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第2話・〇〇しないと出られない部屋レベル1
膝枕しないと出られない部屋
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例によって、またお題部屋に入った私たちは
「今回のお題はなんですか?」
壁に書かれたお題を確認した風丸は私を振り返ると
「膝枕だってさ。良かったな、キスじゃなくて」
「逆に膝枕のほうが恥ずかしくないですか? キスなら手の甲に口づけるだけで済みますが、膝枕のほうが密着度が高いです」
私の発言に、風丸はなぜか不可解そうな顔で
「キスなら手の甲に口づけるだけで済むって……唇じゃなくてもクリアになるのかい?」
「唇でもいいし、手でもオデコでもほっぺでもいいはずですよ」
「へー……。あれだけ渋っておきながら、わざわざ唇にさせていたんだな~」
どうやら風丸の前の主人であるリーゼロッテ・エバーシュタインさんは
『本当は嫌なんですが、お題ですから仕方ありません……』
みたいな風を装って、風丸やアルゼリオさんと遠慮なくキスしていた模様です。
「す、すみません……。私たちの世界の者が風丸の唇を穢してすみません……」
私も初攻略時には、これでもかとブチュブチュしていたので、我がことのように謝りました。風丸は私を責めるつもりはないようで
「キスくらいで穢されたなんて嘆くほど、綺麗な人生送ってないけどさ。そんな俺でも不快に感じるほど、金髪ちゃんは嫌だった」
「ずいぶん苦労したんですね。私にはなんでもワガママを言っていいですから、して欲しいことがあったら遠慮なく言ってくださいね」
心配して申し出るも、風丸はなぜか白い目で
「そんなことを言って。俺がくっつくとキャアキャア言って逃げるくせに」
言葉のついでに触って来ようとする彼から、私はバッと距離を取って
「だってそれは命に関わることですから! 私にだって生命を護る権利はあるんです!」
風丸を穢したくない気持ちとは無関係に、生身の推しとの過剰スキンシップは、心臓が爆散しかねない威力でした。
そんな私の態度に
「俺が好きとか言いながら、触られるのは嫌がるんだから変なヤツだよな~」
風丸はつまらなさそうに言うと、パッと気持ちを切り替えて
「まぁ、でもここでは流石に嫌とは言わないだろ? って、ことで、はい」
部屋の中央に置かれたベッドに腰かけると、自分の膝をポンポンと叩きました。
「えっ? 風丸が膝枕をしてくれるんですか?」
「人前で寝転がるのって嫌なんだ。つーわけでマスターちゃんが横になって?」
どうやら忍の警戒心的なものみたいです。
無意味なスキンシップはなるべく避けたいですが、今はどちらかが膝枕しないと出られません。風丸も嫌がっていないようですし、これくらいはいいのかなと遠慮がちに横になりました。
某格闘漫画で「良質な筋肉は柔らかい」と聞いたことがありますが、確かに風丸の太ももはカチカチというよりもムチムチした弾力がありました。おほう。これはいい膝枕。
推しの膝枕にうっかりヘブン状態になってしまいましたが、風丸はそんな私のだらしない表情を見下ろして
「……俺を穢したくないとか言いながら、うっとりした顔しちゃって。マスターちゃんのエッチ」
「ふぇぇっ!? ゴメンなさいぃぃ!?」
ツンとほっぺを突かれた瞬間、ガバッと飛び起きようとしましたが
「冗談だよ。まだ宝箱出てないし、もうちょっと寝とけって」
風丸に肩を押されて再び横になるも
「ほ、本当に大丈夫ですか? 嫌じゃないですか? 代わりましょうか?」
ビクビクしながら具合を尋ねる私に、風丸は「アンタは本当に心配性だね」と苦笑しつつ
「ぶっちゃけ人に触られんのは嫌いだけど、アンタならいいよ。アンタは人間っていうより珍獣っぽいからかな? あんまり嫌だと思わない」
「そうですか! 人間離れしたキャラで良かったです!」
安堵のあまり元気に言うと、なぜか風丸は手で口元を隠して肩を震わせました。マジウケしている様子ですが、特に面白いことを言ったつもりは無いので
「風丸?」
「いや? 本当に変なヤツだなーって」
風丸は笑みを残したままの表情で、私の頭を撫でてくれました。アーッ!? 推しに膝枕で頭なんか撫でられたら、恋に落ちてしまうぅぅ! 流石にキモすぎるリアクションだと、咄嗟に悲鳴を飲み込みましたが
「不思議と口に出さなくても、顏だけでアンタの考えが分かる気がするな」
「ええーっ!?」
咄嗟に両手で顔を覆いましたが、風丸は多分ニヤニヤしながら手を剥がそうとして
「隠さないで見せてよ。アンタの百面相おもしれーから、もっと見たい」
「うわぁぁ。オモチャにしないでくださいぃぃ」
周りからは女を捨てていると思われがちな私ですが、いちおう羞恥心はあるので本気で恥ずかしかったです。それなのに、私をオモチャないし珍獣認定したらしい風丸に、それからもしばらく弄られました。実はとっくにお題をクリアしていたにも関わらずです。
推しに構ってもらえてすごく光栄なのですが、いつもながら心臓に悪いひと時でした。
「今回のお題はなんですか?」
壁に書かれたお題を確認した風丸は私を振り返ると
「膝枕だってさ。良かったな、キスじゃなくて」
「逆に膝枕のほうが恥ずかしくないですか? キスなら手の甲に口づけるだけで済みますが、膝枕のほうが密着度が高いです」
私の発言に、風丸はなぜか不可解そうな顔で
「キスなら手の甲に口づけるだけで済むって……唇じゃなくてもクリアになるのかい?」
「唇でもいいし、手でもオデコでもほっぺでもいいはずですよ」
「へー……。あれだけ渋っておきながら、わざわざ唇にさせていたんだな~」
どうやら風丸の前の主人であるリーゼロッテ・エバーシュタインさんは
『本当は嫌なんですが、お題ですから仕方ありません……』
みたいな風を装って、風丸やアルゼリオさんと遠慮なくキスしていた模様です。
「す、すみません……。私たちの世界の者が風丸の唇を穢してすみません……」
私も初攻略時には、これでもかとブチュブチュしていたので、我がことのように謝りました。風丸は私を責めるつもりはないようで
「キスくらいで穢されたなんて嘆くほど、綺麗な人生送ってないけどさ。そんな俺でも不快に感じるほど、金髪ちゃんは嫌だった」
「ずいぶん苦労したんですね。私にはなんでもワガママを言っていいですから、して欲しいことがあったら遠慮なく言ってくださいね」
心配して申し出るも、風丸はなぜか白い目で
「そんなことを言って。俺がくっつくとキャアキャア言って逃げるくせに」
言葉のついでに触って来ようとする彼から、私はバッと距離を取って
「だってそれは命に関わることですから! 私にだって生命を護る権利はあるんです!」
風丸を穢したくない気持ちとは無関係に、生身の推しとの過剰スキンシップは、心臓が爆散しかねない威力でした。
そんな私の態度に
「俺が好きとか言いながら、触られるのは嫌がるんだから変なヤツだよな~」
風丸はつまらなさそうに言うと、パッと気持ちを切り替えて
「まぁ、でもここでは流石に嫌とは言わないだろ? って、ことで、はい」
部屋の中央に置かれたベッドに腰かけると、自分の膝をポンポンと叩きました。
「えっ? 風丸が膝枕をしてくれるんですか?」
「人前で寝転がるのって嫌なんだ。つーわけでマスターちゃんが横になって?」
どうやら忍の警戒心的なものみたいです。
無意味なスキンシップはなるべく避けたいですが、今はどちらかが膝枕しないと出られません。風丸も嫌がっていないようですし、これくらいはいいのかなと遠慮がちに横になりました。
某格闘漫画で「良質な筋肉は柔らかい」と聞いたことがありますが、確かに風丸の太ももはカチカチというよりもムチムチした弾力がありました。おほう。これはいい膝枕。
推しの膝枕にうっかりヘブン状態になってしまいましたが、風丸はそんな私のだらしない表情を見下ろして
「……俺を穢したくないとか言いながら、うっとりした顔しちゃって。マスターちゃんのエッチ」
「ふぇぇっ!? ゴメンなさいぃぃ!?」
ツンとほっぺを突かれた瞬間、ガバッと飛び起きようとしましたが
「冗談だよ。まだ宝箱出てないし、もうちょっと寝とけって」
風丸に肩を押されて再び横になるも
「ほ、本当に大丈夫ですか? 嫌じゃないですか? 代わりましょうか?」
ビクビクしながら具合を尋ねる私に、風丸は「アンタは本当に心配性だね」と苦笑しつつ
「ぶっちゃけ人に触られんのは嫌いだけど、アンタならいいよ。アンタは人間っていうより珍獣っぽいからかな? あんまり嫌だと思わない」
「そうですか! 人間離れしたキャラで良かったです!」
安堵のあまり元気に言うと、なぜか風丸は手で口元を隠して肩を震わせました。マジウケしている様子ですが、特に面白いことを言ったつもりは無いので
「風丸?」
「いや? 本当に変なヤツだなーって」
風丸は笑みを残したままの表情で、私の頭を撫でてくれました。アーッ!? 推しに膝枕で頭なんか撫でられたら、恋に落ちてしまうぅぅ! 流石にキモすぎるリアクションだと、咄嗟に悲鳴を飲み込みましたが
「不思議と口に出さなくても、顏だけでアンタの考えが分かる気がするな」
「ええーっ!?」
咄嗟に両手で顔を覆いましたが、風丸は多分ニヤニヤしながら手を剥がそうとして
「隠さないで見せてよ。アンタの百面相おもしれーから、もっと見たい」
「うわぁぁ。オモチャにしないでくださいぃぃ」
周りからは女を捨てていると思われがちな私ですが、いちおう羞恥心はあるので本気で恥ずかしかったです。それなのに、私をオモチャないし珍獣認定したらしい風丸に、それからもしばらく弄られました。実はとっくにお題をクリアしていたにも関わらずです。
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