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さむくん
しおりを挟むさむくん
外から帰ってきた老犬に、お母さんは「さむ?おかえり。早かったのね」
と、にこにこ。老犬のあたまを撫でた。
さむ、と言う名前の老犬は、朴訥に
のこのことあるいて。
その後ろ姿を、愛おしむように
眺めているお母さん。
優しい気持ちを保つために
何か、象徴が必要。
それで、ずっと一緒に暮らしている。
愛ってそういうもの。
ずっと、一緒にいようね・・・・。
老犬には時間が余り残されていないけれど
その間、ずっと一緒にいたいと
彼女は思う。
子供のためにも。
さむは、廊下を歩いて
絵本のある部屋に向かう。
「さあ、どうしよう・・・・・。」
部屋のドアを開くと、絵本と、子供。
それとたまぁが、じゃれていた(笑)。
たまぁは、理由があってじゃれていたのだけど。
さむとたまぁ
「さむぅ」
絵本を読んでいた子は
ベッドを下りて
さむのところへ。
さむの方が大きい(笑)
でも、愛おしむように
さむに、すりすりする。
さむに、寄ってきたたまぁは
「おかえり」と言う。
犬と猫は、言葉は違うけど
なんとなく、ふたりは通じる言葉があった。
いつかどこかで、遠い前世で
友達だったかもしれなかった。
犬と猫、仲悪かったりするけど
こういう例もある。
「ただいま」と、さむは言い
「あの絵本を、探している人がいるんだ」と。
たまぁは、うなづき「ああ、さっき聞いたよ。横町のハチが言ってた。」
って。
さむは「そうなんだ。表に魔法使いのイギリス人が来ていて。絵本を取り替えてくれ、と。
その絵本の中に、めぐって女の子がいるそうだ。」と。
たまぁは、おどろいて「めぐって名前は聞いたことあるな。その、捜索願いを出した猫の飼い主。
その中にいるのか・・・。」
たまぁは、捜索の理由が解った。
飼い主の行方を追ってたのか。
でもまさか、その中に・・・・・。
さむは、言った。
「この子とわたしがじゃれている間に、その絵本を持って
表にいる魔法使いに渡してくれないか。
かわりの絵本を持っているそうだから。」
そう、さむはたまぁに言った。
たまぁは、「わかった」とうなづいた。。
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