ふたりのMeg

深町珠

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帰り道

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帰り道


おばあちゃんは、のーんびりと
まどろんでいるよう。


少しの間。


そういう瞬間は、快いものなので

めぐは、おばあちゃんに
話し掛けないでいた。



しばらく、おばあちゃんは


そのまま。


心の中では、時間が流れていないような
そんな時。

感覚的な時間は、物理的な時間とは

違うので



つまり、感覚的な時間軸は
4次元なのである。






「あら、めぐ。お風呂?」と



おばあちゃんは、ふんわり。



「うん、もう出た」と。

めぐも、にこにこ。





しばらく、お茶を頂いたり

お菓子を楽しんだり。



そのあと、めぐは

おばあちゃんに、坊やの事を
聞いて見た。



どうして、思い出の時間軸がないのだろう?。




おばあちゃんは、少し考えて「そうね。思い出って言うのかしら。



そういうものがない、生まれたばかりだとか......。」と


おばあちゃんは、ふんわりと。





めぐは、思う。

生まれたばかりの赤ちゃん、じゃないね。




もし、記憶の時間がない、とすると.....


「記憶を失ったとか....。」
過去の人ならそう。


放射能に塗れていないなら、記憶喪失じゃない。



この時空間の人なら、そう。




ルーフィの魔法が効き目を失ったのだから、この時空間の人、なんだろうけれど。




「生まれ変わりなのかもしれないわ」と、おばあちゃん。




それなら、確かに。

いきなり生まれ変わっていれば、記憶は無くてもふつう。



でも、誰が、どうして?




めぐは思ったけど


とりあえず、過去への時間旅行はできない、って
事だけは確かだ。






その夜は、のんびりと。



深夜に、大浴場の露天風呂に入ったりして。


こんどはのぼせないように(笑)。


お月さまが綺麗な夜。



温泉を楽しんだ、めぐ。





次の朝、おばあちゃんは
ルーフィに電話をして。



坊やの時間旅行ができなかった事を

伝えた。


彼も不思議がってはいたけれど。







リゾートは、楽しかった。
いろいろあった楽しい夏休み。



いつまでも
リゾートホテルにお世話になっているのも、
ちょっと気が引ける(笑)ので


とりあえず、家に帰る事にした。




坊やの手がかりも、何も掴めない。


時間軸の座標は見つからない。


いつまでもここにいても仕方ない。



それよりなにより、予定がのびのびになっていて
図書館の仕事を、クリスタさんに
任せっぱなしなのも、気になった。







もといたところに戻るのは、楽だ。



リゾートホテルの館長さんに、ごあいさつをして。




「お世話になりました」と。


そう告げると、館長さんは「残念です」と
それでもにこにこと。




別れも爽やかに気遣うのは
彼のおもてなしなんだろう。



めぐは、そんなふうに思った。



おばあちゃんは、また、あの

ハロウィンの魔女の衣装を着て(笑)


よほど気に入ったのだろうか、楽しげだ。



無邪気でかわいいおばあちゃん。





帰りは、ふたりだけ。


ちょっと淋しいけど、仕方ない。



408号室に戻って、忘れ物がないか、確かめて。


おばあちゃんは、お土産いっぱい(笑)。


魔女の扮装で買い物カゴ持ってるのはなんとなくユーモラス。

めぐは、そのままバルコニーから飛ぼうと思った。



魔法陣を、心で念じる。

すると、輝いたそれが、すぅ、と宙を舞った。



だいぶ、魔法には慣れた。
でも、できない事もいっぱい。
めぐは、なんとなく複雑な気持ちで

もとの世界に戻ろうとした。

flash!


take me to mardigras


例によって、3次元実体を0次元--超弦理論的ゆらぎモデルに
変換し

重力の影響下から解放される。

F=mgh   m=0

∴F=0


空間の光子波動に同調し
質量のない0次元モデルは急加速され、ニュートリノ波動を捕捉し
光の速度を越える。





重力場では光さえ曲がる。
超光速、しかし質量のない0次元モデルは
重力に影響されず、真っ直ぐに進める。

結果として、隣接する11次元宇宙空間へと進める。


それが、魔法。




めぐは、自分の世界に戻ってくる。


少しづつ、0次元モデルを3次元展開すると

重力場に従い、緩やかに下降。

地球は時速1700kmで自転し、110km/hで公転している。

遅れ位相で連なる大気は、慣性の影響である。




空から見る地球は、やはり美しい星だ。


台風だろうか。

コリオリの力で、大きな渦を巻いている。



ゆっくりと帆船のように下降する、風向きを見て。


それを、魔方陣に書くのだが

今は、もと居た場所に戻るので、感覚で飛べる。


ツバメが空を旅するように。









めぐ、と
おばあちゃんは

ふわふわと、空を漂うようにして
もと居た街へ戻ってきた。



やっぱり、いろいろあっても
自分の住んでいるところは、いいものだ。






「ただいまぁ」と、めぐは、ふわり。

2階のバルコニーに下りた。

おばあちゃんは、魔法の杖と魔女の扮装なので

それらしく、三角屋根に降りた(w)。





にゃごは、お屋根でお昼寝中。


2匹の子猫も、少し見ないうちに
ずいぶん大きくなったように見える。



お昼寝から目覚めたにゃごは、ちょっと淋しげな表情。




.....どうしたんだろう?。





めぐは、そう思ったが

にゃごは、寡黙なので
これまでも、言葉を話した事はない。



おばあちゃんなら、なにかお話できるのかしら?








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