ふたりのMeg

深町珠

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postofficer naomi

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21歳のあたしは、Megさんみたいに
ステキになってるのかなぁ
なんて、めぐは
思った。


いまは、想像もできないけれど。


naomiは、緑の制服を着ているところを見ると
まだ7時だと言うのに
出勤?

すごいなぁ、と


めぐは思う。


その視線に気づき、
ナオミは「ああ、早出があるの。
終わるのも早いの。


郵便局って、24時間営業でしょ?だから。」と

ナオミはからから、と
爽やかに笑った。



そして「リサね、ほら、路面電車に行った。

結構悩んでるみたいね。
仕事大変だって。




めぐは、さっき会ったよ、と言いそうになって(笑)それは、夢の世界の話。


あわてて口をふさいで。



「なにやってるの?おかしなめぐ。」と



ナオミは、楽しそうに笑う。




「ほんとに大変らしいんだー、リサ。

電車って、ほら勤務時間長いし

出勤時間もまちまち。



始発電車運転する時は早い、終電の時は遅い。

そんなので、眠れなくて参っちゃうらしいの。


」と、ナオミは心配そうに言う。

見た目クールだけど、優しい子。

だから、めぐも、リサも

いい友達。




めぐは思う。「眠るだけなら、魔法で
なんとかできそうだけど」と。



もちろん、リサには言えないから

夢の中から、魔法掛ける事になるんだけど。



眠るのも、やっぱり
心の中、眠りに関わる神経内分泌が
制御している。




メラトニンとか。
それが、睡眠のリズムを作っているので

つまり、心の中で
時間旅行をしてもらえばいいのだ。




人間の概日リズム(cycle-day-rhythm)
は、25時間周期で

その周期に沿って、神経内分泌化学物質が
睡眠と覚醒を司っている。


つまり、25時間周期だから
どんな人も、毎日ズレているのだ。


それを、視床下部、つまり
目からの光情報が校正している。




おもしろいシステムである。


魚などは、この器官が直接光を浴びるように出来ていたりする。

同じ器官が人間にあり、同じ制御を
行っている事は


進化生物学者たちが、比較進化論の
正しさを裏付けるものだ、などと述べていたりする。









もちろん、めぐが
そんな事を思っている訳ではないが(笑)。









「ナオミさ、やっぱり朝早いんじゃない?」と

めぐが言うと、彼女は


「早いったって定刻だもの。でも、遅番の後
早出、とか

寝にくいわね。」と言うので

めぐは、ナオミにも魔法が必要かな、
なんて思ったりした。



先に、魔法を掛けてみようか。




そう思ってると、ナオミは「あ、そうだ。」と


言って踵を返す。


「後でお茶しよ?あ、お腹空いてるでしょ。
食事しよ?」と、ナオミは

ヒールのない靴で静かに、しかし素早く歩いて行った。




ついといで、と。

リーダータイプの彼女である。




すたすた、と
ぺたんこの靴で歩いていくNaomiは

どこか、闘士のように勇ましいと
めぐは思ったりもした。


星占いで言うと、見た目の印象とかが
火のサイン、例えば獅子座の人は
ひと目を引くタイプ。

でも、こころの中はやさしくて。
闘士じゃない。
そういうとこは、太陽の位置が決めるから

かに座の子は、家庭的。

だったりもするんだけど。


と、めぐは

図書館に置いて来た星占いプログラムの事を思い出したりした。


そういう相性を探すのは、実は大変だったりするので


相性占いも、コンピュータに組もうかな?


なんて、Naomiの後ろについていて、そう思う。



「こっち」と、彼女は
パスワードを入れて、職員通路にめぐを招いた。


「いいの??」と、めぐは躊躇う。




「だいじょうぶ、郵便のあるところには入れないから。」と、Naomi。



階段を昇って、左手のところに食堂。

朝から、おいしそうな匂い。



「24時間営業だから...あ、お風呂もあるよ、入ってく?」と
Naomiは楽しそうだ。



そういえば、夕べはここで寝てしまったから...と、それも気になるめぐだったけど(笑)



一旦、家に戻ればいいか、と
思っていた。



ここは3年後の世界なんだし。





クリーム色の壁は、少し埃っぽいんだけど
24時間営業では、大掃除する暇もない。




忙しそうに、人々が働いている場所。




そんな、みんながいて。
郵便がちゃんと、配達されて。


すごいなぁ、と

めぐは感心した。






食堂の扉は硝子で、よくあるように
半分開いたままになっている。


人々が常に行き来してるので、閉まる暇がないのだ。



リノリウムの床はベージュ、明るい光が差し込む窓際に


制服の人たちが、並んでご飯を食べていたりする。


テーブル席やテラスもあって。結構豪華だ。



お料理の匂いだけで、すこし
おなかが空いてきた。


「いいの?仕事。」と、めぐはNaomiを気にする。



「いいのよ。本当は9時からなんだもの。準備してるだけ。」と
Naomiは言う。

「9時から?」と、めぐは驚く。

それなら図書館と同じくらいなのに、7時に出てくるなんて。


「そー。郵便って、ほら、世のため人のための仕事だから。
たすけあいなの。

まあ、3時には終わるんだけど。窓口は。」とNaomiは笑う。

「それより、ごはんたべたら?」と、重なっているトレイ、軽合金のそれをふたつ取り
ひとつをめぐに手渡す。

おいしそうなアラカルト。

ビーンズの炒め物、煮物。

ミニッツステーキ、フランスパン・プディング。

スパゲティ、マカロニ。

スープ。


山盛りクロワッサン。


イギリスパン。

いろいろ。


チーズ、ベーコン。


フルーツ、いろいろ。



「すごーい。」と、めぐは目を丸くして。

シンプルだけど、おいしそう。



Naomiは「あたしはカフェ。家で食べてきたもの」と言って


でも、ミルクを温めたものを取った。


クールな見た目、でも、ミルク。
そんなところがかわいらしいNaomi。


見た目がどう、なんて
そういえば本人は、鏡で見るだけだもの。



「あったかいヌードルとかもあるの。」と、Naomiは

キッチンのカウンターにあるメニュウを見た。


ミネストローネとか。

ベーコン・ビーンズ。


チャイニーズ・ヌードル。


お蕎麦(w)


合衆国っぽい、この国らしい。

いろんな料理が並んでいて、見ているだけでも
楽しい。



人気があるのは、ハンバーガーとか、フライドチキン。

パテ。

フィッシュ・アンド・チップス。


そういう、カジュアルなの。





やっぱり働く人は、忙しいらしい。


配達の制服を着た人たちは
短い袖の、若草色のポロシャツに、スラックス。

日焼けした笑顔で、めいめいに。




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