51 / 68
第9話・突然の横やりと結構な窮地
他の何を犠牲にしても(風丸視点)
しおりを挟む
持っていた毒消しも回復薬も使い切り、このままじわじわと嬲り殺されるのを待つだけかと思われた時。
「か、風丸!? どうしてクレイグと戦っているの!?」
弱った聴力が和泉の姐御の声を拾う。声に目を向けると、王都の北側を捜索していたはずの姐御とユエルたちが居た。助かったと安堵したのも束の間。
「いきなり襲いかかって来たんだ! アルゼリオを襲った犯人はアイツだ!」
俺が沈黙しているのをいいことに、クレイグが姐御たちに嘘を吹き込む。さっきまで俺とクレイグの戦いを観戦していたネフィロスは、いち早く気配に気づいたのか、マスターちゃんを連れてまた身を隠したようだ。
クレイグの嘘に、和泉の姐御とユエルは「えっ!?」と驚きの声をあげた。考える隙を奪うように
「我々もクレイグに加勢しよう!」
カイゼルが剣を抜いて、こちらに向かって来ようとする。
セーラーちゃんが追放されてから、カイゼルはクレイグやネフィロスと行動していた。カイゼルだけが、この件と無関係とは考えにくい。アイツはわざとユエルと和泉の姐御が、俺を攻撃するように仕向けている。
それが分かっても『沈黙』によって声を奪われた俺には、ユエルたちに真実を知らせられない。せめてマスターちゃんだけでも助けるように言いたかったが
「待って! 由羽ちゃんはどこなの!?」
「あの子も風丸に殺された! 俺の目の前でいきなり刺したんだ!」
まだ生きているマスターちゃんを、クレイグは死んだと報告した。それは今はまだ生きているマスターちゃんを、騒ぎに乗じて殺すと宣言したのも同じこと。
嘘と裏切りは忍者の十八番だ。特に俺の里には大義も忠義も無く、金や情勢次第で誰にでも転ぶ。俺自身、皆の前ではわざと軽薄に振る舞っていた。
名門の騎士様の言より、薄汚い忍を信じるはずが無いと絶望しかけた時。
「嘘だ! 風丸さんが相楽さんを殺すはずがない!」
思いがけずユエルが俺を信じてくれたことで、和泉の姐御にも本当の裏切り者が誰か伝わった。
姐御の指示でユエルが俺の状態異常を解除し、カイゼルの不意打ちも間一髪で防いだ。
しかしそれからはカイゼルとクレイグを相手に、ネフィロスに邪魔されながらの乱戦がはじまった。
全状態異常無効の体質を持つユエル以外は、たびたびネフィロスに麻痺や眠りをかけられて、行動不能になる。
無防備な状態をカイゼルとクレイグに狙われたら一溜まりもない。そのせいでユエルは、俺と姐御のサポートに釘付けになった。
それでもなんとか力押しでカイゼルとクレイグを倒すと
「これだけお膳立てしても勝てないとは嘆かわしい。人質を取って脅すなんて短絡的な真似はしたくないのですが、やむを得ませんね」
ネフィロスは敗北した仲間たちを嘲笑うと、マスターちゃんの喉に再びナイフを突きつけて
「この子を殺されたくなければ、動かないでください」
俺たち全員の動きを封じると、なぜかカイゼルとクレイグの魂まで奪った。
壁役のカイゼルとクレイグはネフィロス自身が無力化して、今は3対1だ。だけどネフィロスの手の中に、マスターちゃんが居るだけで俺たちは迂闊に動けなかった。
その優位をよく理解しているネフィロスは
「しかし相楽さんはこの2人と違って、人質としては優秀なようだ。婚約者であるユエル君と和泉さんを殺し合わせることは不可能でも、この子の忍である風丸君には言うことを聞いてもらえそうですね」
それからネフィロスはマスターちゃんを殺されたくなければ、ユエルを始末しろと俺に迫った。
「か、風丸……」
和泉の姐御が不安そうに俺を見る。俺は苦渋を感じても迷いはせずに
「……ユエルを殺せば、マスターちゃんは助けるんだな?」
俺の返事に、ユエルは「か、風丸さん……」と戸惑いの声をあげた。さっき俺がマスターちゃんを殺すはずがないと信じてくれて嬉しかった。でも、それなら分かるはずだ。
俺はマスターちゃんだけは絶対に裏切れない。例えその代わりに、ここに居るユエルと姐御だけでなく、世界中の人間を犠牲にしても。
自分の大切な人のために、他の人間を犠牲にすることに罪悪感が無いわけじゃない。
俺がマスターちゃんを失いたくないように、他人にとってはどうでもいい存在が、ある人間にとっては命より大事だったりする。そういう侵しがたい繋がりが世界中にある。
でもどうせそんな繋がりは、強者や多数派の幸福のために、しばしば踏みにじられている。弱者よりも強者を、少数よりも多数を生かそうとするのが世界だから。
……だったら条件は同じだろう。俺は多数派にはなれないが、強者にはなり得る。俺が勝てばマスターちゃんの代わりに大勢が死に、ユエルが勝てば大勢の代わりに俺とマスターちゃんが死ぬ。それだけの話だ。
それだけの話だからこそ、奪われる側の苦しみなんて知りもせず、のうのうとのさばる世界のために、マスターちゃんを死なせて堪るかと本気で思った。
しかしユエルに斬りかかる寸前。
「ダメぇっ!」
バシャッ!
「グワァァ!?」
実は先ほどの全体浄化で麻痺が解けていたらしいマスターちゃんが、ネフィロスの顔面に聖水をぶっかけた。ネフィロスが浄化の力によって、顔面を焼かれるような痛みに苛まれている間に
「風丸!」
マスターちゃんはネフィロスの拘束を振りほどいて、こちらに駆けて来ようとしたが
「あぁっ!?」
「マスターちゃん!」
ネフィロスが投げたナイフが背中に突き刺さり、俺の目の前で倒れた。
全員がマスターちゃんに気を取られている間に、ネフィロスは消えてしまった。ネフィロスの追跡よりも、マスターちゃんの治癒を優先したおかげで命は助かったものの
「すみません、私。ギリギリまで怖くて動けなくて。皆に迷惑をかけちゃって……」
「泣かないで。由羽ちゃんは何も悪くない。無事で良かったよ」
和泉の姐御は親身にマスターちゃんを気遣ってくれた。俺がネフィロスに言われるまま、ユエルを殺そうとしたことは誰も咎めなかった。
今回は助かったが、またいつネフィロスが襲って来るか分からない。ヤツは今回の件でマスターちゃんの人質としての利用価値を知った。マスターちゃんを人質にすれば、姐御とユエルの動きは鈍り、俺は完全に手駒にできる。
マスターちゃんを護りきる手段は1つしかなかった。
「か、風丸!? どうしてクレイグと戦っているの!?」
弱った聴力が和泉の姐御の声を拾う。声に目を向けると、王都の北側を捜索していたはずの姐御とユエルたちが居た。助かったと安堵したのも束の間。
「いきなり襲いかかって来たんだ! アルゼリオを襲った犯人はアイツだ!」
俺が沈黙しているのをいいことに、クレイグが姐御たちに嘘を吹き込む。さっきまで俺とクレイグの戦いを観戦していたネフィロスは、いち早く気配に気づいたのか、マスターちゃんを連れてまた身を隠したようだ。
クレイグの嘘に、和泉の姐御とユエルは「えっ!?」と驚きの声をあげた。考える隙を奪うように
「我々もクレイグに加勢しよう!」
カイゼルが剣を抜いて、こちらに向かって来ようとする。
セーラーちゃんが追放されてから、カイゼルはクレイグやネフィロスと行動していた。カイゼルだけが、この件と無関係とは考えにくい。アイツはわざとユエルと和泉の姐御が、俺を攻撃するように仕向けている。
それが分かっても『沈黙』によって声を奪われた俺には、ユエルたちに真実を知らせられない。せめてマスターちゃんだけでも助けるように言いたかったが
「待って! 由羽ちゃんはどこなの!?」
「あの子も風丸に殺された! 俺の目の前でいきなり刺したんだ!」
まだ生きているマスターちゃんを、クレイグは死んだと報告した。それは今はまだ生きているマスターちゃんを、騒ぎに乗じて殺すと宣言したのも同じこと。
嘘と裏切りは忍者の十八番だ。特に俺の里には大義も忠義も無く、金や情勢次第で誰にでも転ぶ。俺自身、皆の前ではわざと軽薄に振る舞っていた。
名門の騎士様の言より、薄汚い忍を信じるはずが無いと絶望しかけた時。
「嘘だ! 風丸さんが相楽さんを殺すはずがない!」
思いがけずユエルが俺を信じてくれたことで、和泉の姐御にも本当の裏切り者が誰か伝わった。
姐御の指示でユエルが俺の状態異常を解除し、カイゼルの不意打ちも間一髪で防いだ。
しかしそれからはカイゼルとクレイグを相手に、ネフィロスに邪魔されながらの乱戦がはじまった。
全状態異常無効の体質を持つユエル以外は、たびたびネフィロスに麻痺や眠りをかけられて、行動不能になる。
無防備な状態をカイゼルとクレイグに狙われたら一溜まりもない。そのせいでユエルは、俺と姐御のサポートに釘付けになった。
それでもなんとか力押しでカイゼルとクレイグを倒すと
「これだけお膳立てしても勝てないとは嘆かわしい。人質を取って脅すなんて短絡的な真似はしたくないのですが、やむを得ませんね」
ネフィロスは敗北した仲間たちを嘲笑うと、マスターちゃんの喉に再びナイフを突きつけて
「この子を殺されたくなければ、動かないでください」
俺たち全員の動きを封じると、なぜかカイゼルとクレイグの魂まで奪った。
壁役のカイゼルとクレイグはネフィロス自身が無力化して、今は3対1だ。だけどネフィロスの手の中に、マスターちゃんが居るだけで俺たちは迂闊に動けなかった。
その優位をよく理解しているネフィロスは
「しかし相楽さんはこの2人と違って、人質としては優秀なようだ。婚約者であるユエル君と和泉さんを殺し合わせることは不可能でも、この子の忍である風丸君には言うことを聞いてもらえそうですね」
それからネフィロスはマスターちゃんを殺されたくなければ、ユエルを始末しろと俺に迫った。
「か、風丸……」
和泉の姐御が不安そうに俺を見る。俺は苦渋を感じても迷いはせずに
「……ユエルを殺せば、マスターちゃんは助けるんだな?」
俺の返事に、ユエルは「か、風丸さん……」と戸惑いの声をあげた。さっき俺がマスターちゃんを殺すはずがないと信じてくれて嬉しかった。でも、それなら分かるはずだ。
俺はマスターちゃんだけは絶対に裏切れない。例えその代わりに、ここに居るユエルと姐御だけでなく、世界中の人間を犠牲にしても。
自分の大切な人のために、他の人間を犠牲にすることに罪悪感が無いわけじゃない。
俺がマスターちゃんを失いたくないように、他人にとってはどうでもいい存在が、ある人間にとっては命より大事だったりする。そういう侵しがたい繋がりが世界中にある。
でもどうせそんな繋がりは、強者や多数派の幸福のために、しばしば踏みにじられている。弱者よりも強者を、少数よりも多数を生かそうとするのが世界だから。
……だったら条件は同じだろう。俺は多数派にはなれないが、強者にはなり得る。俺が勝てばマスターちゃんの代わりに大勢が死に、ユエルが勝てば大勢の代わりに俺とマスターちゃんが死ぬ。それだけの話だ。
それだけの話だからこそ、奪われる側の苦しみなんて知りもせず、のうのうとのさばる世界のために、マスターちゃんを死なせて堪るかと本気で思った。
しかしユエルに斬りかかる寸前。
「ダメぇっ!」
バシャッ!
「グワァァ!?」
実は先ほどの全体浄化で麻痺が解けていたらしいマスターちゃんが、ネフィロスの顔面に聖水をぶっかけた。ネフィロスが浄化の力によって、顔面を焼かれるような痛みに苛まれている間に
「風丸!」
マスターちゃんはネフィロスの拘束を振りほどいて、こちらに駆けて来ようとしたが
「あぁっ!?」
「マスターちゃん!」
ネフィロスが投げたナイフが背中に突き刺さり、俺の目の前で倒れた。
全員がマスターちゃんに気を取られている間に、ネフィロスは消えてしまった。ネフィロスの追跡よりも、マスターちゃんの治癒を優先したおかげで命は助かったものの
「すみません、私。ギリギリまで怖くて動けなくて。皆に迷惑をかけちゃって……」
「泣かないで。由羽ちゃんは何も悪くない。無事で良かったよ」
和泉の姐御は親身にマスターちゃんを気遣ってくれた。俺がネフィロスに言われるまま、ユエルを殺そうとしたことは誰も咎めなかった。
今回は助かったが、またいつネフィロスが襲って来るか分からない。ヤツは今回の件でマスターちゃんの人質としての利用価値を知った。マスターちゃんを人質にすれば、姐御とユエルの動きは鈍り、俺は完全に手駒にできる。
マスターちゃんを護りきる手段は1つしかなかった。
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説
【R18】助けてもらった虎獣人にマーキングされちゃう話
象の居る
恋愛
異世界転移したとたん、魔獣に狙われたユキを助けてくれたムキムキ虎獣人のアラン。襲われた恐怖でアランに縋り、家においてもらったあともズルズル関係している。このまま一緒にいたいけどアランはどう思ってる? セフレなのか悩みつつも関係が壊れるのが怖くて聞けない。飽きられたときのために一人暮らしの住宅事情を調べてたらアランの様子がおかしくなって……。
ベッドの上ではちょっと意地悪なのに肝心なとこはヘタレな虎獣人と、普段はハッキリ言うのに怖がりな人間がお互いの気持ちを確かめ合って結ばれる話です。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
【完結】ヤンデレ設定の義弟を手塩にかけたら、シスコン大魔法士に育ちました!?
三月よる
恋愛
14歳の誕生日、ピフラは自分が乙女ゲーム「LOVE/HEART(ラブハート)」通称「ラブハ」の悪役である事に気がついた。シナリオ通りなら、ピフラは義弟ガルムの心を病ませ、ヤンデレ化した彼に殺されてしまう運命。生き残りのため、ピフラはガルムのヤンデレ化を防止すべく、彼を手塩にかけて育てる事を決意する。その後、メイドに命を狙われる事件がありながらも、良好な関係を築いてきた2人。
そして10年後。シスコンに育ったガルムに、ピフラは婚活を邪魔されていた。姉離れのためにガルムを結婚させようと、ピフラは相手のヒロインを探すことに。そんなある日、ピフラは謎の美丈夫ウォラクに出会った。彼はガルムと同じ赤い瞳をしていた。そこで「赤目」と「悪魔と黒魔法士」の秘密の相関関係を聞かされる。その秘密が過去のメイド事件と重なり、ピフラはガルムに疑心を抱き始めた。一方、ピフラを監視していたガルムは自分以外の赤目と接触したピフラを監禁して──?
【R18】××××で魔力供給をする世界に聖女として転移して、イケメン魔法使いに甘やかされ抱かれる話
もなか
恋愛
目を覚ますと、金髪碧眼のイケメン──アースに抱かれていた。
詳しく話を聞くに、どうやら、私は魔法がある異世界に聖女として転移をしてきたようだ。
え? この世界、魔法を使うためには、魔力供給をしなきゃいけないんですか?
え? 魔力供給って、××××しなきゃいけないんですか?
え? 私、アースさん専用の聖女なんですか?
魔力供給(性行為)をしなきゃいけない聖女が、イケメン魔法使いに甘やかされ、快楽の日々に溺れる物語──。
※n番煎じの魔力供給もの。18禁シーンばかりの変態度高めな物語です。
※ムーンライトノベルズにも載せております。ムーンライトノベルズさんの方は、題名が少し変わっております。
※ヒーローが変態です。ヒロインはちょろいです。
R18作品です。18歳未満の方(高校生も含む)の閲覧は、御遠慮ください。
【R-18】喪女ですが、魔王の息子×2の花嫁になるため異世界に召喚されました
indi子/金色魚々子
恋愛
――優しげな王子と強引な王子、世継ぎを残すために、今宵も二人の王子に淫らに愛されます。
逢坂美咲(おうさか みさき)は、恋愛経験が一切ないもてない女=喪女。
一人で過ごす事が決定しているクリスマスの夜、バイト先の本屋で万引き犯を追いかけている時に階段で足を滑らせて落ちていってしまう。
しかし、気が付いた時……美咲がいたのは、なんと異世界の魔王城!?
そこで、魔王の息子である二人の王子の『花嫁』として召喚されたと告げられて……?
元の世界に帰るためには、その二人の王子、ミハイルとアレクセイどちらかの子どもを産むことが交換条件に!
もてない女ミサキの、甘くとろける淫らな魔王城ライフ、無事?開幕!
【R18】魔法使いの弟子が師匠に魔法のオナホで疑似挿入されちゃう話
紅茶丸
恋愛
魔法のオナホは、リンクさせた女性に快感だけを伝えます♡ 超高価な素材を使った魔法薬作りに失敗してしまったお弟子さん。強面で大柄な師匠に怒られ、罰としてオナホを使った実験に付き合わされることに───。というコメディ系の短編です。
※エロシーンでは「♡」、濁音喘ぎを使用しています。処女のまま快楽を教え込まれるというシチュエーションです。挿入はありませんがエロはおそらく濃いめです。
キャラクター名がないタイプの小説です。人物描写もあえて少なくしているので、好きな姿で想像してみてください。Ci-enにて先行公開したものを修正して投稿しています。(Ci-enでは縦書きで公開しています。)
ムーンライトノベルズ・pixivでも掲載しています。
異世界転移したら、推しのガチムチ騎士団長様の性癖が止まりません
冬見 六花
恋愛
旧題:ロングヘア=美人の世界にショートカットの私が転移したら推しのガチムチ騎士団長様の性癖が開花した件
異世界転移したアユミが行き着いた世界は、ロングヘアが美人とされている世界だった。
ショートカットのために醜女&珍獣扱いされたアユミを助けてくれたのはガチムチの騎士団長のウィルフレッド。
「…え、ちょっと待って。騎士団長めちゃくちゃドタイプなんですけど!」
でもこの世界ではとんでもないほどのブスの私を好きになってくれるわけない…。
それならイケメン騎士団長様の推し活に専念しますか!
―――――【筋肉フェチの推し活充女アユミ × アユミが現れて突如として自分の性癖が目覚めてしまったガチムチ騎士団長様】
そんな2人の山なし谷なしイチャイチャエッチラブコメ。
●ムーンライトノベルズで掲載していたものをより糖度高めに改稿してます。
●11/6本編完結しました。番外編はゆっくり投稿します。
●11/12番外編もすべて完結しました!
●ノーチェブックス様より書籍化します!
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
冷酷無比な国王陛下に愛されすぎっ! 絶倫すぎっ! ピンチかもしれませんっ!
仙崎ひとみ
恋愛
子爵家のひとり娘ソレイユは、三年前悪漢に襲われて以降、男性から劣情の目で見られないようにと、女らしいことを一切排除する生活を送ってきた。
18歳になったある日。デビュタントパーティに出るよう命じられる。
噂では、冷酷無悲な独裁王と称されるエルネスト国王が、結婚相手を探しているとか。
「はあ? 結婚相手? 冗談じゃない、お断り」
しかし両親に頼み込まれ、ソレイユはしぶしぶ出席する。
途中抜け出して城庭で休んでいると、酔った男に絡まれてしまった。
危機一髪のところを助けてくれたのが、何かと噂の国王エルネスト。
エルネストはソレイユを気に入り、なんとかベッドに引きずりこもうと企む。
そんなとき、三年前ソレイユを助けてくれた救世主に似た男性が現れる。
エルネストの弟、ジェレミーだ。
ジェレミーは思いやりがあり、とても優しくて、紳士の鏡みたいに高潔な男性。
心はジェレミーに引っ張られていくが、身体はエルネストが虎視眈々と狙っていて――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる