ふたりのMeg

深町珠

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危ない!

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下り坂。
つまり、反対側は上り坂だけれども


その真ん中に、路面電車のレールが2本。

もう暮れ始めた夕方に、銀色に光っている。



めぐたちは、その下り坂を
ゆっくり下っている。


「ママ、危ない事なんてないわ。お巡りさんだからって。

司法警察官って、内務だし」と、
れーみぃは言う。


ママは「でも、警察にテロリストが入って
拳銃もってどかーん!とか、テレビで見るわ」と


れーみぃのママは、ドラマか映画を見て
そう思ってるらしい(笑)。


れーみぃが天真爛漫なのは、お母さんに似てるのだろう(笑)。



「ママ、それはドラマよ」と

れーみぃが言いかけた時


対向車線を昇ってきた若者のスクーターが



路面電車のレールを横切る。



斜めにレールを渡ろうとしたので

タイヤが滑って。



スクーターは、ころん、と倒れた。



でも、坂を下り始めていた路面電車。

本当なら、めぐたちが乗っているはずの
電車だった。




坂を上りながら転んだ若者は、
スクーターと一緒に



その、路面電車の前に吸い込まれそうになった。






危ない!



めぐは、それを見て
無意識に魔法を解放する。



若者とスクーターを

ほんの一瞬だけ、重力から解放する。

0次元モデルにすればいい。



すると、F=mghより

重力は無くなるが


それまでの慣性、F=ma,v2=vi+atより


わずかに空を飛ぶので、それで
衝突は避けられる。



スクーターごと、路面電車の前のスカートを掠め

めぐたちの乗った、ヴァンデンプラの前を横切り、舗道の敷石に当たって、止まった。






少年は、呆気に取られている(笑)。


もう、ぶつかると思って、目を閉じていたのだろう。




れーみぃのママは、スクーターの前、舗道に車を寄せた。



れーみぃは
「大丈夫?」と言うと


ミシェルくらいの年代の少年は、はい、と

恥ずかしそうに
答えた。




肘を擦りむいたくらいで、大した怪我もないらしい。


スクーターを起こして、エンジンを掛けて

また走り去る。




「驚いたわ」と、れーみぃのママは


電車に轢かれと思った、と。





それを、めぐは
とっさに魔法で回避したのだけれど(笑)。




でも、めぐは自問していた。



なんで、咄嗟に動けたのだろう?(笑)。




友達でもないのに。






そうは思っても、やっぱり、助けてしまう。


助ける能力があれば。




そんなものだろう。
魔法を使える、って事は
それだけ、できる事が多いのだから。





自然に、魔法使いしてしまっている自分に、めぐは、なんとなく驚く。


そのめぐに、れーみぃのつぶやきが聞こえる。


「道路交通法違反だわ。路面電車のレールを横切る時は、路面電車の通行を妨げてはいけないのだし、そもそもスクーターって横断禁止なのに」と
(笑)


そんな言葉を少年に言わないれーみぃは、やっぱり
思いやりのある少女。




「よく覚えているね」と
めぐは、笑う。




れーみぃは「法律って、上手く出来てるの。
知ると、そう思う。

文学みたい。」と(笑)。


それはそうかもしれない。



解釈は推理もあるし。



壮大な物語。





れーみぃが、おとなしやかなのに
法律、なんて硬いものを理解しているとは

めぐには意外だった(笑)


「もっと、女の子らしい嗜みを覚えてほしいんだけど」と
れーみぃのママは、苦笑い。

でも、法曹を目指す、なんて姿勢は
母親としては頼もしいのだろう。

でも「なんで、弁護士さんや、裁判官じゃないの?」と

めぐも思う。



「それは、難しいから(笑)」と案外現実的な
れーみぃ。


「なるほど.....。」と、めぐは納得。


司法警察官なら、給料を貰いながら勉強も出来るし
なんたって公務員だし。



「それに、いろんな人に力になりたいの。
弁護士さんとか、裁判官って
あんまり気楽なお友達って訳にもいかないし。」と、れーみぃ。




いろいろ考えてるんだなぁ。と、めぐは

なーんとなく、なりゆきで図書館にいて
そのまま司書になりたい、なんていう自分が
ちょっと、恥ずかしかったり(笑)。






「法律って、上手くできてるの。物語みたいに。
今の事故だって、スクーターの子が、ちゃんと規則を知ってれば
危険な事にならずに済んだもの。」






「そうだよね。」と、めぐは言い

確かに、あたしが魔法を咄嗟に使ってしまわなければ
あの子は電車にぶつかってたかもしれない、と

たまたま、そこに居合わせた幸運で、彼は助かったと
言う事を思う。


本当に、規則通りに、レールを斜めに横断しないでいれば
確かに、転ぶことはなかっただろう。


その規則を、知っているかどうか、も
別問題だけど(笑)。


「道路交通法だけじゃなくって、いろんな法律の事を
よく知っていれば、住みやすくなると思うの、いろいろ。」と

れーみぃ。


どんな事が、良くなるのかは
めぐには分からなかったりするけど(笑)。


でも、かわいい女の子って、割と、困ることも多いだろうな、と
れーみぃのルックスから、めぐはそんな風に思う。


割と、素っ気無い格好をめぐが好むのは
そういう、妙なところで思わぬひと目を引かない、なんて
実用的な理由もあるので(笑)。




「こんな調子なの。」と、れーみぃのお母さんは笑いながら。

でも、希望を持って将来を考えるれーみぃを
喜ばしく思っても居るのだろう。



白い、ヴァンデン・プラは
ゆっくりとエンジンを掛けた。

旧いOHVのエンジンで、ルーカスのスターターは
電動ねじ回しのような、面白い音を立ててモーターを回すけれど

それは、旧式の飛び込みギヤのせいで、モーターがゆっくり回るから。


エンジンものんびりと回転を始める。







「..........うむ。」


天上では、その魔法の気配を
神様はひとり、偶然感じ取っていた。




「あれは、確かあの、クリスタと一緒にいる娘だったな。
めぐ、とか言う....。魔法を使うようになった。」




神様は、めぐの命を助けて、それで
魔物に襲われた怖い記憶まで、消してあげた。




でも....?



「なぜ、魔法を使って自分の世界の時空間を乱すのだろう。」と
神様は思う。



3年後の未来や、さっきのように

スクーターの少年の運命を変えてしまったり。


もし、あの少年が怪我でもして
病院に入ったら。

そこのナースと恋をするかもしれない(笑)。

そんな、運命を魔法で変えてしまうのは
つまり、未来を変えてしまう事になるのだから(アリエナイ理由で。)。



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