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750ライダー
しおりを挟む*バイクと思い出 その5*
ホンダCB750と 「750ライダー」の光くんと。
当時、人気があったこのCB750ですが、なぜか暴走族に人気のバイクでもありました。
僕のアニキの友達にも、沢山このCBに乗っている人がいて...
時々、乗せてもらったりしましたが
今見ると小さいバイクですけれど、当時はとても大きなバイクに感じられました。
(まあ、自分が小さかったのでしょうね)
漫画「750ライダー」も、連載開始当初は暴走族と戦う正義漢の少年が主人公、
と言う'70年代らしいテーマでしたが
割と批判される事も多く、バイク雑誌でも「光は暴走族だ」なんていう投書が目立ったりしてました。
だんだん、時代がやさしいムードを好むようになってきて
750ライダーも、絵のタッチそのものからハード・ボイルドじゃなくなって
学園もののコメディ、みたいな感じになってきたりもしましたっけ。
そうそう、750ライダーを作っていた漫画家さんのアシスタントに
後年「みゆき」「タッチ」でヒットを重ねるあだち充さんがいらしたそうですから
なんとなく感じ、近いな、とか、そんな風に思ったりもしました。’80年代に。
'70年代中盤、やっぱり硬派な男を目指すオトコの子は多かったです。
CB750も、だんだんマイルドになってゆき、カフェレーサ風、とか
アメリカン風、ってな感じに代わって行き、モデルチェンジに至るワケですが
それもやっぱり、時代の流れでしょうね。
でも、時代はだんだんソフト&メロウになってゆき
僕らは、自然にそんな雰囲気の中で、硬軟併せ持つ、ってな感じになってゆきました.....
さて、そんな、光くんがハードボイルドだった頃の僕等ってのは、
こんな感じでした。
「Moonglow ~ Theme from picknik /Lalo Schifrin」
その年、秋に写生大会があって、2年F組の僕らは
近所の古くて大きなお寺の境内で風景画を書くことになった。
相変わらず僕と朋ちゃんや、グループのみんなは仲良しで
この頃は本当に男女の境を越えてふつーにフレンドリーになっていたのが
なんか、今思うとすごく可笑しく思う。
それで、とってもいとおしい時期だったとも思う。
写生大会なんだけど、お弁当と御菓子を持っていける事になったので
みんな、気分はもうピクニックで。
もう、絵はそっちのけで食べる事とふざけるのに夢中(笑)
当時流行っていたヌンチャクを持ってきてセンセにそれで殴られたヒロユキとか(笑)
絵を描かないで犬と遊んでいたら、画用紙に犬がおしっこをしてしまって(?)
その染みをそのまま絵にしたフミアキとか(偉大な芸術だ、と本人は嘯く。笑)
ま、とにかく楽しい奴らだった。
僕はあいかわらずコーズのことは苦手だったけれど
それでもなんとか朋ちゃんとの接点をつないでおこう、と考えていた。
この時も、男の子同士で遊んでいたコーズたち(コーイチや、トガワ、ヒロシやヒロユキやら
なぜか、体育会系+暴走族系)とは離れて
僕のグループは男女入り乱れて楽しくわいわい、とやっており
結構、他のクラスの男子からも僕らは白眼視されていた。
と、言うのは当時の風潮として、男は女なんかとチャラチャラしちゃいけない、って
そういう、なんというか、硬派、男尊女卑系、みたいなのがメイン・ストリームだったから
僕らみたいなのは異端だったんだ。
例えば
漫画、「750ライダー」の光君がまだ、鋭い目をして暴走族をやっつけていた時代だった。
だから、僕らはヘンな連中だったんだけれど、後でわかった事だが
グループのユー子やミツヨ、や朋ちゃんたちは
他クラスの男子からも人気は高かったらしかったので
やっかみ半分で、白眼視されていたのもまあ、半分アタリだろうとは思う。
コーズは相変わらずだし、朋ちゃんもフツーで
僕はこのまま平和でいてくれて、自然にふたりが仲良くなって行ってくれれば
コーズの奴も考え直してくれるのかな、とも思った。
反面、なんとなくそれも..どうかなぁ?なんて考えたりもした。
朋ちゃんがなんでコーズが好きだったかワケわかんなかったし、
彼女くらい人気があれば、他にいくらでも良い男がいるだろうに、とも思った。
僕は、グループのみんなから離れて手水舎へと水を汲みに行った。
偶然、コーズと一緒になったので
共通の趣味のUコンのハナシをしたりした。
僕は、実質的に壊れ難いスクラッパー機を飛ばしていて
コーズにもそれを薦めたのだが
彼は、同じ金出すのなら格好良い方だ、と
実機に近い構造のものを選ぶ、と言った。
コーズはそういう男子で、いかにも少年らしい感じが
今思うと好ましい、と思えるが
当時の僕は生意気だな~、という風に感じていた。
だって、僕の経験からの薦めで言っているのにな。
そういうコーズが僕はちょっと苦手だったし
朋ちゃんも、こんな性格を知っての恋路なのだろうか、とも思ったりした。
コーズは、ちょっと黙ってしまった僕に「じゃ、これやるよ」
と言って、チョコレート、金色の包み紙のスリムな
やはり彼らしく見栄えの良いそれを僕にくれて、走り去っていった。
僕はそのチョコレートを食べよう、とは思わなかった。
遠くで僕らをそれとなく見ていた朋ちゃんに手招きをした。
「なに?」
ぱたぱた、と幼な気に駆けて来る彼女は、秋の陽を浴びた
silhouetteがとても綺麗だった。
銀杏の黄色い落葉を、ちょっと、いたずらするみたいに
風が彼女の髪に纏わせたりして。
そんな彼女を見て僕は「Sister Golden Hair/America」のイントロを想起していた。
ああ、ギターを持ってきたかったな、と思いながら。
息弾ませて駆けて来た彼女、いつものようににこにこと僕の前へと。
「ほら、おみやげ」
僕は、さっきのチョコを。
「なに...これ?」
僕は、コーズに貰った、と言う事を告げた。
彼女は瞳輝かせてそのチョコを両手で、胸のところに抱きしめるような仕草をした。
ありがとう、と言って、嬉しいのか恥ずかしいのか
ぱたぱた、と、グループのひとり、ハツミのところへ走っていった。
そんなに.....
嬉しいのか。
まだ、朋ちゃんはコーズの事をあきらめていなかったから
それは当然なのだけど、でも、なんとなく.....
僕は、まあ、妹に恋人が出来たアニキってのはこんな気持ちかな、
なーんて事を思っていた。
なーんとなく、当時流行ってたTVドラマ
「気になる嫁さん」の石立鉄男を気取ってたようなトコも
多少はあった(笑)。
ケド。
榊原るみとのシークエンスがいいな、と
思っていた、のもある(笑)
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