ふたりのMeg

深町珠

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ルーフィは革命家(笑)

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ルーフィは革命家(笑)


屋根裏部屋で、のんびりしていたルーフィは
ふたりのおばあちゃんの来訪に驚く(笑)


どっちがどっちかわからないから。

それもあるけれど、ピンク・ヘルメットのゲバルトのようで
一瞬、ここはどこ?わたしはだれ?

的な感覚に襲われるルーフィであるが(2w)。


もともと、時間旅行の旅人にはよくある事だけど。





ふたりのおばあちゃんは、孫娘を大切に思ってるから
めぐが心を痛めた理由を知りたかった。

Megをどうするつもりなのか。


それも知りたかった。



それは、ルーフィの心次第なのだから。




ルーフィはもともとイギリス青年、とは言っても
それは架空の存在であるらしい。


しかし、人間の形をしている以上
人間の心をモチーフにして魔法で作られたから
そこに矛盾が生じた。


例えば人工知能のロボットを作ったところで
人の心には、人間の生理に根ざした感覚しかないから


ちょっと前、音声認識のコンピュータ・ソフトに
恋愛感情を抱いてしまう人間の存在が
観察されたように

ことばを構築する時点で「わたし」「あなた」「おまえ」「きみ」「彼」「彼女」とか
いろいろなニュアンスそのものに感情、関係性があるのが言語である。


魔法使いルーフィとは言え、作られた基盤は人間の男性の心だから
生理的構造のない青年、など

論理的に有り得ないのである。

なので、ルーフィに軽率さがあったと言うよりは


魔法で作られた新しい存在との恋愛が成立するか?と言う問題に
めぐは直面してしまった、と言う事で



21世紀になって少しあった、インターネット上の仮想恋愛とか
そんなものに近い問題である。




ルーフィ自身に、罪の意識はなく「いえ、僕はただ、その時のMegを
愛しいと思っただけです。後で出会っためぐちゃんにも
心は惹かれます。3年前のMegがこんなだったのかな、と。

でも、似て非なるふたりに同時に出会う、なんて事が
これまで無かったので、どちらかを選ぶなんてできない。」と

そのままの気持を述べた。


ルーフィは正直だ。



時間旅行、空間移動をするなら


そういう問題は起こり得るが、研究された科学者はいない(笑)
当然だが。




ふたりのおばあちゃんは、でも科学者じゃない。


「人間に戻って、どちらかの世界で生きるって答えもあるでしょう?」


と、突飛な発想をする(笑)。



ルーフィは「でも僕は契約者です。魔法との。それを破棄するなんて
できない。」



めぐのおばあちゃんは「できるでしょう。契約相手が許せば。」と

それも当然の帰結を述べる。



ルーフィは困惑する「めぐちゃんや、Megがもし魔法使いになれば
永遠の生命を得る事ができるし、加齢もしなくなる。
その方が幸せだと、もし彼女たちが思ったら、今の僕の生き方を
理解できるとも思えます。」



それもまた真理である。

Megとめぐ、そのふたりの心、愛、恋と言う気持は
人間としての構造から出来たもの。



幼い子供を愛でて、幸せな気持になるのも
花を愛でるのも。


犬や猫を可愛がるのも。

美味しいものを食べて喜ぶのも。


みんな、人間として生き延びるために
それを楽しいと感じるようにできている、それを
進化の過程で得てきた、だけだと
進化生物学者は述べる。

それを、比較進化論と言うが。


たとえば、幼い子供を愛でる時
オキシトシン、と言うホルモン、化学物質が
神経内分泌として、心に報酬を与える。

そういう構造を進化の過程で得てきた、つまり
子供を育てれば、自分たちの種が生き残る。

それで、そういう行動が受け継がれてきたり。








もし、魔法使いとして生きるなら
人間の心から、魔法使いの心に変化する事も出来る。


ルーフィはそう考え、Megを愛しいと思った。


そういう事らしい。




「それは、ふたりのマーガレットさん、花のような彼女たちが
選択すればいい。人として生き、魔法をも使う。
そういう生き方もあるのですから。」


と、ルーフィは言った。




それは進化?


つまり、ささやかな愛、自分と、そのパートナーを
排他的に愛するのは
家族を守る愛。


それは、自分が生き延びて
自分が老いた時に
自分を守ってくれる子孫との関係を保つための生得的な性質。


時に、家族ではない人と
争う事もあり得る。


魔法使いや、天使さんのように
自分が永遠に生きられるなら

すべてに、優しく
生きられる。


それは博愛、などと言って。


望んだ者すべてに、愛を分け合う。



そういう、愛。



どちらも、愛他と言って

誰かために愛する行為。




それは、大きな愛。

何者とも争う事はない。



魔法使いは、その大きな愛を
得る事ができる。

神の領域に近づく、そういう事である。


かつて、ジーザス・クライストが
そうしたように。



そう、ルーフィは言っているようだと


ふたりのおばあちゃんは、そう思う。



今は、Megも、めぐも

人間としての恋愛を楽しんでいる。



そう、行為としての生殖と、性選択は
機能であるが


その過程を楽しむのは、人間が
知性を持った証である。



例えば、登山は
本来交通の手段であり
峠を越えてどこかに行くための過程であったが


それを、登る過程を
楽しむ趣味に変え
苦行の過程で起こる、痛み緩和物質、と呼ばれる
神経を麻痺させる内分泌化学物質の
分泌を楽しむ趣味として確立し、それを趣味にするように。



人間の快楽は、みな、そうした
脳の中で起こる精神作用を起こす化学
物質の分泌を楽しむものである、と

脳生理学者などは主張している。


魔法使いルーフィも、その説に沿って

政治家たちの精神を改善した訳で


恋、と言う行為も

機能的に楽しめばいい、そう考えているのだろう。





好き、と
思った相手と


好きなだけ、恋を楽しむ。



求めに応じて。



排他的に家族を作る必然はない。



なので、特定のひとりとだけ
愛し合う必要性はなく


そう進化するのではないかと

そんなふうに考えているのだろう。





それが、ふたりのおばあちゃんに

どう伝わったか、は
わからないけれども



結局のところ、めぐの想いは
人間的な、ふつうの希みなので


いまは、叶う事はないと言う事には変わりない。



Megにしても、ひとときの恋だったと
そういう事なのだろう。




でも、恋なるものは元々ひとときのものである。



婚姻に至れば、おそらく消え去る。


それは、恋そのものが


生殖と性選択、適当な相手を
得る事を楽しむように

進化の過程で得た性質なので



それを好む人々が生き延びただけの事。


ルーフィたち魔法使いは


生き延びなくてもいいので(笑)

それに従わず、自由でいいのだ。






ひとときの恋を、存分に楽しめば良い。


それは、おそらく
天国的な世界で



例えば、アジアの宗教絵画に
よくあるような
極楽。


もちろん、西洋のキリスト教や

中東に多い、イスラム教。

他、あらゆる宗教にもある


天上の楽園は、みなそうした美しい
神たちの世界。

妙なる調べと美しい神、天女、

美酒、そうしたもので


心が快楽に満たされた状態を表現している。


人間の想像力の、そのあたりが限界なのだろう。


快楽、と言うものの。


それはつまり、快楽が
人間では
進化の過程で起きた、ひとの営みを続ける事を
好む性質によって齎されていると


進化生物学者の述べる通りなのである。





人間では、そうで


魔法使いは、それを越える事もできる。


神や、クリスタさんのような
天使の領域に
近づける。


そういう事なのであろう、ルーフィの
考えは。
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