ふたりのMeg

深町珠

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Lissa

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Lissa


おばあちゃんは、なにも言わない。
叱ったりはしないから
おばあちゃんに喜んで貰おうと、めぐは
思う。


なので、きょう、お寝坊した事も

めぐ自身が、失敗したと思ってたので


かえって、叱られたりすると
鬱陶しく感じたりするから



そんな、めぐの気持ちを
よくわかってるおばあちゃんは
なにも、言わない。



好きで失敗する子はいないから。




心と心が通っているふたりなので

そんなことも、ふつう。







めぐは、ふと夢の中の出来事を
思い出した。



クラスメートにも、路面電車の
運転を夢見る子や、

郵便局で働きたい、と
願う子。




めぐが、図書館で働きたいと
思ったように

そんな、クラスメートたちは

ハイスクールを卒業してから

どうしてるんだろう?


そんな事も、気になったり。




なので、ちょっと、クラスメートたちの卒業の後の


時間へ、旅行してみたいと


ほんの少しの時間、思った。





「夏休みだもん、少しくらいいいよね」と、



まずは、路面電車の運転をしたいと
願っていたクラスメート、リサの

3年後に、タイムスリップ!





リサは、スタイルが良くて、オシャレな子。

細面で、長いブラウンの髪を無造作に左右にまとめている子。


活発で、バスケットボールとか、サッカーが
得意。


それだけに、路面電車の運転手さんは

お似合いかな?


なんて、めぐも思ってた。






学校の図書室から、外階段で
屋上に上ると


時々、リサは風に吹かれていて。




ふたりで、お話をした。




「めぐはいいよね、もう、夢、半分叶ってるもの」と


リサは、図書館司書になる夢を持ってる
めぐを、ちょっと羨んだ。



「それは、電車はアルバイトじゃのれないもの」と

めぐは、しかたないよ、と言う表情で。





そうだね、と

ふたりで、にこにこ。笑いあった。




そんな、楽しい思い出。





その事をイメージしながら、めぐは
リサの3年後に飛んでみた。



飛んでみた、と言っても
今度は、時間を単純に3年進めるだけなので
それほど難しくはない。

ただの、タイムスリップ。




3年後の自分に、出会わないようにすれば
いいだけだ。


同じ時空に、ふたつの自分が居ると
ちょっと、その先の未来がおかしな事になるから(笑)。







ひゅぅ、と
めぐが、3年後の地上に
舞い降りたところは


路面電車の、車庫だった。


ちょっと、薄暗いガレージのようなところに

路面電車が一杯。


新しいのやら、旧いのやら。

黄色いヘルメットに、グレィのメカニックスーツの人々が
電車の周りで、整備をしている。



レールの間に、地下室が掘ってあって
そこから、車体の下を整備できるような設備、ピットと言うが
文字通り、溝である。


その中に、見覚えのある顔が、ヘルメットをかぶって。

青年たちに混ざって、電車の点検をしていた。

それは、リサの三年後の姿。




「かーっこいい!」と、めぐは
声を上げそうになったけれど。


電車車庫の屋根、そこは屋上緑地になっていて
そこから、屋根下を
めぐは、のぞいていたのだった。



身を乗り出しすぎて、落っこちそうになって(w)

あわてて、手を振って戻る。

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