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深町珠

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山の手の裕子ちゃん

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80年代は、まだ世の中が安全だったので・・・・・。
女の子も気軽に、男の子にアプローチしてきたりした。

この辺りは説明しないと、今の人には判らないと思うけど
今みたいに、付き合った瞬間に押し倒される、なんてのは
現実には、まあ、無かったから

(そういう事をすると、ヘタすると殺されたりしたし、ぶっとばされるのは普通だった)。

女子大生だったりすると、まあ、ひとり暮らしで淋しいから・・・って
俺みたいな安全そうに見えるのに声掛けたりするワケ。


Nし山もそうだったし。


Yは・・・まあ、怖いので(笑)。あんまりそういう事は無かったけど
それでも、洋子ちゃんが会ってくれたりする。

そのくらい安全だったワケ。日本は。





東京のタクシー運転手は、歩合給で
水揚げ上位から、車が振られる仕組みらしく・・・


Yは、のんびりお坊ちゃんだから
どうしてもアブれて。

乗務できない日が多かった。
でも、そんな時でも日勤と言って、事務所に言って掃除とかすれば
時間給は貰える。


俺だったらその方がいいや、と思うのだけど(笑)。

Yはなぜか嫌がっていた。



それで・・・時折、東京に俺が遊びに行くと

Yは、乗務の日、明け方俺を起こして「ぶち込むから一万円貸して」と言う。



ぶち込む・・・?一万円・・・?


随分安い女だなぁ(笑)と思っていると、そうではなくて

自腹でタクシー代を払って、車をカラで走らせる事をそういうらしい。



「俺んとこの会社なら固定給だから、そっちにしなよ」と俺は言ったのだが。

Yは、なぜか東京に拘った。


・・・・後で解ったのだが、例の麻薬オンナが保谷に住んでいるからと言う事らしかった。


・・・・もう、いい加減ほかのにしなよ。



と思ったが(笑)。





Yはヘンなところがあって、女の子を紹介されても、ショートカットだと


「髪は女の命なんです。短く切るなんてとんでもない」と言って嫌われる。


バカである(笑)。


毛なんてどーでもいーじゃん、生えてれば。


そういう事を俺がオンナの子に言うと、いやらしそーな顔して笑う「どこの毛?」


俺が「髪の毛」

って言うと、その子は「うそー」って、笑いながらじーっと見る。




俺は「ああ、あっちのか。キミの毛、じゃ、見せてー」


なんていって、わらいながらひっぱたかれる(笑)。




中学の頃、そんな風に遊んでいた朋ちゃんが結婚したと言う話を
聞いたのは、俺が乗務しているタクシーの中だったりした。


クラスメートの裕子が、たまたま駅でタクシーに乗ってきて。

裕子は、いいとこのお嬢さんである。
どっかの大企業の重役の娘で、山の手の豪邸に住んでいる。

なので、駅からタクシー、なんてのは日常だったらしい。



ほんで、乗ってきて「あ、しゅーねん?やだー、タクシー乗ってんの?ギターは?」

なんていろいろ話して。

俺もいろいろ話すと

裕子は「苦労してんだねー。あのさ、朋が結婚したの知ってる?」


俺は、知らない、と言った。


ホントに知らなかったし、どうでもいいか、と思った。



だから「うん、別に・・・良かったんじゃない?」と答えた。


裕子はしばらく静かで。


国道から山の方へ向かって、緑深い道になる。



裕子は「休みの日、いつ?」

俺は「一日おきに明け番、4回つづいて明けー公休」と言うと

裕子「じゃ、明日とか・・・オハナシしたいの。」と、可愛く言ってきた。


裕子は・・・当時で言うと中島美晴と言う感じの子で
バスケ部だった。

さっぱりしてていい子である(ほのぼの中学、に出てますが)(^^;


俺は「いいよー」と、明るく言って。「なんの話し?」


裕子は「いろいろ。思い出話とか」



俺は「ふーん・・・」と言って

裕子の家の前にタクシーを止めた。


大きなガラスが綺麗に磨かれた二階。
重厚な柿渋色のドア、金のドアハンドル。

芝生が敷かれている庭。

如何にも高級だ。



中学の頃何度も来たので、別に驚きはしなかったけど。

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