80 / 502
アイスココア
しおりを挟むフランスのスキーリゾートとか
スイスのお山、あたりでは
ココアは夏の飲み物だとか。
スカイレストランのシェフは、ヨーロッパが好きで
若い頃、フランスで修業してきたので
今でも、休暇の度にフランスへ出かけたりして
それで、こんな
楽しい話を聞かせてくれる。
お店を出そうかと思っていた時に
この、図書館が建て直されて。
レストランのシェフに採用された、と
笑う。
「この年でね、公務員なんだもの」って
日焼けしたお顔で、白い歯を見せて
笑う。
めぐのお父さんくらいの年齢だけれども
いいなぁ、と
おもってしまうめぐである。
どうも、めぐは若い男の子が苦手だった。
なんというか、動物的、って言うのか
粗暴な感じがして。
エレベーターに乗って、めぐとクリスタさんは
5階を目指した。
きょうは、割と図書館は空いている。
夏休みなので、海や山へ出掛けたのだろうか。
エレベーターホールは、やや暗くてメタリックな装い。
新しい感じがして、そのあたりも
めぐは気に入っている。
エレベーターホールから、東側の奥手に
スカイレストランはある。
屋上の、太陽のようなモニュメントの
中側が、展望室になっていて
景色が良いし、上品なので
人気のある場所だった。
もちろん、カジュアルでは
本当はダメなのだけれども
女の子は、気品のある服装なら
通された。
もちろん、男の子は正装である(笑)。
めぐは職員なので、もちろん通れる。
クリスタさんも。
簡素であったが、清楚な服装だった。
レストランに入ると、「こんにちは」と
時々、ロッカールームで見かける
ウェイトレスさんがにこやかに
ご挨拶。
「こんにちは」と、めぐが言うと、
「あら、お姉さん?そっくりね。
双子みたい」と、ウェイトレスさんは
短く揃えた髪で、まるく微笑んだ。
天使さんです(笑)。
そう、本当の事を言いたいめぐだけど。
それは言えない(笑)。
従姉妹のクリスタです、と言うと
いいお名前ね。と彼女はにこにこ。
年齢はめぐとそう変わらないはずだけども
ウェイトレスさんは、なんというか
大人、レディーね、と
めぐはおもってしまう。
クリスタさんの事を「お姉さん」と見るウェイトレスさんは
めぐとクリスタさんをそっくり、と
言いながら
微妙に、クリスタさんのステキなとこを見て
「お姉さん」と言うのかな。
そんなふうに、めぐは
ちょっと思ったりもした。
でも、それは思い過ごし。
いつかはレディーになるのだけれども
今のままのめぐは、かけがえのない
ステキな時間を過ごしている。
後になって気づくものだけど。
「奥で、お待ちよ。ボーイフレンド」と
ウェイトレスさんは言う(笑)。
もちろん、ユーモア。
めぐは、かぶりを振って「お目当ては、こちら。」と
言うと、ウエイトレスさんは
「そか、ざーんねんでした。」
と、ユーモラスに首を振った。
クリスタさんは、なんのことか
わからない
(笑)。
天使だもん。
レストランのエントランスから、同じフロアーのテーブルでも
海が見えたり、山が見えたり。
でも、展望室は
そこから、短い階段を昇ったところにある。
ステップは3つ。
音のしない靴なので、めぐと
クリスタさんが昇っていっても
彼は、気づかなかった。
図書館に行く時に、唯一
気にする事、それは
音がしない靴で行く事だった。
本を読むのに、邪魔にならないように、と言う
心遣い。
さりげなく。
遠くに山の見えるこの町は、海に面している。
観光地に程近い中核都市なので
比較的、商業も盛ん、そのせいで
文化的雰囲気にはやや薄いところもある。
面白いもので、商工業の盛んなところは
だいたい、どこでも文化的ムードに薄い。
そんなところなので、図書館を綺麗にしようと
考えたらしい。
それで、レストランに居る映写技師さんも
大学を出てから映画を作っていると言う、面白い人。
本当に商業映画を撮るなら、芸術学部の映画学科を出て
映画会社に入る、なんていうのが順当な人生。
でも、個人映画を作っていたいというその人は
そんなに、お金儲けには興味がないのだろうし
もの作りに信念のある人、なのだろう。
商業的に作品を作るのは、人によっては辛い時もあるからだ。
そういう、主張のある人生を送っている人は
好みもあるけれど、いまのめぐ、には
ちょっと重い、と思わせるだけの雰囲気があって。
例えば軽妙洒脱なルーフィの自由さとは
対極をなすものだった。
もちろん、それは感覚。
でも、恋って感覚。それでいいのだ。
そういう「今」のめぐと、最初の人生のめぐとは
同じ人。
でも、人から見る彼女の雰囲気が、今は自由闊達で
生き生き、やや奔放に見えたりするあたり(笑)
とってもステキなのだけど。
かつての人生では、魔物に追われたせいで
慎重になってしまっていて。
そこが、映写技師さんに好まれて。
今は、そうではなくて。
「ようこそ、いらっしゃい。」と、映写技師さんは
展望席の椅子から立ち上がり、ふたりに椅子を勧めた。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜
赤井水
ファンタジー
クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。
神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。
洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。
彼は喜んだ。
この世界で魔法を扱える事に。
同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。
理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。
その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。
ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。
ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。
「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」
今日も魔法を使います。
※作者嬉し泣きの情報
3/21 11:00
ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング)
有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。
3/21
HOT男性向けランキングで2位に入れました。
TOP10入り!!
4/7
お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。
応援ありがとうございます。
皆様のおかげです。
これからも上がる様に頑張ります。
※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz
〜第15回ファンタジー大賞〜
67位でした!!
皆様のおかげですこう言った結果になりました。
5万Ptも貰えたことに感謝します!
改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~
一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】
悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……?
小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位!
※本作品は他サイトでも連載中です。
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる