ふたりのMeg

深町珠

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稠密なもの

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稠密なもの


「こんどはだいじょーぶ」と、めぐは
また、ペダルを漕いで。

少し、勢いをつけてからクラッチを離す。

デ・コンプレッションが働いて、シリンダーの中で
ピストンが下がる。
そして、昇る時に圧縮が掛かり、空気は圧縮される。

PV=nRTである。
nモルの空気に適当な燃料を、エンジンは吸い込むが
それは、自然にエンジンが吸い込む量を
ちいさなジェットが通すのだ。

概ね13:1。

圧力Pが上がり、容積Vが減っていけば
Rは一定なので、Tが上昇する。

Tは温度である。


そこで、発火点を越えれば爆発する。


精密な仕組み、だが
外からは分からない。


ひとの気持も、それに似ているのかもしれない。


めぐは、気丈に振舞っているが
本当は、恋の行方に悲観的であった。

なにせ、相手が3年後の自分、と言うのでは
戦いようもない(笑)。


それでも、好きな気持には変わりない。





なので、はじけそうな気持は
エンジンの爆発のように元気な振る舞いとなって。

でも、心の中は

精密なエンジンの制御のように繊細だった。
それがないと、エンジンが動かないように

めぐの気持の繊細さが、はじける若さのエネルギーのもと、だったり。


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