ふたりのMeg

深町珠

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multipul world

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めぐは、リサの身に掛かった不運を
夏休みの終わりに聞いて。


悩み事を、聞いてあげていた。


最初は、リサも「おじいちゃんもなんか、困っちゃうのよー」なんて
ユーモラスに言っていたので
めぐは、気楽に聞いていた。



.....もちろん、めぐは
この時、未来、3年後に旅した事を
忘れている(笑)。


自分で、記憶を消したのだから。


なので、リサに「後継ぎの話は、おじいちゃんは
怒ってないよ」なんて
言える筈もない。




もちろん、知っていたとしても
リサに言ったところで、信じてくれる
訳もないのだが。






そして、もし、
この時、めぐが魔法を使って
リサの悩みを解決してしまうと
3年後にタイムスリップする事も
なくなる。


未来が変わってしまう。と、そこが
多重次元宇宙になってしまう。



あの時、3年後に
Naomiとれーみぃ、リサと
起きた事件も、ミシェルの少年っぽい悩みも

起こらない事になる。


その時の空間は、異空間になるのだ。



ひょっとして、ミシェルが
いる時空間と、いない時空間も


そんな理由で、誰か、魔法使いが
過去から、未来を変えているのかもしれない
けれど。



そんな理由で、時空間は多重する。









秋を迎え、めぐは
リサのおじいちゃんの訃報を知る。


それは、突然に起こるもので



学校を早退したリサを気遣って
めぐも、早退。

後を追って、
めぐの見た光景は、めぐ自身にも
見覚えのある、淋しいひとの姿。





めぐも、つい、もらい泣きしてしまう。

めぐ自身、おじいちゃんが好きで

リサの、おじいちゃんへの気持ちが
よく分かるから。

共感して、ふたり、泣いた。




白い病院の屋上で。




リサは、大学へ行くのを止めて
国鉄に行く、と言う。



「だって、おじいちゃんが
生きてたら、そうして
欲しかったと思う。」と
リサは言う。





めぐは、それを聞いて。
抱擁しながら、泣きながら
それを語る友達の、温もりを感じながら


何か、記憶の片隅に引っ掛かるものを感じた。




ソレハ、
チガウノデハ
....


と言うような。


魔法使いの血統。


消してしまった未来の記憶は別にして

めぐには、予知の能力も少し、あったらしい。


予感、のようなものだけど。




魔法を捨て去った訳じゃない。
だから......。



その、リサの窮地になら
魔法を使ってもいいと
めぐは、思う。



そうすると、未来が変わってしまうかも知れないけれど。


その事は、めぐは忘れている。

タイムスリップして垣間見た未来は、
記憶から消したから。
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