71 / 73
オマケ・大人になった2人の話
10年後も一緒に居たら
しおりを挟む
夜。ブライアンは寝室のベッドで、オーウェンがコーチを勤めるアメフトチームの試合をスマホで見ていた。
画面の中ではオーウェンがテキパキと、子どもたちに指示を出している。カザネはブライアンの隣で、その映像を見ながら
「お兄さん、すっかり元気になったみたいで良かったね」
「うん……絶対に変わらないと思っていたのに、意外となんとかなるもんだな」
いつか立ち直るとしても、もっと大変で時間がかかると思っていた。しかしオーウェンは居場所を変えただけで、水を得た魚のように元気になった。ほんの少しのきっかけで、これほど変わるのかと、ブライアンは奇跡を見たような気持ちだった。
「でも、ちょっと残念だな」
ブライアンの一言に、カザネが「何が?」と首を傾げると、彼は意味深に微笑んで
「もっと手こずって打ちのめされて、カザネにいっぱい慰めてもらうはずだったのに」
「へ、変な意味で言っている?」
たじろぐカザネを逃がさないように、ブライアンは妻を抱き寄せると
「夫として妻の愛情を求めているだけだよ? 同じ家に住んでいても、お互いに仕事が忙しくて、新婚旅行にも行けてないし。せめて2人の時くらい新婚気分を味わいたいなって」
「もう結婚してから1年も経っているけど!? と言うか、一緒に暮らし始めてからブライアンずっと甘々なのに、これ以上甘くなることある!?」
ブライアンの秋波に当てられたカザネは恥ずかしさに叫んだ。しかしブライアンは、そのままカザネに覆いかぶさると
「むしろこれからが本番だろ? 借金を清算して結婚して、身内の問題も片付いて、ようやく解禁になったのに」
「解禁って?」
無防備にハテナを飛ばすカザネの耳に、ブライアンは唇を寄せて
「子作り」
「ふぇぇっ!?」
全身で衝撃を受けるカザネに、ブライアンはニヤニヤしながら
「約束忘れちゃった? 10年後も一緒に居たら、孕ませてやるって言っただろ?」
確かに高校生の時に、そんな約束をしたとカザネは思い出した。あの頃はお互い叶わぬ約束だと思っていたが、気付けばとっくに10年経っていた。
「は、はわわわ」
自分の身体の下で羞恥に震えるカザネを、ブライアンは上機嫌で見下ろしながら
「カザネのそういう反応、久しぶり。可愛い赤ちゃんができるまで、いっぱい愛し合おうね?」
高校卒業から28歳の現在まで、ずっと一緒に暮らしているカザネとブライアンだが、孕ませる前提のセックスははじめてだった。裸でカザネと抱き合い、彼女の中に射精したブライアンは
「好きな女に中出しするってヤバいな。ようやく全部、俺のものって感じ」
達した後もすぐには抜かずに「すごく満たされる」と余韻に浸るようにカザネと体を重ねていた。カザネも自分に覆いかぶさるブライアンの身体を、愛おしそうに抱き返しながら
「私もブライアンに、赤ちゃん作ってもらえて嬉しい」
はじまる前はブライアンの色気に狼狽えてしまったが、本当は高校生の頃から望んでいたことだ。「ようやく全部俺のもの」というブライアンの感想と同じで、カザネもようやく2人の人生が1つに重なった気がして、とても嬉しかった。
しかしカザネの言葉を、ブライアンはわざと歪めて受け取って
「へぇ? カザネ、子作り気に入ったの?」
「へっ?」
「じゃあ、もっと期待に応えないとな?」
ニコッとしたのも束の間、さっそくキスしながら体を弄って来るブライアンに
「うぇぇっ!? 今じゃなくていいよ! 今日はもう十分だから!」
いつもはカザネに嫌われないように、彼女のペースに合わせているブライアンだが
「ダメ。もう火が付いた」
「ぶ、ブライアン~!?」
ブライアンの中では、いちおうカザネは翌日休みなので、多少無茶しても問題ないという計算があった。逆にブライアンは翌日も仕事で、しかも法廷で裁判だった。
「こんなに無茶して大丈夫なの?」
とカザネは心配だったが、ブライアンは見目や頭脳だけでなく体力も優れている。
午前中はベッドから起きられないほど抱き潰されたカザネとは裏腹に、翌日のキング弁護士はいつも以上に絶好調で、無事に勝訴をもぎ取ったという。
画面の中ではオーウェンがテキパキと、子どもたちに指示を出している。カザネはブライアンの隣で、その映像を見ながら
「お兄さん、すっかり元気になったみたいで良かったね」
「うん……絶対に変わらないと思っていたのに、意外となんとかなるもんだな」
いつか立ち直るとしても、もっと大変で時間がかかると思っていた。しかしオーウェンは居場所を変えただけで、水を得た魚のように元気になった。ほんの少しのきっかけで、これほど変わるのかと、ブライアンは奇跡を見たような気持ちだった。
「でも、ちょっと残念だな」
ブライアンの一言に、カザネが「何が?」と首を傾げると、彼は意味深に微笑んで
「もっと手こずって打ちのめされて、カザネにいっぱい慰めてもらうはずだったのに」
「へ、変な意味で言っている?」
たじろぐカザネを逃がさないように、ブライアンは妻を抱き寄せると
「夫として妻の愛情を求めているだけだよ? 同じ家に住んでいても、お互いに仕事が忙しくて、新婚旅行にも行けてないし。せめて2人の時くらい新婚気分を味わいたいなって」
「もう結婚してから1年も経っているけど!? と言うか、一緒に暮らし始めてからブライアンずっと甘々なのに、これ以上甘くなることある!?」
ブライアンの秋波に当てられたカザネは恥ずかしさに叫んだ。しかしブライアンは、そのままカザネに覆いかぶさると
「むしろこれからが本番だろ? 借金を清算して結婚して、身内の問題も片付いて、ようやく解禁になったのに」
「解禁って?」
無防備にハテナを飛ばすカザネの耳に、ブライアンは唇を寄せて
「子作り」
「ふぇぇっ!?」
全身で衝撃を受けるカザネに、ブライアンはニヤニヤしながら
「約束忘れちゃった? 10年後も一緒に居たら、孕ませてやるって言っただろ?」
確かに高校生の時に、そんな約束をしたとカザネは思い出した。あの頃はお互い叶わぬ約束だと思っていたが、気付けばとっくに10年経っていた。
「は、はわわわ」
自分の身体の下で羞恥に震えるカザネを、ブライアンは上機嫌で見下ろしながら
「カザネのそういう反応、久しぶり。可愛い赤ちゃんができるまで、いっぱい愛し合おうね?」
高校卒業から28歳の現在まで、ずっと一緒に暮らしているカザネとブライアンだが、孕ませる前提のセックスははじめてだった。裸でカザネと抱き合い、彼女の中に射精したブライアンは
「好きな女に中出しするってヤバいな。ようやく全部、俺のものって感じ」
達した後もすぐには抜かずに「すごく満たされる」と余韻に浸るようにカザネと体を重ねていた。カザネも自分に覆いかぶさるブライアンの身体を、愛おしそうに抱き返しながら
「私もブライアンに、赤ちゃん作ってもらえて嬉しい」
はじまる前はブライアンの色気に狼狽えてしまったが、本当は高校生の頃から望んでいたことだ。「ようやく全部俺のもの」というブライアンの感想と同じで、カザネもようやく2人の人生が1つに重なった気がして、とても嬉しかった。
しかしカザネの言葉を、ブライアンはわざと歪めて受け取って
「へぇ? カザネ、子作り気に入ったの?」
「へっ?」
「じゃあ、もっと期待に応えないとな?」
ニコッとしたのも束の間、さっそくキスしながら体を弄って来るブライアンに
「うぇぇっ!? 今じゃなくていいよ! 今日はもう十分だから!」
いつもはカザネに嫌われないように、彼女のペースに合わせているブライアンだが
「ダメ。もう火が付いた」
「ぶ、ブライアン~!?」
ブライアンの中では、いちおうカザネは翌日休みなので、多少無茶しても問題ないという計算があった。逆にブライアンは翌日も仕事で、しかも法廷で裁判だった。
「こんなに無茶して大丈夫なの?」
とカザネは心配だったが、ブライアンは見目や頭脳だけでなく体力も優れている。
午前中はベッドから起きられないほど抱き潰されたカザネとは裏腹に、翌日のキング弁護士はいつも以上に絶好調で、無事に勝訴をもぎ取ったという。
11
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。
後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。
しかし、そこに香奈が現れる。
成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……
オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕!
※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。
「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。
【今後の大まかな流れ】
第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。
第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません!
本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに!
また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます!
※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。
少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる