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エピローグ・今この時に続くなら
最終話・夕暮れの道を君と(風丸視点)
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着替えや部屋着を買ったあと、俺は由羽に頼んで手芸屋に案内してもらった。こっちの世界は元の世界と比べて、どこに行っても品ぞろえが豊富で圧倒される。それは手芸屋も同じで、選ぶのが困難なほど色とりどりの糸が置かれていた。
糸が置かれた棚の前に来た俺たちは
「糸を買うんですか? 何に使うんですか?」
首を傾げる由羽に、俺は糸の束を手に取りながら
「この世界じゃ指輪が結婚の証みたいだけど、俺の故郷では糸で編んだ手製の腕輪を交換して夫婦の証にするんだ。さっきそれを思い出して、ちょっとやってみたくなってさ」
さっきの女たちに「なんで指輪をしてないのか?」と尋ねられて、ふと思い出した。
俺の説明を聞いた由羽はパッと笑って
「風丸の故郷にも結婚指輪みたいなものがあるんですね。でも糸じゃすぐに切れてしまいませんか?」
「切れちゃうからいいんだってさ。人の縁はそんなに強固じゃないから、人の縁が本来儚いものであることを忘れないように。時と共に風化して切れそうになる縁を、そのたび結び直して永遠にできるように、あえて糸で作るんだって」
それは昔、一度だけ母から聞いた夫婦の腕輪の由縁の話。
実際のところ、その儀式はほとんど形骸化して、今では最初に腕輪を贈った後は切れっ放しの夫婦も多い。そういう夫婦は、たいてい内情も破綻している。
逆にじいさんばあさんになっても、お互いに腕輪をしている夫婦は年老いても仲睦まじかった。俺の母も作り直してくれる者を亡くして切れてしまった腕輪を、死ぬまで大切に持ち続けていた。
なんか急にそれらを思い出して、俺も由羽と交わしたくなった。
「でも手作りの腕輪を切れるたびに作り直すなんて面倒かな? 金属製や宝石つきならともかく、糸でできた腕輪なんて安っぽいし。やっぱりこっち流に指輪にするかい?」
普通こういう婚儀にまつわる風習は、女のほうが思い入れが強いものだ。特にこっちでは指輪を贈るのが主流のようだし、糸で編んだ手製の腕輪なんて安っぽいものを、押し付けるのは気の毒かもしれない。
しかし由羽は笑顔で首を振って
「風丸の故郷の風習のほうが素敵です。買った指輪をもらうより、私も糸が切れるたびに、また新しい気持ちで縁を結び直せるほうが嬉しいです」
俺も本当は見栄えや値打ちよりも、そこに込められた意味や想いのほうが大事だと思う。だから由羽が俺と同じように感じてくれたことが嬉しくて、改めて好きだなと思った。
それから2人で糸を選んだ。お互いをイメージした色を1色ずつ。2色の糸を組み合わせて1つの腕輪にし、夫婦の縁の象徴とする。由羽によると俺の魔法発動時の鮮やかな緑と、陽だまりのような黄色の2色の糸を選んだ。
他はおいおい揃えることにして、夕食の材料を買いに『すーぱー』ってところに寄る。後は帰るだけかと思いきや
「風丸。帰る前に、もう1つだけ寄り道してもいいですか?」
由羽に連れて来られたのは、小さな神社だった。規模は小さいが、よく手入れされていて、清々と心地いい場所だ。
「ここって神社だよな? こっちにもあるんだな」
「風丸の故郷にも神社があるんですね。ちなみに向こうの神社は、どういう場所なんですか?」
「神頼みしたり厄払いしたりだろ。こっちでは違うのかい?」
「こっちもだいたい同じです」
場所は変わっても人間のやることは変わらないようだ。どの国に行っても必ずといっていいほど、神に祈り救いを求める場所がある。
でも由羽の国では、神に慈悲を乞うだけの場所では無いらしく
「でもうちのおばあちゃんは神様は何も言わなくても、いつも私たちを護ってくださっているって。だから神社は日頃のお礼を言いに来る場所なんだよと言っていました。それで私も実家を出てからは、この神社の神様にお礼を言いに来ているんです」
信心深い祖母の教えを守り、律儀に神社にお礼を言いに来るという由羽は
「でも風丸の安否が分からなくなった時はやっぱり不安で、毎日あなたの無事を願ってしまいました」
「なかなかおばあちゃんのようにはいきません」と、ちょっと照れたように笑うと
「風丸が無事だったのは、もちろん風丸ががんばったからなんですが、あなたとこうしてまた会えたことを、神様にも感謝したかったんです」
由羽は参拝の理由を告げると「だから、ちょっと待っていてください」と拝殿に向かった。由羽は俺にまで信心を求めてはいないようだが
「そういう理由なら、俺も手を合わせて行こうかな」
「わー、いいですね。風丸が挨拶してくれたら、きっと神様も喜びます」
由羽には霊感は無いらしい。それなのに当たり前のように神を信じている。目に見えないものを信じ、尊重しようとする人間だからこそ、導き手として神に呼ばれ、向こうでは聖獣と友だちになれたのかもしれない。
前は神頼みなんて馬鹿らしいし、そもそも感謝するほど護られていないと思っていた。でも今は暗闇の中でさえ、本当は護られていたのかもしれないと思う。俺が与えられた生を投げ出すことなく、今この時に辿りつけるように。
歩いている間は意味が分からなかった、辛いだけの苦難の道。でも今ここから振り返れば、何1つ無駄では無かったと分かる。
ずっと否定して来た両親の決断さえも。あの人たちが諦めなかったから、俺は今ここに居られる。
……もし願ってもいいなら、あの人たちに伝えてくれ。俺はすごく幸せだって。産んでくれて、ありがとうって。
目に見えないものに手を合わせながら、はじめて両親に感謝する。ずっと恨みだけを抱いていた心にはじめて芽生えた感謝は、由羽がくれた温もりのように温かった。
神社からの帰り道。夕暮れに染まる境内を、由羽と手を繋いで出ようとすると
「あっ、見てください。風丸」
由羽が指す先には2羽の蝶が飛んでいた。 番なのか寄り添うように舞う仲睦まじい姿に
「蝶々さんたちも夫婦でしょうか?」
こんな他愛ないことにも、由羽はとても楽しそうに笑う。その無邪気な笑顔を見ていると、由羽と出会うまでずっと噛みしめていた唇が自然と綻ぶ。
向こうでは想像すらできなかった穏やかな時間に身を浸しながら、由羽と手を繋いで夕焼けの街を歩く。これからはずっと同じ家に帰れる幸福に胸を満たしながら。
糸が置かれた棚の前に来た俺たちは
「糸を買うんですか? 何に使うんですか?」
首を傾げる由羽に、俺は糸の束を手に取りながら
「この世界じゃ指輪が結婚の証みたいだけど、俺の故郷では糸で編んだ手製の腕輪を交換して夫婦の証にするんだ。さっきそれを思い出して、ちょっとやってみたくなってさ」
さっきの女たちに「なんで指輪をしてないのか?」と尋ねられて、ふと思い出した。
俺の説明を聞いた由羽はパッと笑って
「風丸の故郷にも結婚指輪みたいなものがあるんですね。でも糸じゃすぐに切れてしまいませんか?」
「切れちゃうからいいんだってさ。人の縁はそんなに強固じゃないから、人の縁が本来儚いものであることを忘れないように。時と共に風化して切れそうになる縁を、そのたび結び直して永遠にできるように、あえて糸で作るんだって」
それは昔、一度だけ母から聞いた夫婦の腕輪の由縁の話。
実際のところ、その儀式はほとんど形骸化して、今では最初に腕輪を贈った後は切れっ放しの夫婦も多い。そういう夫婦は、たいてい内情も破綻している。
逆にじいさんばあさんになっても、お互いに腕輪をしている夫婦は年老いても仲睦まじかった。俺の母も作り直してくれる者を亡くして切れてしまった腕輪を、死ぬまで大切に持ち続けていた。
なんか急にそれらを思い出して、俺も由羽と交わしたくなった。
「でも手作りの腕輪を切れるたびに作り直すなんて面倒かな? 金属製や宝石つきならともかく、糸でできた腕輪なんて安っぽいし。やっぱりこっち流に指輪にするかい?」
普通こういう婚儀にまつわる風習は、女のほうが思い入れが強いものだ。特にこっちでは指輪を贈るのが主流のようだし、糸で編んだ手製の腕輪なんて安っぽいものを、押し付けるのは気の毒かもしれない。
しかし由羽は笑顔で首を振って
「風丸の故郷の風習のほうが素敵です。買った指輪をもらうより、私も糸が切れるたびに、また新しい気持ちで縁を結び直せるほうが嬉しいです」
俺も本当は見栄えや値打ちよりも、そこに込められた意味や想いのほうが大事だと思う。だから由羽が俺と同じように感じてくれたことが嬉しくて、改めて好きだなと思った。
それから2人で糸を選んだ。お互いをイメージした色を1色ずつ。2色の糸を組み合わせて1つの腕輪にし、夫婦の縁の象徴とする。由羽によると俺の魔法発動時の鮮やかな緑と、陽だまりのような黄色の2色の糸を選んだ。
他はおいおい揃えることにして、夕食の材料を買いに『すーぱー』ってところに寄る。後は帰るだけかと思いきや
「風丸。帰る前に、もう1つだけ寄り道してもいいですか?」
由羽に連れて来られたのは、小さな神社だった。規模は小さいが、よく手入れされていて、清々と心地いい場所だ。
「ここって神社だよな? こっちにもあるんだな」
「風丸の故郷にも神社があるんですね。ちなみに向こうの神社は、どういう場所なんですか?」
「神頼みしたり厄払いしたりだろ。こっちでは違うのかい?」
「こっちもだいたい同じです」
場所は変わっても人間のやることは変わらないようだ。どの国に行っても必ずといっていいほど、神に祈り救いを求める場所がある。
でも由羽の国では、神に慈悲を乞うだけの場所では無いらしく
「でもうちのおばあちゃんは神様は何も言わなくても、いつも私たちを護ってくださっているって。だから神社は日頃のお礼を言いに来る場所なんだよと言っていました。それで私も実家を出てからは、この神社の神様にお礼を言いに来ているんです」
信心深い祖母の教えを守り、律儀に神社にお礼を言いに来るという由羽は
「でも風丸の安否が分からなくなった時はやっぱり不安で、毎日あなたの無事を願ってしまいました」
「なかなかおばあちゃんのようにはいきません」と、ちょっと照れたように笑うと
「風丸が無事だったのは、もちろん風丸ががんばったからなんですが、あなたとこうしてまた会えたことを、神様にも感謝したかったんです」
由羽は参拝の理由を告げると「だから、ちょっと待っていてください」と拝殿に向かった。由羽は俺にまで信心を求めてはいないようだが
「そういう理由なら、俺も手を合わせて行こうかな」
「わー、いいですね。風丸が挨拶してくれたら、きっと神様も喜びます」
由羽には霊感は無いらしい。それなのに当たり前のように神を信じている。目に見えないものを信じ、尊重しようとする人間だからこそ、導き手として神に呼ばれ、向こうでは聖獣と友だちになれたのかもしれない。
前は神頼みなんて馬鹿らしいし、そもそも感謝するほど護られていないと思っていた。でも今は暗闇の中でさえ、本当は護られていたのかもしれないと思う。俺が与えられた生を投げ出すことなく、今この時に辿りつけるように。
歩いている間は意味が分からなかった、辛いだけの苦難の道。でも今ここから振り返れば、何1つ無駄では無かったと分かる。
ずっと否定して来た両親の決断さえも。あの人たちが諦めなかったから、俺は今ここに居られる。
……もし願ってもいいなら、あの人たちに伝えてくれ。俺はすごく幸せだって。産んでくれて、ありがとうって。
目に見えないものに手を合わせながら、はじめて両親に感謝する。ずっと恨みだけを抱いていた心にはじめて芽生えた感謝は、由羽がくれた温もりのように温かった。
神社からの帰り道。夕暮れに染まる境内を、由羽と手を繋いで出ようとすると
「あっ、見てください。風丸」
由羽が指す先には2羽の蝶が飛んでいた。 番なのか寄り添うように舞う仲睦まじい姿に
「蝶々さんたちも夫婦でしょうか?」
こんな他愛ないことにも、由羽はとても楽しそうに笑う。その無邪気な笑顔を見ていると、由羽と出会うまでずっと噛みしめていた唇が自然と綻ぶ。
向こうでは想像すらできなかった穏やかな時間に身を浸しながら、由羽と手を繋いで夕焼けの街を歩く。これからはずっと同じ家に帰れる幸福に胸を満たしながら。
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