十歳の少女の苦難

りゅうな

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マリンカ姫の初めての戦い

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『お前のようなチビが私を倒せるものか』
 ジプシーはレンとマリンカに攻撃したが、二人はジプシーの攻撃をよけた。
 私は森に警戒しているジャンと大叔父様に大きい声で話しかけた。
「ジャン。聞こえる? 私の所まで来て……大叔父様は森を倒さず、爺と二人で森をジプシーから離してください。ジャン早く来て!」

《すぐに行けたら、姫様のもとに行っているぞ》
 マリンカに聞こえないようにジャンは呟いた。
 ジャンは人と同じように立っている。ジプシーの攻撃はよけられても、ジャンの足元が動きにくいが、姫の声を聞き足に力を入れてマリンカの所まで向かっていた。

「大叔父様。私がジプシーの注意を引きます。その間に爺の元に行ってください」
「分かりました。マリンカ姫気をつけて」
 セナ執事の元へ行く大叔父様の姿を見せないように、マリンカは身体の向きを変えながらジプシーを引きつけていた。ただ、足場が悪い。砂漠での戦いは長引かせたら私達が不利になる。
 爺とレン大叔父様、ジャンの体力が心配だわ。
 戦い方を知らない私でも、一度だけ父上から教わったものがある。
 敵を引きつける方法と、もう一つは……

『私に反撃できないくせに生意気な』
 ジプシーはマリンカに向かって風の力を使い攻撃してきた。
 
 砂漠で足が埋もれた状態になっていたマリンカは風の力を受け止めていたが身体ごと飛ばされた。
身体が宙に飛び、私は砂漠に落ちてゆくのだと妙に冷静になっていた時、自分の身体が痛くなかった。
 あれ? 何で?
 私の身体をキャッチしていた両腕は赤茶の動物の腕。まだ状態が把握できない私は自分の身体が動かなかった。

《おい、いつまでこうするつもりだ。ジプシーはあっちの方を見ているぞ》
 ジャンの眼の先は爺と、大叔父様を見ていた。
 
 ジャンの話でハッとする私はジャンに礼を言いながら、抱きかかえてくれた身体を砂漠におろしてほしいと伝えた。
 ジプシーの標的が変わった。これはマズイ。
 マリンカはジャンの背中にある光る物を見つけた。
「ジャン。あなたの背中にある弓と、矢を貸してお願い。二人を助けるには弓と、矢が必要なのよ」
 
 戦いを知らないマリンカに弓と、矢を渡すのにジャンはためらっていた。
 ジャンは弓と矢を取りだしてマリンカに聞いた。
《使えるのか姫》

「私なりにやれることをするわ。」
 私はニッと笑ってジャンに言う。
 動き出す森とジプシーに気付かれないように、ジャンから弓と矢を受け取った。
 弓と、矢は受け取った人に合わせて大きさが変わる品物だと、爺から聞いたことがある。
 私はすぐにジャンの背後に隠れて、バックから液体の入った瓶と、紐、布きれ、小刀を取った。
 小刀を取った私は、自分の長い髪を少し切った。
 切った髪分を十等分に分けて、十枚の布きれに少しずつ髪の毛に入れ、髪の毛が入っている布に液体を浸す作業をマリンカはしていた。

《何をする気だ》
 ジャンはマリンカが何をしているのか分からなかった。
 十本分を一本ずつ矢の先に布をくるませて紐で縛っていた彼女の顔が真剣なのでジャンは様子をみていた。
 マリンカは弓矢を持って立ち上がった。
 マリンカはジャンに言った。
「ジプシーは森から現れたなら、最初に森を倒すわよ。切った分だけ、森が増えているけど森同士がぶつかり合う時だってあるはずだもの。その瞬間を狙って森を倒すわ。森を倒せばジプシーは焦るはずよ。彼女は森の方に動くわ。私はジプシーのとこに行くまで、森を倒したいからあなたが森を引きつけて」

 ジャンはマリンカの行動を信じようとしていた。
《一人で出来るのか姫》

「やってみるわよ」
 今はその、気持ちしかないもの。



 
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