ふたりのMeg

深町珠

文字の大きさ
上 下
136 / 502

心の物理

しおりを挟む

心の物理


「モーターがブレーキになるんですか?」と
めぐは、ちょっと不思議そう


その、半疑問の表情は
なんとなく、子犬のように愛らしいと
ルーフィは思ったりするけど

でも、そんな事言うと怒るかな(笑)なんて。


微妙なお年頃。


「うん、ほら、磁石をふたつ、向かい合わせにすると押し合うでしょう?
小学校の理科の時間に実験したみたいに。



と、ルーフィ。


「うん。それで・・電気が起こるんですか?」と、めぐはまだ、半疑問。



「そう、それでね。この電車のモーターは電磁石だから。回らない方の磁石も電気で磁力が変えられる。


磁石同士が反発するように、電気磁石同士が向き合うなら、電線には電気が起きているって訳。



モペッドのヘッドライトの電気と、原理は一緒。


その電気をね、どこかで使うと・・・
抵抗になって、電気が流れにくくなるから

モーターの軸が周り難くなる。それを
ブレーキにしているのね。」と、
ルーフィは簡単に言った。」



「面白いですね。触ってないのに
力が伝わる、ブレーキになるって。」とめぐは感想を述べた。



「見えないからね。でも、力は伝わる。地球の重力もそうだし、この宇宙の空間が成立してるのも、そんな重力場のせいだし」と、ルーフィは
楽しく、物理の話をした。


元々、魔法は物理学的な側面があるのだ。

「モーターには、小さな宇宙があるんですね。」と、めぐは空想的に。


「うん、僕らの体を作っているのは、タンパク質だけど、炭素と水素だね。


その炭素にしても、原子核、それと電子が、太陽と惑星みたいな
宇宙そっくりの形で動いている。

その、電子が流れるので、電気が起こるんだね。


その、タンパク質を使って、体のあちこちが出来ていて。

神経ができて、脳が出来て。

覚えたり、考えたり。


それはもう、ひとつの宇宙だね。
重合宇宙。宇宙の中に宇宙がある。

僕らが時間旅行する、この超次元時空間によく似ているね。」


と、ルーフィも、少し空想的に
話をつないだ。



「それだと、電車さんにも心があるかもしれませんね。」と、めぐは
さっきから気になっていた、電車の心の事を尋ねて見た。




電車の運転手さんは、マスター・コントローラーを元に戻す。

計器のひとつ、針が、すっ、と左に戻った。

ブレーキハンドルを、静かに回すと
もうひとつの計器で、ふたつある針のひとつが、すっ、と左に振れた。


車輪から、軋み音がして。

「空気ブレーキだね。」と、ルーフィが言う。
ブレーキのマイナス加速度に従って、体が慣性に沿って揺れる。

その力も、触ってはいないけれど
確かに、力だとめぐは思う。



v2=v1+atである。
加速度はマイナスなので、速度が減っていく時の減速度、なのだけど。


その力に沿っていると、ルーフィ、となりに立っている愛しい存在に、めぐは、ぴったりしてしまう(笑)。

触れないのに、力が掛かってる。
触れたいって思う(笑)。


それも、変な物理学かな?って
めぐは、ちょっと恥ずかしいような
嬉しいような。


不思議な気持ちになった。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

はじまりは初恋の終わりから~

秋吉美寿
ファンタジー
主人公イリューリアは、十二歳の誕生日に大好きだった初恋の人に「わたしに近づくな!おまえなんか、大嫌いだ!」と心無い事を言われ、すっかり自分に自信を無くしてしまう。 心に深い傷を負ったイリューリアはそれ以来、王子の顔もまともに見れなくなってしまった。 生まれながらに王家と公爵家のあいだ、内々に交わされていた婚約もその後のイリューリアの王子に怯える様子に心を痛めた王や公爵は、正式な婚約発表がなされる前に婚約をなかった事とした。 三年後、イリューリアは、見違えるほどに美しく成長し、本人の目立ちたくないという意思とは裏腹に、たちまち社交界の花として名を馳せてしまう。 そして、自分を振ったはずの王子や王弟の将軍がイリューリアを取りあい、イリューリアは戸惑いを隠せない。 「王子殿下は私の事が嫌いな筈なのに…」 「王弟殿下も、私のような冴えない娘にどうして?」 三年もの間、あらゆる努力で自分を磨いてきたにも関わらず自信を持てないイリューリアは自分の想いにすら自信をもてなくて…。

異世界風聞録

焼魚圭
ファンタジー
 目の前に広がる見覚えのない景色は見たこともない村。  幹人(みきひと)は村に住む男に見つかってしまいいきなり襲いかかられる。  逃げた先に立っていた魔女のリリに助けを求めることでどうにか助かったものの、そこは森の中に近所の街は寂れた場所で――  これから幕を開けるは街に蔓延る噂話や幹人とリリの恋愛と冒険にて綴られし物語! ※本作品は「ノベルアップ+」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しております。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

処理中です...