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妹
しおりを挟む初PKをした後、始まりの街の鍛冶屋に行った。
「いらっしゃい」
ドワーフのNPCおじさん店番をしていた。
「えっと...武器強化...はこれね。どれどれ...」
どうやら武器強化は素材の数とレアリティで成功率が上がるらしい。
「よし、早速スライムの核3つ使ってM82A1を強化!」
『M82A1の強化に成功しました。』
「よっしゃあー!!」
早速草原で試そうと思った時、現実世界で体が揺すられ、名前を呼ばれているのを感じた。
「お姉ちゃん!」
「んぅ...なによ...」
私はトリガーをログアウトし、VRを外す。
「やっと起きた...お姉ちゃんトリガー始めたってホント!?」
「うん、今日始めたばかりだけどね」
「一緒にしよーよ!」
時計を見るともう夜10時を回っていた。
「今日はもう寝る時間だから明日ね」
「はーい」
次の日、妹のるなに誘われてトリガーを朝からすることにした。
「朝っぱからゲームするのって夏休みの特権だよね~」
「お姉ちゃん始まりの広場集合ね」
「りょーかい」
――始まりの広場――
ログインして直ぐに始まりの広場に行くとるなは既に待っていた。
「あっお姉ちゃん!」
「るなのゲーム名ルナティックなんだ...長いからルナでいい?」
「うん、フレンド登録しよ!」
「うん」
「お姉ちゃん...自分の身長より高い銃せおってる...っていうかガンナー選んだんだ」
「うん。あとね私の考えなんだけどね、銃は対人形向けなんだと思うの」
「その心は?」
「兵器って人に向けるものじゃん」
「あ~たしかに!」
「それでね、その仮説を信じて今ねとある金策してるの!」
「ほほう!どんな金策?」
「プレイヤーをキルしまくる」
はてなマークを浮かべる妹に向かって私はドヤ顔で言った。
「えっ...」
すると妹はマジかよこいつっていう感じの顔で固まった...
「え?」
「お姉ちゃん...もしかしてレッドプレイヤーとかって知らない...?」
「なにそれ」
「プレイヤーをキルしすぎるとレッドプレイヤーってのになるんだよね」
「うん」
「レッドプレイヤーはプレイヤーのマップに赤点で常に表示されるの」
「うん」
「それでね、レッドプレイヤーって賞金かけられてるんだよね...」
「あ~...つまり街でレッドプレイヤー見かけたら街から出た瞬間にボコられると...」
「うん。他にもね、善の街に入れなくなるの」
「善?」
「このゲームはね、街によって善、中立、悪の3つに別れるの。ちなみに始まりの街は中立ね」
「えっつまり善の街に入れないってことはその街のクエスト受けれないってこと...?」
「うん、そゆこと」
そりゃ誰もPKしないわけだよ...
「でも私は気にしない!トリガーさえ引ければなんでもいい!」
「あはは...お姉ちゃんらしいね」
「それじゃ、レベル手伝ってくれる?」
「うん!」
私たちはPTを組んで迷いの森へレベリングという名のプレイヤーキル祭りに行った。
「ルナ、PKってメリットないの?」
M82A1を準備しながらルナに聞いてみる。
「あるにはあるよー!」
ルナは近くにいるモンスターを倒しながら答えてくれている。
「どんなの?」
「ナノがね、10倍されてもらえる。」
「どゆこと?」
「キルされたプレイヤーが失ったナノが10倍されて貰えるの!あと経験値も貰えるよ!」
「道理でナノ沢山貰えたわけね」
「ところでお姉ちゃんこんな丘で銃構えてなにするの?」
「PK」
「えぇ...」
スコープを覗き、手頃な相手を探しているとソロのプレイヤーがいた。
「ん~...あれは剣持ってるしセイバーかな?」
引き金に指をかけ、いつでも引けるように準備する。
「私そばで見学しててもいい?」
「ん、いいよ」
するとルナはそばに座って望遠鏡らしきものを取り出す。
「ちなみに誰狙ってるの?」
「セイバーのソロの人!」
するとセイバーの人とほかのプレイヤーが重なる。その瞬間、私はトリガーを引いた。
「よし、ダブルキル!」
「撃つなら言ってよ...耳痛くなった...」
「ごめんごめん...」
『6400ナノ、スライムの核×2を手に入れました。レベルが9に上がりました。』
「やっぱり調合で弾作った方が楽かな...」
「え?調合で弾作れるの?」
「うん、鉄と火薬があれば作れるの」
調合は色々な物をMP消費無しで作れる。弾の種類によって必要な鉄と火薬の量は変わる。
「じゃあ鉄と火薬取れるとこ教えてあげるよ!」
「ほんと!?助かる!」
「えっとね2層解放しないといけないんだよね」
「2層かぁ...」
「今から行く?」
「えっ?勝てる?」
すると妹は自信満々に勝てると宣言した。
「じゃあ、道案内お願いね」
「まっかせーい!」
こうして初めて2日でフロアボスを倒しに行くことになった。え?寄生?しらんな!
「さて...と、着いたよ!」
フロアボスのいるエリアはフォレストジャイアントスネークが居た場所よりさらに森の奥だった。
「森の最奥におっきい扉ってなんか...神秘的だよね」
「確かにね。この扉の向こうにフロアボスがいるよ!」
「私はどうしてたらいい?」
「お姉ちゃんにはね!周りを飛ぶ虫型のモンスターを倒して欲しいの」
「りょーかい!」
「行くよ!」
ルナが扉に手を当てるとゆっくりと扉が開いて言った。
「わぁ...」
そしてついにフロアボスとの対決が始まった。
「フロアボス...どんなのかな!」
「嫌いな人は見たら気絶するかもね~」
「え?」
そして現れたフロアボスの姿は...超巨大な蜂だった。
「おぉ~!蜂だ蜂~!!」
「そいえばお姉ちゃん虫好きだったね...」
「これ倒せば蜂蜜とかドロップしてくれる?」
「しないよ?」
「え...」
期待してた私は思わずショックで膝を着いてしまった。
「げ、元気だしてお姉ちゃん...2層なら砂糖とか落とすモンスターいるから...」
「よし!ルナ!速攻で倒すよ!!」
「じゃ、援護射撃みたいなのお願いね!」
「まっかせーい!」
私がM82A1を取り出すのと同時にルナは光る槍を取り出し巨大蜂に投げた。そしてその一撃で蜂は悲鳴をあげながら地面に墜落した。
「え...投げるの...?」
「え?何言ってるのお姉ちゃん...ランサーは敵に出会ったら挨拶に槍投げるんだよ?私は槍聖だけどね」
「ランサーこわい...」
「お姉ちゃん周りの蜂減らして!」
「うん」
このステージの広さでは伏せ撃ちは得策じゃないと判断して私は立って撃つことにした。
「反動が怖いけど...やるしかないよね」
護衛蜂の一体に標準を合わせ撃つ。蜂は体をバラバラに引き裂かれて落下する。
「っ~~...反動いった...けど銃強化したからかな。1発で倒せた!ルナは大丈夫かな」
ルナの方を見てみると巨大蜂の針攻撃や噛みつきを巧みに交わしながら攻撃をしていた。
「おぉ~すご~い!」
「見てないで私に攻撃来ないように蜂落としてよお姉ちゃん!」
「わかってる~」
私が4匹の蜂を倒したとき、巨大蜂が悲鳴をあげながら地面落ち、消えていった。
『1層のフロアボスを倒しました。レベルが10に上がりました。』
『初討伐報酬があります。』
「おぉ~さすがルナ!」
「どや~!」
これで2層に行ける!まだ見ぬ銃があると思うと...ワクワクが止まらない~!!
「あっちなみに2層の街はアテナって言ってね、名前からわかる通り善の街だからね。」
「えっ...今のうちに行かなきゃ!」
「そいえば今何時?」
時計を見てみるともうすぐ12時になりそうだった。
「ご飯にする?」
「うん!」
私たちは一旦アテナの街に行き、ログアウトした。
―――――――――――――――――――――――
33:名無しのアーチャー
今日もヒナちゃん見かけたんだけどさ...あの子聖槍使いのルナティックと知り合いっぽかったぞ...
34:名無しのセイバー
いやいや...ヒナちゃんの知り合いどうなってんの...
35:名無しのマジシャン
凄いなヒナちゃん...
36:名無しのアーチャー
ヒナちゃんとは話変わるがもうすぐ夏イベだな。
37:名無しのマジシャン
あ~...大人数PvPだつけ?楽しみだな
38:名無しのセイバー
予選頑張って突破したいけどトップ勢強いからな...
39:名無しのアサシン
ほんそれ。トップ勢の強さは異常。
40:名無しのアーチャー
大人数PvPってどんな感じでするんだっけ?
41:名無しのタンク
40人ずつにフィールドに分けられて最後の一人まで生き残るってやつだったよな。確かだんだんフィールドが狭くなるはず
41:名無しのランサー
上位5人が予選突破だよな
42:名無しのセイバー
楽しみだわ~
―――――――――――――――――――――――
いかがだったでしょうか。次の次くらいからいよいよ初イベント参戦です。
ちなみにヒナの名前を知っている理由は盗み聞きしたからです。
関係ないけど今日モデルナのワクチンうってきました。なんか...注射器の針が刺さる感触...いいですね...
ではまた次回会いましょう。
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