ふたりのMeg

深町珠

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up,up, and the way!

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屋上、涼しい風が吹きわたる。
秋が訪れたのだ、と
抱擁したままのふたりに、時を告げる。


時。
それはふつう、幾何学的に均一。

だが、魔法使いは、その時間量子を
操る事ができたりする。
めぐは、封印した魔法を解除する。

そして、親友リサの悩みを救うため
白昼夢に彼女を誘った。


抱擁したまま。



もちろん、こちら時間では
ほんの一瞬の事。



よく、我を忘れると言うけれど
そんな瞬間、ひょっとして
魔法使いが誘っているかもしれなかったりする。



のかな(笑)。




めぐは、リサの記憶の中で
時間を少し、遡って。



その、おじいちゃんとの行き違いの
夏休みの日に、彼女の記憶を巻き戻した。

(巻き戻し法は、精神医学的にも有効な
心の治療法のひとつである。)




おじいちゃんは、「国鉄に来ないか」とは
言っている。

けれど、それは
おじいちゃんの空想で、現実の
リサの意思は理解していない。


当然だけれども、リサの気持ちは
おじいちゃんの空想では、わからない。


リサのイメージでも、おじいちゃんの気持ちまでは

わからない。



それは、お互いの心の中にある
記憶を演算した結果であるので



それを、共有すればいいだけだ。



言葉で話し合うのは、ふつう。


魔法だったら、それをイメージでつなぐ。



コンピュータで例えれば
話し合うのは、言語で照合する事。



もともとの記憶にあるデータで
照合するのは、0と1の数値比較である。

理論演算。


間違いはほとんど起きない。



誤解、は有り得ないのは
同じ気持ちの家族だから。




おじいちゃんのは、気持ちの焦りからくる
はやとちり。



リサもまた、おじいちゃんの気持ちを
空想できなかった

はやとちり。


お互い、似ているのは
やっぱり、血統だ(笑)。


それを、互いに理解できたと
リサの心は、納得する。




言葉でいろいろ話さなくても
記憶データ自体の演算である。
すっきりと納得できる。




ーーーーー
人間の記憶は
脳、神経細胞の興奮が起こす
電気信号であるから、

フォーマットを解析すれば、似た事は
現在の医学でも可能であり

聴力を失った人や、視力を失った人に
電気信号でそれらを補完する研究が、現在進んでいるのは
事実であったりもする。

記憶について研究が行われないのは
需要が無いからで、技術的には可能である
と思われる。


倫理の問題はあるが。

ーーーーーー





リサは、一瞬の微睡みで
それを理解した。




抱擁を解く、めぐとリサ。




「めぐ。今、わたし。なんか。すっきりした。
おじいちゃんが、わたしのところに来たみたい。」と、リサ。



よく、夢枕、なんて言うけれど。
それは、こんなふうに起こるのかもしれない。





リサは、すっきりとした顔で
「泣いたら、なんか、すっきりした。
おじいちゃんは、わたしに
後継ぎを願ってたんじゃない。
ただ、少し焦ってたんだ。
先行きを心配して。

」と、リサは
自分の心を呪縛していた思い込みから
自分を解放した。




思い詰めていた表情が、蘇る。




「頑張る、あたし。どんな事があっても」と
リサは、涙を越えて。


明日への一歩を踏み出す。

無くした過去は、振り返らず。

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