27 / 33
オマケ・転生しても逃がさない
最終話・どれだけ姿が変わろうと(性描写有り)
しおりを挟む
偽ドーエスを前世に飛ばしたあと。
ケネンの部屋には、ナンデとドーエスだけが残された。ドーエスが視線を向けると、ナンデはビクッと俯いた。
しかしそれは以前のように単なる恐怖ではなく
「なぜ顔を隠す?」
「あっ、だって……私は前とは違うので……」
前世と比べて醜いと思われることをナンデは恐れたが、
「そう言えば、私にだけは顔を見られたくないと言っていたな」
ドーエスはナンデに歩み寄ると、彼女の顎を掴み顔を上げさせて
「ど、ドーエス様……んっ」
躊躇いなく重ねられた唇に、ナンデは目を見張って
「なんでキスなさるんですか? こんな醜い女の唇に」
ドーエスはナンデの卑屈を笑いながら、真っ直ぐに彼女を見つめて
「外見などどうでもよい。私が惹かれたのは、そなたの容姿ではなく、私を恐れ震えあがるそなたの魂だ」
ドーエスの前でこそナンデは卑屈になってしまうが、美しい容姿と高貴な身分を失っても、他の人間には自分の矜持を保ち続けた。そんな気丈さがあるからこそ、自分にだけ弱り震える様をドーエスは愛おしく思う。
しかしそれはそれとして
「……まぁ、そなたが気になるなら、手ずから整えてやってもよいが?」
ドーエスに両手で顔を挟まれたナンデは、魔改造の気配を察知して
「アーッ!? このままでお願いしますぅぅ!」
懐かしい絶叫に、ドーエスは喉の奥で笑うと再び唇を寄せた。口づけはすぐに深くなり、グッと腰を引き寄せられたナンデは
「ちょっ、ドーエス様。もしかして、ここでするんですか? すぐそこで父が死んでいるのに?」
「前世でもそうだっただろう。だいたい肉体が壊れただけで、霊体は無事だ。永遠の別れではないのだから、気にするほどのことではない」
ドーエスは部屋の隅に目を向けると
「そなたもせっかく夫婦が再会したのに、喪に服せとは言わないだろう? ケネン」
ナンデに霊視能力はないが、不思議とケネンが慌てて首を縦に振っているのが見える気がした。
ケネンのほうも、ナンデが口にしたわけではないが
(もしそこに居るなら、これから先のことは見ないで欲しい……)
という娘の無言の願いを汲み取って、さっさと冥界へ旅立った。
ドーエスには珍しく場所だけはナンデの意向を汲んで、ケネン殺害&魔改造が行われた現場からナンデの部屋へ移った。
死体があったら落ち着かないと思ったが、死体が無いと普通のセックスのようで、ナンデは逆に落ち着かない気持ちになった。しかしドーエスに嫌と言えるはずもなく、大人しくキスを受け入れ、衣服を脱がされた。
ただ前世の恵まれた容姿と違い、今世の自分は醜い。他の男には引け目など感じなかったが、非の打ちどころのない容姿を持つドーエスに、醜い我が身を晒すのはやはり恥ずかしくて
「今度の私、醜くてすみません」
ベッドに裸で押し倒されながら、泣きそうな声で謝るナンデに
「そんなに私の目が怖いか? そなたを醜いと思うのではないかと?」
ドーエスの問いにどう答えたらいいか分からず、ナンデはただコクンと頷いた。
「そなたは忘れているようだが、猫だった頃からもう3年もそなたを見続けている。しかしその間一度だって、そなたを醜いと思ったことはない」
ドーエスは労わるような声音で言いながら、ナンデの頬に優しく触れると
「どれだけ姿が変わろうと、そなたは私の可愛い妻だ」
「はぇっ!? か、可愛いって!?」
真っ赤になって狼狽えるナンデに、ドーエスはニヤニヤと笑って
「今さらか? これまでだって数え切れぬほど愛を囁いて来たつもりだがな」
確かにドーエスはこれまでも、なんならナンデ以外の女にも「可愛い」だの「愛しい」だの言うことがあった。しかしそれは本気ではなく、愚かな女をその気にさせるための悪意ある戯れだった。
けれど、先ほどのドーエスの言葉は
「いや、でもなんか、それとは違うような……」
珍しく慈しみを向けられたナンデは、本当に愛されているのではと錯覚しそうになった。
しかしすぐにドーエスに弄ばれて死んでいった他の花嫁たちを思い出して
「……と言うのは気のせいでした。お忘れください」
なんとかナンデが踏み止まると、ドーエスはくくくと笑って
「やはりそなたはなかなか落ちぬな」
(やっぱり罠だったんだ……)
真に受けなくて良かったとナンデはホッとした。
ドーエスは言葉どおり、容姿の変化など少しも気にした様子なく、ナンデの身体を隅々まで愛撫した。以前と変わらないどころか、久しぶりの妻の身体に、ドーエスは飢えたように触れて口づける。
やがて十分に蕩けて潤ったナンデのそこに、ドーエスは自分の猛ったものを押し当てた。
「ど、ドーエス様……」
破瓜の痛みを恐れるナンデに
「前世と同じだ。痛いのは最初だけ。すぐに良くなるゆえ耐えろ」
一気に貫かれてナンデは苦痛の声をあげた。しかし痛がっていたのは最初だけで、
「当時の感覚が蘇って来たか? はじめての割に、もう心地よさそうだ」
「だって……怖いけど……」
「けど?」
姿が変わってもドーエスが自分を捨てないでくれたことに、ナンデは安堵も感じていた。頭ではドーエスの危険性を理解しているのに、いつの間にか体とともに心も絆されていたのかもしれない。
切ないような甘いような感覚に、頭まで侵されそうになったが、
(でも、それは死亡フラグだから!)
ドーエス相手に恋に落ちることは= 死だと、
「なんでもありません。ただ怖いです」
この時も類いまれなる警戒心が、ナンデを踏み止まらせた。
けれどドーエスは鈍い男ではない。ナンデの心に自分への恋情が芽生えかけていることには、とうに気づいている。
だからこそドーエスは、
「そうか。では存分に怯えろ。私への恐怖を忘れぬうちは、また可愛がってやる」
ナンデにだけは何度も口にする。自分とともに在るうえで破ってはいけないルールを、決して忘れないように。他の者と同じように、無造作に殺していい対象にならないように。
脅しめいた言葉や行為はいつしか、ナンデが油断しないための護りになり、これから新たな夫婦の縁を長く紡いでいく。
今度は偶然ではなく、ナンデと在りたいと望む殺戮王の意思によって。
ケネンの部屋には、ナンデとドーエスだけが残された。ドーエスが視線を向けると、ナンデはビクッと俯いた。
しかしそれは以前のように単なる恐怖ではなく
「なぜ顔を隠す?」
「あっ、だって……私は前とは違うので……」
前世と比べて醜いと思われることをナンデは恐れたが、
「そう言えば、私にだけは顔を見られたくないと言っていたな」
ドーエスはナンデに歩み寄ると、彼女の顎を掴み顔を上げさせて
「ど、ドーエス様……んっ」
躊躇いなく重ねられた唇に、ナンデは目を見張って
「なんでキスなさるんですか? こんな醜い女の唇に」
ドーエスはナンデの卑屈を笑いながら、真っ直ぐに彼女を見つめて
「外見などどうでもよい。私が惹かれたのは、そなたの容姿ではなく、私を恐れ震えあがるそなたの魂だ」
ドーエスの前でこそナンデは卑屈になってしまうが、美しい容姿と高貴な身分を失っても、他の人間には自分の矜持を保ち続けた。そんな気丈さがあるからこそ、自分にだけ弱り震える様をドーエスは愛おしく思う。
しかしそれはそれとして
「……まぁ、そなたが気になるなら、手ずから整えてやってもよいが?」
ドーエスに両手で顔を挟まれたナンデは、魔改造の気配を察知して
「アーッ!? このままでお願いしますぅぅ!」
懐かしい絶叫に、ドーエスは喉の奥で笑うと再び唇を寄せた。口づけはすぐに深くなり、グッと腰を引き寄せられたナンデは
「ちょっ、ドーエス様。もしかして、ここでするんですか? すぐそこで父が死んでいるのに?」
「前世でもそうだっただろう。だいたい肉体が壊れただけで、霊体は無事だ。永遠の別れではないのだから、気にするほどのことではない」
ドーエスは部屋の隅に目を向けると
「そなたもせっかく夫婦が再会したのに、喪に服せとは言わないだろう? ケネン」
ナンデに霊視能力はないが、不思議とケネンが慌てて首を縦に振っているのが見える気がした。
ケネンのほうも、ナンデが口にしたわけではないが
(もしそこに居るなら、これから先のことは見ないで欲しい……)
という娘の無言の願いを汲み取って、さっさと冥界へ旅立った。
ドーエスには珍しく場所だけはナンデの意向を汲んで、ケネン殺害&魔改造が行われた現場からナンデの部屋へ移った。
死体があったら落ち着かないと思ったが、死体が無いと普通のセックスのようで、ナンデは逆に落ち着かない気持ちになった。しかしドーエスに嫌と言えるはずもなく、大人しくキスを受け入れ、衣服を脱がされた。
ただ前世の恵まれた容姿と違い、今世の自分は醜い。他の男には引け目など感じなかったが、非の打ちどころのない容姿を持つドーエスに、醜い我が身を晒すのはやはり恥ずかしくて
「今度の私、醜くてすみません」
ベッドに裸で押し倒されながら、泣きそうな声で謝るナンデに
「そんなに私の目が怖いか? そなたを醜いと思うのではないかと?」
ドーエスの問いにどう答えたらいいか分からず、ナンデはただコクンと頷いた。
「そなたは忘れているようだが、猫だった頃からもう3年もそなたを見続けている。しかしその間一度だって、そなたを醜いと思ったことはない」
ドーエスは労わるような声音で言いながら、ナンデの頬に優しく触れると
「どれだけ姿が変わろうと、そなたは私の可愛い妻だ」
「はぇっ!? か、可愛いって!?」
真っ赤になって狼狽えるナンデに、ドーエスはニヤニヤと笑って
「今さらか? これまでだって数え切れぬほど愛を囁いて来たつもりだがな」
確かにドーエスはこれまでも、なんならナンデ以外の女にも「可愛い」だの「愛しい」だの言うことがあった。しかしそれは本気ではなく、愚かな女をその気にさせるための悪意ある戯れだった。
けれど、先ほどのドーエスの言葉は
「いや、でもなんか、それとは違うような……」
珍しく慈しみを向けられたナンデは、本当に愛されているのではと錯覚しそうになった。
しかしすぐにドーエスに弄ばれて死んでいった他の花嫁たちを思い出して
「……と言うのは気のせいでした。お忘れください」
なんとかナンデが踏み止まると、ドーエスはくくくと笑って
「やはりそなたはなかなか落ちぬな」
(やっぱり罠だったんだ……)
真に受けなくて良かったとナンデはホッとした。
ドーエスは言葉どおり、容姿の変化など少しも気にした様子なく、ナンデの身体を隅々まで愛撫した。以前と変わらないどころか、久しぶりの妻の身体に、ドーエスは飢えたように触れて口づける。
やがて十分に蕩けて潤ったナンデのそこに、ドーエスは自分の猛ったものを押し当てた。
「ど、ドーエス様……」
破瓜の痛みを恐れるナンデに
「前世と同じだ。痛いのは最初だけ。すぐに良くなるゆえ耐えろ」
一気に貫かれてナンデは苦痛の声をあげた。しかし痛がっていたのは最初だけで、
「当時の感覚が蘇って来たか? はじめての割に、もう心地よさそうだ」
「だって……怖いけど……」
「けど?」
姿が変わってもドーエスが自分を捨てないでくれたことに、ナンデは安堵も感じていた。頭ではドーエスの危険性を理解しているのに、いつの間にか体とともに心も絆されていたのかもしれない。
切ないような甘いような感覚に、頭まで侵されそうになったが、
(でも、それは死亡フラグだから!)
ドーエス相手に恋に落ちることは= 死だと、
「なんでもありません。ただ怖いです」
この時も類いまれなる警戒心が、ナンデを踏み止まらせた。
けれどドーエスは鈍い男ではない。ナンデの心に自分への恋情が芽生えかけていることには、とうに気づいている。
だからこそドーエスは、
「そうか。では存分に怯えろ。私への恐怖を忘れぬうちは、また可愛がってやる」
ナンデにだけは何度も口にする。自分とともに在るうえで破ってはいけないルールを、決して忘れないように。他の者と同じように、無造作に殺していい対象にならないように。
脅しめいた言葉や行為はいつしか、ナンデが油断しないための護りになり、これから新たな夫婦の縁を長く紡いでいく。
今度は偶然ではなく、ナンデと在りたいと望む殺戮王の意思によって。
1
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
元男爵令嬢ですが、物凄く性欲があってエッチ好きな私は現在、最愛の夫によって毎日可愛がられています
一ノ瀬 彩音
恋愛
元々は男爵家のご令嬢であった私が、幼い頃に父親に連れられて訪れた屋敷で出会ったのは当時まだ8歳だった、
現在の彼であるヴァルディール・フォルティスだった。
当時の私は彼のことを歳の離れた幼馴染のように思っていたのだけれど、
彼が10歳になった時、正式に婚約を結ぶこととなり、
それ以来、ずっと一緒に育ってきた私達はいつしか惹かれ合うようになり、
数年後には誰もが羨むほど仲睦まじい関係となっていた。
そして、やがて大人になった私と彼は結婚することになったのだが、式を挙げた日の夜、
初夜を迎えることになった私は緊張しつつも愛する人と結ばれる喜びに浸っていた。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
若妻シリーズ
笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。
気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。
乳首責め/クリ責め/潮吹き
※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様
※使用画像/SplitShire様
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
皇帝陛下は皇妃を可愛がる~俺の可愛いお嫁さん、今日もいっぱい乱れてね?~
一ノ瀬 彩音
恋愛
ある国の皇帝である主人公は、とある理由から妻となったヒロインに毎日のように夜伽を命じる。
だが、彼女は恥ずかしいのか、いつも顔を真っ赤にして拒むのだ。
そんなある日、彼女はついに自分から求めるようになるのだが……。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる