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ふたり
しおりを挟むそれなので、映写技師さんのような青年が
女の子に恋したとしても慎重にならざるを得なかった。
傷つけられたりしたくないもの。
そんな訳で、以前の映写技師さんは、従順なめぐを好んだとしても
おじさんを通じて、デートに誘ったりしたけれど
今、神様が粛清した世の中では
魔物は、人の心に棲んでいないから
そう臆病になる必要もない。
めぐが台風娘(笑)なのも、そのせいだけど。
「ま、いいことなのさ。伸び伸びと恋でもなんでもすれば」と
ルーフィは、楽しそう。
「ルーフィはどうなの?」と、わたし。
「どうって?...ああ、僕はここの世界の住人じゃないもの」ルーフィは、疑問形。
そっか。
わたしは納得。
わたしたちの世界は、神様が粛清しなくても
ほどほどに欲がある人が居て、それなりに暮らしている世界。
魔物が心にいない、か、どうかは知らないけれど(笑)。
そんなに世の中も住みにくい訳でもなかった。
経済は相場師中心で動いてもいなかったし
お金持ち中心でもなかった。
為替レートは固定だったし、金融市場も
国内だけだったので
銀行は、国家が保護して
産業をバックアップしていた。
そのおかげで、ヘンに競争しなくても
平和にみんな生きていた。
めぐの世界は、ひょっとすると
まだこれから騒乱が起こるかもしれない、そんな風に
わたしは思ったりもした。
相場があるなら、結局損をして不幸になる人がいるから。
「生まれ育ちで、後の性格が決まるなんて.....。
過去に戻ってやり直したくなるわ。」と、わたし。
ルーフィは、笑って「僕らは、時間旅行者だから。
そう思うけど....そうだ。面白いオモチャがあるよ。」
と、ルーフィは、とても小さなメモリーカードを取り出した。
「なにそれ?」と、わたしは、ルーフィのてのひらをよく見る。
「これはね、未来から持ってきた量子コンピュータさ。
ニュートリノ通信を併用して、量子テレポーティングで
高速超通信ができる。」
ルーフィはにこにこしながら。
よく分からないけど(笑)。
「光速を超える、と言う事は
アルバート・アインシュタインの相対性理論だと
時間が逆転するのさ」
と、ルーフィはにこにこ。
そんなバカな(笑)と、わたしは思った。
理論的に、計算でそうだとしても。
生物は代謝で生きているから、それを逆転はできないと思うけど....。
「そうだよね。でも、通信だったらできそうに思わない?データの入れ替えだもん。」
と、ルーフィは言った。そして、その量子コンピュータに
データを送った。
「何をしたの?」と、わたしは????(笑)。
「この中の、メモリエリアからね。もう1台の量子コンピュータに
通信でデータを送ったのさ。もし、光速を超えていれば....。」
転送時刻が逆になっているはず。
ルーフィはそう言った。
「それで、どうするのよ。」と、わたし。
「過去の自分に通信するのさ。」
と、ルーフィは楽しそうに言った。
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