或る二人の戯れ

千木

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 穏やかな夕陽に目を細めながら空を見上げる。空だけでなく、街や海も橙に染められた美しい夕方。いつも通り「彼」を迎えに、セイはゆっくりと歩き出した。
 メインストリートには所狭しと出店が並び、活気に溢れた声が飛び交っている。もはや見慣れた光景。海から流れる塩っ気のある風も、今では心地良い。

「旦那のお迎えかい?いつもごくろうさん!」
「あらセイさん、今日お魚が安いのよ」
「お兄ちゃん、またお歌歌ってー!」

 あらゆる方向から、明るい声音が被さるように飛んでくる。ふと現れた余所者の自分達に、この街の人間は特に偏見も持たずに接してくれていた。茶化しも含め、他愛ない話を振られてはにこやかに通り過ぎる。今まで生きてきた中で経験がないことだったが、悪い気はしない。
 閉鎖的なあの場所からの逃避行。あれからもう一年が経とうとしていた。季節がぐるりと巡り、その間の生活は実に穏やかで充実したものだった。初めて見るもの、人、景色。初めての二人きりの生活。小さなアパートの一室は決して広くはなく、家事は不慣れで、とにかく行き当りばっかりの毎日。それはセイにとっても、目の見えない「彼」にとっては尚更、不便極まりないものである筈だったが、二人はいつも笑っていた。その不便さえ愉快だったのだ。今まで上手く立ち回りながら生きていた筈なのに、これ程自分達には出来ないことが多いのかと。なんて狭い世界で生きてきたのだろうと。新しい発見が、繰り返す失敗が、可笑しくてたまらなかった。そしてそれを重ねていくことが出来る喜びを、毎日のように噛み締めていた。
 外面の良さは上手く使えた。そもそもこの街は人当たりが良く、話さえ合わせてしまえば聞かなくとも様々な情報を伝えてくれる。それは本当にくだらないことだったり、この街にとって大切なことだったりと実に多様で、それを聞いて回るのも楽しいものだ。近所の人からはよく食料だとか、生活に必要なものを色々と分けてもらったりもしている。「彼」が盲目であることもすんなりと受け入れてくれ、何かあれば心配をして声を掛けてくれる。本当にありがたいと、ここに来て何度感じただろうか。
 今まで人に心から感謝したことなどなかった。まともに人のあたたかさを感じたことなどなかった。当たり前のように他者に優しさを差し伸べるこの街は、白を基調としていることを除いても、とても眩しく見えた。
 そんな街に、ここ最近ようやく馴染んできたような気がしていた。あれだけ見慣れなかった白い衣服は、随分と着回して味が出てきている。のんびりと歩くこの何気ない時間にさえ、心を癒される。風通しの良い街の雰囲気、人情の厚い人々。そこで大切な人と共に平凡に暮らしている。本当に、なんの不満もなかった。
 ……ただ、一点を除いては。


「……はぁ」

 目的に着くなり、セイは溜息を吐く。白の中に、黒がちらほら。その中に、「彼」はいる。その黒は、白を重んじるこの街の中では特別な色ーー《》だった。
 「彼」……レンは小さな子どもたちと、黄色い声を出すシスターたちに囲まれていたが、セイに気づいて輪からゆっくりと外れた。目元を包帯で覆っているのに、周囲の人間や足元の段差をものともせず、目の前まで迷いなく歩いてくる姿には、もう驚きはしないが……。複雑そうな顔をするセイに、レンは苦笑して頬を撫でる。その指はいつも通りひんやりと冷たく、しかし酷く優しい。

「もうそろそろ、諦めて欲しいな」
「諦めてはいますよ。納得していないだけで」

 そう言うと、レンは再び困ったように笑った。


**


 『教会で働こうと思うんだ』

 何ヶ月か前、それを聞いた時には、流石のセイも驚いたもので。マグカップを一つ割ってしまったことを覚えている。
 落ち着いた頃、街を巡っていて、此処にも教会があることを知った。教会と違いとても開放的で、信仰もかなりフランクなものだった。のんびりとした雰囲気は井戸端会議の溜まり場のような印象ではあったが、セイにとってはやはり居心地の良い場所ではなかった。
 人の相談に乗ることが得意で、何かと情報が集まる場所にいられて、以前よりそこそこ好きだった花壇の世話も出来る……と、話を聞く限りでは確かにレンの天職であるように思えたが、それは他にも当てはまる職はあるのではないか?だとか、そもそも何故よりによって神職者なのか?だとか、再三文句を垂れたが、レンは思っていたより強情で、結局セイが折れる形となった。やりたいことがまとまった職があるのならそれ自体は良いことだし、何よりレンが考えなしに言うとも思えないのだが、セイとしてはかなり複雑だ。もちろんセイはシスターとして働くわけがなく、家で時間が好きにとれるような内職を続けている。そしてレンが出掛ける際には、必ず送り迎えをしていた。
 アパートから少しばかり遠いこの場所は、レン一人ではまだ危うい。彼の感覚とマッピング能力が非常に長けているとはいえ、人が多く、車の往来もある。道も入り組んでいる上、出店の位置が日によって変わったりもして、まだ明確に地理を把握できていないのだ。一度片道二十分のところを一時間ほど迷子になったことがあり、それからはずっとセイが付き添っている。
 だからこそ、此処に来るたびに視界に入るこの教会と、聞こえる聖歌に思わず眉間に皺が寄ってしまう。結局人の信仰心の深さに違いがあれど、こういった"神"に関する物事が好きではないのだ。開放された礼拝堂の奥に、見知った女性の像が見える。あれだけ悪態を吐き、背を向け、意地でも信じることのなかったマリア像が、やはり変わらず微笑みを浮かべて自分達を見下ろしていた。それがまた、セイにとってはむず痒くてたまらない。そしてそれを、レンは知っている。

「俺が選んだことだけれど、君に嫌な思いをさせたいわけではないんだよ。そろそろ、一人で行き来できるかもしれないし」
「別に、貴方が楽しそうなら構いませんよ。送迎は私が必要だと思っているからしています。気にするなといつも言っているでしょう」
「だけど、毎度綺麗な顔が顰められるのは少し悲しいな」
「見たことがないくせに」
「周りがあれだけ褒めているんだもの。綺麗なんでしょう?」
「知りませんよ。貴方ならともかく」
「あれ、褒められた?」
「……知りません」
「あー!また、『ちわげんか』してる!」

 自身が発した言葉にバツが悪そうにしていると、先ほどレンを取り囲んでいた子どもたちがいつの間にか足元にいて、セイを指差しながら大声を出す。色々とツッコミを入れたかったが、ここは至って平静を保ちながら、セイはにこやかに笑んで子供の背丈までしゃがみ込んだ。

「おや、素敵な言葉を知っているのですね?」
「シスターがいってたよ!」
「ほう……どの方でしょうか?」

 子どもが指さす方向のシスターたちが一部ざわめき出す。ふぅ、と息を吐いて立ち上がると、後ろで笑いを堪えているレンを睨んだ。

「帰りますよ。夕飯の買い物がしたいんですから」
「うん」

 そうして、二人は並んで歩き出す。背後から飛んでくる元気な子どもたちの別れの挨拶に手を振ってから、セイは再度溜息を吐いた。

「毎度茶化されるのも問題ですね」
「喧嘩ですらないのにね」
「そこじゃないです。わかって言ってますね?」
「ふふ、平和だなぁ」
「それはそうですけど」

 まだくすくすと笑うレンの表情は、包帯越しにも柔らかく見える。眩しいのと傍目に盲目だと分かりやすいようにと、結局外では包帯を巻き続けている。勿体無いと思う反面、あの瞳を独り占め出来るというのは、セイの優越感を満たすのに十分だった。

「今日は何かありましたか?」
「いつも通りかな。天気が良かったから、子どもたちをずっと外で遊ばせていたんだ」

 神父の仕事は、人々の懺悔を聴き導くこと……と言っても形式だけで、ちょっとした相談が大半を占めているらしい。それから教会の手入れ、預かっている子どもたちの世話など、勿論礼拝など他にも様々あるが、レンや周囲の人間から聞く限り、セイが知る教会とはかなり差異があった。とにかく何もかもが緩やかで、時間も少しルーズで、シスターたちはレンにキャーキャー言っているし、毎度囲まれているし……。

「……私もシスターになれば良いのでしょうか」
「えっ、どうしたの」
「別に」
「同じ場所で働けるなら、それは嬉しいけれど……君がそんなことを言うなんて、思うところがあるの?」
「忘れてください。戯言です」

 レンの容姿が良いことも、表面上の性格が良いことも知っている。黄色い声を掛けられるのもわかる。それを気に食わないとするなら、それは自分の狭量さゆえでしかなく、セイは被りを振った。レンが自分以外に心を浮つかせるようなことがあってたまるかと思う反面、ああも持ち上げられたら多少は天狗になるのではないかと、じっとレンの顔を見る。すると包帯越しに心配そうな瞳と目が合った気がして、途端に自身の思考が馬鹿らしくなった。彼の目は、あの《月》は確かに自分だけを映しているのに。自嘲気味に笑って、前を向く。

「本当に何でもありませんよ。あんなつまらない仕事、二度としたくありません」
「そう?何でもないなら良いけど」
「……そう言えばレン、」
「何?」
「痴話喧嘩ってどういうことですか?」

 ふと、本当にふと思い返して問い掛けた。レンがシスターに人気、は、わかる。しかし何故、セイとレンの会話を見聞きして『痴話』喧嘩となるのか。あの子どもは『また』と言っていた。と言うことは、言葉の意味がおそらく分かっていない子どもたちはともかく、あの場にいるシスターたちは普段から自分たちをそういう目で見ていると言うことだ。するとレンはあぁ、と声を出して、それからそっと、自身の唇に人差し指を当てた。その意地悪い顔に、セイの口からヒュッと空気が抜ける。

「まさか、」
「君はシスターたちからとても人気だからね。先手を打っておかないと」

 あぁ、この人は本当に!
 叫びたくなるのを必死に堪える。じわじわと耳に熱が灯る感覚がした。額に手を当てて大きく溜息を吐くと、隣の男は腹が立つくらいに愉しそうに笑った。

「……あぁ、貴方の意地の悪さをみくびっていましたよ」
「ありがとう」
「褒めてはいないです。どうしてくれるんですか」
「変わらずで良いんじゃないかな?」
「この野郎」
「口が悪いよ。同性異性問わず、此処では恋愛の自由が認められているのだし、先に言っておけば変に君に近寄る人間はいないかなって」
「……もういいです」
「嫌だった?」
「独占欲のお強いことで」
「そうだよ」
「……嫌ではないとだけ言っておきます」
「うん」

 やがてメインストリートまで戻ってくると、互いの声が聞こえにくくなるほど辺りが賑やかになり始めた。特にこの時間は少しばかり安くなる店が多く、一層人出が多い。セイはそっとレンの手をとって引き寄せる。それから人を避けるため一旦脇道に逸れて、メインストリートの入り口辺りに出ると、周囲の出店を眺め始めた。食材の品定めをしていれば、見知った店主に声を掛けられた。

「おっ、今日も旦那と仲が良いね!」

 ガタイの良い店主は誰にでも気前が良く、よくサービスをしてくれるが、茶化しが多い。レンを「旦那」と呼ばれるのが、セイにとってはとても複雑だった。だが否定をするのも最早面倒で、愛想笑いで済ませる。

「お陰様で。今日はどれが良いですか?」
「活きが良いのは旬のコイツさ。それから安いのは……しかしびっくりさなぁ。旦那、目ぇ見えないのに三枚下ろしも平気でやっちまうんだもんよ」
「ふふ、先生の教え方が上手いからかな」
「おッ!言ってくれるねぇ!今日もサービスしちまうぜ!コイツはムニエルでもしたら絶品さ」

 そう言ってビニール袋に魚をこれでもかと詰め込み始めた店主に、レンは穏やかに感謝の言葉を伝える。
 料理に関しては、目が見えるセイより目が見えないレンの方がずっと上手く、この店主には魚の捌き方を、肉屋の店主には肉の切り方や味付けなどを……と、色々な人に様々なことを教えてもらっては早々と習得していった。お陰で今やリンゴの皮むきなどもお手の物だ。セイは向き不向きの問題だと特に気にしていないし、その他の家事は率先してやるのでその点問題はない。
 隣の八百屋などにも勝手に声を掛けては払う金よりずっと多い量の食材を手渡される。それで商売が成り立っているのか甚だ疑問だが、ありがたい好意は素直に受け取っておくことにしていた。

「そう言えば先生、」
「なんだい旦那」
「どうして俺を旦那と呼ぶのかな?」

 追加で何かを詰め込んでいる店主に、レンが問い掛ける。またややこしいことを……と思いつつ、気になりはするセイは黙っていた。そりゃあ、と店主は一度セイの顔を見て、それからにかりと笑った。

「こんな別嬪さん、女でも早々いねぇだろ!羨ましいねェ、俺のカミさんも二十年くらい前なら張り合えただろうに……」
「彼と背丈も体格も変わらないでしょう」

 暗に自分が『嫁』だと言われ、若干声音に不機嫌を纏ったセイがにこやかに反論するも、店主は気づく様子はない。

「なんつーかな?女と間違えるわけじゃねぇのよ。男なのはわかるんだぜ?でも別嬪!としか表せねぇのよ。俺のぼきゃぶらりー?の貧困さじゃさ」
「お褒めいただき光栄ですが、男としては些か遺憾なので、奥さんに先のお言葉をお伝えしますね」
「おっ、おおっ!?そりゃやめてくれよ、また無視を決め込まれちまう!」

 周りの客や隣の出店の店主までがどっと笑い出す。こんな他愛なくくだらない会話も、もう何度目か。気づけば二人の手には大量の袋がぶら下がっていた。夕陽は海の向こうに沈み、街灯がちかちかと点り出す中、二人は帰路に着く。もうアパートはすぐそこだ。

「まったく、能天気と言いますか。デリカシーの無い」
「ふふ、そんなこと言いながら、セイも楽しそうだったじゃない」
「楽しいですよ。ただああいうタイプは、対応に困ってしまうだけで」
「それにしても……うん、誰に聞いても、君は《綺麗》なんだなぁ。一度で良いから、見てみたい」
「……それ、最近よく言いますよね」
「そうかな」

 きょとんとするレンに、短く肯定する。「目が見えるようになりたい」というよりは「セイの顔が見てみたい」と、願望を口に出すことが多くなった。だがそもそも彼の盲目は原因不明で、この街の医者に診てもらっても、眼球等に異常は無く、逆に何故見えないのか不思議がられてしまった。視力回復に効くものだとか、目のトレーニングだとかを教えてもらっても、特に効果は無かった。セイとしてはなんとかしてやりたいものの、原因自体がわからないのであれば手の打ちようがない。セイが言葉に迷っているのを察したのか、レンはにこやかに笑った。

「ただの興味だよ。これ程の人に美しいと言わしめる恋人の顔を、見てみたいと思うのはおかしくないでしょう?」
「……実際そうでもないかもしれないでしょうに」
「それでも好奇心を掻き立てるには十分だよ。けれど別に、目が治って欲しいわけではない。治れば出来ることも増えて、君の負担も減らせるのだろうけれど」
「私は貴方を負担に思ったことはないのですが」
「そう、君は優しいから。それに甘んじて、俺は今満たされている。だから気にしないで」
「……」
「あぁ、そうだ。それに関係して、一つ興味深い話を聞いたんだった」

 思いついたようにレンは声を上げる。話を逸らすのかと思いきや、関連した情報と聞いてセイは首を傾げた。

「何ですか?」
「少し長くなるから、家で落ち着いたらにしたいな」
「……?分かりました」

 緩やかなカーブの先にアパートが見え始める。軒並ぶ家から漂う香りの中に何かを感じたらしいレンが、軽い口調で「今日はアクアパッツァにしよう」と呟いた。あれだけ聞いた店主のお薦めをさらりと無視する姿勢に、何故かツボを突かれたセイは暫く笑っていた。
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