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もうひとりのルーフィ
しおりを挟むもうひとりのルーフィ
でも、ひとは理屈で生きてはいない。
気持ちが納得する時、快いと思う。
その気持ちは、生命として生きて来た記憶が
積み重なって出来ている。
「じゃあ、ルーフィはどうしてあたしを
恋人だなんて言ったの?」と
Megは言う。
それは、ルーフィにもよくわからない気持ちだ。
彼自身が元々人間だった頃の記憶がそうした、としか言いようがないが
「でも、好きって思うのに理屈なんてないんじゃない?
後で、その言葉に責任を持とうとして
頑張るのも愛である。
「それで、めぐちゃんがルーフィを好きになってくれて。
返事できない。
それはそうよね。」と、納得の声のMeg。
「でも、生き物ってそうだもの。
めぐちゃんのために、君を嫌いになるなんて
できない。
だって、僕は魔法使いだもの。
心だけでひとを好きになって。愛する。
それは、人間の恋愛とは違うけど
でも、愛したいもの。」と
ルーフィは言った。
ふたり、同じくひとなのに
どっちかを選べ、なんて無理だよ、とも。
Megは、ふと思う。
「めぐちゃんの世界には、どうしてルーフィの代わりがいないの?」
そう言われれば、そうかもしれない。
並列世界。
理論的には、もうひとりの彼がいるはずなのだ。
自由・平等・博愛
しかし、その連想は
悲劇的な帰結をも類推させる。
ルーフィ自身は、ミュータントなので
どちらの世界にとっても異物である、と言う類推。
たまたま、Megの世界に原点があって、めぐの世界に旅した。
つまり、ルーフィの本当の原点は、どこか別の所にあるのだ。
例えば、(元)天使クリスタが、天界からめぐの世界に舞い降りていても
こちらの世界には、天使の存在が見られないように。
魔法使いルーフィは、過去から未来へと旅する存在。
定点に留まる事のない存在なので、向こうの並列世界には
存在がない、らしいと言う
そんな推論も成立する。
「僕は、どちらにとっても異なる者なのさ」と、ルーフィ。
いつかは、出て行く存在の旅人。
その言葉は、言わなかったけれど。
「Meg、キミは魔法を使えるんだから
この時空に定着する必要はないのさ。一緒に旅しよう?」と
ルーフィは言う。
それは結構危険な誘い。
人間として定住の必要が無くなれば、自由に飛翔して暮らす事が出来る。
....けど、それは何の為?
ひとは、生きて、死すまでに証を残す為に生きる。
ひとを愛し、子を愛し、孫を愛し。
家族を愛し、社会に生きる。
マイ・ドメインを守る。
それが無くなったら、一体なんのために生きる?
何を愛す?
子孫を残す必然が無ければ、博愛しかなくなる。
天使、クリスタのように。
それは幸せなのだろうか?とMegは考える。
めぐよりも少しだけオトナなので(笑)。
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