ふたりのMeg

深町珠

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thought of their life

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めぐの持っている魔法は、
例えばアインシュタインの言うようなE=MC2の
それ、を
使うものだから

時間旅行をする時に、その質量をエネルギーに変換して

光速を超え、時間を逆転したり。


そういうものだけど。



それをめぐが意識していないから
魔法、と呼んでいるだけで(笑)



そんなものである。


リサたちと、これから乗ろうとしている
SuperExpressは、その少し前の物理学の
運動法則で動いているから

質量を保ったまま、F=maで加速するので大きなエネルギーを使う。


でも、そのエネルギー源は電気だから
核の周辺を回る電子、であったりする。


つまり、
化学反応、つまり燃焼による火力発電、物理エネルギー、風力や水力などの


100年前の概念で電子の流れ、つまり電気を起こして

それを誘導電動の力で物理力に変換すると言う
結構、旧式な技術。
でもそれだけに、確実ではある。



核エネルギーは、E=MC2の法則で
質量をエネルギーに変換している。


それで、原子力発電所を作ったはいいが
膨大なエネルギーの扱いが
旧式な蒸気発電では(笑)。
ロスが多くてダメだし


反応の制御が下手で
事故が多かった事もあった。




魔法そのものは18世紀に在って
それを応用すればよかったのだが。



時代、と言うものは
そんなものである。







魔法使いルーフィは、その確立した魔法で
エネルギを保っていた。

けれども、その魔法の効力が薄れると
いつか、エネルギーは消滅する。


それまでに、魔法を再生、つまり
プログラムを作り直す必要があるのだけれど。。


修復ができるのは、18世紀の人だろうか。





そこで、彼が誕生したならば。







過去に時間旅行できるのは、ルーフィ周辺では
Megだけ、なのだけど。





そんな限られた時間の中で、ルーフィは
使命によって存在している。

彼のご主人様が、目覚めて
ルーフィを救えば、いいけれど。

そうすれば、彼は
ずっと下僕のままだ。




定められた運命に沿って。









めぐは、一瞬、そのルーフィと

リサの人生が似ているような
気もした。




リサも、望む自分ひとりの人生よりも

おじいちゃんやお父さん、そういう
家族、小さな社会の望みに沿って生きようとしている。




「別に、したい事ないから」と

リサは、そう言っているけれど。



そういう、周囲の要求で生きているって
割と、辛いんじゃないのかなぁ、なんて


めぐは、リサとルーフィ、ふたりの
人生を連想して、そう思う。



それは、めぐ自身もそうだったりするけど(笑)。
女の子にとって、ふつうの夢って

恋して、しあわせになって。
ふつうに、おばあちゃんになって。

そんなとこじゃないか、って思う。

だから、ルーフィとリサを「大変」な生き方だって連想したのは.....

なんとなく、めぐ自身、自分が「魔法」なんてヘンなものに
巻き込まれちゃった、そういう気持もどっかにあったから。



もっと、ふつうに生きたい。




世のため人の為もいいけど、それで自分が辛いなら....。
正義のヒロインなんて、要らない(笑)。

それは、正直な感覚。






それでいいんだ、と思う。
だから、いつかの未来でも、リサが辛い時に
魔法を使った。


今は、魔法なしでも、なんとかなってるけど。




「さ、帰ろう?」とNaomiが言って

国鉄本社から、駅に戻ろうとすると



駅の前に、黒い、蒸気機関車が
展示してあった。

記念に、残されたのだろう。

屋根も付けられて、きれいに塗装されて
磨かれている。



リサは、機関車をじっと見ていた。

おじいちゃんを思い出しているのだろうか。


黒い、大きな機関車は、本当なら煤と油に塗れて黒い。
でも今は、ペイントの匂いがするだけ。


熱いはずのボイラーも冷え切っていて。


リサは、なんとなく悲しくなってしまった。


切れているレール、冷えたボイラー。


なんとなく、過ぎた時間のモニュメント、と言う感じに思えて。



すこし、涙が滲んでしまって。

気丈なリサが、そうすると
淋しさをより、強くイメージさせる....。



どうしたの?って聞かなくても

なんとなく、れーみぃ、Naomi、めぐには
リサの気持ちが分かる。


「さ、帰ろう?」と、駅の、高架線路を見ると

SuperExpressではなく、始発駅を出た
ブルー・トレインが、懐かしい音を立てて....通過していった。



「おじいちゃん.....。」と、リサは落涙。


その列車、寝台特急は
国境の駅を越えて行く、おじいちゃんが最後に運転した機関車が率いていた
列車だった。





Naomiは、リサの肩を抱いて。

「いつか、あの青い機関車に乗るんだろ?おじいちゃんに会えるさ、
運転台でさ」と、Naomiは、男っぽい言葉でそう言った。


軽快な車輪の響きは、電車とは違って
軽い、金属の輪がレールを擦っていく、そういう音だった。



青い編成を、見送って

リサは思う。

「いつか、乗ってあげるから、待っててね。」


旧式の電気機関車は、空気の笛を ふ、と鳴らして
通過していった。


その先端は、金属のモニュメントが輝いて
空気を切り裂くようでもあった。

重々しいギアの響き、モーターの唸り。
エア・ブロワの音。

何もかも、旧式で重厚な3900kw。

でも、リサにとっては特別な機関車だ。



寝台特急が走り抜けていったホームに登って
走り去ったロマンを追った4人。

「やっぱ、いいね、なんか」と、めぐ。
「うん!のってみたいなー」と、れーみぃ。
「渋いね」とNaomi。

「いつか、乗ってあげる」と、リサ。


「でもさ、大学行って、それから機関車乗るの?」とNaomi。


ふつう、大学出で現場に行くのは研修くらいで
管理職コースとかに乗って、本社に居る仕事になる。

でも、中には変わった人が居て.....。


「おじいちゃんもね、駅長さんになれ、って国鉄では言ってたの。
でも、断って、ずっと機関車に乗ってたの。」と、リサは意外な事を言った。


「どこの駅?」って、れーみぃ。


「あの首都の。」と、リサはちょっとはずかしそうに。


「あんな大きな?すごい。」とめぐは驚く。
「すごいよねーそれ。だって、この国で一番!。」と、れーみぃ。
にっこりしてると、まんまる(w)。


「うーん、男だね」と、Naomi。



「機関車に乗っていたい、って言って。
駅長の方が楽だし、給料だっていいんだけど。
一生機関車乗り、していたいんだって。」と、リサは
遠い日を回想するように。





実際、駅長になれる機関車乗りは少なかった。

ふつう、車掌か、駅員とかからなる。

それを断ってまで乗り続けた機関車。



魅力あるんだろうな、と
リサは、想像でしかわからない機関車の運転をイメージした。


おじいちゃんは、駅長さんになってれば
もっと長生きできたかもしれないんだけど。




(筆者のおじいちゃんもそうです。笑)。


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