ふたりのMeg

深町珠

文字の大きさ
上 下
260 / 502

Reimy

しおりを挟む
Moto Guzzi Poice 1000は、
YAMAHA TR1を停めたNaomiの後ろに

静かに停止。


ヘルメットにバイザー。
警官は、にっこり笑って
ヘルメットを取る。


ふつう、警官はヘルメットを取らないけど。



「めぐ!Naomi!、久しぶりーぃ。元気?」と。

「Reimy!」「れーみぃ!」と、めぐとNaomiは
クラスメートの名前を呼ぶ。


れーみぃは、おとなしくて
物静かな小柄な子だったけど。

まさか、ハイウェイパトロールの隊員になってるなんて。



めぐは驚く。



どっちかって言うと、めぐみたいな
文系の感じだった。



ベレー帽子が似合う、長い黒髪を
まっすぐにした、お嬢さんだった。



「びっくりしたー、交通違反?」と

Naomiはにこにこ。


エンジンを停めた。



Moto Guzziのエンジンは、もう止まっていて。

路肩に止まった2台のオートバイを、午後の陽射しが包む。



れーみぃは、どことなくアジアンな風貌で
可愛らしいから、ハードな警官の制服を纏うと
より、フェミニン。


その、ルージュの唇から「ううん、懐かしくって。停めたの。」って
ちょっと可愛らしい口調で言われると
なんとなく許しちゃう(笑)と
思えるめぐだったり。



「どこ行くの?」と
れーみぃは聞くので、Naomiは
「リサのお悩みをね、解決しに行くの」と。



Naomiは、親友リサが
電車の免許試験を受けるので

失敗したくない、って
おじいちゃんへの贖罪の思いを持ってしまって

辛い気持で、夜眠れない。

そんな話を、れーみぃにした。


れーみぃは、ふくよかな顔を綻ばせて。

Lotus Blossomの開花のように。


「わかるなぁ。わたしもそうだったもの。
ハイウェイパトロールの試験のとき」と。


警察官になったのも、なんとなく
正義を守りたかったから。

そういうれーみぃは、柔和に正義に燃える子だ。

声高に議論したりはしないが、法律を学んで

法に外れた人たちの、その、外れたところだけを
元に戻す。

人を憎むわけでもなく。


そういう気持でいる子。


いつかは、司法警察官になるのが夢、だと

れーみぃは言う。



「じゃ、急ごう?わたしも夕方までなの。ハイウェイパトロール。
夜はバイクは走らないから。」と、れーみぃは

Moto Guzzi Police1000に跨る。

すると、ハンドルの所のモトローラの無線機が
鳴った。


「Mary-Seven #3、こちらは本部。」


れーみぃは、無線のマイクを取って「本部、こちらはMary-Seven #3、どうぞ。」


無線の声は部長らしい。「現在地は?」


れーみぃは、楽しげな声で「本部、こちらはMary-Seven #3、これから、
交通誘導を行います。どうぞ。」と、ユーモラスな声で言うと
本部の声は「了解。安全に誘導されたし。あー、れーみぃ?
遅くならないようにな。」と

部長さんは、温かい声で。


みんなが、やさしい。

めぐは、そう思った。



れーみぃは、無線のマイクを戻して

「さー、いこ?」と、MotoGuzziのエンジンを掛けた。

低い、爆発音のような排気音は、独特だけれども
規則的で、スムーズな感じで

TR1とはちょっと違う、とめぐは思う。


れーみぃはヘルメットをかぶって「ついてきて?」と
青い回転灯をつけて、走り出した。


Naomiも、TR1のエンジンを掛けて。

こちらは、すこしラフな感じの排気音。


それが、至って楽しげな感じ。


ギアを1速に入れて、れーみぃの後を追う。


めぐは、友人ふたりの背中を追いながら「免許とろうかなぁ」なんて思う。

オートバイ、楽しいかも。(w)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

捨てられた第四王女は母国には戻らない

風見ゆうみ
恋愛
フラル王国には一人の王子と四人の王女がいた。第四王女は王家にとって災厄か幸運のどちらかだと古くから伝えられていた。 災厄とみなされた第四王女のミーリルは、七歳の時に国境近くの森の中で置き去りにされてしまう。 何とか隣国にたどり着き、警備兵によって保護されたミーリルは、彼女の境遇を気の毒に思ったジャルヌ辺境伯家に、ミリルとして迎え入れられる。 そんな中、ミーリルを捨てた王家には不幸なことばかり起こるようになる。ミーリルが幸運をもたらす娘だったと気づいた王家は、秘密裏にミーリルを捜し始めるが見つけることはできなかった。 それから八年後、フラル王国の第三王女がジャルヌ辺境伯家の嫡男のリディアスに、ミーリルの婚約者である公爵令息が第三王女に恋をする。 リディアスに大事にされているミーリルを憎く思った第三王女は、実の妹とは知らずにミーリルに接触しようとするのだが……。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

【完結】あなたの思い違いではありませんの?

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
複数の物語の登場人物が、一つの世界に混在しているなんて?! 「カレンデュラ・デルフィニューム! 貴様との婚約を破棄する」 お決まりの婚約破棄を叫ぶ王太子ローランドは、その晩、ただの王子に降格された。聖女ビオラの腰を抱き寄せるが、彼女は隙を見て逃げ出す。 婚約者ではないカレンデュラに一刀両断され、ローランド王子はうろたえた。近くにいたご令嬢に「お前か」と叫ぶも人違い、目立つ赤いドレスのご令嬢に絡むも、またもや否定される。呆れ返る周囲の貴族の冷たい視線の中で、当事者四人はお互いを認識した。  転生組と転移組、四人はそれぞれに前世の知識を持っている。全員が違う物語の世界だと思い込んだリクニス国の命運はいかに?!  ハッピーエンド確定、すれ違いと勘違い、複数の物語が交錯する。 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/11/19……完結 2024/08/13……エブリスタ ファンタジー 1位 2024/08/13……アルファポリス 女性向けHOT 36位 2024/08/12……連載開始

危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル
ファンタジー
初めての彼氏との誕生日デート中、彼氏に裏切られた私は、貞操を守るため、展望台から飛び降りて・・・ 気がつくと、薄暗い洞窟の中で、よくわかんない種族に転生していました! 2人の子どもを助けて、一緒に森で生活することに・・・ だけどその森が、実は誰も生きて帰らないという危険な森で・・・ 出会った子ども達と、謎種族のスキルや魔法、持ち前の明るさと行動力で、危険な森で快適な生活を目指します!  ♢ ♢ ♢ 所謂、異世界転生ものです。 初めての投稿なので、色々不備もあると思いますが。軽い気持ちで読んでくださると幸いです。 誤字や、読みにくいところは見つけ次第修正しています。 内容を大きく変更した場合には、お知らせ致しますので、確認していただけると嬉しいです。 「小説家になろう」様「カクヨム」様でも連載させていただいています。 ※7月10日、「カクヨム」様の投稿について、アカウントを作成し直しました。

転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。

黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる

処理中です...