ふたりのMeg

深町珠

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Nite Train

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「故障がなければ、乗り遅れてたよ」とNaomiは

幸運だった、と。



「うん。ほんとは、行くかどうかも
迷ってて」と、ミシェルは

ちょっと危うい、少年っぽく。



列車は、遅れを取り戻すためか
スピードを出して、貨物線路を進む。

次の停車駅までは、停まるところがないので


そうする事で、スピードを上げて
遅れを取り戻そうと言うのだろう。



ホームに沿った線路を、高速で通過するのは
危険だから。



「じゃ、帰る?」と、れーみぃ。

最初の停車駅で、降りて帰ってもいい。



ミシェルは、かぶりを振った。



「お姉ちゃん、心配ないと思う」と
めぐは言った。




「無事なんですか?」と、ミシェル。



そっか。


リサの無事を、列車に乗っていた
ミシェルは知らなかった(笑)。



「お墓参りしたら、帰るって」と、Naomi。




「そっか。よかった。でも、今から帰っても
夜中になっちゃうから、お巡りさんに捕まっちゃうな」と、ミシェル。



「お母さんに迎えに来て貰えば?」と
Naomi。





「うん。。実は、母も心配してるんだ。
それで、旅慣れてる僕が行って来た方がいいかと思って」なんて、ミシェルは、少年らしい自負を見せる。
「おっと、明日早いんだ」と、Naomiは男の子言葉で。

「今夜どうするの?」と、れーみぃ。

「おじさんが、個室が空いてるって」と、ミシェル。



「そっか。まあ、あたしたちと一緒って訳にもいかないね」と
めぐ。



「そんなことないけど」と、ミシェルはそう言った。
それはやっぱり、15歳ならではの無邪気さだけど

まあ、18歳の女の子には、ちょっと無理か(笑)。



車掌さんは、そんなところまで配慮するから
割と繊細な、リサのおじさんである。

朴訥で、のーんびりした言葉からすると想像できないけれど(笑)。




「個室かぁ、いいな」と、めぐはちょっと思う。


もっとも、友達と3人部屋も
楽しいけれど。

ひとり旅、なんて
ちょっと冒険っぽくて
憧れる、そんなめぐはまだ18才である。


「ミシェル、一緒に寝よっか」なんてNaomiは
ちょっと、年下のミシェルを可愛がる(笑)。


ミシェルは、いいよ、と手をふって、にこにこ。

Naomiの優しい、からかいの言葉は
もちろん、ミシェルが優しい少年だと言う事を
心得ての事だ。



実際、ミシェルは健康な男の子なのだけれども
クラスメートたちが、ヌードグラビアなどを見てても
それは、現実じゃないと思っていたりした。

お姉さんが居る男の子は、そうなのかもしれないけれど
生物としての女の子に、そんなに空想しなくても
目の前に物体があるので(笑)それに慣れてしまう。

むしろ、愛しい存在でないと興味を引かず
グラビアのヌードを見ても、なんとも思わん(笑)そんな
感じでもあったりもした。



ミシェル自身は、生まれて直ぐに大きな病気をして
死線を彷徨ったりしたので
その時に、大量の薬物を摂取したので
それがストレスになって、あまり
生物としての女の子に興味を持たないのかもしれない、
などと空想もしていた。


けれど。


リサお姉さんのクラスメートのめぐに出会って、その考えは
間違いだとミシェルは気づく事になる。


その存在を意識すると、愛しい気持になれるし

抱きしめたい、と思ったりもする。


それが恋と言うものなのだろうと、ミシェル自身は
文学からそう連想する事になったりもするのだけれども

その文学すら、めぐが図書館でバイトしているので
本に親しみ始めた、その本で得たものだった。




なので。


4人部屋で、一緒に寝るとしても
めぐと一緒はちょっと、困ったりもする。
でも、Naomiと寝ても困らないだろう(笑)

恋ってそんなものだ。

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