ふたりのMeg

深町珠

文字の大きさ
上 下
218 / 502

もうひとりのルーフィ

しおりを挟む


もうひとりのルーフィ


でも、ひとは理屈で生きてはいない。

気持ちが納得する時、快いと思う。

その気持ちは、生命として生きて来た記憶が
積み重なって出来ている。




「じゃあ、ルーフィはどうしてあたしを
恋人だなんて言ったの?」と

Megは言う。



それは、ルーフィにもよくわからない気持ちだ。


彼自身が元々人間だった頃の記憶がそうした、としか言いようがないが



「でも、好きって思うのに理屈なんてないんじゃない?

後で、その言葉に責任を持とうとして
頑張るのも愛である。


「それで、めぐちゃんがルーフィを好きになってくれて。
返事できない。

それはそうよね。」と、納得の声のMeg。



「でも、生き物ってそうだもの。
めぐちゃんのために、君を嫌いになるなんて

できない。


だって、僕は魔法使いだもの。

心だけでひとを好きになって。愛する。



それは、人間の恋愛とは違うけど

でも、愛したいもの。」と
ルーフィは言った。



ふたり、同じくひとなのに
どっちかを選べ、なんて無理だよ、とも。




Megは、ふと思う。

「めぐちゃんの世界には、どうしてルーフィの代わりがいないの?」





そう言われれば、そうかもしれない。


並列世界。


理論的には、もうひとりの彼がいるはずなのだ。


自由・平等・博愛


しかし、その連想は
悲劇的な帰結をも類推させる。

ルーフィ自身は、ミュータントなので
どちらの世界にとっても異物である、と言う類推。


たまたま、Megの世界に原点があって、めぐの世界に旅した。


つまり、ルーフィの本当の原点は、どこか別の所にあるのだ。


例えば、(元)天使クリスタが、天界からめぐの世界に舞い降りていても

こちらの世界には、天使の存在が見られないように。





魔法使いルーフィは、過去から未来へと旅する存在。


定点に留まる事のない存在なので、向こうの並列世界には
存在がない、らしいと言う

そんな推論も成立する。

「僕は、どちらにとっても異なる者なのさ」と、ルーフィ。


いつかは、出て行く存在の旅人。


その言葉は、言わなかったけれど。




「Meg、キミは魔法を使えるんだから
この時空に定着する必要はないのさ。一緒に旅しよう?」と
ルーフィは言う。



それは結構危険な誘い。


人間として定住の必要が無くなれば、自由に飛翔して暮らす事が出来る。


....けど、それは何の為?



ひとは、生きて、死すまでに証を残す為に生きる。

ひとを愛し、子を愛し、孫を愛し。

家族を愛し、社会に生きる。

マイ・ドメインを守る。



それが無くなったら、一体なんのために生きる?

何を愛す?



子孫を残す必然が無ければ、博愛しかなくなる。
天使、クリスタのように。


それは幸せなのだろうか?とMegは考える。


めぐよりも少しだけオトナなので(笑)。










しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」 このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。 「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。 男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。 「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。 青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。 ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。 「カクヨム」さんが先行投稿になります。

処理中です...