定されて
『悪いけど、こっちは導き手の役目を終えて、ただの女になったアンタに用は無いんだ。分かったら、もっと痛い目に遭う前に元の世界に戻りなよ』
そう言い残してさっさと立ち去り、本当に戻らない。「これは本当に乙女ゲームなのか?」と疑いたくなるような衝撃のラストは、数少ないファンの間で『裏切りの風』と恐れられた。ラストの裏切りがトラウマになったというユーザーも居れば、あのシビアさがたまらんという玄人好みのユーザーも居た。
そんな気難しすぎる風丸に魅せられた由羽ちゃんは、どこかに存在しているかもしれない彼のトゥルーエンドを探して、未だにヒント無しの無謀プレイを続けているそうだ。
話はズレたけど
「由羽ちゃんもゲームをプレイしようとしてこちらに来たんだね。他の導き手の子たちも、キャラに関する知識があったようだし、やっぱり私たちと同じように全員ゲームのプレイヤーなのかな?」
私の推測に由羽ちゃんは沈痛な面持ちで
「つまり今回の導き手は全員18禁ゲームの愛好者なんですね。1人くらい穢れなき乙女は居なかったんでしょうか?」
「盛大なブーメランではあるけど、世界の存亡に関わる大事な導き手が、全員変態だなんて嘆かわしいことだね……」
もう1つ由羽ちゃんに聞いておきたいことがあった。それは神様としたはずの会話の中身。特にトリップ特典についてのことだ。
「ああ。確かに神様みたいな人と、そんな話をした気がします。1人に付き1つ、何かしらの能力を与えてくれるって話でしたね」
「私たちにも異世界転移ものの主人公みたいに、なんらかの能力が与えられたのかな?」
「能力ならステータスで見られますよ」
急にRPGの説明キャラのようなことを言い出した由羽ちゃんに驚いたが
「本当だ。ゲームと同様、自分と仲間の能力値を確認できるんだね」
彼女から教わったとおり「ステータス」と頭の中で念じると、ゲームに出て来たステータス画面が、目の前の空間にパッと浮かんだ。私なら自分とユエル。騎士の居ない由羽ちゃんは自分のステータスだけ見られるようだ。
私のステータスは現状ユエルより10レベル高く、4属性の初級魔法が使えた。ステータスにあるタレント欄には『導き手』と『剣聖の護り手』とある。
タレントとは神様がくれた特別な才能のこと。『導き手』は、どうやら今しているようにステータスを見るなど、ゲームでプレイヤーがしていたことができる能力のようだ。
『剣聖の護り手』は守護対象であるユエルより常に10レベル上(ただし100レベルでカンスト)。加えて4属性の魔法を中級まで使いこなせるというものだった。
流石に各属性の精鋭を差し置いて上級魔法までは使えないようだが、4属性を自在に使えれば敵の弱点を突けるので、戦闘でずいぶん有利だ。それが私が神様からもらった特別な能力のようだった。
いざという時はユエルを護れるように願ったから、ダイレクトに『剣聖の護り手』としての力をくれたのだろう。大袈裟な名称で恥ずかしいが、能力はありがたかった。
「由羽ちゃんにも神様から授かった能力があるの?」
「私のところには『風丸を幸せにする力』とだけ書いてありました」
「ど、どういう能力なの?」
本人も理解していないのか、私の質問に由羽ちゃんも首を傾げながら
「どういう能力なんですかね? 説明のところにも『風丸を幸せにできる』と書いてあるだけで、具体的にどんな効果があるとか、どうやって使うかとかサッパリなんです」
しかし気を取り直したようにパッと笑うと
「まぁ、どうやって使うかは不明ですが、私が居ることで風丸になんらかの好影響が出るなら嬉しいです」
正直もっと役に立つ能力をもらえたのでは? とは思う。ただ神様との会話は朧気で、私自身よく考えて決めることはできなかった。理性の働きが鈍り、心からの願いしか浮かばないような状態だったのではないかという気がする。
だとしたら由羽ちゃんは、自分のことよりも風丸の幸せを考えていたんだな。彼女が風丸のトゥルーエンドを探し続ける理由も、ヒロインとのイチャイチャではなく、幸せな風丸が見たいのだと言っていたことを思い出した。
ドライそうな風丸がどう思うかは知らないが、私はそんな風に自分を想ってくれる人が居るだけで幸せだと思う。だから由羽ちゃんには
「由羽ちゃんが傍に居ると幸運が上がるとか、何かしらの効果があるのかもしれないね」
「その願いは、きっと風丸のためになっているよ」という想いを込めて返した。
「話は変わるけど、由羽ちゃんはこの世界に来た時のことを覚えている?」
私の質問に、由羽ちゃんは顎に手を当てて考えながら
「私は確かゲームをしようとしていましたね。もう29回もトライしているんですが、未だにトゥルーエンドを迎えられない風丸と、幸せになれる未来がどこかにはあるんじゃないかと信じて」
「相変わらず、すごいハマりようだね……」
風丸とはエロイベントは起こせるが、ヒロインとキャラが両想いになる恋愛エンドは存在しない。アルゼリオ、カイゼル、クレイグとはクリア後こちらの世界に残って結婚するエンディングがあるのに、風丸ルートでは
『忍のお愛想を真に受けるなんて、アンタは本当におめでたい女だね』
と、いきなりこれまでの恋愛関係を否定されて
『悪いけど、こっちは導き手の役目を終えて、ただの女になったアンタに用は無いんだ。分かったら、もっと痛い目に遭う前に元の世界に戻りなよ』
そう言い残してさっさと立ち去り、本当に戻らない。「これは本当に乙女ゲームなのか?」と疑いたくなるような衝撃のラストは、数少ないファンの間で『裏切りの風』と恐れられた。ラストの裏切りがトラウマになったというユーザーも居れば、あのシビアさがたまらんという玄人好みのユーザーも居た。
そんな気難しすぎる風丸に魅せられた由羽ちゃんは、どこかに存在しているかもしれない彼のトゥルーエンドを探して、未だにヒント無しの無謀プレイを続けているそうだ。
話はズレたけど
「由羽ちゃんもゲームをプレイしようとしてこちらに来たんだね。他の導き手の子たちも、キャラに関する知識があったようだし、やっぱり私たちと同じように全員ゲームのプレイヤーなのかな?」
私の推測に由羽ちゃんは沈痛な面持ちで
「つまり今回の導き手は全員18禁ゲームの愛好者なんですね。1人くらい穢れなき乙女は居なかったんでしょうか?」
「盛大なブーメランではあるけど、世界の存亡に関わる大事な導き手が、全員変態だなんて嘆かわしいことだね……」
もう1つ由羽ちゃんに聞いておきたいことがあった。それは神様としたはずの会話の中身。特にトリップ特典についてのことだ。
「ああ。確かに神様みたいな人と、そんな話をした気がします。1人に付き1つ、何かしらの能力を与えてくれるって話でしたね」
「私たちにも異世界転移ものの主人公みたいに、なんらかの能力が与えられたのかな?」
「能力ならステータスで見られますよ」
急にRPGの説明キャラのようなことを言い出した由羽ちゃんに驚いたが
「本当だ。ゲームと同様、自分と仲間の能力値を確認できるんだね」
彼女から教わったとおり「ステータス」と頭の中で念じると、ゲームに出て来たステータス画面が、目の前の空間にパッと浮かんだ。私なら自分とユエル。騎士の居ない由羽ちゃんは自分のステータスだけ見られるようだ。
私のステータスは現状ユエルより10レベル高く、4属性の初級魔法が使えた。ステータスにあるタレント欄には『導き手』と『剣聖の護り手』とある。
タレントとは神様がくれた特別な才能のこと。『導き手』は、どうやら今しているようにステータスを見るなど、ゲームでプレイヤーがしていたことができる能力のようだ。
『剣聖の護り手』は守護対象であるユエルより常に10レベル上(ただし100レベルでカンスト)。加えて4属性の魔法を中級まで使いこなせるというものだった。
流石に各属性の精鋭を差し置いて上級魔法までは使えないようだが、4属性を自在に使えれば敵の弱点を突けるので、戦闘でずいぶん有利だ。それが私が神様からもらった特別な能力のようだった。
いざという時はユエルを護れるように願ったから、ダイレクトに『剣聖の護り手』としての力をくれたのだろう。大袈裟な名称で恥ずかしいが、能力はありがたかった。
「由羽ちゃんにも神様から授かった能力があるの?」
「私のところには『風丸を幸せにする力』とだけ書いてありました」
「ど、どういう能力なの?」
本人も理解していないのか、私の質問に由羽ちゃんも首を傾げながら
「どういう能力なんですかね? 説明のところにも『風丸を幸せにできる』と書いてあるだけで、具体的にどんな効果があるとか、どうやって使うかとかサッパリなんです」
しかし気を取り直したようにパッと笑うと
「まぁ、どうやって使うかは不明ですが、私が居ることで風丸になんらかの好影響が出るなら嬉しいです」
正直もっと役に立つ能力をもらえたのでは? とは思う。ただ神様との会話は朧気で、私自身よく考えて決めることはできなかった。理性の働きが鈍り、心からの願いしか浮かばないような状態だったのではないかという気がする。
だとしたら由羽ちゃんは、自分のことよりも風丸の幸せを考えていたんだな。彼女が風丸のトゥルーエンドを探し続ける理由も、ヒロインとのイチャイチャではなく、幸せな風丸が見たいのだと言っていたことを思い出した。
ドライそうな風丸がどう思うかは知らないが、私はそんな風に自分を想ってくれる人が居るだけで幸せだと思う。だから由羽ちゃんには
「由羽ちゃんが傍に居ると幸運が上がるとか、何かしらの効果があるのかもしれないね」
「その願いは、きっと風丸のためになっているよ」という想いを込めて返した。
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