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化物と称される存在は、この教会と麓の村、それらを囲む山林を彷徨いている。その生態は謎に包まれているが、報われなかった魂が現世に留まり続けたことで行き場を失い、悪霊のようなものに成り果てた姿だと言われている。教会や聖職者に襲いかかってくるのは、そんな状態でも救いを求めているからなのだとか。昼間は殆ど動きは見られず、夜になると姿を現す。特に月の綺麗な夜は数が増え、強さも増す。セイを含め対抗する力を持った一部の聖職者たちは、決まって夜に任務に出掛けるのだった。
だが、この化物に関しては別の説もある。周囲にこれを説く人間はいないが、一冊の本にのみ、上記を覆す記載があった。それが、今自室で読書するセイの手元にある本である。
聖書や祈祷書と比べてはるかに薄く、緑色のカバーは所々禿げているが、創刊日はそこまで古くはない。これをいつどこで手に入れたのかは覚えていない。随分と昔、此処に来る前から隠すように持ち続けていた。
その内容は、この教会と村で過去に蔓延っていた迫害と断罪、そしてそれゆえに生まれたリグレットについて。
セイが生まれる少し前まで、当たり前のようにこの地で行われていた理不尽な風習。ある条件を満たした人間を、次々にギロチンにかけていくという恐ろしいものだった。
ある満月の夜、一人の村人が急に正気を失い、周りを傷つけ始めた。朝日が登ると彼は我に返ったが、何人もの村人が負傷し、大切に育てた作物が踏み荒らされた。それからはまた普通に暮らしていたが、やはり満月の夜になると同じように狂ってしまう。霊の仕業だと考えた村人たちは、教会の人間に助けを求めた。すると神父がこう口にする。
『月守がいる。彼の妻だ。彼女の所為で彼は狂っている』
月守とは、月のような金色の瞳を持った人間の総称らしい。本物の月に得も言われぬ力があるように、その瞳を以って人を惑わせるのだという。もちろんそんな事実は無く、彼女は目が金色なだけのただの人間だった。収拾を早めたい神父の妄言だったのか、本当にそんな馬鹿げたことを信じていたのか今となってはわからないが、村が盲信的で聖職者の言うことを鵜呑みにしがちだったことと、狂っていた男が村で寵愛されていたこともあって、その妻は神父の言う通り、強引に首を刎ねられた。そうすると、なんと男は本当に治ってしまったのだ。おそらくは今で言う精神疾患、もしくは妻を疎く思っていただけだろうに、そのタイミングの良さゆえ、村人は月守の存在を信じてしまった。
それから、村では月守を恐れ、金色の瞳を持つというだけで当てはまる人間を断罪していった。断罪を教会の人間に行ってもらうことで、神に近い彼らのすることに間違いはないという安心と、自分たちは直接手を下していないという安堵を得ていた。元々稀だった金色の瞳の人間は早々に村から消えていき、それからは新しい命が月守ではないことを祈り、それが叶わなかった時は……。
そんな負のレガシーにより生まれた犠牲者の魂こそ、リグレット……つまり化物の正体だと、この本には書かれている。セイはそっと本を閉じた。
「(この本が正しいのなら、化物がこの辺りにしかいないことも、攻撃してくることも納得がいく。因果応報……私たちが倒す権利は無いのかもしれない)」
元々は妄信が生んだ悲劇が原因なら、化物の矛先は間違ってはいない。しかしこの土地の因果に巻き込まれるのはごめんだし、正体不明のものに殺されたくもない。結局は倒すしかないのだ。『濁った魂を救済する』という大義名分を背負って。
そしてこの本が、セイの無神論を確固たるものにしている。神は何もしてくれない。この月守と名をつけられた人間たちは、助けてくれと祈ったのではないか。救ってくれと懇願したのではないか。もしかしたらその盲信ゆえ、運命を甘んじて受け入れた人間もいるかもしれない。それでも、そうであっても、そんなことを要求するのなら、そんな理不尽を傍観するのなら、居たとしたって神など信じたくはなかった。そもそもセイ自身、事故で両親を亡くし、親戚をたらい回しにされている時点で、人間の醜さを見ているし、神の存在など感じたこともない。神は人間の赦しの逃げ道、要は幻覚に近いものと位置付けて、セイは自分自身の意思と力だけで生きることを決めたのだった。
手元の懐中時計の針は十時を示している。徐に立ち上がると、セイは本を棚の奥にしまい込み、立てかけてある大きな十字架を手に取った。
「(早く終わると良いのだけれど)」
今日は少し奥まった所まで行かなくてはならない。大体の地理を理解しているとはいえ、夜の山林を迷わず歩くのは難しく、いつもより早めに部屋を出る。がらんとしている廊下を歩いて、ふと窓から正門に目を向けると、見知った姿が外に出て行くのが見えた。
「(レン?)」
門限自体に厳しい規定は無いものの、こんな時間に任務以外の人間が出入りするのは珍しい。普段から盲目を感じさせない振る舞いをする彼だが、いくらなんでも任務を行えるほどではないだろう。少しだけ早足で建物から出たが、正門に着く頃にはレンの姿はなく、どこに向かったかもわからなかった。
「……村に用事でもあるのでしょうか」
彼の動向が気になったが、しかしここでいくら憶測を並べたところで無意味なことだ。自分の任務を果たすべく、セイは裏の山林に向かった。
**
化物はいつも通り、悲鳴の一つもあげずに霧散する。奴らに声の概念はないらしい。十字架に残る黒い液体は、血液なのだろうか。はらうように一振りすると、辺りの草や木の幹に散らばった。
気配は無くなり、森は静寂に沈む。木々の間から差し込む月光を頼りに、一度周りを見渡してから息を吐いた。
随分奥まで来たようだ。視界はかなり悪く、少し気を抜けば迷ってしまう。いくらなんでも野宿は避けたいと、来た道を戻ろうと踵を返した。
「……?」
月明かりに何かが反射して、ふと目を向ける。大きな二本の木の間に、セイが持っているものと近い大きさの十字架が二本、交差するように地面に刺さっていた。明らかに人為的なそれの奥には獣道が続いていて、まるで進入を阻んでいるようだった。
「これは、いったい……」
特に躊躇うことなく、セイは十字架をすり抜けて獣道を進む。こんな山奥にある怪しいものを見過ごすことは出来ない。しかしそれは任務を行う人間としての責任感からではなく、セイの個人的な好奇心からだった。迷わないように、背の伸びた草を十字架を使って大きくかき分けて進んでいく。
どれほど歩いただろうか。やがて草むらが途切れて視界がクリアになる。月光が直に降り注ぐそこに木々は無く、大きく拓けた中心に小さな墓石と、一人の人間の影があった。その影はセイの存在に気づいたのか驚いたように振り向いて、その正体にセイも驚く。
「レン?」
「セイ、どうして……」
そこにいたのは間違いなくレンだった。普段穏やかで余裕のある彼の声音には、焦燥が混じっている。何故此処にお互いが居るのか、どちらも把握出来ずにいる中、セイがレンに向かって歩を進めた。
刹那。
「いけない……!!戻りなさい!」
聞いたことのない、レンの張り上げた声にセイが萎縮したのと、黒い靄が墓石の周りから現れたのはほぼ同時だった。
靄はみるみる化物の輪郭を形成し、セイに向かって飛びかかる。咄嗟に十字架を盾にして受け止めたが、規格外の重い攻撃に踏ん張った足が後ろに滑った。半ば無理矢理弾き返した反動で十字架が手から離れ、体勢を崩されたセイに、見たことのない速さで化物が向かってくる。避けることは叶わない。
距離が、詰まる。
「ーー!!」
しかし、化物の攻撃は『セイには』届かなかった。
セイの目の前には化物の大きな影、それと、化物と自分を隔てるレンの背中。前に突き出したレンの右腕は化物に食われていて、その反対の手には見慣れぬ《黒い暴力》があった。銃口が月光を浴びて鈍く光っている。予想を超えた光景に、セイは目を見開き硬直することしかできなかった。
「彼は……悪くないよ。けれど、怖かったね。大丈夫……」
痛みに耐えて、真っ直ぐ化物を見据えて、レンはそう優しく声を掛ける。セイにではない。化物に、彼は宥めるように言葉を紡いでいる。
「痛くない。すぐに逝けるから。……神の御許にお行きなさい」
その顔は、いつも通り優しく微笑んでいた。
独特な破裂音と共に、化物は一瞬で霧散する。それを見送るように、レンは見上げる。見えない筈の夜空に、ぽつりと呟いて。
「神よ。……せめて死後くらい、耐え忍んだ魂をお救いください」
黒い粒子が完全に消えて無くなる頃、更に小さく、吐き捨てるように言葉は続いた。
「まぁ、無理か」
だが、この化物に関しては別の説もある。周囲にこれを説く人間はいないが、一冊の本にのみ、上記を覆す記載があった。それが、今自室で読書するセイの手元にある本である。
聖書や祈祷書と比べてはるかに薄く、緑色のカバーは所々禿げているが、創刊日はそこまで古くはない。これをいつどこで手に入れたのかは覚えていない。随分と昔、此処に来る前から隠すように持ち続けていた。
その内容は、この教会と村で過去に蔓延っていた迫害と断罪、そしてそれゆえに生まれたリグレットについて。
セイが生まれる少し前まで、当たり前のようにこの地で行われていた理不尽な風習。ある条件を満たした人間を、次々にギロチンにかけていくという恐ろしいものだった。
ある満月の夜、一人の村人が急に正気を失い、周りを傷つけ始めた。朝日が登ると彼は我に返ったが、何人もの村人が負傷し、大切に育てた作物が踏み荒らされた。それからはまた普通に暮らしていたが、やはり満月の夜になると同じように狂ってしまう。霊の仕業だと考えた村人たちは、教会の人間に助けを求めた。すると神父がこう口にする。
『月守がいる。彼の妻だ。彼女の所為で彼は狂っている』
月守とは、月のような金色の瞳を持った人間の総称らしい。本物の月に得も言われぬ力があるように、その瞳を以って人を惑わせるのだという。もちろんそんな事実は無く、彼女は目が金色なだけのただの人間だった。収拾を早めたい神父の妄言だったのか、本当にそんな馬鹿げたことを信じていたのか今となってはわからないが、村が盲信的で聖職者の言うことを鵜呑みにしがちだったことと、狂っていた男が村で寵愛されていたこともあって、その妻は神父の言う通り、強引に首を刎ねられた。そうすると、なんと男は本当に治ってしまったのだ。おそらくは今で言う精神疾患、もしくは妻を疎く思っていただけだろうに、そのタイミングの良さゆえ、村人は月守の存在を信じてしまった。
それから、村では月守を恐れ、金色の瞳を持つというだけで当てはまる人間を断罪していった。断罪を教会の人間に行ってもらうことで、神に近い彼らのすることに間違いはないという安心と、自分たちは直接手を下していないという安堵を得ていた。元々稀だった金色の瞳の人間は早々に村から消えていき、それからは新しい命が月守ではないことを祈り、それが叶わなかった時は……。
そんな負のレガシーにより生まれた犠牲者の魂こそ、リグレット……つまり化物の正体だと、この本には書かれている。セイはそっと本を閉じた。
「(この本が正しいのなら、化物がこの辺りにしかいないことも、攻撃してくることも納得がいく。因果応報……私たちが倒す権利は無いのかもしれない)」
元々は妄信が生んだ悲劇が原因なら、化物の矛先は間違ってはいない。しかしこの土地の因果に巻き込まれるのはごめんだし、正体不明のものに殺されたくもない。結局は倒すしかないのだ。『濁った魂を救済する』という大義名分を背負って。
そしてこの本が、セイの無神論を確固たるものにしている。神は何もしてくれない。この月守と名をつけられた人間たちは、助けてくれと祈ったのではないか。救ってくれと懇願したのではないか。もしかしたらその盲信ゆえ、運命を甘んじて受け入れた人間もいるかもしれない。それでも、そうであっても、そんなことを要求するのなら、そんな理不尽を傍観するのなら、居たとしたって神など信じたくはなかった。そもそもセイ自身、事故で両親を亡くし、親戚をたらい回しにされている時点で、人間の醜さを見ているし、神の存在など感じたこともない。神は人間の赦しの逃げ道、要は幻覚に近いものと位置付けて、セイは自分自身の意思と力だけで生きることを決めたのだった。
手元の懐中時計の針は十時を示している。徐に立ち上がると、セイは本を棚の奥にしまい込み、立てかけてある大きな十字架を手に取った。
「(早く終わると良いのだけれど)」
今日は少し奥まった所まで行かなくてはならない。大体の地理を理解しているとはいえ、夜の山林を迷わず歩くのは難しく、いつもより早めに部屋を出る。がらんとしている廊下を歩いて、ふと窓から正門に目を向けると、見知った姿が外に出て行くのが見えた。
「(レン?)」
門限自体に厳しい規定は無いものの、こんな時間に任務以外の人間が出入りするのは珍しい。普段から盲目を感じさせない振る舞いをする彼だが、いくらなんでも任務を行えるほどではないだろう。少しだけ早足で建物から出たが、正門に着く頃にはレンの姿はなく、どこに向かったかもわからなかった。
「……村に用事でもあるのでしょうか」
彼の動向が気になったが、しかしここでいくら憶測を並べたところで無意味なことだ。自分の任務を果たすべく、セイは裏の山林に向かった。
**
化物はいつも通り、悲鳴の一つもあげずに霧散する。奴らに声の概念はないらしい。十字架に残る黒い液体は、血液なのだろうか。はらうように一振りすると、辺りの草や木の幹に散らばった。
気配は無くなり、森は静寂に沈む。木々の間から差し込む月光を頼りに、一度周りを見渡してから息を吐いた。
随分奥まで来たようだ。視界はかなり悪く、少し気を抜けば迷ってしまう。いくらなんでも野宿は避けたいと、来た道を戻ろうと踵を返した。
「……?」
月明かりに何かが反射して、ふと目を向ける。大きな二本の木の間に、セイが持っているものと近い大きさの十字架が二本、交差するように地面に刺さっていた。明らかに人為的なそれの奥には獣道が続いていて、まるで進入を阻んでいるようだった。
「これは、いったい……」
特に躊躇うことなく、セイは十字架をすり抜けて獣道を進む。こんな山奥にある怪しいものを見過ごすことは出来ない。しかしそれは任務を行う人間としての責任感からではなく、セイの個人的な好奇心からだった。迷わないように、背の伸びた草を十字架を使って大きくかき分けて進んでいく。
どれほど歩いただろうか。やがて草むらが途切れて視界がクリアになる。月光が直に降り注ぐそこに木々は無く、大きく拓けた中心に小さな墓石と、一人の人間の影があった。その影はセイの存在に気づいたのか驚いたように振り向いて、その正体にセイも驚く。
「レン?」
「セイ、どうして……」
そこにいたのは間違いなくレンだった。普段穏やかで余裕のある彼の声音には、焦燥が混じっている。何故此処にお互いが居るのか、どちらも把握出来ずにいる中、セイがレンに向かって歩を進めた。
刹那。
「いけない……!!戻りなさい!」
聞いたことのない、レンの張り上げた声にセイが萎縮したのと、黒い靄が墓石の周りから現れたのはほぼ同時だった。
靄はみるみる化物の輪郭を形成し、セイに向かって飛びかかる。咄嗟に十字架を盾にして受け止めたが、規格外の重い攻撃に踏ん張った足が後ろに滑った。半ば無理矢理弾き返した反動で十字架が手から離れ、体勢を崩されたセイに、見たことのない速さで化物が向かってくる。避けることは叶わない。
距離が、詰まる。
「ーー!!」
しかし、化物の攻撃は『セイには』届かなかった。
セイの目の前には化物の大きな影、それと、化物と自分を隔てるレンの背中。前に突き出したレンの右腕は化物に食われていて、その反対の手には見慣れぬ《黒い暴力》があった。銃口が月光を浴びて鈍く光っている。予想を超えた光景に、セイは目を見開き硬直することしかできなかった。
「彼は……悪くないよ。けれど、怖かったね。大丈夫……」
痛みに耐えて、真っ直ぐ化物を見据えて、レンはそう優しく声を掛ける。セイにではない。化物に、彼は宥めるように言葉を紡いでいる。
「痛くない。すぐに逝けるから。……神の御許にお行きなさい」
その顔は、いつも通り優しく微笑んでいた。
独特な破裂音と共に、化物は一瞬で霧散する。それを見送るように、レンは見上げる。見えない筈の夜空に、ぽつりと呟いて。
「神よ。……せめて死後くらい、耐え忍んだ魂をお救いください」
黒い粒子が完全に消えて無くなる頃、更に小さく、吐き捨てるように言葉は続いた。
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